やまっつぁん日記

一応日記メインの高3のブログです。ちなみに小説も書いて載せてます。音楽紹介記事もぼちぼちやってます。

簡単な説明


 えー、ではとりあえずはじめて来た方のために軽い説明をします。
 このブログの内容は主に日記、そしてイラスト、たまに漫画、好きな動画(音楽)、更新するめどの立たない写真付き記事からできております。
 まぁ、好きなカテゴリーを選んで見てってください。
 ちなみにボーニンというのは主に4コマ漫画です。
 一日一名というのは毎日一人ずつ500色の色鉛筆一色一色から新しいキャラを作っていこうという企画になってます。
 それとコメントは大歓迎ですが、不適切だと思われるものは削除しますのでご了承ください。

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あぁ、つかれたぞえ

2010-05-24 17:05:28 | 日記
 いやぁ、今日は疲れましたよ。
 というのもシャトルランです。
 今日は体育があり、尚且つシャトルランだったのです。
 もう私は肺がどうにかなるかと思いましたよ。
 といっても記録は散々ですけど。


 まぁ、4点でしたね、私。
 シャトルランの点数。


 というか体育テストで一科目(?)10点満点中6以上取れたのは反復横とびだけですよ。
 

 ひどいのはソフトボール投げです。
 2点ですよ、あなた。
 もし学生諸君がこの日記を見ているのなら体育の教科書を見て御覧なさい。
 私の腕力の低空飛行ぶりがもろに分かることだろう。
 

 で、そんないやんなっちゃうことは忘れるに限るんです。
 実際私はシャトルランの前回の記録なんて欠片も覚えてませんし。
 しかし、下がっても上がってもいないと思いますよ、記録。
 

 ソフトボール投げは何度投げても8メートルしか飛ばないし。
 あ、記録言っちゃった。
 まぁ、いいや。
 

 もうどんなに投げても8メートルしかいかないのです。
 というかボールを投げる、いや、そもそもものを投げるという機会は私の人生の中にほぼないのです。
 ボールを投げるとき私は始めてものを投げるかのような錯覚に陥るのですよ。
 というか、ボール投げてどうするんですか。
 ボールが飛んでいった距離が短かろうが長かろうが何だっていうんですか。
 そもそもものを投げちゃいけません!
 

 えぇい、生きるのに支障がなけにゃ、ボール投げができなくったってへっちゃらだい、コノヤロー!
 というわけで、過ぎた事は忘れる。
 

 で、今日は他になんかありましたかねぇ。
 皮肉なことに一番嫌いなはずの体育が一番話のネタになるんですよ。
 なんてこったい。
 

 ただ、面白い事はその辺に転がってたんですよ。
 ただ、嫌なことと一緒に忘れちまっただけです。
 

 そうですね、庭の写真でも撮ってきましょうか。
 せっかく携帯があることですし。
 何か気づいたら庭にぽこぽこ花が咲いてたんでちょっといってきます。 

 …10分後

 はい、ほんとに庭に行ってきました。
 文字で見ると三点リーダと4文字ですが、10分経ったのです。


 そんで庭の写真も撮ってきました。
 まずこれ。
 
 はいまぁ、言ってしまえば雑草ですわ。
 クローバーでもなんでもない。
 しかし、三つ葉を見ると四葉を探したくなりませんか?!
 まぁ、蚊に刺されたら嫌なので、四葉探しは早々に諦めましたが。
 まぁ、四葉のクローバーについても少し語れそうなのですが、話のネタは後日にとっておくとして。


 次これ。
 
 …花、です。
 次も…
 
 花、です。
 いや、花についての知識がないんで、これはほにゃららです、みたいな解説はできんのですよ。
 しかも気づいたら咲いてたっていう、花ですし。
 普段庭の様子とか見ないんですよ。
 ちなみにこちらの花の葉っぱにこれでもかっていうくらいちっこいてんとう虫がいました。
 写真に撮ろうかとも思いましたがちっさすぎて携帯の写真じゃ見えなかったです。
 足の小指の爪くらい小さかった…ってこれじゃ例えがわかりにくいですな、まぁ、米粒の1,5倍くらいのサイズですかね。


 んで次にこれ。
 
 この切り株小さいんですよ。
 これイチョウの木だったんですけどね。
 いつの間にか切られてました。
 うちの庭事情はいろいろあるんで、その話はまた今度しますが、今年はイチョウの葉っぱは見られないでしょうかね、これじゃね。
 しかし、見てくださいよ、芽みたいのはえてますよ。
 分かります?
 いやぁ、植物って強いわぁ。
 うんうん。


 で、最後に
  
 うちの猫です(外から網戸越しに)。
 むすっとした顔してますね。
 遊んでやると眼の黒い部分がまん丸になってそれはそれは可愛いんですけど、写真を撮ろうとすると、元の顔に戻っちゃうんですよ。
 まぁ、いつかいい写真が取れたらな、と思います。


 そんじゃ、今回は久しぶりになかなかに有意義な日記になりました。
 話のネタもいくつか見つかりましたしね。
 これからもたまに写真記事を作ろうと思います。

創作活動のことをいろいろ考えてみる

2010-05-23 15:02:33 | 日記
 ゲームとは恐ろしいものです。
 気づけば手がゲーム機へと伸びています。


 いかん!欲に負けては!
 私は創作活動をするのだ!


 というわけで、昨日からいろいろと考えているのです。
 ただ今小説ブログの方で連載中であります、もうひとつの幻想という話。
 それがもう少しで切りがつきそうなのです。
 ともなれば、再び余裕ができる。
 そうすれば他の話に手をつけられる!というわけです。
 

 つまりは便利屋の続きを書こうという気が起これば続きを書けますし、ボーニンの続きだって夢じゃないのです。
 といっても、便利屋の事は今頭にないのです、あしからず。


 しかしなぜか、どういうわけか、便利屋がアンケート上では人気度第2位なのですよ。
 あんな昔に書いたわやくその小説がよくもまぁ、支持を得られるもんだわさ、と思う反面ニヤニヤしている私でございます。


 …わやくそ、の意味分かります?
 これって方言ですかね、やっぱり。
 まぁ、とにかく。


 こっちの日記サイドの方は小説を読んでくれているのかどうかは分かりませんけれども、少なくとも便利屋とは何か、ボーニンとは何かは分かってくれていると思います。
 分かってくれているのを前提でこのお話を進めているわけですから。
 日記を書くことがないのでやむを得ずこんなんウダウダ書いてるんですよ?
 まぁ、こっちのめんどくさい事情はおいといて。


 とにかくボーニンですよ。
 あいつは何かめんどくさい奴でしてね。
 いや、あいつ事態はすっきりしているやつなんですけど、あいつが置かれている状況というか、場所というか、世界というかが面倒なんですよ。


 今まで、ボーニンの話はボーニン・マンっていうア○パ○マンのパクリみたいな話と、ボーニンが私の小説のキャラと続々出会っていく、という話を描きましたね?
 もう、それリセットします。
 それはそれで楽しんでいただけたらいいですが、ボーニンはもっと大きなやつなんですよ…たぶん。
 とにかく、一応あいつだって他の便利屋とか小説ブログに載せている小説の主人公張りの位置にいるやつなんですから。
 たまには日の目を見せてあげなければ、と思うわけでございます。


 それでいろいろボーニン活躍の場を考えているのです。
 今までボーニンの漫画では背景真っ白でしたよね?
 つまりボーニンとその仲間たちは一体どこにいるのかさっぱりわからなかったというわけです。
 その辺からもう少しはっきりさせていかないとな、と思いまして。


 ちょっと4コマでも普通の漫画でもない感じ、ブログ漫画とでもいいましょうか。
 縦長の漫画でも作ろうかな、と思います。


 ただ、私は大層飽きっぽいのですよ。
 長い付き合いの人は分かると思います。
 小説に関しましてはそれなりに長続きしていますが、イラスト関連の事はすぐ飽きるという事は皆さん何も言わないながらも分かっているのではないでしょうか。
 さっきいいましたボーニンの4コマも途中で投げてますし。ボーニンと私、っていう漫画みたいのも途中で投げましたし、イラストだって数枚色を塗らずにほん投げている状態です。


 というか今まで私の作品が完結した事はほぼありません。
 部活に持っていった短編小説が唯一完結したお話といえるでしょう。
 構想だけはあるんですけど、動く力とやる気がないという大変面倒な奴なんですね。
 まぁ、ボーニン復活をほのめかした以上、できるだけ動こうとは思います。
 皆さんもコメントあらアンケートの方で応援よろしくお願いします。
 後一歩で動くところまでやまっつぁんはきています!


