テキスト主体

懐中電灯と双眼鏡と写真機を
テキスト主体で語ろうとする
(当然、その他についても、語ったりする)

WP6×30SB-D (フィナーレ:勝間光学機械さんの双眼鏡)

2013-02-28 21:18:00 | ミニ連載:勝間光学機械さんの双眼鏡
あらためて覗かなくても、この双眼鏡については、いつでも語ることが出来る、そんな感じで慣れ親しんでいる機種なのです。


元々口径がモノを言う、星見でなく、今回のミニ連載では、日中の使用で同じ勝間光学さんの6.3×40、5.3×30などと比較しました。
6.3×40には明るさで及ばず、5.3×30には、広視野と手ブレのしにくさで及ばなかったWP6×30SB-Dではありますが、やはり抜きんでて色収差が少なく、精確な色表現をするのは、特筆ものであることを、再確認しました。個人的には、IFも含めた、この機種のこの特徴が、最も勝間光学さんらしさだと思っていて、それに加えて、長年使用するにつれ、耐久性や、持ちやすさ、覗きやすさなどの特徴もずっとずっと実感することになるだろうと考えてもいます。

もちろん勝間光学さんの全ての双眼鏡に共通する解像度の高さ、クリアでヌケの良い像質、各部の造りの良さなどが、基盤になっていてこそ、上記の特徴も更に評価が高まるのは、云うまでもありません。

で、今後、勝間光学さんに勝手に期待したいのは、WP6×30SB-D同等以上の見えの良さの5.3×30モデル、今回お借りしている試作機を凌駕するような低倍率機、です。専用プリズムと、入念な迷光対策、上質なコーティングを施した、低倍の決定版と、そして多少倍率は高くても広視野が特徴のCF40mm機(9倍?)です。見掛け視界で65°以上あれば、多少周辺の像質が低下しても、かなり魅力的だと思いますし、瞳径が4,4mmの40mm機は、都会の星見にも威力を発揮する場面も有ると思います。さらには、ヌケの良さを損なわずにフラットナーを入れて、周辺視野にもピントがくるようにすれば、まさに夢の機種になるかと思います。

もちろん、筐体のデザイン、耐久性などは、今のまま、一目見て、ポロの代名詞のようなこの姿のままで、、、などと見果てぬ夢、我が侭を申し立てつつ、今回の連載を終わります。

戦場にて・・WP8×30RC-D(勝間光学機械さんの双眼鏡 その11)

2013-02-21 23:21:35 | ミニ連載:勝間光学機械さんの双眼鏡
以前に、WP6×30SB-Dとの比較で紹介したWP8×30RC-Dですが、現用機として陸自等の軍隊に納入されてる機種でもあり、戦場にて使われる双眼鏡として、改めて評価したいと思います。

もっとも、市販されているWP8×30RC-Dは、軍用双眼鏡として必須のレチクル(勝間光学さんではスケールと呼び、一目盛りが10ミルを表し、目標の実際の大きさが分かっていれば、その目標までの距離が分かる、例えば全長約10mのロシア製T-80U戦車を視野内に捉えたとき、それが5ミルであれば2000m先、逆に距離が分かれば、大きさが分かる)と、照準、測距レーザー防護用フィルター(米のカッパーヘッドや露のクラスナポールのようなレーザー誘導砲弾、スナイパーのような砲発射セミアクティブレーザー誘導ミサイルなどのレーザー光が網膜を焼くのを防ぐ)は装備されてはおらず、クリアな視界となっています。
実際に、自衛隊で使われている様子ですが、下の写真は、左側のレチクルを使って、距離か大きさを見定めているところでしょう。

WP8×30RC-Dの視界は以前にも書いたように、極めて見えの良い中心部、ややぼやけるその周り、そして視野の端っこ、最辺縁部は光量も落ちます。但し、持ちやすい筐体は、上下左右に振っての索敵に易く、中心部重視の視界も対象を捉えての凝視に全く支障はありません。視野一杯に拡がる巨大な建造物や、よほど近くの対象を見ない限り、周辺が気になることはありません。また前回の記事では、WP6×30SB-Dと前玉が共通なようだと書きましたが、接眼の焦点距離からすると、若干計算が合わず、もしかしたら、やや長めの焦点距離の前玉かもしれません(WP5.3×30RG-DとWP6×30SB-Dは前玉共通、接眼の焦点距離の違いで計算が合っています)。



