編者のつぶやき

川田文学.comの管理者によるブログ。文学、映画を中心に日常をランダムに綴っていく雑文

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恐怖

2006年02月23日 | Weblog
この「裏週言」を定期的に書くようになって、普段と変わらない生活をしながら、よく周りを観察するようになり、いろいろな考えが面白いほどに浮かんでくる。「あっ、これ裏週言に、書こう。面白いぞー」と、毎日のように思うのだが、家に帰ってくると、疲労で頭痛ガンガン、目が痛い!息がうまく出来ない(私は過呼吸のきらいがあるみたいです)、とても書ける状態じゃない、なんてこともしばしば。そして、その面白い言葉たちは、無惨にも消えていく。。。今日は、頭痛もしないし・・・、がんばって書いてみましょうか。

 午前半休をもらい、午後から仕事に出かけた。昼下がりの電車は最高だ。満員電車じゃない。暖かい日差しの中で、席に座って、しばし、読書ができる。今は、フロムの「自由からの逃走」という社会学の本に挑戦している。難しいが、面白い。
 乗り継ぎ。うきうき気分で、山手線の池袋駅のホームで電車を待っていた。朝とは違って、人はまばらだ。と、その時だった。わたしは、違和感を感じた。タバコの煙の匂いだ。どうして?
 みなさん、おわかりですね。山手線のホームは、終日禁煙なんです。しかも、こんな所でタバコはご法度。普通は、まわりから迷惑がられ、とてもじゃないが、その場にいられないはず。しかし、不思議なことに、まわりの人は、何事もないかのように平然としている。わたしが感じた違和感とは、まさに、その雰囲気だった。
 わたしは、その主をすぐに見つけた。明らかに、そっち系の人で、35歳から40歳前半といったところか。禁煙なんてお構いなし、堂々と煙をふかしながら、若い舎弟らしき人に、なにかアドバイスらしきことを大声で話している。
 そこに、JRの駅員が現れた。さて、彼は注意できるのだろうか。できたら、たいしたものだ、とわたしは思った。その駅員は50代中ごろの、結構な貫禄もある。しかし、彼らのすぐ後ろを、何の問題もありませんよ、といった様子で、ニコニコ顔で通り過ぎて行ってしまった。
 つまり、彼らの周辺は、一種の無法地帯と化しているのだ。
『へぇー。かっこいい』ということばが、咄嗟に浮かんできたのだが、いや、待てよ。どうしてかっこいいんだ?わたしは考えた。
 それは、何をしても、まわりから文句を言われない状態、いや、文句を言わせない状態に、心のどこかで憧れの気持ちがあるからだろう。これは、もしかしたら、誰もが持っている究極の欲求かもしれない。
 どうして、周りの人は何も言えないのか?それどころか、焦点を合わせようともしない。驚いたような顔も、迷惑そうな顔もしない。
 それは、怖いからだ。それも、動物的な理屈なしの恐怖。
 人がもっとも恐れるもの、それは、理不尽な暴力だ。力の弱い人間は、暴力に、いとも簡単に屈する。そして、その兆候さえも作れないのだ。時に暴力に勝てるもの、それは金だ。世の中の実に多くの人間は、その単純な仕組みに、漠然とした恐怖を抱き、そして、希望を見出す。「いつか、俺も…」と。