 そしてすっかり日記ではなくなっていましたね。
 まぁ、今日も昼に起きて飯食って今の状況です。
 この時間にパソコンしている=家におかんがいないということです。


 これから創作活動に精を出そうと思ってます。
 アンケートなり、ランキング投票なりで応援しといてください、できれば。

非凡レール 2話 4

2010-05-23 14:35:50 | その他
 建物内の各所では人間の姿に化けたまま、狐や狸たちが拭き掃除やら掃き掃除やら、精力的に働いていた。
 俺は彼らに部屋の場所を聞くと、俺の部屋は2階にあるという事だった。
 ここには2階があるのか、と階段を探すがなかなか見あたらない。
 見た目の割にこの建物は広く、部屋数も豊富だった。
 確かに民宿として十分やっていけそうである。
 ただ長い間使われていなかったのか、汚れ放題汚れていた。
 そしてしばらく建物内をさまよった後、ふと目についた物置のような木の扉を開けると、そこに階段があった。
「なんと分かりにくい」
 細くて急な階段は大変上りにくかった。
 さらに滑る。
 俺はどうにか滑らないように上へと上ると、両サイドにドア。
 どちらも窓のようにガラスが張ってあり、左側のドアのガラスからはなにやらものがごちゃごちゃと詰め込まれているのが見える。
 どうも左側の部屋は物置と化しているようだ。
 俺の部屋はきっと右側の扉の先だろう。
 ドアを開け、室内を覗いた俺は息を飲んだ。
「これは!俺の部屋ではないか!」
 まぁ、俺の部屋なのは当たり前なのだが。
 どうして俺がここまで驚いたのかというとだな。
 前住んでいた部屋とそっくりの部屋だったからだ。
 試しに後ろを振り返ってみたが、俺の背後には汚い廊下ではなく、物の詰め込まれている部屋の扉がある。
 ここは俺が住んでいたボロアパートではない。
 しかし、視線を前に戻せば確かにそこは俺の部屋である。
 隅から隅までそのままのレイアウト。 
 前の家と違うのは、玄関やキッチンがない事と、入り口の位置が違う事くらいだった。
 他は窓の位置まで不気味なほど同じであり、見慣れた六畳間はにおいまで同じである。
 俺のこだわり遮光カーテンが風にさわさわと揺れていた。
 俺は鳥肌が立ってしまった腕を摩りつつ、部屋を見回す。
 すると、窓の斜め下辺りに置いてある机の上に何か置いた覚えのない物があるのが見えた。
「ガム!」
 近づいてい見ると机の上に置いてあったのは俺の大好物のミントガムであった。
 俺はすぐさまそれを手に取り頬ずりをする。
 が、そこへ、「何してんの?」という声が響いた。
 すぐに頬からガムを引きはがし後ろ手に隠す。
 そして部屋の入り口を見ると、マッシュルームヘアの男が立っていた。 
「な、なんだ。おまえか」
「今何隠したのさ?」
 彼、”とろわ”もまだ人間に化けたままのようだ。
「何しにきた?君たちは掃除をしているんじゃないのか?」
「いや、なに。僕は戦力外なのさ」
「戦力外?」
 ただのサボりではないのか。
「別にサボっているわけじゃない。僕が仕事をするとろくな事が起こらないからみんな僕に仕事をしろなんて言わないのさ」
 ろくな事がないとはどういう事だ。
 失敗ばかりするという事か?
「とにかく。僕は暇だからさ、オーナーについてくよ。この町の事とか、ここらに住む人間も人間以外の生き物も僕は狸一知ってる」
 えっへんと胸を張る”とろわ”。
 信頼しても大丈夫だろうか、こいつ。
「見知らぬ町で一人は不安でしょ?僕が案内してあげようじゃないか」
 こうして俺の顔を覗き込む奴はよく考えると、見た目は俺と同じくらいの年に見える。
 そういえば他の狸や狐たちの仲に俺と同い年くらいに見える奴はいなかったな。
 目つきの悪いあの”いー”って奴も、俺より年上っぽかったし。
 もしや一番気が合うのが、こいつだったりしてな。
 髪型の趣味はさっぱり合わないが、その他の事ならもしかすると趣味が合うかも知れない。
「それなら案内してもらおうじゃないか。これからある喫茶店に客を迎えにいく」
 俺は邪魔にはならないだろうと踏んで、奴を連れていく事にした。
 何度も見た町だといっても実際に来たのは今回が初めてなわけで、些か心細い。
 だれか一緒に来てくれるとなると、ありがたかった。
「ほぉ、赤っ鼻か」
 俺がリョウにもらった地図のメモを見せると、彼はそう呟いた。
 メモ用紙にはこの建物と道を示す線、目的地を示す丸しか描かれておらず店の名前などの情報は全く書かれていない。
「あ、あかっぱな?」
「そう、このあたりの喫茶店と言えばそこくらいしかないよ」
 そんな奇妙な名前の喫茶店は見た事も聞いた事もない。
 俺はなんとなく赤鼻のトナカイと、真っ赤な顔に長い鼻を持った天狗の姿を同時に思い浮かべた
「まぁ、案内するからとにかく行ってみようじゃないのさ」

 :

 空は爽やかに晴れ、朝とはいえ随分と暑い。
 しかし隣の人間に化けた狸は長袖長ズボンでも何食わぬ顔をして歩いている。
 化け物か?!
 あ、そうか化け物か。
 化け狸だものな。
 八百屋や肉屋、魚屋など昔ながらの店が並ぶ通りを逸れ、しばらくわき道に入って進んでいくと、その喫茶店へと辿り着いた。
 店は以外とお洒落で、都会でもやっていけそうなこ洒落た造りである。
 店内の見えるショーウインドーのようなガラス窓と、木のドア。
 それらの上には大きな看板が掲げられ、”AKAPPANA”とでかでかと真っ赤な色で書かれていた。
 ここまで案内してくれた”とろわ”を後ろに引き連れ、俺は早速入店する。
 中に入るとそこにはまず、レジなどが置かれた小さなカウンターがあった。
 しかしカウンターには誰もいない。
 カウンター脇にはのれんの掛かった通路があり、厨房などに通じているようである。
 店内は真新しい木材で壁が作られ、床は石畳、どこか和風な喫茶店である。
 置いてある机や椅子も木製で、椅子には日本らしい座布団が敷かれている。
 なかなか新居心地が良さそうだ。
 そして、店内を見渡すと、そこにはフランスとでかでかと書かれた旅行雑誌を読みふける男性客が一人いるだけだった。
 彼は青い浴衣のような服を着ており、肌は白い。
 そして彼は目立つ金髪ボサボサ頭であった。
 いかれた学生か?
「おやぁ?カラスマさんじゃないか」
 すると不意に俺の後ろにいた”とろわ”が顔を覗かせた。
 彼の声を聞き、ひょいと顔を上げるいかれた学生のような男。
「おやぁ、“とろわ”ではないか!」
 どことなく間延びした口調で言うと、男はぱっと表情を明るくした。
「カラスマ?」
 さっき”とろわ”がそう言ったが、それが男の名前なのだろうか。
「そう、彼はカラスマさん。鳥に丸とかいてカラスマさんだ。トリマルさんじゃないよ」
 烏丸?
 京都かどこかでそんな地名を聞いたような気がする。
「君は?」
 首を傾げる俺に例のカラスマさんが聞いてきた。
「あぁ、俺は田中と言います」
「ふぅん、人間界ではよく聞く名前だ。覚え易くてよろしい」
 おまえに俺の名前の評価をされる筋合いはない。
 というか人間界、という物言いはどういう事だ。
 おまえはいかれポンチの学生ではないのか。
「君、やけに嫌な目で僕を見るねぇ。こう見えても僕は天狗だぞぅ」
「て、天狗?!」
 俺は己が目を疑った。
 何度も瞬きをし、目を擦ったが、目の前の金髪いかれポンチの姿は毛ほども揺らがない。
「何か失礼なことを考えていないかぁ、君ぃ。僕はフランスを愛するが故にこのような西洋人っぽい金髪をしているのだぞぅ」
 なるほどこの人はフランスが好きでフランスの旅行雑誌を熱心に読みふけっていたのか。
 しかし、髪を金髪にして西洋人っぽさを演出するのなら、服装もフレンチしたらどうなのだ。
 服は明らかにジャパニーズではないか。
「僕はフランスも好きだけどねぇ、同じように日本も大好きなのさ。だから着物」
 確かに顔は日本人である。
 金髪は似合わない事もないが、全く天狗には見えない。
 鼻も長くないし、顔も赤くないし、服装も地味な着物を着ているだけだし、天狗っぽい威厳やら風格が欠片もない。
 まぁ、実際に天狗なんて物を見た事があるわけではないので、本物の天狗はこうだ!と言い切る事はできないが、彼の姿は天狗のイメージを根底から覆す物だった。
「で、烏丸さんがうちのお客さん第一号?」
「おぉ、そうだ。リョウ氏から話は聞いたよ。君が民宿をやるんだってね」
 やはり彼もリョウから話を聞いたのか。
 いったい奴はどれだけ暗躍すれば気が済むのだろう。
「ちょうどフランスから帰って来たところだったんだ。次の旅行に行くまでしばらく泊まらせてもらうよ」
「あ、ありがとうございます」
 やはりここは店側として丁寧に礼を言っておいた方がいいのだろうか。
「それじゃ、一ヶ月は世話になるよ、よろしくね」
 そしてカラスマさんは机の上にあったコーヒーを飲み干すと、席を立った。
 彼はすたすたとレジに向かい、着物の袂から小銭をいくつか摘み出す。
 まだレジカウンターには誰もいない。
 一体店員はどこに行ったのだろう。
「ごちそうさん、また来るよ」
 カラスマさんはレジの誰もいない空間に向かって声をかけると、小銭をカウンターにおき、さっさと店を出て行ってしまう。
 じっとカウンターの方を見るが誰もいない。
 もしかしてカウンター横の通路の方に誰かいるのだろうか?
 しかしカラスマさんはあまり声を張っているようには見えなかった。
 いくら首を傾げてもよく分からない。
「タロー君、早くしたまえ、烏丸さんが待ってる」
 不意に”とろわ”に顔を覗かれた。
「こら!下の名前で呼ぶんじゃない!」
「何で?」
「な、何でもだ!」
「何でもって?」
「俺には俺なりの下の名前を呼ばれたくない理由があるのである!」 
 ”とろわ”と言い争いながら店を出ようとすると、不意に後ろで小銭がぶつかるような微かな音がした。
 振り返るといつの間にカウンター上に合ったはずの小銭が消えていた。
 しかし、相変わらずカウンターに店員の姿はなかった。

