・・・☆★エイン★☆・・・

2008年10月11日 日本で入籍、翌年6月13日 韓国で結婚式 2人&猫2匹の日韓夫婦の生活。

むかしむかしあるところに・・・

2006年08月26日 10時00分45秒 | DIARY
昔むかし、とある村に一人の偉大な僧侶が訪れた。大事な文書を届ける為の旅の途中で
あった。その村は肥沃とまではいかないが、女子供の笑い声は絶えず、夕餉時には釜戸から煙が上がるそれは穏やかな生活が営まれていた。
だがそこに、幼い子供を病で亡くしてしまった女がいた…
女は僧侶にこう言った。
『偉い僧侶様!わたしの子供を生き返らせて下さい!』
と。僧侶は言う。
『この村の中で、一人でも家族を亡くしていない者を探しだして、見つけてきて下さい。
そうすればあなたの願いは叶うでしょう』


女は必死で村中を捜し歩いた。家族を亡くした者がいる家であっても、親しく付き合いをしていない家であっても、村中を必死で歩いてまわった。
夫を亡くした者、息子を亡くした者、両親を亡くした者、兄を亡くした者…
村中で、どこにも死者を出していない家などなかった。
気が付くと、女に残された家は一軒しか残っていなかった。
村でも有名な、元気で頼もしい女の家であった。
(もしかしたら、この家は死者など出していないに違いない。もし家族に死んだものが居るのなら、こんなにも愉快に毎日を過ごせるはずもない。そうだきっとこの家が、わたしが捜し求めていた<死者を出していない家>なのだ!)

女は嬉々として、その家の扉を叩いた。出てきた女はいつもどおり、どこか頼もしささえ感じられる豪快な笑顔で女を迎えた。
訪れた女はこう切り出した。
「実は先日、わたしの娘が死んでしまって…」
その途端、その家の主の女は顔をゆがめて泣き出してしまった。

訪れた女には何がなんだかわっぱりわからない。ただ、
(この人でもこんなに泣く事があるのか。この人でも、笑顔以外の顔をすることがあるのか)
と呆然とその顔を見ていることしかできないでいた。

しばらくして。その家の主の女は話し出した。
「わたしにも、息子が生まれてすぐに死んでしまう事があってね。そのときはもう悲しくて悲しくて仕方がなくて、授かった命をすぐになくしてしまった子供の気持ちを考えると辛くて毎日泣いて暮らす事しかできなかったの。でもね、わたしには見てのとおり、他に3人の子供たちがいる。父親は、とうに病気で亡くなってしまっているけれど、その分わたしがこの子達を幸せにしてあげようと頑張ってきた。逆に子供に励まされる事も多かった。それがわたしの生きる支えでもあった。なのに、わたしはその子供が死んでしまったときだけ、今生きている子供のことを考えずに泣いて暮らす事しかしなかった。でもね、生きていれば、やらなきゃならないことがある。悲しい思いをしているのはわたしだけではない。そう気付いて、それからは毎日笑って過ごしていこうと思ったんだよ。
あんたも大変だと思うし、今は泣き暮らす事しか出来ないだろうけど、家族やあんたの友人がきっと心配してあんたが元気になってくれることを祈っていると思うよ。辛かったらわたしのところにきなさい。村中が、あんたの気持ちをわかってくれる。あんたの元気が戻ってくる事を祈ってるよ。」
その家の主の女はそういうと、いつもの力強い笑顔で訪れた女を送り出した。


女は力なく一歩一歩前へ進んでいった。
自分の子供が生き返ることが出来ないことに落胆したのではない。自分のこれまでの行動を振り返っていたのだ。

僧侶はその女の様子を見て、静かにその村を旅立ち、次の町へと向かっていった。
僧侶を見送るのは、いつもと変らぬ夕餉時の釜戸の煙だけであった。
                             (おわり)


何かの本か漫画で読んだ話だったと思います。
けっこう前に見たような気がするので、ところどころうろ覚えで、勝手にアレンジしている部分もあると思います。そこはご了承を。
 

最近の日記にコメントを下さったみなさんや、メールをくださったみなさん、ありがとうございました。
わたしの気持ちは、上に書いた物語の女と同じかもしれません。

あぁ…みなさん、本当にどうもありがとうございました。               

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