(1962/ロマン・ポランスキー監督・共同脚本/レオン・ニェムチック、ヨランタ・ウメッカ、ジグムント・マラノウッツ/94分)
「戦場のピアニスト」でオスカー受賞のロマン・ポランスキーがポーランドで撮った唯一の長編映画。これが処女作ということです。
中年の物書きとその妻が週末のヨット遊びに向かう途中でヒッチハイクの若者を拾う。成り上がりの物書きは遊び心で若者をヨットに誘うが、ちょっとしたいざこざから泳げないという若者を湖に落としてしまい、妻と二人で若者を捜すが見つからない。若者を殺したと思いこんだ夫婦は口喧嘩を始めるが・・・という話。
登場人物はわずか三人。ほとんどがヨットの上で、モノクロ画面にクロースアップの人間とその向こうに対峙する人物という構図を使い、心理的な緊張感を創り出す。ドラマチックな筋書きはほとんど無く、何気ない台詞や仕草、視線の動きなどで三人の心理状態を想像するしかない、そんな映画です。
夫の名前はアンジェイ、妻はクリスティーナ。若者の名前は出てこない。数十年ぶりの鑑賞で、内容はほとんど忘れておりました。
夫婦は少し倦怠期にかかっているようでもあるし、ご亭主は若い奥さんを自慢に思っているようでもある。少なくとも、奥さんが旦那に不満があることは序盤からなんとなく察せられる。
物書きが若者をヨットに誘った理由も色々と考えられる。高級外車に乗り、ヨットまで持っている自分を見せつけて優越感に浸りたかっただけなのか。深層心理には若者を人生の先輩として指導したいという気持ちもあったのか、などなど。そして、それら全てが、いつまでも自分に敬意を示さない若者に苛立った原因か。
名前も聞かれない若者にしても、何を期待してヨットに乗ったのか明確には語られません。
BGMはピアノやサックスを使ったモダンジャズ。
モノクロ画面に水面を走る白いヨット。まるでハービー・ハンコックの「♪処女航海」が流れだすのかと思うようなスタイリッシュな映像でした。
音楽はクシシトフ・T・コメダ、カメラはイェジー・リップマン。
▼(ネタバレ注意)
溺れたと思われた若者はブイを利用して夫婦の目をごまかし、若者を溺死させたと思い込んだ夫婦は喧嘩、亭主は怒って岸まで泳ぎ出してしまう。その後、奥さんが一人になったところで若者はヨットに姿を見せ、言い争う内に二人は関係をもってしまう。
奥さんは若者を途中で降ろし、一人でハーバーへ着く。ご亭主は泳ぎ着いていたものの、車のキーも無かった為にただヨットを待っていた。警察に行こうとする彼に、奥さんは先程の若者との事を話すが夫は自分を庇おうとしているだけだと信用しない。そんな会話を交わしている夫婦の車を遠景で捉えた映像がラストシーンです。
さて、あれから二人はどうなったのか・・・。
▲(解除)
後に映画監督になるイェジー・スコリモフスキー(「早春(1970)」)も脚本に参加しているようです。
ポランスキーはベネチア映画祭国際批評家連盟賞を受賞。
夫役のレオン・ニェムチックは「夜行列車」のサングラスの医師でした。
「戦場のピアニスト」でオスカー受賞のロマン・ポランスキーがポーランドで撮った唯一の長編映画。これが処女作ということです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/20/ae/430a152bc2752b0990f7fbaf319d1dd7.jpg)
登場人物はわずか三人。ほとんどがヨットの上で、モノクロ画面にクロースアップの人間とその向こうに対峙する人物という構図を使い、心理的な緊張感を創り出す。ドラマチックな筋書きはほとんど無く、何気ない台詞や仕草、視線の動きなどで三人の心理状態を想像するしかない、そんな映画です。
夫の名前はアンジェイ、妻はクリスティーナ。若者の名前は出てこない。数十年ぶりの鑑賞で、内容はほとんど忘れておりました。
夫婦は少し倦怠期にかかっているようでもあるし、ご亭主は若い奥さんを自慢に思っているようでもある。少なくとも、奥さんが旦那に不満があることは序盤からなんとなく察せられる。