 :

 このようにして、俺は妖怪向け民宿を経営する事となった。
 記念すべき一番最初のお客はカラスマというフランスを愛してやまない自称天狗。
 偏屈で取っつきにくい人物ではなかっただけマシだが、訳の分からない人物である。
 そして、平凡レールを外れてからの俺は、一度入ってしまえば吐き気を催すほど回る羽目になる運命の渦に巻き込まれてしまった。
 めくるめく非現実的日常。
 お客を一人確保できたから安心というのは間違った考え方である。
 お客がいるからこそ渦は加速し勢いを増すのだ。
 俺に休む間も、渦から抜け出す隙もなかった。
 俺の周りにはいくらでも渦の勢力源となる火種が転がっていたのである。
 そもそもはリョウとかいう男が原因であるが、彼の話にイエスと言った俺も悪い。
 ここからはできるだけ火種をまかないようにし、渦を沈めよう、そう考えていた矢先、目の前で火の粉が散ったのである。
 今回の火種は、歓迎すべき客であるはずの、カラスマ氏であった。
「ねぇ、君。天狗にならない?」
 彼の新たな火種的発言に俺は吐き気を催した。 

非凡レール 2話 3

2010-05-22 22:11:28 | その他
 そろそろ町のみなさまが起きてくる頃合いである。
 そのためか道を歩く先生は幾重にも頭に手ぬぐいやらタオルを巻き、その先生の周囲を人間に化けた狸と狐が取り囲む事となった。
 少し異常な見た目をした怪しげな集団が町の通りを歩き、にわかに賑わい始めた通りは再び静まり返った。
 俺は少し人目を気にして、その一団から少し離れた所を歩く事にする。
 しかし一団と離れて歩くとなれば話し相手がいないので、俺は暇つぶしに各狸や狐達の化け姿を眺めてみる事とした。
 まず目つきの悪い”いー”とかいう狐はさっき地下で化けた時と同じような長身の男の姿に変わっている。
 耳に巻いていた青いスカーフは頭に無造作に巻いていた。
 そしてその弟である”あー”という雄狐はなにやらガキ大将のような体型をしている。
 年は中学生くらいか、半袖Tシャツに短パンという何とも子供らしい格好だ。
 ツンツンと立った髪は狐の時の面影があり、どことなく可愛らしいが、その細目はあまり可愛らしいといえるものではない。
 そして彼らの母、”すー”はというと彼女もまた狐の時の面影が残る格好をしていた。
 狐の時と同じく、彼女の髪はくるくると渦を巻き、みんなのお母さんといった容姿である。
 割烹着のような服に、茶色いズボンと、まるで食堂で働いているような出で立ちだ。
 そしてその“すー”の娘、末っ子の”さん”は、確かに化けるのが下手なようだった。
 幼い顔にまん丸の目、なかなかに可愛らしい姿に変身できているのだが、問題はその髪型である。
 狐の時、耳の長さが左右で違い、左の耳が短く、右の耳が普通の長さだったのだが、人の姿を持ってもその特徴は明らかだった。
 というのも髪がとても大きくはねているのである。
 頭に長い耳が生えているかの如く髪がはね、特に頭の右側のはねは大したものだ。 
 あのような寝癖はどんなアクロバティックな寝方をしたらつくのか、と思わず聞きたくなるような髪型であった。
 さて、では他に変な頭がいないかといえばそういうわけでもない。
 俺の目は今時芸人くらいでしか見ないマッシュルームヘアを捉えた。
 さらさらの黒髪は、丸い頭にフィットし、意外と似合っている。
 彼はあの表情からして狸の”とろわ”だろう。 
 人間に化けてもあのやる気のなさそうな目つきは変わっておらず、どこか謎めいた雰囲気も健在だ。
 ただ、その黒の長袖ハイネックに白ズボンという暑苦しい格好はやめてほしい。
 それに比べ彼の前を歩く”あん”の涼やかな格好といったら!
 彼女は高校生くらいの女の子の姿に化け、水色を基調とした、リボンの飾りが愛らしいワンピースを着ている。
 長く垂らした髪は少しウェーブしており、どことなく高級感が漂う。
 そして彼女の横に並んで歩くのが”どぅー”。
 人間に化けても彼と”あん”は顔がそっくりだ。
 彼は”とろわ”と似たヘアスタイルだが、さらさらマッシュルームではない。
 彼の頭はふんわりしており、どことなく狸の時の名残があった。
 カッターシャツに黒いズボンという出で立ちは学生のようで、彼もまた高校生くらいに見えた。
 こうして俺は一通り人間に化けた狐と狸を見ていったわけだが、みんな特徴的で、どこか動物の姿の時の名残があった。
 名前も特徴的だし、すぐに誰が誰だか覚えられるだろう。
「おい、青年。ついたぞ、ここが民宿になるのじゃ」

 :

 海岸に立つ廃墟のようなその建物は俺が目覚めた場所であった。
 そのほったて小屋は外から見ると何とも不気味であるが、実際中にはいるとなかなか快適である。
 以外としっかりした作りになっており、畳も綺麗な色をしている。
 どうもこの建物が俺の家兼民宿になるようだ。
「それじゃ、わしは用事があるからの。狸どもにはここの掃除を任せておいた。ゆうすけの事も、のっぺに任せてある。おぬしは家の横にある倉庫へ向かいなさい」
 と言うと先生はすたすたとどこかへ去って行こうとする。
「ちょ、ちょっと待ってください、倉庫に行ってどうするんです?」
「行けばわかる。わしは忙しい」
 引き留める俺には目もくれず先生は一人、今来た道と反対方向、つまりは先生の根城であるビルとは正反対の方向に去って行ったのである。
 仕方ないので俺は先生に言われた通り、家の隣に建つ物置のような倉庫へ足を向けた。

 :

