編者のつぶやき

川田文学.comの管理者によるブログ。文学、映画を中心に日常をランダムに綴っていく雑文

朝だ!徹夜(だ!)

2018年05月21日 | Weblog
阿佐田哲也。(あさだてつや)。
麻雀放浪記の原作者。
本名、色川武大。ずっと『いろかわぶだい』だと思っていた。『いろかわたけひろ』が正しい。

何年も家の本棚にほっぽらかしになっていた文庫本を何気なく手にとってみた。

「怪しい来客簿」色川武大 著 文春文庫

最近は、ベストセラーになっているルポルタージュや、好きなドラマの原作者が書いたエッセーなどばかり読んでいた。
それもそれなりに面白いのだが、今回の作品は、格上といわざるを得ない。

ひどく胸がゆすぶられ、夢中になった。是非おすすめしたい作品だ。
戦後間もない東京。とくに浅草周辺。着ること、食べることに、必死になっていたころの人間模様。
居場所がなく、浮浪者のような生活をしていたころの回想録。
癌で死んだ友人のことなど。
ランダムに思いつきのままに、淡々と書かれているようだが、胸に迫る。
それは、文章の力なのか、エピソードの力なのか。

「話の特集」に連載されていたものを一冊にまとめたものだそうだ。
「話の特集」は、川田拓矢先生の処女作「牛巻坂」、第2作目「誘惑」の、短いながら書評を載せてくれた雑誌で、
無名の純文学作品の書評を、出版直後に載せていただのだから、今思うと、本物がわかる、すごい雑誌だったのだな、と思う。
残念ながら「話の特集」は、95年に休刊になっている。

話を色川武大に戻そう。

色川は、ナルコレプシー症候群という睡眠障害を患っていたという。突然睡魔に襲われて寝てしまうという奇病で、とても苦しいものだったようだ。
長年の徹マンのせいだろうが、それだけ命がけで麻雀を打っていたということだろう。

テレビ出演の映像など多く残されており、各界の著名人との交友も広くあったようだが、
60歳で亡くなる直前に岩手県に移り住み、宮城県栗原市で息をひきとった。

色川は、旧制中学の頃、学校に追放され、良家に生まれながら、エリートコースから外れた。
行き場のない孤独感や、やり場のない疎外感が笑いを求め、毎日のように浅草演芸場や映画館へ幼い少年の足を運ばせたのか。

晩年になっても、やはりこういった孤独癖から逃れられなったように思えてならない。