外観の特徴であるラバーコートの迷彩は、俗に新型迷彩と云われる2002年より自衛隊が採用している野戦用迷彩に近くやや暗い感じで、隠蔽性が高そうです。極めて頑丈な造りといい、実戦用の兵器らしさに、光学機器らしからぬタフネスを感じさせます。対物キャップにも、タックシールなどを使って迷彩柄を貼るのも雰囲気が出るかもしれません。



接眼のIF目盛りは、SS10×50やHM6.3×40、WP5.3×30などのラバー部と違い、見えにくい△マークではなく、ハカマがせり上がって切り欠きがある見やすい仕様です。WP7×50RB-Dもそうなのですが、実用本位の道具としての配慮かと思われます。



対物の前端のラバーは3mmほどの厚みのある、ぶ厚いラバーです。持ちやすくするためのラバー装ではなく、充分にゴムダンパーの役割を果たしそうです。


はんごう型ケースも他機種同様、日本製の立派なものです。この中に入れておけば不整地を揺られて輸送されても、大丈夫なんじゃないかと思える、良い伝統と云えるでしょう。

WP8×30RC-Dは、私の持っているどの8倍機より被写界深度が深く、中心部のクリアさは特筆に値し、明るさも口径の大きな42mm機に迫り、なおかつ、広視界です。流石に星見などには適さないでしょうが、頑丈さも踏まえ、偵察任務などに最も適している双眼鏡でしょう。
何を偵察するかは、ともかく。

星降る夜には瞳径の大きな双眼鏡で(勝間光学機械さんの双眼鏡 その10)

2013-02-17 18:44:09 | ミニ連載:勝間光学機械さんの双眼鏡
昨日の記事のように、家族で、海沿いの山の斜面のホテルに宿泊し、私はどっと持参した双眼鏡、望遠鏡で、星見を堪能してきました。
背後の山が街の灯りを遮り、海沿いの国道の僅かな灯り、ホテルの敷地の灯りも、ほとんど気にならない、充分に暗いロケーションです。部屋も暗がりにして、きちんと暗順応してから、星空観望です。地形から、北西に面したバルコニーでしたので、方角は限られ、時折流れてくる雲に邪魔されながらでしたが、夕方に吹いた強い風のおかげもあり、大気は澄み、月も早くに沈む、絶好の条件です。
肉眼でも溢れる星々に気持ちは高まりつつ、三脚にスカマとアルタス傾斜望遠鏡をセットし。双眼鏡のキャップを外して順に見ていきます。
都会の空とは違い、星の背景の空が、黒いです。完全に目隠ししたとき瞼の裏に現れる、モワモワとした暗ノイズ、それが背景の空の部分で充分に分かります。
まずは、雲間から見える星空にスカマを向けます、視野一杯に星々が満ちています。ただ普段あまり見ない方角の空なので、特徴的な星々も、ぱっと頭に名前が浮かんできません、というか、どれが都会でもよく見える一等星なのか分かりづらいほど星が見えます。
次に、WP7×50RB-Dを持ち出します。充分に暗順応した眼で、じっくりと見ても黒い夜空に、星が溢れます。手持ちで見ているので、僅かな手ブレを抑える工夫をすれば、普段見たこともないであろう微光星がブワッと現れます。
SS10×50SK-Dも、端正な見え方のまま、いつもよりずっと賑やかな視界になります。雲が少なくなるにつれ、星図、星図ソフトなども頼りにして、普段探しづらい星を追います。北西の空には、見やすい位置までM44が下りてきたので、じっと追い、方角を子細に見定めた上で、傾斜望遠鏡で倍率を上げて観ます。蜂の巣の様に点々と寄り集まった星達が見えます。22倍の倍率が最適解だったようで、息を呑む美しさです
小型のWP6×30SB-Dでも同様に、普段とは違う迫力が加味され、大口径の双眼鏡のような印象です。WP5.3×30RG-Dではさらに明るい星々が、広い視野一杯にひろがります。HM6.3×40の視界は、より賑やかです、口径の差異は如実に感じられ、微光星の明るさは7×50と遜色なく、低倍故の視界の広さ一杯の星々が、実際の見掛け視界をより大きく見せ、軽さと、アイポイントにあった改良見口のおかげもあってか、いつまでも見ていたい星空です。
上記の機種以外でも、8×56、9×63、10×70などで、長時間眺めていても負担にならない機種なら、時間を忘れてずっと眺めていられそうです。
今回、かなり条件の良い星空では、普段見慣れた双眼鏡たちの魅力が倍増することが分かりました。瞳径の大きさが充分に生かされ、星の見え方は桁違いです。ずっと眺めていたい星空に対して、低倍率の双眼鏡はしっくりと安定した観望をもたらし、更に云えば、持ちやすく、覗きやすい、そんな双眼鏡が何よりの機材です。

