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はさみの世界・出張版

三国志(蜀漢中心)の創作小説のブログです。
牧知花&はさみのなかま名義の作品、たっぷりあります(^^♪

臥龍的陣 太陽の章 その64 あらたな思惑

2023年02月18日 10時05分30秒 | 英華伝 臥龍的陣 太陽の章
「誉めすぎだぞ、州平」
「率直な意見なんだがな」
「待て。わたしを認めてくれているのはうれしい。しかし、だから曹操の元へ行くというのは、おかしくないか?」
「わたしのなかではつながっているのだがな。
わたしは、あくせくと組織の天辺にのぼるより、安穏と人の指図を受けて暮らしたほうが似合っているのだ。
おまえのように、理想のために責任という重荷を背負って、仲間たちと苦労をしながら前に突き進むような生き方はできない。
ましてや、明日ほろびるかもしれない弱小勢力の家臣になるような危険な賭けはできない…怒るなよ」
「怒りはしない」


「おまえは、おれとはまったくちがう生き方をしていくだろう。
おまえは孔明というそのあざなのとおり、明るく輝くもの。唯一無二の太陽なのだ。
太陽が大地から隠れていてはならない。
おまえは与えられた運命を行け。おれは別の道を行く」


孔明は沈黙した。
打てば響くこの友からすれば、めずらしい反応であった。
このまま、話を打ち切ったほうがよかろう。
君も一緒に同じ道を行こうと赤子のように泣き出されたら、こちらとしても心が揺らぐ。


できることならば、襄陽で過ごしていたときのように、気心の知れた親友とともに、笑いあいながら道を歩いていきたいと思っていた。
だが、もう遅い。
道は分かれた。
いつか見た草原の上の轍《わだち》のように、もはや道は交わることはない。
ただ目の前にある道を、ひたすら前に進むしかほかにないのだ。
出来ることといえば、たまに横を向いて、お互いの行路が安全かどうかをを確かめること。
そうして別の道を行きながら、たがいに励ましあうことだけ。
それが、州平、孔明、徐庶の三人が選んだ、道の歩き方であった。


「さて、湿っぽい話はこれで打ち切りだ。重要な話をしよう。
樊城の隠し村であるが、どんなかたちをしているのか、大方の予想はつく」
州平は、手にしていた枝で、火のそばの地面に大きな円を描いて見せた。
「これが潘季鵬《はんきほう》の作らせた樊の村の陣容だ。
荊州の方々にあった壷中の隠れ村は、みんなこの|容《かたち》をしている。
あいつは、かつて自分が公孫瓚のもとにいたときに、袁紹に攻められたことを覚えていて、いつ攻め手がやってきてもすぐ対応できるように、四方八方に見張りを置いているのだそうだ」
「村に籠られたら厄介だな」
「そうだ。村の北側は崖っぷち。
つまり、村自体は円を描いているが、攻める側としては、側面しか攻めることしか出来ないようになっている。
しかも村の中には、縦横に地下の抜け穴があって、万が一の時には、間道を脱け出して、逃げられるようにもなっているようだ」


「その間道を、いま、われわれが逆に使おうとしている、というわけか」
「さいわいなことに、村の規模はそれほど大きくはない。
潘季鵬は、そこへ壷中の全員を集めている。
それどころか、壷中に関わりのある豪族たちをも村に集めているという情報が入ってきている。
仮に潘季鵬が籠城を決め込んだとしても、兵糧攻めをしてやれば、やつらは大勢を養いきれず、意外と早くに降伏するやもしれぬ」
「だが、村を囲めるほどの兵力は、いまのわれらにはないぞ。
山間に村を築いているとなると、水や食糧はどうしているのだろう」
「そこだ。食料は定期的に運び込み、水については井戸を掘ってはいるだろう。
そも、潘季鵬は、なんのために豪族の家族たちまで村に集めていると思う?」


つづく

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そして、ブログ村およびブログランキングに投票してくださっているみなさまも、感謝です!
なんだかんだとバレンタインデーも過ぎ、あっという間に二月もなかば。
月日の経つのは早いものですねえ…感慨にふけるのは早すぎ?
毎日を有意義に過ごすべく努力しつつ、今日もいろいろしっかりやっていきます。
みなさまも、よい一日をお過ごしくださいませー('ω')ノ


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