テキスト主体

懐中電灯と双眼鏡と写真機を
テキスト主体で語ろうとする
(当然、その他についても、語ったりする)

カシューなど

2012-09-07 22:20:58 | 脱線して底抜け
特定の企業の宣伝っぽくなってしまいますが、工業用で使われる、漆調塗料です。建築用から樹脂、家具、調度、金属にいたるまで、漆調塗装にはよく使われます。
特徴は深い黒の発色と落ち着きのある光沢。そして最も重要な、乾燥硬化が速いことです。
昨今、工芸の分野では漆のもつ様々な特徴や驚くべき耐久性などが再注目され、メディアでもよく話題に上ります。ただ、その扱いにくさと乾燥硬化の条件管理の難しさから、工業用としては全く不向きです。その漆の代用として、戦前から戦後にかけて、カシューナッツの殻からオイルを抽出し、塗料化したもので、工業用漆としてあまりにも当たり前すぎて、いまではそう話題に上ることも無いのですが、決してその価値が衰えたワケではなく、数々の高機能な合成樹脂を活用したあたらしい塗料が生まれている現代でも、まだまだ使われている製品です。

もっとも、その”カシュー”という会社ですら、ウレタンやその他石油化学系合成樹脂塗料がメインになってきてるようですが、生産性やコストからそれら新製品が主流になっても、本来の漆に迫る意匠性では、カシューに分があるように思います。


以前に、暇に飽かせてつくった、手作りの木製ルアー(テールフックのみのシンキングミノー)に、カシュー塗装をおごったことがあり、実釣には使わなかったものの、その手触りにはたまらなく魅せられて、眺めたり、触ったりを繰り返していました。

水に強く加工の楽な、ほおの木を、ラパラ9センチを参考に何度も研磨し、流石にtank testedは出来なかったので、オフロでたわむれ、最後は世話になった釣具屋のオヤジに進呈しました。



閑話休題、よくできた塗料でなにかに色を塗るって行為には、その対象を自分にとってより重要、意義のあるものにする可能性があります。いま、ホームセンターには、20年前には思いもしなかったくらい多種多様で特殊な塗料があります。例えば2液ウレタンのスプレーは、ラッカーとは肉持ち感の全く違うクリヤー塗装を可能にします。ウッドサテンなどとうまく組み合わせると、100均で売ってるような白けた籐かごが、あめ色の深いツヤのある民芸品っぽくなったりもします。もし、カシューが使えるなら、眼鏡ケースなどを塗るのがお勧めです、液晶モニターでは絶対に再現できない、深いツヤに希少な価値を見いだせるでしょう。