いつしか雲も遙か遠くの水平線に僅かに残るばかりになり、見上げるだけで、北斗七星やらおおぐま座、カシオペアなど有名な星達が降誕するように迫ってきます。そこで、テレコンビノを持ち出します。
あっと声が出たきり、ずっと空を観ながら、なにも考えずに足もとの悪さも忘れてのけぞり、よろけても、テレコンビノから眼が離せませんでした。

上で、良質な瞳径の大きい双眼鏡は何よりの機材だと述べました。
こんな条件の星空では、テレコンビノは宝具です。

お気楽星空観望と口径(間奏:勝間光学機械さんの双眼鏡)

2013-02-10 22:15:31 | ミニ連載:勝間光学機械さんの双眼鏡
10mm 4倍    Nikon遊
20mm 8倍    Carl Zeiss Conquest Compact 8×20 T*
30mm 6倍    GLORY WP6×30SB-D
40mm 6.3倍    GLORY HM6.3×40SK-D
42mm 8倍    Shirstone Samrai8×42
50mm 10倍    GLORY SS10×50SK-D+ヘッドステー
70mm 15倍    Celestron SkyMaster15×70+一脚

口径別に上記7機種で、オリオン、M42、ヒアデス、すばるを中心に星見してみました。
遊、肉眼より沢山星の数は見えますが、すばるなど星々の並びが幾何学的に見えるほどではなく、なにより、アイポイントの決まりにくさが星天を流し見するのには適していません。眼鏡を使用される方が、レンズに押し当てて使えばそうでもないのかもしれません。ツァイスのポケットですが、流石に8倍はすばるの並びが、それなりに幾何学的で、魅力を感じますし、ヒアデスも結構ちりばめられた星々が判ります。ゴム製のアイカップでアイポイントも決まりやすく、流し見も苦になりません、20mmとは思えないきらめく点像の星ですが、M42はシミにしか見えません。WP6×30も充分な点像の星々ですが、倍率とのバランスが良くないのか、迫力には乏しい星空です。HM6.3×40になると、途端に星々のきらめきに刺すような鋭さが加わってきます、低めの倍率でも、アクセントの効いた点像のおかげで、ヒアデスなど息を呑むような美しさです。ブレが少ないのも好印象です。M42のカタチもおぼろげにわかるようになります。Samrai8×42もきらめく点像に倍率が加わり美しい星空です。M42のいびつさもより判りやすい印象ですし、木星の大きさもはっきりとわかります。SS10×50からは、保持に気を遣います、流し見ではともかく、一点をじっくり見るには、身体をどこかに寄せかけて固定し、しっかりと保持する必要があります。ただ、それに見合う見事な視界、星々の美しさ、M42のカタチ、あふれ出す微光星、どれもが40mm級とは段違いです。広視界とはいえ、ヒアデスの周りの星々は視野から外れてしまいますが、中心にある幾つかの対になった星とその近辺の微光星がとめどなく見えてきます。15×70は、流石に口径の威力を感じさせます、昼間に気になる色収差も星見ではよほど明るい星を視界に入れない限り気にならず、すばるなどは迫力のある大きさで、堪能できます。
ざっと感想を羅列しましたが、それぞれの機種に於いて、昼間に感じられるそれぞれの魅力と、星見での魅力には差異があります。遊は昼間専用でしょう、ツァイスポケットは意外に星見でも使えます。WP6×30は昼間の圧倒的な魅力ほど星見ではその性能を感じません。HM6.3×40は広い視野内に端正な点像を結ぶのが昼間と同等の好印象。Samrai8×42も同様かつ倍率が8倍でも周辺まで崩れの少ない良像で、違った感じの好印象です。SS10×50、スカマ15×70は、日中の使用とは違う、星見での高性能を実感します。
今回、口径の違いによる星空観望への適性を比較する目的でしたが、やはり、日中に万能な30mm機では、星見にはややパワー不足なのを再確認し、同時に、見口のフィット感が重要であることも再認識しました。
あと、日中の使用では倍率の違う2機種を片方ずつ見たときに、視覚がズーム補正される人の脳の能力が、星見ではあまり有効に機能しないことも分かりました、視野内に情報量が少ないとき、すばるなど、二重像が乱立し、よっぽど凝視しないと星像は一致し難いのです。想像していたこととはいえ、戸惑いを感じました。

承前 - 仮称HM6.3×40SK-D(勝間光学機械さんの双眼鏡 その9)