「こんにちは、オーナー」
 薄暗い倉庫を覗いた俺のすぐ背後で声がした。
 俺はいつぞやにも出した、蛙が潰れたような呻き声を思わず漏らす。
 振り返った先には、諸悪の根元、リョウと名乗る男の姿が。
「おまえ!」
「あらら、何をそんなに怒ってらっしゃるんです?住む場所保証付き、あなたにぴったり、言った通りの仕事じゃないですか。それにどんなに怒っても、元の家には帰れません。あなたの荷物は既にここに運んであるんです」
「何?!」
 それは些か仕事が速すぎやしないか。
 こいつと話を決めて今までまだほんの数時間しか経っていない。
 しかもこいつと話したのは真夜中、人々は寝静まる頃合いである。
 そんな時間に引っ越しセンターが動いているとは思えない。
「私には独自のルートというものがあるのです。その手を使って引っ越しも済ませましたし、ここに物資と食料も運び込みました」
 彼は倉庫の入り口を指さす。
「中、見てみてください。ちゃんと食材を運び込んでありますから」
 俺はいかにも不機嫌そうな顔で奴を睨んだが、奴さん全く意に介さない。
 仕方なく俺は倉庫の中を覗いた。
「壁の右側に電気のスイッチがありますよ」
 そうか、そういえばこの男は暗い中でも見えるとか言っていたな。
 だから倉庫は暗いままだったのか。
 俺はそんな事を考えながら、手探りでスイッチを探し、電気をつけた。
 そして俺の目の前に現れたのが、いくつも積まれたジャガイモの箱や、ネットに入った大量のタマネギ。
 その他ニンジン、米のタンク、野菜の種、畑用の砂、その他畑を耕したり野菜の世話をするためのグッズがごろごろ転がっている。
 見た感じ道具や箱はどれも新品のような気がする。
 この倉庫自体はとても汚れており、砂があちこち積もっているが、食料や道具は全く砂を被らず、なおかつピカピカではないか。
「どれも新しいものを仕入れてきたんですからね、感謝してくださいよ?」
 ただ俺は何か引っかかった。
「これはいつ運び込んだんだ?」
「ついさっきですけど?それが何か?」
 この倉庫は家と一緒に、俺がここに向かっている時から見えていたはずだ。
 しかし、倉庫の周りには誰もいなかった。
 一人でこれだけのものを運び込めるはずがない。
 しかもこの男はすっきりしすぎなほど痩せ細っているのだ。
 一体どんな手を使った?
「ま、ここは変な臭いがしますし、さっさと外に出ましょうよ。それにあなたには仕事があるんですから」
「仕事?」
 俺は半ば強引に倉庫の外に閉め出される。
 奴が消したのだろうか振り返ったときは既に倉庫の電気は消えていた。
「まぁ、立ち話もなんですし、そこにベンチがありますから座りましょう」
 背中を押され、俺は彼と並んで、家の脇にある木のベンチに腰掛けた。
「それで、仕事ってなんだ?」
 もう働くのか、と心の中で溜息を付きながら俺は聞いた。
 まぁ、ワガママは言えない。
 仕事をしに来たのだから働くのは当たり前である。
「オーナー」
「ふん?」
 オーナーねぇ、悪くない響きだな。
「あなたにはこれからお客様を迎えに行ってもらいます」
「客?もう客がいるのか?」
 今日ここで民宿を開くと決めたばかりというのに既に客がいるとは喜ぶ前に恐ろしい。
 何の準備もしていないのに、客を迎えられるわけがないではないか。
 俺は民宿という仕事については何一つ知らないというのに。
「あなたの仕事はまずこの一夏この民宿で働くことです」
「一夏?」
 もうばっちり期限が決まっているのか。
「えぇ、あなたは住む場所、食べ物、生きるためのものは保証されます。しかし、給料はありません」
 脳の活動が一瞬停止した気がする。
 俺たちの間を一陣の生暖かい風が吹き抜けていった。
 こやつなんと言った?
「もう一度言いますが、給料は・・・」
「ないとはどういう事だ!」
 それでは映画も見られないし、マンガや雑誌も読めないし、ゲームも買えなければ、遊びにも行けない、おやつも買えない!
「えぇ、それはですね。あなたの借金を全て私どもが払って差し上げたからです」
「そんなもの頼んでいない!」
「でもどうせ、働いたお金は借金返済に使うでしょ?あなたが滞納したお金、全部合わせると結構な額になりました。ここで働いたお金だけじゃあなた生計を立てられない状況ですよ?」
 俺は奥歯を噛み締めた。
 何か大変まずい状況になっている気がする。
 俺はこの男の手の平で踊らされている気がする。
 もう既に踊り狂っている気がする。
 全てが奴の思うがままではないか!
「悪いようには致しませんからご安心を。普通に夏を過ごしつつ、ちょっとした仕事をすればいいだけなんですから」
 こいつの言う普通が俺の思う普通と一致しているかについて、大変疑問だが、ここはグチグチ言ったところで仕方がない。
 どっちにしろ、この地にやってきた時点で何か働く事にはなっていたのだから、とりあえず仕事について話を聞こうではないか。
「それで、そのちょっとした仕事というのは何だ」
 まさか重労働ではあるまいな。
 俺は力仕事が苦手である。
 計算事もあまり得意ではない。
 つまりは働くのに向かない体質・気質である。
 こんな俺にできる仕事は限りなく数が少ないぞ、リョウ氏。
「あなたにやってもらう仕事というのは、この民宿での接客業、それからこの建物の維持、まぁ、掃除とかですか」
 そしてやつは、狐たちの世話や、妖怪たちに何かお願いされたら人間の身では絶対に処理できない難問以外は引き受けるようにしてくれ、とだけ言った。
「今のあなたには残念ながら頼まれた事を断る資格はほぼありませんからね」
「嫌な言い方だな」
「事実ですから」
 おまえに仕事を断る資格はねぇ!とは、なかなかに傷つく台詞である。
 まぁ、そんなこったろうと、思っていたのでダメージはあまりないが。
「でも、そんなに悲観する事はないですよ。妖怪方からの頼まれ事は僕の管轄外ですから、もしかするとお小遣いがもらえるかもしれません」
「何?!それは本当か!」
 おぉ、これで俺の暗雲立ちこめる未来に一筋の光が射した。
 これでミントガムと一夏のお別れをしないですむ。
「物資やら食糧の補給は僕がやりますし、料理の方も”すー”さんがやってくれるという事ですから、あなたは仕事がない間はのうのうと暮らしてただいて結構ですよ」
 何とも棘のある言い方だな。
 のうのうと、と言われても仕事がなけにゃ、のんびしする他ないではないか。
「まぁ、しばらくはあなたも忙しいでしょう。用があれば私の携帯に連絡を、あなたの携帯には既に番号入れてありますから」
「携帯?俺の携帯は・・・」
「携帯の料金も払っておきました」
 にんまりと笑う男。
 慌ててポケットを探り、携帯を出す。
 普段と変わらない待ち受け画面だ。
「あなたの携帯はちゃんと通信機器としての機能を復活しておりますからご安心を。あなたの人間の友達と連絡する手段もいろいろとご入り用でしょう?急に引っ越したわけですし」
 そういえば確かにそうだ。
 俺はつい先日まで住んでいた家に戻る事はもうないのだ。
「まぁ、ここには住んでいるものがものですから、他人を呼び寄せたりしないようにしてくださいね」
「無論だ」
 こんな所に友人を呼ぶはずがないではないか。
 俺がここで、魑魅魍魎達と暮らしていると知れたらこれからの学校生活に大いに支障を来してくれる事だろう。
 だいたい家に呼ぶほど仲のいい奴は一人を除きいない。 
 しかもそいつは今海外に旅行中って話だ。
 呼ぼうにも呼べない。
「それでは、お客様はこちらの喫茶店でお待ちいただいてますんで、部屋を見た後にでも迎えにいって差し上げてくださいよ」
 と彼は簡単な地図が書かれた紙を差し出した。
 というか簡単すぎる地図である。
 今いるこの建物と道と目的地らしき丸しか書かれていない。
 これだけの地図で大丈夫か?
 しかし、ここらは例のゆうすけ君のドラマと同じような町で、どこかで見た建物がたくさんあった。
 きっとドラマのロケ現場がここだったのに違いない。
 6年ドラマを見続けた俺だ、きっと迷って困る事はないだろう。
「では、私は他に仕事がありますんでね」
 彼はよっこらしょ、と席を立ち、町の方へと去っていった。
 俺は特に聞く事もなかったので彼の後ろ姿を少し見送り、建物内へと入った。

いつもの休日

2010-05-22 22:07:26 | 日記
 いやぁ、すっかり更新が遅くなってしまいました。
 でも今日はそれなりに早い時間に日記書いてたんですよ?
 ただパソコンに触れられなかっただけで。
 まぁ、とにかく日記といきましょうか。
 

 本日は、昔の休日と今の休日が混ざったような過ごし方をしましたねぇ。
 昔の休日っていうのは、ゲームばっかししてたっていう意味で、今の休日っていうのは、傍らに携帯があったことですかね。
 ゲームしつつひたすら友人とメールをするという。
 昔だったらうちの傍らにいたのはゲームじゃなくテレビですねぇ。
 いやぁ、時代は変わりますなぁ。


 にしても。
 ゲームやった以外にほとんど書くことがない。
 今日やったことと言えば、自分の布団を干したことと、部屋の掃除をしたと見せかける偽装工作をしたくらいで。


 う~ん、ちょっとこのまま日記を書き終えるのも寂しいですし、掃除についてちょっと書いておきましょうかね。


 私今まで休みの日の日記に何度か書いたと思いますけど、毎週土曜はおかんが仕事に行っている間に自分の部屋の掃除をしとかないといけないんですよ。
 しかし私としては掃除なんてすこぶるめんどくさいわけです。
 いちいち掃除機を出したり窓を開けた地、物をよけたり、あぁ、めんどくさい。
 掃除機の音も嫌いですし、掃除機をかけた後は決まって鼻の調子が悪くなるんです。
 なので、できれば掃除機をかけたくはない。


 そこで偽装工作です。
 掃除をしたと見せかけるんです。
 この日記おかんに見られちゃおしまいですねぇ。
 まぁ、今までおかんに見せたらおしまいになりそうな記事をいくつも書いてきた私ですから、今更ですけど。
 そんで、その偽装工作というのが、見えるとこだけガムテープでゴミをとる、です。


 まず一通り、物をまとめて、隅に寄せます。
 そうしてソファや、机、棚の上などに物を避難させ、出てきた床にガムテープをペタペタやって、見えるとこだけゴミをとっちまうんです。
 そしたら見えるとこはきれいですから、お咎めなしです。


