(1972/フェデリコ・フェリーニ監督・共同脚本・ナレーション/撮影:ジュゼッペ・ロトゥンノ/音楽:ニーノ・ロータ/ピーター・ゴンザレス、ブリッタ・バーンズ、フィオナ・フローレンス、アンナ・マニャーニ、デニス・クリストファー/120分)
これ、カテゴリーが迷う映画です。迷うというか既存のジャンルには該当するものが無い。「allcinema-online」では“アート”としていましたが、それもしっくりこないのでとりあえずノンジャンルと致しました。
フェリーニがナレーションをしながら彼なりの“ローマ”を紹介する映画で、冒頭で彼自身語っているように、これは通常の劇映画のような巧妙なプロットも無いし主人公もいない。さりとてドキュメンタリーというわけでもない。イタリア北部の町リミニで生まれたフェリーニが、子供の頃に学校でローマについて学ぶシーンや、十代の終わり頃にローマにやって来て下宿を始めるシーンが前半にあるので、そういう意味ではフェリーニが主人公と考えて良いでしょう(勿論フェリーニは俳優が演じています)。極めて私的な映画で、そのつもりで観ないとガッカリすること間違いなしです。
いわゆる劇映画を期待する向きにはお薦め度は★一つ。しかし、フェリーニらしい躍動感溢れる映像は圧倒的で、時に幻想的な面持ちながら、その臨場感たるや尋常ではない。我ながら、ちょっと大袈裟な表現ですが、まあ、映像派の(映像美ではなく、映像の生命力を楽しむ)皆さんには一見の価値ある作品ではありましょう(★★★)。
妖しげな下宿屋の描写や、夜の賑やかしいオープン・レストランでの食事風景。若きフェリーニは勿論出てくるのですが、彼を中心にしたストーリーがあるわけではなく、騒々しくも生き生きとしたローマの人々をカメラはスケッチしていきます。つまり、フェリーニの目に映ったローマを表現しているわけです。
お察しの通り、猥雑な娼館のシーンもたっぷり描かれます。何故か現実の奥さんとは違った太った女性がお好みと言われてましたが、その通り、パーツだけではなくどこもかしこもでかい女性達が現れます。
その後、時は30年後にも飛び、映画監督となったフェリーニがロケ隊を引き連れてローマを撮影するシーンも出てきます。ここでも俳優が扮したフェリーニが出てきますが、彼が何かを演じるようなシチュエーションはありません。あくまでもローマが主体なのです。
土砂降りの高速道路での撮影風景の迫力(ちょっとしつこいけど)。
地下鉄工事を取材していたロケ隊は、遺跡発掘の現場にも遭遇する。壁面のフレスコ画が外気に触れて消えていく様子は哀しくて幻想的。
聖職者用のファッション・ショーなんていう、ホントか嘘か知らないけれど、そのシーンには怪奇趣味というかそんな雰囲気もありました。
時間旅行のように、現在と過去が行ったり来たり。
そうそう。初めの方の子供の頃のシーンでは、家族で映画館に行くシーンもありました。
ラストは夜のローマ。
突然、懐かしい女優さんが出てきます。アンナ・マニャーニ。
『彼女こそ、ローマの象徴だ。ローマは純血の処女、雌オオカミや貴族、道化師に例えられ・・・』
カメラに向かってフェリーニの言葉を遮り、彼女はドアの向こうに消えていきます。
アンナに振られたフェリーニが更に呟く。
『この時間の散歩は最高だ。誰一人いない素晴らしい静寂。聞こえるのは泉の音だけ』
すると、街中(まちなか)に沢山の光の列が現れ一斉に動いて行きます。それはもの凄い数の暴走族のオートバイで、先のフェリーニのナレーションをあざ笑うかのように、けたたましいエンジン音を鳴らしながら夜のローマを走って行くのでした。
古代建築の姿を残す美しい街並み、通りのアチコチにはライトアップされた彫像が並ぶ古都。その間をおぞましい数のバイクのライトが通り過ぎて行く。フェリーニの愛した美しいローマは何処へ・・・。
1972年のカンヌ映画祭でフランス映画高等技術委員会賞というのを受賞したそうです。