2013-02-08 23:24:24 | ミニ連載:勝間光学機械さんの双眼鏡
右が見口の中にレンズ鏡筒が嵌って撮れた6.3×40、左が見口を外して撮ったため白カブリしてる6×30、いずれもステーだけ、三脚無しのやっつけコリメート写真なのですが、実視野にほぼ差がないというか、倍率によるケラレの所為で、逆転して見えてしまっています。時間つぶしのための15分ほど、ずーっと電線を両機で観てましたが、やはり、6×30よりも、6.3×4のほうが色収差があります。ぱっと観て気付くほどではないし、条件によっては全く認識出来ないほどではありますけれども。
片眼ずつで両機を同時に観た場合、やはり、6.3×40のほうが見掛視界が広いです。両眼視で明らかに差異があり、6.3×40の実視界は実質8°以上だと考えます。ここで面白いのは、以前の5.3×30と6×30での両眼視の時と違って、中心の対象が重なると、最初大きさの違った視野円がほぼ重なるよう、小さかった6×30のほうがズームアップされてくる様子。視線を中央に置きながら意識を視野の隅に置くそらし目というか、視線は違う方を向きながら意識は女性のたわわな胸襟にあるような見方で見ていると、じわじわと6×30の視野円が拡大されてくる様子がはっきりと認識出来ました。
これまで、つぶさに両機を比較してきて、じゃあ、若干大きくて重い6.3×40の必然性って何なの?と考えると、僅かに色収差に劣り、被写界深度浅く、スタイルが良く(主観)、ハイアイポイント、良像範囲広い、明るい、という点になるのですが、最後の口径差については、星見で両機、或いは他の40mm級、や更に大口径機との比較観望が出来ていません。後日、条件の良い星空観望を期して、ここまで、です。

試作6.3×40双眼鏡、仮称HM6.3×40SK-Dをとことん持ち歩く(勝間光学機械さんの双眼鏡 その8)

2013-02-07 21:32:20 | ミニ連載:勝間光学機械さんの双眼鏡
HM8×40にSS7×50の接眼部を付け、6.3×40相当になった試作機で、個人的に勝間光学機械さんの双眼鏡のなかで最もプロポーションが良いと思っているHMシリーズを低倍率にした、外観もコンセプトもスマートな双眼鏡です。

もっとも弱点は有って、アイポイントがシビア。同じ接眼部を使った低倍率機、WP5.3×30RG-Dより、接眼に近づいた時に視野の隅にかげりが出やすく、元のままのゴム見口は裸眼で高さが足らない印象なので、

中にもう一つゴム見口を入れました。スグ外せる割りには落ちることもなく、高さも適正になりました。この方法以外にも色々試していて、先達の真似をして、実体顕微鏡用のボーヤフィットという目当てを試したりしましたが、いまひとつでしたので、今は一二三機に嵌っています。

取りあえず、接眼部が私にジャストフィットするようになり、出来るだけいろんな情景を観るようにしていますが、現時点での見え味をまとめると、明るく、ヌケが良く、良像範囲もかなり広くて、30mm機を凌駕しています。着色もほぼ無く、色収差も充分に少ないのですが、極端な条件下ではWP6×30SB-Dほど極少ではありません。低倍のメリットを充分に享受できながら、40mmの対物口径のおかげで、星見にも使えて、非常に多用途です。最短合焦距離は30mm機には劣り、被写界深度も口径分劣ります。実視野では計算上8°くらいになるそうですが、8.5°のWP6×30SB-Dとほぼ変わらない範囲が見えます。薄暮でも、WP6×30SB-Dより、顕著に明るいです。WP6×30SB-Dもクリアな視界で暗さを感じることの少ない双眼鏡なのですが、口径差は効いてますし、その明るさのおかげで、コントラストにも差が出ます。

続く。

SS10×50SK-Dの最大の特徴を生かす (勝間光学機械さんの双眼鏡 その7)