物書きが若者をヨットに誘った理由も色々と考えられる。高級外車に乗り、ヨットまで持っている自分を見せつけて優越感に浸りたかっただけなのか。深層心理には若者を人生の先輩として指導したいという気持ちもあったのか、などなど。そして、それら全てが、いつまでも自分に敬意を示さない若者に苛立った原因か。
名前も聞かれない若者にしても、何を期待してヨットに乗ったのか明確には語られません。
BGMはピアノやサックスを使ったモダンジャズ。
モノクロ画面に水面を走る白いヨット。まるでハービー・ハンコックの「♪処女航海」が流れだすのかと思うようなスタイリッシュな映像でした。
音楽はクシシトフ・T・コメダ、カメラはイェジー・リップマン。
▼(ネタバレ注意)
溺れたと思われた若者はブイを利用して夫婦の目をごまかし、若者を溺死させたと思い込んだ夫婦は喧嘩、亭主は怒って岸まで泳ぎ出してしまう。その後、奥さんが一人になったところで若者はヨットに姿を見せ、言い争う内に二人は関係をもってしまう。
奥さんは若者を途中で降ろし、一人でハーバーへ着く。ご亭主は泳ぎ着いていたものの、車のキーも無かった為にただヨットを待っていた。警察に行こうとする彼に、奥さんは先程の若者との事を話すが夫は自分を庇おうとしているだけだと信用しない。そんな会話を交わしている夫婦の車を遠景で捉えた映像がラストシーンです。
さて、あれから二人はどうなったのか・・・。
▲(解除)
後に映画監督になるイェジー・スコリモフスキー(「早春(1970)」)も脚本に参加しているようです。
ポランスキーはベネチア映画祭国際批評家連盟賞を受賞。
夫役のレオン・ニェムチックは「夜行列車」のサングラスの医師でした。
・お薦め度【★★★=一度は見ましょう】 ![テアトル十瑠](http://8seasons.life.coocan.jp/img/TJ-1.jpg)
![テアトル十瑠](http://8seasons.life.coocan.jp/img/TJ-1.jpg)
さきほど「袋小路」観て、D・プレザンスってやっぱり怪しい役がお上手!って
再確認したり^^・・・
そうそう「袋小路」さんには^^十瑠さんきっとお好きそうなJ・ビセット嬢が
ちょぴっと出てましたわ。
最近の「水の中のナイフ」パッケージお写真て、こういう感じなのね。
ちょいとイメージ違っちゃいましたね、あの頃と。
>まるでハービー・ハンコックの「♪処女航海」が流れだすのかと・・・
わかります、わかります、その感覚
こんど、ハンコック流しながら映像観てましょかね
「突破口!」の後ですから、「袋小路」も観たかったですが、とりあえず処女作から。
ビセット嬢のことは解説で思いだしました。やっぱ、ドルレアックが久しぶりで楽しみですけどね。
>最近の「水の中のナイフ」パッケージお写真て、こういう感じなのね。
ヨット上の物書き夫婦が風に向かって並んで座っている図がポピュラーですよね。今回の写真がいつのジャケット写真かは分かりません。珍しかったのと、終盤の一シーンなので選びました。
たまたま先月くらいにハンコックを聴いていたので、すぐに連想してしまいました。構図といい、序盤はカッコイイシーンが多かったですよね。
カッコイイだけで終わらないのがポランスキの凄いとこですが。
BSでも放映されていたんですね。
「反撥」「袋小路」そして処女作「水の中のナイフ」は3点セットみたいですね。
この作品って、水、ヨット、ナイフ、水平線……映像の隅々まで、どれもが象徴として描かれているって思います。だからでしょうね。この映画は初期のポランスキー作品の中でもモノクロの水の映像も美しく何度観ても、いつみてもなぜか新鮮さを感じます。
ブロガーさんから「太陽の季節」「狂った果実」など日本のポランスキーだというご意見を戴きました。そうかも知れない。こちらの作品も興味ありです。
>日本のポランスキーだというご意見を戴きました。
「太陽の季節」「狂った果実」は共に裕次郎が出ているヤツですね。そしてどちらも慎太郎の原作。
後者の監督の中平康はイイ映画を撮るらしいとの情報は昔掴んでおりました。