これ、カテゴリーが迷う映画です。迷うというか既存のジャンルには該当するものが無い。「allcinema-online」では“アート”としていましたが、それもしっくりこないのでとりあえずノンジャンルと致しました。

いわゆる劇映画を期待する向きにはお薦め度は★一つ。しかし、フェリーニらしい躍動感溢れる映像は圧倒的で、時に幻想的な面持ちながら、その臨場感たるや尋常ではない。我ながら、ちょっと大袈裟な表現ですが、まあ、映像派の(映像美ではなく、映像の生命力を楽しむ)皆さんには一見の価値ある作品ではありましょう(★★★)。
妖しげな下宿屋の描写や、夜の賑やかしいオープン・レストランでの食事風景。若きフェリーニは勿論出てくるのですが、彼を中心にしたストーリーがあるわけではなく、騒々しくも生き生きとしたローマの人々をカメラはスケッチしていきます。つまり、フェリーニの目に映ったローマを表現しているわけです。
お察しの通り、猥雑な娼館のシーンもたっぷり描かれます。何故か現実の奥さんとは違った太った女性がお好みと言われてましたが、その通り、パーツだけではなくどこもかしこもでかい女性達が現れます。
その後、時は30年後にも飛び、映画監督となったフェリーニがロケ隊を引き連れてローマを撮影するシーンも出てきます。ここでも俳優が扮したフェリーニが出てきますが、彼が何かを演じるようなシチュエーションはありません。あくまでもローマが主体なのです。
土砂降りの高速道路での撮影風景の迫力(ちょっとしつこいけど)。
地下鉄工事を取材していたロケ隊は、遺跡発掘の現場にも遭遇する。壁面のフレスコ画が外気に触れて消えていく様子は哀しくて幻想的。
聖職者用のファッション・ショーなんていう、ホントか嘘か知らないけれど、そのシーンには怪奇趣味というかそんな雰囲気もありました。
時間旅行のように、現在と過去が行ったり来たり。
そうそう。初めの方の子供の頃のシーンでは、家族で映画館に行くシーンもありました。
ラストは夜のローマ。
突然、懐かしい女優さんが出てきます。アンナ・マニャーニ。
『彼女こそ、ローマの象徴だ。ローマは純血の処女、雌オオカミや貴族、道化師に例えられ・・・』
カメラに向かってフェリーニの言葉を遮り、彼女はドアの向こうに消えていきます。
アンナに振られたフェリーニが更に呟く。
『この時間の散歩は最高だ。誰一人いない素晴らしい静寂。聞こえるのは泉の音だけ』
すると、街中(まちなか)に沢山の光の列が現れ一斉に動いて行きます。それはもの凄い数の暴走族のオートバイで、先のフェリーニのナレーションをあざ笑うかのように、けたたましいエンジン音を鳴らしながら夜のローマを走って行くのでした。
古代建築の姿を残す美しい街並み、通りのアチコチにはライトアップされた彫像が並ぶ古都。その間をおぞましい数のバイクのライトが通り過ぎて行く。フェリーニの愛した美しいローマは何処へ・・・。
1972年のカンヌ映画祭でフランス映画高等技術委員会賞というのを受賞したそうです。
・お薦め度【本文中にあり】 

あと、アンナ・マニャーニ!私は彼女って、マーロン・ブランドと共演した「蛇皮の服を着た男」ぐらいしか観たことなくて・・・。こうやって観ると、やはりハリウッドじゃなく、ヨーロッパが似合う女優さんだな、と思いました。
アンナ・マニャーニを最初に観たのは「無防備都市」でしょうか。
「蛇皮の服を着た男」は未見なんです。
ストーリーは無視して、カメラワーク、映像センスなどを楽しむつもりでみると結構楽しめます。
しっくりくる言い回しです!
分類も難しければ、説明も難しい作品ですよね。
>どこもかしこもでかい女性達が現れます。
包容力ありそうでした(笑)
なんとなく母性を感じるイタリアのママンって感じです。
やっぱりイタリア男はマザコンなんですかね~?
移動撮影の映像と、その編集具合がダイナミックなんですよ。
初期の「青春群像」をDVDで持ってまして、あと「サテリコン」も。
そして「甘い生活」がもう一度じっくり観てみたいです。