2013-02-04 23:09:14 | ミニ連載:勝間光学機械さんの双眼鏡
手持ち観望のお話しです。
以前に、Nikonスピノザ10X25のブレを少なくする方法として、接眼部にアイレリーフ分指をはみ出させて持ち、眼窩や額にその指を押し当てて安定させたり、ストラップの長さを調整して後頭部に回し、そのテンションも利用して、頭部と双眼鏡を一体にして安定させていると書きました。
ただ、軽量なダハなら上記の方法は使えますが、大きめで重いポロには、あまり向いていません。星空観望では天頂を見上げることも多く、脇の締まらない体勢では、ブレやすくなるため、一脚やグリップをビノホルダー下に付けて、少なくとも片腕の脇を締めたまま眺める方法で星見しています。
しかし、この方法も双眼鏡の上下動にはあまり適していません、一脚ないしはグリップの保持角度と、双眼鏡の俯角を容易に変えるような工夫、もしくは補助グリップそのものの角度を変えないと双眼鏡の光軸と視軸を適正に保てないからです。
慣れてしまえばという要素もあるのですが、首というヒンジに対して補助保持具がトレースしないという構造は変えられません。ツノ型などのアイポイントにきっちり合った見口も補助にはなりますが、常に視軸と一緒に動く前頭部で保持するようグリップを上に付けてみました。

前頭部の丸みにグリップを沿わせて、重みを分散、ブレを吸収させようという目論みで、これが見事にアタリました。水平から垂直方向に近いところまで、手を軽く添えているだけで、防振双眼鏡とまではいきませんが細かなブレはほぼ解消しました。

今までにさんざんこの双眼鏡の見え味については書いてきましたので以下は、SS10×50SK-Dのスペックです。

●倍率 10×
●対物レンズ有効径 50mm
●対物レンズコート マルチコート
●接眼レンズコート マルチコート
●プリズムコート マルチコート
●プリズム材質 BAK4
●アイレリーフ 18mm
●実視界 6.5°
●1000mでの視野 114m
●射出瞳径 5mm
●明るさ 25
●高さ 171mm
●最大幅 193mm
●重量 950g
●カラー カーキ/グリーン

付属品
専用ケース・ストラップ・レインガード・レンズクロス・取扱説明書・品質保証書(5年間保証)

話はガラリと豹変しますが、柔道やレスリングを本格的にやったヒトは一様に猪首でやたらと首が強靭です。仰向けに寝て、肩を床にピタッと付けたまま、アゴが自分の胸に着くくらい頭を上げる姿勢、首上げ、と呼んでましたが、この姿勢を30分以上続けることができます。ブリッジもそうですが、コレが出来ないと、投げられたり、倒されたりしたとき、後頭部を強打したり、むち打ちになったりします。このように首が強靭なヒトなら、1~2kgもある大口径ポロでも、問題なく支えられそうですが、やはり軽いに越したことはありません。10X50の双眼鏡となると、材質がプラのものはともかく、本格的な双眼鏡なら、最新のスワロビジョン10×50でさえ、ダハでマグネシウム合金製、オープンヒンジという仕様でも998gと、SS10×50より重いのです。持ちやすさでブレにくくはなっていますが、微細なブレは残りますので、今回の方法に分があります。
SS10×50は、50mmという口径のポロで、頑強そのものの構造でありながら、極めてスマートで、しかも、比較的軽量です。

低倍率の良さを知り、その極みとも云うべき勝間光学機械さんの双眼鏡に興味を持った私ですが、星見という世界の趣向では、口径と倍率がモノを言います。それに対する、SS10×50という回答は極めて対費用効果が高いものです。手持ち観望で、より以上を目指すなら、N社やF社の6~7万円級、高価で重い防振双眼鏡、10万越えの国産高性能ダハ機、あるいはもっともっと高額な海外御三家の高性能機など、とんがった趣味性の世界になっていきます。確かに、奥深い世界で魅力的ではあるのですが、この軽量なSS10×50より、手軽であるはずがないのです。また、天の川が見えるような、条件のよい観望でも、SS10×50は、十二分に星空の美しさを堪能できる確かな性能も併せ持っています。

承前-低倍率の意義と極み WP5.3×30RG-D (勝間光学機械さんの双眼鏡 その6)