 こういう姑息な手を使って今まで生きてきたやまつぁんです(ニヤリ)。


 まぁ、たまに怪しまれるんですけどね。
 掃除したくせにここゴミ残ってるんだけど、みたいなことをたまに言われます。
 そう言うときは全力で誤魔化す、これに限りますね。


 え~、今日はやまっつぁんの不真面目すぎる一面を出してみました。
 というか、やまっつぁんは相当不真面目かつ、ぐうたらであります。
 きっとこれでもまだまだ本性を隠しているんですぜ、ふふふ。 

非凡レール 2話 2

2010-05-21 15:40:52 | その他
「むむさんのアシスタントはどうじゃ?」
「俺の美術の成績は最悪です」
「それじゃぁ、狸共の店で売り上げの計算でも・・・」
「先生、俺は国語が大好きです」
「遠回しに言うな。・・・計算事も嫌じゃと・・・」
 ぬらりひょん先生は書類を、指を舐め舐めめくっていくが、なかなかに俺に合った仕事が見つからない。
「それに子供達の面倒を見ながら働けと言うのでしたら、それなりに自由の利く仕事でないと」
 俺は眉間に皺を寄せ、横を見た。
 そこには頬を赤らめて正座しているのっぺ君と、ゆうすけ君がいた。
 そうである。
 先ほどの物音の主はゆうすけ君こと、この白いふわふわしたものであった。
 そう、俺は奇しくもゆうすけ君のドラマの中に入り込むような形となったのだ。
 俺としてはゆうすけ君の加入は大歓迎であったが、当のゆうすけ君はかなり困惑していた。
 どうも彼はつい先日死んでしまった5歳の男の子らしい。
 名前も、漢字ではどう書くのか知らないが、ゆうすけ君である。
 彼の話を聞く限りでは彼の住んでいた建物の駐車場で三輪車に乗って遊んでいたところ、急に突っ込んできた車に轢かれて死んでしまったらしい。
 そして気づけば元の体がなくなって、今のような白くてふわふわした、なんと表現すればよいのか分からない体に変わっていたという。
 まぁ、ゆうすけ君の見た目は魂を絵に描いたような見た目である。
 人の形はしていなかった。
 まだ彼は死んでしまったという事に実感がなく、何故この世を未だにさまよっているのかも分かっていないようだった。
 ぬらりひょん先生と相談し、とりあえず彼が成仏するまで見守ってあげる事となった。
 ちなみにドラマもほとんど同じような流れで、ゆうすけ君が仲間になる。
 ただドラマの場合俺という存在はなく、ゆうすけ君の面倒を見ようと決めるのはぬらりひょん先生の独断である。
 ちなみになぜじいさんからいきなり先生付けでぬらりひょんの名を呼ぶようになったのかというと、ドラマ内で先生と呼ばれていたからであり、のっぺくんもそれに同じである。
「そうじゃの。たしかにゆうすけ達の面倒を見ないとならんからの」
「まぁ、先生が面倒見てくれれば万事解決なんですがね」
「そうじゃ、様子を見ながらでも出きる仕事が一つだけ合った!」
 あくまで先生は子供達の面倒を見たくないようである。
 面倒事が嫌いなのはこの先生も変わらないという事か。
「民宿をやるのじゃ」
「み、民宿?」

 :

「ほれ、こやつらが”あしすたんと”じゃ。自由に使うが良かろう」
 一人で民宿を経営するには大変だろうと、先生がなにやら不思議パワーで、俺の”あしすたんと”とやらを呼び寄せてくれた。
 どうも先生はテレパシー的なパワーを持っているらしい。
 さすが妖怪。
「先生、来い、だけでは何の用か分かりません」
 そして目の前のやけに目つきの悪い狐が言った。
 そう、先生が呼び寄せたのは狐4匹、狸3匹、計7匹の獣達であった。
「来いと言えば来れば良いのだ。どうせおまえ達は暇じゃろう」
 どうも先生は短い単語じゃないとテレパシーを送れない様子。
 まぁ、世の中そうはうまくいかないという事か。
 好きあらば携帯代わりに利用してやろうかと思っていた俺の企みは霧消した。
 実は携帯のパケット代等も随分と滞納していたのだ。
 きっと今俺のポケットに入った携帯は通信機器としての機能を失っている事であろう。
「まぁ、確かにやる事はないけどねぇ~」
「おい、“とろわ”!私はおまえほど暇ではない!」
 一人眠たげでやる気のなさそうな狸が口を挟んだが、目つきの悪い狐が一蹴した。
「“とろわ”?」
 それにしてもあの狸は“とろわ”という名前のようだが、どういう字を書くのだろうか。
 そもそも狸や狐の名を漢字で書くのか?
「あなたは?」
 首を傾げる俺を、目つきの悪い狐がじとっと睨んだ。
 狸達はやる気がなさそうなの意外、くりくりとした瞳をしており大層可愛らしい。
 狐達も目つきが悪いの以外はなかなかに愛らしい見た目をしている。
 彼らのふわふわした毛玉のような体に思わず頬ずりしたくなったが、ここは我慢しよう。
 あぁ、狸のなんと愛らしい事か、食べちゃいたいほど可愛らしい。
「そうじゃ、わしらもまだおぬしの名前は聞いておらんかったの。おぬし名前は何という?」
「え、あぁ。田中、といいます」
 狸と狐のもこもこに見とれていた俺は反射的に返事を返した。
「下の名前は?」
 しかしそこで俺は思いきり口を噤んだ。
 俺は幼少の頃より自分の名前が大嫌いだった。
 俺の名は今時聞かないものである。
 というか実際に聞くとすればギャグマンガの中くらいである。
 この名前のせいで小学校時代は散々からかわれ、中学時代は苛められかけ、高校時代は嘲笑われた名である。
 できる事なら口にしたくなかった。
 絶対俺にとって嫌な反応が返ってくるに決まっている。
 嫌だと分かっている事をする道理はない。
 だいたい今までの学校生活だって、俺は自己紹介の時からなにから、なんだかんだで下の名前をいうのは誤魔化してきたのだ。
 先生だって俺の名を呼ぶときは気を使ってか、名字でしか呼ばない。
「何だ、名前が分からんとなかなかに不便ではないか。はよう言いなさい」
 俺は先生、狐、狸、目に見えぬのっぺくんの目、その他諸々に見つめられ、ついに俺は口を閉ざし続ける事ができなくなった。
 何年ぶりだろうか、自分の口で己が名を言うのは。
 俺は数ヶ月分の勇気を自分の名を言うのに有した。
 それほどまでに俺の名前は俺の心に深い傷を残すものであり、トラウマであるからだ。
「ほれ、何をぐずぐずしておる。何も難しい事を聞いとるわけではないじゃろう」
 どうしても言わんとならんか!
 俺は悲しみの籠もった哀れな草食動物のような目で俺を囲む皆の顔を見たが、返ってきたのは取って食おうとする肉食動物のような目つき。
 あの狐はどこまで目つきが悪いのだ!
 俺を食う気か!
 俺は食べても美味しくないよ!
 が、しかし、より一層奴は睨みつけてきたので、俺は口を開かざるを得なくなった。
「お、俺の名前は・・・」
 一斉に注目する人々。
 いや、人じゃないな、こいつら。
 なんと呼ぼう?
 いや、そのような事は関係ない。
 もういい、もういいのだ、当たって砕けろ!
「俺の名前は田中太郎である!」
 風が入らないはずの地下室を一陣の風が走り抜けた。
「そうか、太郎というのか。覚えやすい名前じゃの」
 そして返ってきた反応は先生のそれだけであった。
 狐や狸はなにやら拍子抜けしたとでも言うように、大きく息をついている。
「なんだ?俺のこのこっ恥ずかしい名前を何とも思わないのか?」
「人間の名前についてなんか僕らは知ったこっちゃないね。それに君の名前よりか僕らの名前の方がよっぽど悲劇的さ」
「あらぁ、覚えやすくていいじゃないのよぉ」
 一人の雄狐と、少し年老いた雌狐が話し出したのを皮切りに狐と狸達は口々に話し始めた。
 彼らは時折話しながらちらちらと俺や先生、ゆうすけ君を見ている。
「これ、おまえ達!静かにせんか!」
 そこを先生が一括した。
 なかなかの迫力に狐達はひとまず押し黙る。
「よいか、呼んだからにはそなた達にそれなりの用事があるのじゃ。わざわざ新入りの自己紹介のためだけにわしが力を使うと思うたか」
「思ったね」
 ぼそりとやる気のなさそうな狸君が言ったが、目つきの悪い狐にしっぽで口を叩かれ、彼は悶絶した。
 どうも目つきの悪い奴のしっぽは柔らかくなさそうである。
「よいか、おまえ達。いつぞやにおじゃんになってしもうた民宿開設計画を今ここで復活する!そしてお前達はここにおる田中君の“あしすたんと”として、民宿を切り盛りするのじゃ!」
 意気込んで語る先生、瞳を輝かせる狐と狸達。
 ただ目つきの悪い例の狐だけが表情を変えなかった。
「俺は忙しいと言っているじゃないですか。何故俺がこんな人間風情と一緒に民宿なぞ」
「人間風情とは何だ」
 さすがにむっとくるぞ。
 貴様なぞ俺の手で毛皮にすることもできちまうぞ、あん?
「なにか文句があるような顔だな。なら聞くがおまえは化ける事ができるのか?」
 俺がムッとした顔全開でいると、目つきの悪い例の狐が俺をぎろりと睨んだ。
「化ける?」
「そうだ!」
 大声を出すやいなや、その狐は煙に包まれた。
 なんだこれ、どこかで見たようなシーンだぞ?!
「俺は人間にだってなる事ができる」
 そして目を瞬く俺の前には身長2メートル近くある目つきの悪い長身の若い男が立っていた。
「おぉ、こりゃぁ、すごい」
 俺は感激した。
 本当に狐は化ける事ができるのか!
「何がすごいだ。少しは驚け」
 彼は何か面食らったような顔をすると、するすると狐の姿に戻ってしまった。
「なんだ、つまんね」
 俺の言葉に彼はぎろりと人睨みきかせたが、俺が口を開く前に先生が口を出した。
「これこれ、口喧嘩はそこまでにしなさい。そうじゃ、おぬし達もこやつに自己紹介したらどうじゃ?」
 再び狐達はわやわやと喋くり、一匹の狐が前に出た。
 先ほどの少し年老いたように見える、雌狐である。
「私は”すー”といいますの。得意なことは料理で、民宿での料理は私にお任せくださいねぇ。そうそう私最近韓国のドラマにはまっていましてね。韓流ドラマってあなた聞いた事あるでしょ?最近また新しいのが始まってねぇ、それがまた・・・」
「母さん、田中さんびっくりしてるよ。母さんがこの中で一番年上なんだからしっかりしないと」
 だんだん早口にしゃべり始めたおばさんチックな狐、“すー”の話を遮ったのは、かわいらしい顔をした狐。
 小柄な体を見る限りではまだ子供のようだ。
 左右の耳の長さが違い、左耳が少し短いのが特徴的である。
「私は“すー”の娘、”さん”。化けるのはまだまだ下手だけど、役に立つことがあると思う。よろしく」
「あ、あぁ、よろしく」
 小さい割にはっきりとした物言いだ。
 声をきく限りでは女の子のようである。
 なるほど、娘の教育は怠っていないようだな、“すー”さんよ。
「俺も息子、”あー”っつーんだ。よろしくな!」
 そして次に気さくに声をかけてきたのが、ツンツンと頭の毛が立っている、狐。
 少し細目で、なにやら意地が悪そうな顔をしているが、悪い奴ではなさそうである。
 それにしても“あー”とは変わった名前だ。
 きっと妖怪やその辺での名前の付け方というのは人間界のものとは違うのだろう。
「俺が長男の”いー”だ。ただ俺は店のことで忙しい。おまえの民宿など手伝う気はかけらもないからな。」
 狐達の中で最後に自己紹介したのが例の目つきの悪い狐であった。
 彼は右耳に青いスカーフを巻き、なにやらリーダー格のような雰囲気を出している。
 確かに彼は何から忙しいのかもしれない。
 まぁ、狐と狸が6匹もいれば十分であろう。
 それにしても名前が“いー”とは彼も俺に負けず劣らず可愛そうな名を付けられたものである。
「じゃぁ、次は僕らだね!」
 そして狐達の自己紹介が終わったところで、狸の彼が口を開いた。
「私は、”あん”」
「僕は”どぅー”」
 最初口を開いた彼と、双子のようにそっくりな雌狸が続けて言った。
 彼らはなんと愛らしい見た目をしているのであろうか。
 ふかふかの毛に、まん丸お目目。
 なんと可愛らしい。
 ぜひ、もふもふしたいが、ここは抑えろ、もしや彼らは俺の年上やもしれん。
「んで、俺が”とろわ”さ。三人合わせてあん、どぅー、とろわぁっ」
 とろわのところでふわりと舞い上がるとろわという狸。
 彼がさっきから話に茶々を入れいているやる気のなさそうな目つきをした狸である。
 どこか謎めいているが、しかし、なかなかに楽しそうな奴のようだ。
「よし、それでは、職場に向かうとするかの」
 みんなの自己紹介が終わると同時に、さっきまで不思議なほど静かだった先生が口を開いた。
 こうして俺たちは地下室を出、ぞろぞろと連れ立って町を歩く事となったのである。

