今宵、バー・スリーキングダムズで

架空の地方都市・山臺を舞台に、三国志の英霊たちがゆるーく活躍。
長編ゆる伝奇小説、はじまり、はじまり。

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第二話 姜維、陸遜邸へ行く・9

2016年05月26日 10時15分55秒 | 第二話
荀がカウンターから料理を提供してくる。
その日はたこ焼きが平皿の上に載っていた。
JUNビルの1Fでも提供されている、大きなたこ焼きである。
特長のある渋い色合いの釉薬がかかった、平皿のうえに載せられていた。

「いいお皿ですね」
姜維がほめると、隣に座っている陸遜が、ほんとだー、これ渋カッコいいじゃん、と賛同する。
一方で、曹植は芸術家らしく、たんねんに皿をチェックしていた。
そして、たこ焼きをすべて食べてしまってから、皿の裏を見て、目を丸くしている。

「えっ、これロ、って書いてあるよ、ロって」
「マジですか、もしや、鑑定団でおなじみ魯山人の作品ではありませんか。
ずいぶんと高価な品を使っているのですな、荀さん」
腰を浮かせる陳宮に対し、荀は屈託なく笑いながら言う。
「ああそれ、ロはロでも魯山人じゃなくて、魯仙人」

「魯『仙人』って。なにそれ、パチモンつかまされたんじゃないの」
あきれる陸遜に対し、おもしろそうな顔をして荀が答える。
「それ、魯粛さんが作ったんだ。かれ、いま泉区のほうにある堤焼の窯に弟子入りして、魯仙人を名乗って活動しているんだよ」
「えーっ、魯粛さんが。充実の下界ライフじゃない」
陸遜は目を見開いて、ためすがめす、平皿を見ている。
「いい仕事をしてますなー」
口々に言う陸遜と陳宮に対し、姜維は勢い込んで荀にたずねる。
「魯粛さんが怨霊について、協力してくれるということはないでしょうか」
「ないだろうねえ、いまは毎日、次回作の構想と、窯の温度管理のことしか頭にないみたいだよ」
「そうですか…」



その日は、押しても引いても話が進まなそうなので、姜維は春日町の自宅にかえって、頭を休めることにした。
いつものように、風呂の前にストレッチをして、それから、たっぷり貯めた湯船に身をひたす。
顔をざぶざぶと清潔な水で洗いながら、諸葛亮ならどうするだろうとかんがえる。

あの方なら……誰に力を貸してもらえなかったとしても、あきらめないだろう、おそらく、協力者がいなくても戦おうとするはずだ。
あの方は、どこにいるだろう。
いつかお会いできる日まで、わたしは戦ったのだと胸を張って言いたい。
あきらめないぞ、きっと現状を打破してみせる。

ふうっと息をはき、姜維は湯気の中で決意をあらたにした。 


つづく…

5月26日より、原稿制作を進めるため、
しばらくお休みしまーす。
また再開したら見てやってください。
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