2013-02-02 20:09:01 | ミニ連載:勝間光学機械さんの双眼鏡
やっとWP5.3×30RG-Dのお話しになるのですが、WP6x30SB-Dなどの従来の勝間光学機械さんの30mm口径のシリーズは、8倍機を除いて、アイレリーフが15mmと眼鏡をお使いの方には、眼鏡と干渉する微妙な仕様でした。
アイレリーフの大きいハイアイポイント接眼部が全て良い点ばかりとは限りませんが、折り返しゴム見口やスライド見口で調整すれば、眼鏡のあるなしに拘わらず使えますので、ハイアイポイントであることを売りにする機種も多いのです。
WP5.3×30RG-Dは、30mm機にもハイアイポイントをということで、SS7x50の焦点距離の長い(≒アイレリーフも大きい)接眼部を移植して試作された機種です。
もともと評価の高い対物・接眼の組み合わせなので、WP6×30SB-Dとの詳細比較を最初の写真のような状態で行いました。
ステーの双眼鏡固定側はコルクなので、厳密な並行軸ではないですが、覗き比べには充分です。この2機種に限ったことでは有りませんが、双眼鏡を固定して覗くと、瞳の位置がずれたときの歪曲の出方がよく分かります。特に勝間光学さんの双眼鏡は、どの製品も優れた解像感があるため、瞳が適切な位置にあるときとそうでないときの歪曲の差が分かりやすい傾向があります。よく光軸が調整され光学的にきちんと追い込んであるともいえますが、同時に瞳の位置にシビアであるとも云えます。普段手持ちで使っていると、無意識に適正位置に構えるため気になりませんが、三脚で固定して見る場合にアングルユニットやビノホルダーにこだわるのは、双眼鏡の視軸と目線の軸を常に適正な位置に保ちやすくするためです。ちなみに、光学的設計の新しい高性能ダハ機は、割と瞳の位置に寛容なものが多く、私の双眼鏡の中では、ツァイスポケット8×20が、瞳の位置による歪曲が最も少ない傾向です。
まず、WP5.3×30の視界は広いです、単純比較で実視界6×30の8.5°に対し、5.3×30の視界は9.5°、1°の差ですが、明らかな差です。因みに公称実視界10°のNikon遊とは0.5°以上に差があるように見えます(ナゼ?)。
写真のステーを横(水平)にして、2台の双眼鏡を縦に並べ、右目で5.3×30の視界、左目で6×30の視界を見るように間隔を調整すると、光軸はほぼ合っているので、片側ずつを覗いて双眼で見る事が出来ます。対象に目を凝らすと、若干の倍率の差は脳内で補正されて、一つの像に重なって見えるようになります。つまり脳の視覚野が、僅かにずれた光軸を合わせるばかりか、画像の大きさまで調整して、両眼視の視界を創り出します。不完全なリンク機構しかなく、視力という性能さえ異なる場合のある二つの眼球を上手く使える脳の視覚能力です。
ここで面白いのは、片方ずつ覗いてたときには、双方とも見掛け視野がほぼ一緒だったのに、対象にきちんと結像した両眼視、つまり、5.3×30の視界が拡大されて認識されている状態では、見掛け視界の視野円も拡大されてしまい、明らかに二重の視野円になるということ。ヒトの視覚には、ズーム機能があることをあらためて認識します。
低倍率双眼鏡の優位性は、ここにも原因があって、確かに比較すれば、高い倍率の機種との画像の大きさの差異は明らかに分かるのですが、低倍率機だけを覗いていれば、画像の大きさというか、視覚で認識する大きさというのは、常に脳内で補完されているのです。もっとも高解像の視界でないと、鈍く眠い画像になるので、低倍率だから良いワケではありません。また、視覚能力には個人差もあります。



対物のコーティングは、若干6×30よりも薄い目の反射、接眼はやや5.3×30のの方が眼幅を狭くでき、ヒラメ顔の幼児でなくとも充分使えそうな50mm以下、最大は75mm程度開きますので、ヒラメ顔の大人でも大丈夫そうです。



接眼部以外でも、異なる点はあって、プリズムがモノコート、サイズも違い、反射面の遮光板もありません。

肝心の見え方なのですが、6×30よりも明るく、手ブレも更に少なく、充分な解像度です。ただ、僅かに黄色っぽい着色があり、プリズムのコーティングに起因するのかもしれません。良像範囲は充分に広く、一見6×30よりもずっと広い感じです。よくよく見ると、6×30は視野の7~8割くらいから急に像質の低下が始まり、最周辺部では周辺減光も伴う感じなのに対し、5.3×30の視界は6割くらいからごく僅かに像質低下が始まり、徐々に周辺へと進み、8~9割から、より急に低下するが減光はさほど無い、という感じです。実視野で見比べると、6×30の視野のほぼ全てが5.3×30の視界では良像(◎~○)の範囲で、その外側に像質の落ちる(△)範囲があるような印象です。
最短合焦距離は5.3×30が明らかに1m以上短く、3mほど、室内でも何とか使えます。あまり双眼鏡に慣れてない人に覗いて貰いましたが、使いやすい、見やすい、コンサートに持っていったらよく見えそう、けど、重いし、かさばる、といった感想でした。広く明るい視界は、まさにコンサートなどに最適です。たとえ安定しなくても重さを解消する細い一脚でもあれば、ブレは極端に少ない双眼鏡ですから、長時間の観劇にも充分でしょう。ポップなパステルカラーのラバー外装に包まれたWP5.3×30Rが、キラキラにデコられて、コンサートで使われていたりしたら、おそらくニンマリしちゃいます。