早いぜ!

2010-05-21 15:28:08 | 日記
 金曜は帰る時間がすこぶる早い!
 まだ3時半ですぜ!
 中学校でいう6時間目まであったはずなのに、ここまで早く帰れるとはなんと喜ばしい。


 で、金曜は時間割もなかなかにいいんですよ。
 まず1コマ目に国語。
 金曜は古典ですね。
 古典は意外と好きですよ。
 物語を読むのが好きですからね。
 まぁ、今日は古典じゃなくて、漢文でしたけど。
 漢文も好きですね。
 パズルみたいで。
 まぁ、そんな風に気楽にいってられるのも今のうちだけかもしれませんけどね~。
 でも、ま、今のところ楽しいです。


 で、2時間目は英語。
 英語はあまり好きじゃないんですけどね。
 まぁ、今のところ嫌ではあるけど苦痛ではない、といった感じですか。
 それに高校生になってから特に変わったことを習ったわけではないですけど、英語の腕は上がったような気がします。
 まぁ、相変わらず全然話せませんけど。


 で、休み時間をはさんで、家庭科です。
 家庭科は今回調理実習でした!
 わーわー!!
 今回作ったのはシーフードパスタと、マセドニアンサラダ。
 先週にも書いた気がしますが、マセドニアンとはさいの目切りという意味です。
 なかなかに美味しくできましたよ!
 まぁ、私がゆでた(ゆでさせた?)麺は少し固かったらしいですけど。
 私にとっては普通でしたけどね~。
 パスタっていうのは少し硬いくらいがいいんです!
 んで、まぁ、なかなかいい感じに腹はふくらみ、時間も早く、私は意気揚々と家に帰ってきたわけです!


 では、この後ブログをいくつか更新して、四畳半をi podにいれようと思います。


 あ、小説のお題募集してますから!
 誰か何かお題をどうか!

非凡レール 2話 1

2010-05-20 17:17:42 | その他
 俺は大学一回生だ。
 つい最近まで平凡と書かれたレールの上をひた走ってきた。
 ただ、先日の出来事で俺は大きくそのレールを外れ、非凡な道へとまっしぐらだ。
 もちろん平凡な人生っていうのは面白味がないな、と思う事はあった。
 それは認めよう。
 しかし非凡にも度というものがあってだな。

「もう少しで我が家だよ、君。そこにいけばいくらでも仕事をあげよう」
 断じて非凡への第一歩が妖怪と並んで歩く事ではないはずだ。
 なぜ俺はぬらりひょんとのっぺらぼうに両サイドから挟まれているのだ。
 俺が妖怪好きで、とあるドラマのおかげでいくらかリアルな妖怪に対しても耐性ができているから、こうして頭の中はともかく表情だけは平静を保っていられるのだ。

「まだ早いから他の店は開いてないけど、うちは開いてるはずだよ。さっそく仕事だね!兄ちゃん!」
 俺の少し下からまだ幼い雰囲気の残る少年の声。
 見下げればそこにある輪郭に顔はない。
 のっぺらぼうである。
 彼はどうやって話しているのだろう。
「まぁ、そんな不機嫌そうな顔しなさんな。目の前あるものこそ現実じゃ、しっかり受け止めなされ」
 というじいさんだが、俺はできればそのいびつな頭は受け止めたくない。
 失礼に当たるかもしれんがじいさんの大きな頭は気色が悪い、夢に出そうだ。
「おぬし、人の頭をじろじろ見るな」
 じいさんはめがねをキラリと反射させる。
 瞬きをした一瞬のうちにじいさんは頭に手ぬぐいを巻いていた。
 この無駄な素早さ、さすが妖怪。
「やはり朝風呂はええもんじゃのう」
 しかし頭がでかい以外はただのじいさんだ。
 やはり動きはあまり早くない、さっきの手ぬぐいを巻く瞬間を除き。
「そうだねぇ、おじいちゃん。朝は人がいないから僕らだって普通に外に出られるし」
 どうもじいと子供の話を聞く限りではやはり彼ら妖怪は、あまり人目につかないように生活しているようだ。
「人にあまり見られたくないような口振りだな。俺は普通の人間だけど、見られても平気なのか?」
「見られても平気なような人材を頼んだんだ。じゃなきゃ最初から一緒にお風呂に入ったりしないよ」
 のっぺらぼうの少年の言う、人材を選んだ、という言葉。
 そうか、素質というのは妖怪と十分付き合っていけるかどうか、というものだったんだな。

