テアトル十瑠

1920年代のサイレント映画から21世紀の最新映像まで、僕の映画備忘録。そして日々の雑感も。

恋におちたシェイクスピア

2005-05-25 | ラブ・ロマンス
(1998/ジョン・マッデン監督/グウィネス・パルトロー、ジョセフ・ファインズ、ベン・アフレック、ジュディ・デンチ)


 どこまで実際の話なのかは分からないが16世紀末のイギリスが舞台で、主人公はタイトル通り、かの有名なウィリアム・シェークスピアであります。

 当時の劇場(芝居小屋)は、女王陛下の認可の元に営業されていて、映画では二つあったことになっている。所轄の官庁の役人の思惑次第で簡単に閉鎖になることもある。そして、俳優というのは男の仕事であって、女性が舞台に立つことは御法度であったようだ。日本の歌舞伎は未だに女性禁止でありますな。
 この映画の鑑賞の前提条件として、舞台役者は男性だけであったこと、それと貴族の結婚は女王陛下の許可がいったこと、この二つを頭に入れて観た方が良いようです。

 芝居好きな貴族(商人上がり)の娘ヴァイオラ(パルトロー)とシェークスピア(ファインズ)の恋物語で、丁度、シェークスピアが“ロミオとジュリエット”の話を書いているところで、まさにロミオとジュリエット擬きの筋書きになっていくのが、戯曲の進捗具合とダブっていて面白い構成でした。当初は喜劇の予定だったのに、実際の恋が進んでいく内に、悲恋の物語になっていくというのも面白かった。

 ヴァイオラの親に結婚を申し込んで、女王の許可ももらっている悪役の貴族がいて、申し込みと前後して、ヴァイオラとシェークスピアとの出会いもあり、古い時代のことなので、さてこの恋の結末がどうなるのかが気になって面白うございました。ラブロマンスですから、そのつもりでみるとよいですな。

 オスカーを獲った脚本はマーク・ノーマントム・ストッパード。“ロミオとジュリエット”の絡ませ方、役者志望の若者や芝居小屋に関わる人物の配置など、色々と伏線が効いていて面白いストーリーでした。

▼(ネタバレ注意)
 貴族の娘が芝居小屋にオーディションに行くというのも、男装した美女がその美女に恋した男にもばれないというのも、いささか納得できかねるが、これもロマンス物としてマア良しとしましょうか。
 終盤の劇中劇“ロミオとジュリエット”では、急遽代役となったヴァイオラとシェークスピアがそれぞれジュリエットとロミオを演じて、観客を魅了する。それを観ている我々は、観客の知らない恋人達の気持ちが分かるので余計に魅了される。
▲(解除)

 「セブン」で悲しき警察官の妻を演じて僕の心をつかんだグウィネスが、思いっきりラブラブに演じています。68年の「ロミオとジュリエット」のオリヴィア・ハッセーばりに美しい胸を露わにするシーンもあり、ちょいと妬けました。しかし、熱演の甲斐あって、アカデミー主演女優賞が獲れたのはおめでたいことです。やったね!
 相手役のファインズは、平井堅なみの濃い顔で、作家という雰囲気よりも、劇中劇のロミオも演じられる所を念頭に置いて配されたのでしょうかね。熱演タイプに見えましたが、さて、これからどんな役を見せてくれるか楽しみですな。
 女王陛下を演じて助演オスカーを獲ったジュディ・デンチ。確かに貫禄がありましたが、あの短い出演シーンで獲ったんですからおいしかったですな。
 惜しくも監督賞を逃したジョン・マッデン。「コレリ大尉のマンドリン(2001)」もちょいと気になっていた作品なので、これも観なければ。

・お薦め度【★★★★★=大いに見るべし!】 テアトル十瑠

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