低倍率の意義と極み(勝間光学機械さんの双眼鏡 その5)

2013-02-01 12:13:01 | ミニ連載:勝間光学機械さんの双眼鏡
高倍率や、ズーム双眼鏡の売り上げは、一般向け販売では割と多くを占めているそうです。
逆に、高すぎる倍率とズームの暗さ、ブレまくる不安定さ、視界の狭さ、画質の悪さ、が、初見以降の、双眼鏡への興味を盛り立てることなく、終わってしまっている様にも思います。
双眼鏡、望遠鏡が必要な状況というのは、見たい対象が遠く離れていてよく見えず、もっと良く見たいという欲求がある、ということだと思います。
実際の使用状況を仮定してみましょう。
例えばサッカースタジアムで、後ろの席でなく、一番前で見たいなら、ピッチまで50m離れた席でなく、10mの席からでいいと考えます。
コンサートなどでは、比較的大きめの横浜アリーナ(楕円形、114×78m)を例に挙げますが

どのパターンでも、ステージ中央~最前列、同じく最後列までの距離は、最大でも、5倍程度であることが分かります。
限られた例ですが、つまりは、スポーツ観戦や観劇に於いて、最前列の迫真の観覧のために必要な倍数はさほど大きくなく、昔からオペラグラスが2~4倍程度でしかないことと合致します。

もちろん双眼鏡に要求される機能は上記のような観覧だけでなく、様々な状況が考えられます。
倍率の大きさにより、対象に近づいて拡大したように見える、一方的な距離感の喪失は、双眼鏡の醍醐味です。
ただ、双眼鏡を使って何かを見て楽しむ場合、暗さ、ブレやすさ、視界の狭さ、は、共通した阻害要因です。

故に、特に、最初の一台、双眼鏡の愉しさを知る為には、なるべく倍率の高くない機種を選ぶのが良策です。
当ブログに於いても、当初からバランスのとれた低倍率(6倍)で、低コストでも性能の出しやすいポロ機をお勧めし、KOWAのYF30-6ヒノデの6×30-B26×21S-1、ビクセンのジョイフル、最近の新作では、同じくビクセンのアトレックライト BR6×30WP、などが話題に上っています。
もし、ダハで、ということであれば、いにしえのツァイス スキッパー6×42は、別格として、低価格でもそこそこ使えるビクセンのアリーナ H6x21WP、本格的なフォレスタHR6×32などがあります。
フォレスタはビクセンブランドはディスコンですが、中央自動車道諏訪湖サービスエリア下り線の売店でビクセンの同等品が製造元のライト光機のブランドで往時より8kほど安い20kで売ってます(2012/11)、そして、マグネシウムボディで軽量化され、フェーズコート、プリズムに64層?高反射コートを施した改良版が、英国のオプティクロンより、Traveller BGA MG 6×32として販売され、日本ではヒノデさんの製品も販売されている”双眼鏡倶楽部”さんで買えます。価格も旧フォレスタ(フェーズコート無し、アルミ反射コート、アルミボディ)とさほど変わらないので、かなりお値打ち感があり、ためらいなく携帯できる小型ダハ6倍では、ほぼ決定版のように思います。


閑話休題、勝間光学機械さんの双眼鏡は実用本位で作られた道具です。
そのなかで、以前にお伝えしたように、WW2米軍のM3双眼鏡に起源を持つWP6×30シリーズは、変わらぬ倍率6倍、口径30mmのIF(インディビジュアルフォーカス)仕様で、レンズコーティング等、新しい技術が優れている分野では、それを取り入れて、日本の光学機器産業のメッカ、板橋にて、充実した品質で作られています。
その6×30の派生として作られた、WP5.3×30RG-D という試作機が手もとにあります。一望して、並々ならぬ見え、の双眼鏡です。
次回、WP6×30SB-DとWP5.3×30RG-Dを比較紹介させて頂きたいと思います。

信頼のワケ(勝間光学機械さんの双眼鏡 その4)

2013-01-28 23:22:43 | ミニ連載:勝間光学機械さんの双眼鏡
今回は、写真はおろか、図版すら全く無いテキスト主体の回です。

工業生産品において、仕様書、規格書に定められる管理値は、生産数が多くなるにつれ、分布の代表値にしか過ぎなくなってきます。
母集団が大きくなればなるほど、最上位の個体と最下位の個体の差は開き、両端を摘まない限り、特定個体の偏差は大きく開いてきます。
とんでもなく高い評価、レビューの製品であっても、その優秀な個体が分布図のなかで、どこに位置するかは知りようもなく、同時に自分が手にする個体がどこに位置するかも当然ながら知りようがありません。