 先日の夜中、ボロアパート内の俺の城、六畳間に不意に誰かがやってきた。
 そいつのノックの音に反応し、ドアの覗き穴を覗くと、そこにはえらく顔色が悪く、なおかつ頬のこけた痩せた男が立っていた。
 死霊のようなそいつに俺は情けない事に思わず腰を抜かしてしまうのだが、そいつはドアを開けてもいないのにいつの間にか俺の部屋の中へ進入していた。
 そして、日付が変わった事により様々な料金を払わず滞納していたマイルームは電気が落ち、俺は不気味な男と真っ暗闇の中二人きりとなる。
 そして男が切り出してきたのが、住処保証付き、引っ越し代立て替えもあり、俺にぴったりの仕事がありますよ、という話だった。
 最初はあまりに胡散臭いので断ろうとした俺だが、仕事を受けようが受けまいがどうせ俺に明るい未来は待っていない、なら当たって砕けろ、一か八かの仕事とやらにチャレンジしてみようではないか、とその仕事を受けると決めたわけである。

 そして今の状況だ。
 俺の昔の夢が妖怪と友達になる事、そして今の夢が妖怪関係の仕事をする事。
 この夢が思わぬ形で叶ったわけだが、残念ながら喜びという感情は湧かなかった。
 喜びというプラスの感情が入り込む余地は俺の心の中には今なかったのである。

「ほれ、ついた。ここじゃよ」
 そして昨日の事を思い返す俺の目前に、ツタの絡むコンクリートでできた箱のような建物が現れた。
「こ、これは・・・」
「ささ、早く来い。わしらの城は地下じゃからの」
「地下・・・」
 口を開けたまま固まる俺をおいて、じいちゃんと少年が正面にあるシャッターには目もくれず、その横の地面の下へと続く階段を下りていく。
 俺は慌てて後を追った。

 薄暗い地下はさすが妖怪の住処、と言えるような雰囲気に満ちていた。
 土足で歩き回れるコンクリートの床にはダイニングテーブルや、椅子、テレビなど、普通の家のリビングのような家具が置いてある。
 隅っこにはキッチンがあり、冷蔵庫や電子レンジなどが設置してあった。
 そして、キッチンの対角線上に小さな座敷がある。
 コンクリートの床から1段上がった場所にその座敷はあり、布団が隅に重ねてあるところを見ると、ここが二人の寝室のようだ。
 広さは四畳半か。
「さぁて、君にはどんな仕事が似合うかなぁ」
 じいさんはその畳部屋へと上がり、小さなちゃぶ台を押入から引っ張りだした。
「そこのダイニングテーブルを使えばいいじゃないか」
 わざわざちゃぶ台を出さなくても。
「おじいちゃんはご飯を食べるとき以外はほとんどダイニングの机は使わないのさ」
 のっぺらぼうの少年が答える。
 彼ほんのり頬がピンクだ。
 目や鼻などの顔のパーツはないけれど、それは見えないだけかもしれない。
 実際は彼の顔には目や口がちゃんと引っ付いているのやも。
 そして彼からじいさんに視線を戻すと、じいさんはいつの間にかなにやら書類のようなものを広げて、それを熱心に見ていた。
 俺がどうするべきかと逡巡していると、少年が靴を脱ぎ座敷へと上がる。
 そして彼はこちらに手招きをした。
 こっちに来いという事だろう。
 俺は座敷の入り口へと近づいた。
「おじいちゃん何見てるの?」
「そりゃぁ、彼にできるどんな仕事があるか、というのをチェックしているんじゃよ」
 とじいさんは少し顔を上げ、こちらを見た。
「少しこちらに来なさい。ほれ、そこへ靴を脱いで」
 ダイニングに電気がついており、その座敷にも小さな電球がほのかな明かりを投げかけているが、やはり薄暗い。
 地下で窓がないせいか。
 薄暗がりに見えるじいさんの頭の不気味さといったらなかったが、俺はじいさんの視線に耐えきれず靴を脱いだ。
 恐る恐る畳に上がると、じいさんは手を振り、俺に座るよう促す。
 雰囲気に押され俺は思わず正座した。
「そうじゃな、とりあえずこの建物について話しておこうか」
「いや、その必要はない」
 俺はほぼ無意識のうちにそう言っていた。
 自分でも驚いたが、確かに俺は説明を受ける必要はなかった。
 なぜなら俺はこの場所を知っている。
「必要ない?じゃが、それじゃと何かと困る事がないかの?」
「いや、俺はここを知っている」
 実を言うと、ここはどう見ても、ゆうすけ君の迷い込んだビルだったのだ。
 ゆうすけ君というのは俺が小さい頃よく見ていた子供向け番組の主人公。
 ドラマ仕立てのその番組には幽霊のゆうすけ君を始め、俺の目の前にいるようなぬらりひょん先生、ゆうすけ君の友達ののっぺらぼう、のっぺくん。
 その他ろくろっ首のむむ姉さんや、化け狐や化け狸などな各種妖怪、いろんな仲間がいた。
 そして、この地下がぬらりひょん先生たちの居城であること。
 1階には例の化け狐と化け狸のリサイクルショップ兼骨董屋があること。
 2階はろくろっ首のむむ姉さんの事務所があること。
 ちなみにむむ姉さんは普通の漫画家として生活している。
 というのもむむ姉さんは首さえ伸ばさなければ、普通の人間と区別がつかないからだ。
「知っている?それは一体どういう事じゃ?」
「知らないのか?じいさん達の事はテレ・・・」
 テレビで見た、と言おうとした時だった。
 不意に背後から何やら物音が。
「なんじゃ?」
 俺の背後を見るじいさん。
 俺も口をつぐみ、振り返った。
 そこにはまたあり得ないはずのものがいたのだ。

暑い

2010-05-20 17:06:44 | 日記
 いやぁ、じめじめ暑くなってきましたねぇ。
 また梅雨がやってくるんですなぁ。
 そしたらまた家中をナメクジが闊歩し始めるんでしょう。
 既にほぼ毎日流し台近くの壁に巨大なのが出現してますからね。
 あぁ、おそろしや、おそろしや。
 
 ま、とりあえず日記を書きましょうか。
 今日はですね。
 保健数学LHR数学みたいな時間割。
 数学×2です。
 やんなっちまいます。
 その日最後の授業である数学Aの授業なんて眠くて仕方ありません。
 
 しかも暑いですからね。
 今日学校の最初の授業のときなんかほぼみんな下敷きで扇いでましたよ。
 
 にしても暑いせいでしょうか。 
 日記を書く気が全くというほど出ません。
 今日はつまらん授業ばかりでしたし、帰る時間も遅かったので、やる気がちっとも出ないんですね。
 
 最近日記の量が短い気がしますね。
 まぁ、あんまり包み隠さず学校のことを書くのもどうかと最近微妙に思い始めたのが文が短くなるきっかけなんですけど。
 
 ま、もう少ししたらテスト週間に入ったりとか忙しくなりますし、これからしばらくは短い日記が続くかもしれません。

誰かお題をくれませんか

2010-05-19 17:34:09 | その他
 自分の首を自分で絞めるとは正にこのことです。
 私は自分の首を絞めたくはないので、どのくらいのペースで進むかは分かりませんが、皆さんからもらったお題で小説を書きたいと思います。

 ひとつの話を書くのにお題は最低3つ。
 ある程度御代となる単語が皆さんから寄せられればそれで短編小説+非凡レールこと妖怪話の続きを書きます!!
 ぜひぜひ、お題をお寄せください。
 
 一風変わったものから、よく見るものまで、専門的な知識がないとどうにも意味のわからないものとか一般人がまず知らないようなもの以外なら何でもOKです!
 一人1~3つお題をコメント欄にどうぞ!

 ちなみに何の反響も返ってこなかった場合、この企画はお流れとなります。

そうだ、パリへ行こう

2010-05-19 17:31:26 | その他
(この記事は日記ではなく小説です!)


