<関西オープンゴルフ選手権競技 2日目>◇21日◇宝塚ゴルフ倶楽部・新コース(6,682ヤード・パー71)
石川遼がまたも奇跡を起こした。2オーバーと予選通過が厳しいスコアで迎えた18番ホール。「思った球筋で、思ったところに落とせた」という残り約50ヤードのセカンドショットは、最終ホールに詰め掛けた大ギャラリーの前でカップに吸い込まれた。土壇場で奪った起死回生のチップインイーグルにギャラリーは熱狂、石川も飛び上がって喜びを爆発させた。
兵庫県にある宝塚ゴルフ倶楽部で開催されている「関西オープンゴルフ選手権競技」の2日目。初日、競技委員の誤った指示によりOB球をプレーしてしまうトラブルで4オーバーと出遅れていた石川遼が巻き返しをみせた。石川は「バーディ、バーディでいきたいと朝からイメージしていた」という出だしの1番、2番でそのイメージ通りの連続バーディを奪う幸先の良いスタート。7番ではティショットをOBとしダブルボギーを叩くも、直後の8番でバーディを奪いなんとか後半へ望みをつなぐ。
後半はバーディの直後にボギーを叩くなど思うようにスコアが伸びない苦しい展開。しかし、終盤にディフェンディングチャンピオンが執念を見せる。16番パー3でバーディ、17番パーの後、2オーバーで迎えた最終ホール。石川が放った約50ヤードのセカンドショットは直接カップにおさまり圧巻のイーグルフィニッシュ。土壇場でカットラインに滑り込みトータルイーブンパーの48位タイで予選通過を果たした。
最後のショットを放つ前に石川はグリーンまで約50ヤードを歩きラインをチェック。いつもより多くの時間を費やし、入念に素振りを繰り返した。「ラインを読まないと入るというイメージが少しも沸かないし、グリーンに上がってラインを見ることギャラリーの方にもカップを狙ってるんだとわかってもらえる。注目して静かに見てもらうことで集中する舞台が整う」注目を集めれば集めるほど力が沸いてくる石川ならではの方法で極限まで高めた集中力が奇跡を呼んだ。
これには米国ツアーに挑んだ経験も活きていた。「マスターズ」でタイガー・ウッズ(米国)やアンソニー・キム(米国)が何度も仕切り直し時間をかけているのを目にして、石川も自分が納得できる状態でアドレスに入ることを今年から徹底。今季の勝負どころでの尋常ではない集中力は世界を見据えた地道な努力が生み出したものだった。しかし、予選通過は果たしたものの首位とは11ストロークの大差がついている。残り2日間連覇の可能性を信じて攻め続ける。
(ALBA.Net)