 最近買ったばかりの真新しいカーテンが風に靡いて揺れている。
 通販で買ったレースのカーテンで、私はなかなかに気に入っていた。
 そのカーテンが掛かっている窓の下、そこには私お気に入りのソファーが置いてあるのだが、彼はそこに横たわり、顔の上に旅行雑誌を広げて見ていた。

「フランスに行きたいな」
 唐突に彼は言った。
 見ると彼の読む雑誌、今月はフランス特集である。
「フランス、っていったらパリ?」
「そうだな、パリに行ってみたい」
 彼は雑誌から目を離し私の方を向いた。
「パリっていったら芸術の都でしょ?あなた美術の成績最悪じゃない」
「世の中は成績で決まる訳じゃない。どんなに美術の成績が悪かろうと僕は芸術が好きである!」
「そんな事言ったってあなたの描く絵はとても芸術には見えないわね」
 あんなちびっ子の落書きみたいな絵、と呟く私から彼は即座に視線を逸らした。
「はいはい、先生は絵がうまいからねぇ」
「あら、私を先生って言うんなら、これからでも絵の勉強をさせてあげたってよろしいのよ?」
「残念、俺が好きなのは国語だ。先生、国語が大好きです」
 彼はくつくつとふざけたように笑った。
「ジャパニーズが好きな生徒がよくフランスに行こうと思うわね。あなたフランス語話せる?」
「残念ながら俺はジャパニーズは好きだがフレンチは好きではない」
 私は盛大に溜息をつく。
「なぁに、現地に行けば翻訳してくれるガイドさんがつくさ。心配はいらない」
 私はそう、とだけ短く返事を返し、少し話題を変えた。

「あなた、フランスに行ってどうするの?美術館巡りでもするわけ?」
「それもいいなぁ」
 彼はにこにこと笑いながら雑誌をめくる。
「でもフランスといえば美食の国でもあるだろう?」
「そうなの?私フランスの事なんてほとんど知らないから」
「芸術の本場だっていうのは知ってるくせに?」
「それは私は絵が好きだからこそよ。食にはあまり興味はないわ。ま、フランスパンくらいはしってるけど」
「そう、それだよ!」
 彼はいきなりソファから飛び起きた。
 目を丸くする私をよそに彼は話を続ける。
「そのフランスパンに上質なチーズとワイン。最高だね!」
 私ははぁ、と気のない返事を返す事くらいしかできない。

「それにフランスといえばエスカルゴだ。ぜひ食してみたい」
「えぇ?何で蝸牛なんか好き好んで食べなくちゃいけないわけ?あなた正気?」
「正気に決まっているじゃないか。珍味だよ、珍味!死ぬ前に一度食べてみたいと思っているんだ、僕は!」
 私は蝸牛やナメクジのあのぬめぬめとした体を思い出し、それを食べると思うと体中に鳥肌が立った。
 人間は何でも食べる。
 よくもまぁあんなぬめぬめぶにぶにしたものを食べようと思い立ったのだ。
 最初にあれを食べようと思った人は正気の沙汰とは思えない。
「そんな風に見た目で判断しちゃいけないよ。それだから君は食わず嫌いなんだ。ウニもイクラも生魚もだめじゃぁ、寿司が食べられないではないか」
「あんな生臭いもの私は食べたかないわ!」
「君は人生を損している!」
「い、今は、エスカルゴの話でしょう?寿司の話じゃないわ」
 私が言うと彼はむうんと唸り、腕を組んだ。
 そして不意に手をぱちんと打った。
「よし、いつか一緒にフランスへ行こう。そして一緒にエスカルゴを食べるんだ。きっと君の食わず嫌い克服のきっかけとなってくれる。蝸牛は君の人生を切り開く鍵となってくれるさ!」
「いや、私は芸術には興味があるけど、食には・・・」
「食だって美しく盛りつければ芸術だ!よし、僕はこれからもりもり働くぞ!」
「も、もりもり?」

 かくして彼と私は半ば強引に一緒にフランスへ旅行する約束を交わした。
 風に揺られるレースのカーテンは白地に赤と青の模様。
 奇しくもフランス国旗のような色調であった。

  :

「寿司って美味しいわね。エスカルゴに比べれば、うんと」
 私は彼との約束を果たした。
 エスカルゴも食した。
 私はそれで勇気をもらい、あれだけ食べる気の起きなかった寿司をもりもり食べるようになった。
「まったく、そんなんじゃ太るぞ。僕はスリムな奥さんがいい」
 
ちなみに、私達の新婚旅行先はフランスであった。

今日はお題なし

2010-05-19 17:17:53 | 日記
 本日は委員会と部活がありました!
 で、今回部活から小説のお題はなし。
 今日から7月20日までに文化祭に出す部誌に載せる小説を書こう!とのことでした。


 なので妖怪ものの話の続きを書くのはずっとずっと先になりそうですね。
 とりあえず切りがついたので、妖怪ものの話を後日載せようかとは思いますが。


 それで、委員会の方では図書館便り的なものを私は書くことになりました。
 部活の締め切りは遠いので、焦りはないですが、今度は早いところ図書館便りのコラムの中身を考えなければなりません。 
 といっても大した量じゃないので、いけるでしょう。


 それで今日は美術の模写をした以外は特に印象に残る授業はなかったですね。
 なんにしても、今日携帯に、予約した本が届いた、という連絡が図書館から来たので、早いところ図書館で借りた本を読み終えてしまいたいです。
 なので、今日の日記は短いですがここまで。
 とにかくこれからブログの記事を作ろうと思います。

早く登場させたい

2010-05-18 16:10:25 | イラストなど
 先日ポメラのデータが消えるというアクシデントが発生し、なかなかに小説がうまいこと進まない今日この頃ですが、とりあえずラフ画だけは出来上がっているのですよ。
 まぁ、もう本来なら今頃はこのキャラ登場しているはずなんですけどね。
 早いところ続きを書き上げてしまいたいですよ。
 ネタバレするとあれなので、詳しいことは説明できませんが、彼もまぁ、妖怪です。
 どんな妖怪か?とかは皆さんのご想像に任せることとしましょう。
 明日部活なので、もう少ししたらここに本編を投稿できるとは思うんですけどな。
 まぁ、投稿できるか流れるかは、この後の私の活動しだいです。
 とにかく早いところ続きを書こうと思います!

火曜も良き日かな

2010-05-18 15:40:37 | 日記
 火曜は早く帰れていい日ですね!


 しかし!
 今はそんな悠長なことをいっている場合ではなかったりするのです。


 というのも明日部活なのですよ。
 つまりは明日までに妖怪ものの話の続きを書き終えていなければならないのです。
 まぁ、書き終えるというよりか一旦切りをつけるというか。
 とにかく、お題のワードを一通り使ってしまいたいのです。
 そして明日部活で出されるお題で話の続きを書いていく、と。


 一応、妖怪ものの話のほかに一本短編を書いたんで、そこまでむちゃくちゃ急がないといけない、というわけではないんですけどね。
 しかし今日中に書けるに越したことはないんです。
 部活に持っていくのなら印刷しないといけませんからね。
 印刷するには今日中に書いてしまわなければ!


 先日消えてしまったポメラのデータは自力でどうにか修復したのですが、まだ例の新キャラを出せる状態ではありません。
 他のキャラがでしゃばったり、修復前に比べて大幅に文が追加されたり大変なのです。
 既に1万字を超えているという危機的状況なのです。
 早いところ切りをつけねば!


 しかし、日記も書かねば!
 というわけでようやく日記本文に入ろうと思います。
 といっても大したことは書きませんけどね。


 まず今日は普通に学校にいきまして、1時間目は理科でした。
 理科では細胞についての勉強をしましたね。
 透過性とか、ミトコンドリアとか、そんなんです。
 まぁ、先生はしょっちゅう話を脱線するので、あんまり授業が進んだ感はないです。
 でも、ゆったりできるんならその方がいいですね。
 先生の話も面白いし。


 で、次の授業は国語です。
 今回は現代文。
 まぁ、いつもどおりの授業でした。
 授業の前半は漢字テスト、後半は評論の勉強。
 まぁ、楽しくないことはないですけど、楽しいこともない授業でしたね。


 そんで昼食とって現代社会。
 まぁ、皆見事に撃沈してましたよ。
 皆さんそろってお昼寝モードでしたね。
 私は眠気覚ましに落書きしていたので眠くはありませんでしたが、後ろを振り返れば皆頭が落ちてるんですよ、びっくり!
 先生一言も注意しないもんだから全然気づきませんでした。
 まぁ、でも確かに現社の授業は眠いです。
 私だって落書きしてなかったら頭落ちてます。
 何とか乗り切りましたけどねぇ。


 まぁ、そんなこんなで一日を終えまして、そろそろ小説も書かないといけないですし、今日のところはこれくらいで日記を切り上げることとしましょ!

またキャラが増えた

2010-05-17 17:33:26 | イラストなど
              

 文芸部で書き始めた例の短編のキャララフです。
 まぁ見たら分かるかもしれませんが、狐と狸ですわ。
 名前も決まってるんですけど、名前は消しときました。
 ネタバレしてしまうのでね、若干。


 というか昨日ポメラで小説の続き書いて記録して、電源切って、その後、やっぱりもう一度確認しようと、電源入れようとしたら電源つかなくなってるんですよ!
 電池を少し充電して入れたら電源ついたんですけど、ものの見事にデータが消えるという。


 3000字くらいですかね、消えたの。
 めんどくさいところを書き終えて、ようやく部で出されたお題をクリアできる!っていうところだったのにですよ!?


 実はもう一人(?)新しいキャラがいまして、彼が部で出されたお題を解決する鍵なんですよ。
 ちゃんとラフも描いて、ようやくその新キャラ君のお出ましだ!と思っていたところデータデリートですよ。
 なんか恨みでもあんのかあぁあぁあぁ!!


 まぁ、とにかく明日その例の新キャラのイラストを投稿します。
 小説本編の方は水曜までには出来上がる予定です。
 思わぬ打撃を食らってふらついてはいますけど、どうにか立ち直れるはずであります。