全ての工業製品について上記のことはあてはまり、例外は皆無に等しいと云えます。カメラや、他の光学製品についても同様で、昔、ハッセルブラッド用のツァイスのあるレンズを、自分の気に入る玉が手に入るまで延々と売買を繰り返した人がいました。あの当時の独逸製のプロ用高級レンズにしても、バラツキはどうしても避け得ず、その人は自分が見た素晴らしい描写のプリントに魅せられて、そのように行動したのです。

現在に於いては、民生用の製品の生産現場で、生産技術的な製造工程が確立してしまえば、真っ先に簡略化されがちなのが、検査工程です。
もちろん、構成部品点数が多い製品では、個々のパーツのバラツキが、その製品の性能を大きく変えることなど殆ど無いのですが、部品点数が少なく、その少ない部品の個々の精度、機能に全体の性能が大きく左右される製品の一例が双眼鏡です。
以上のことを理解すると、当然の帰結なのですが、例えば国産双眼鏡の頂点とも云えるN社のEDレンズ採用ダハ機でも、(噂の範疇なのですが、製造を外注化してコストダウンしてから、)良くない個体も散見するようになったということがあります。
実際、N社にしろ海外のZ社にしろ、或いは他の大手光学機器メーカーさんは全て収益の点での本業があり、ステッパーやメディカルなど、超高性能に見合った高価格が得られる分野に、製造スタッフの精髄を注力しています。
ポロで有名なF社さんでも、その製品の確実な性能評価とは別に製造品質に疑問を呈しているマニアさんもおられます。
そのような、謂わば、片手間に双眼鏡を販売してるメーカーさんとは明らかに違う姿勢なのが、勝間光学機械さんだと捉えています。
最終の光軸調整を例にとっても、勝間さんの双眼鏡はどれも文句のつけようが無く、眼幅を変えても、ほぼずれません。自分で光軸調整してみれば分かりますが、どの眼幅でも満足な光軸になるように調整するのは結構難しいのです。端的に分かるのが、HPで片肺の単眼鏡が良く紹介されてますが、アウトレット販売をしていて、あのような片肺が残ること自体が、アウトレットと云えども、確実な製品を生み出している証左なのだと考えています。
確かに、新しい設計のものはなく、既存の金型で作れるものばかりかも知れませんが、その製造(組立、調整)に少数精鋭のベテランの職人さんが注力して作られている、そんなイメージです。

WP7×50RB-D(勝間光学機械さんの双眼鏡 その3)

2013-01-26 23:49:37 | ミニ連載:勝間光学機械さんの双眼鏡
前回少し書きましたが、30年前からほぼ変わらぬ仕様のままの大きな双眼鏡です。
船舶用としてデファクトスタンダードな7x50の完全防水の双眼鏡ですが、その明るさ、瞳径の大きさから、薄暮や星空観望にも適しています。
外洋船では、ワッチ、観測に、漁船ではナブラなどを追う為に、水平線までを観望する目的で船に積まれている双眼鏡ですから、過酷な環境でその性能を発揮する、堅牢至極な製品です。ラバー張りの外装は充分にホールドしやすく、ゴツイ手のヒトなら、握力で片手持ちも可能です。



プリズムハウスの下側は、ゴムのリブが短く、平らになっていて、ちょうど親指の腹がそこに当たります。よく練られていることを感じさせます。
対物キャップもラバー製で、その弾力を利用して折り返すようになっており、ブラブラすることはありません。ゴムの耐久性が気に掛かる処ですが、強い日差しや塩分、飛沫に耐えるゴムです。もともと日本製のゴムに対しては絶大の信頼感があって、長い間独逸製の車を乗り継いできましたが、ゴム(エンジンマウントのダンパーやマフラーの吊りゴム)だけは、日本製のリペアパーツのほうがずっと優れていたのは、身を持って知っています。



対物レンズの外側と、接眼の目側は、耐久性の高いマゼンタコート(モノコート)のままです。昔は、プリズムもマルチコートではなかったそうですが、いまはマルチコートされています。光学用機器のレンズコーティングとしては充分に耐久性の高いマルチコートが常道なのですが、船の道具として手荒い扱いにも耐えるマゼンタコートを残していたのだそうです。


アイレリーフは16mmだそうですが、折り返しゴムの短さと同様、もう少し短いというか近い印象です。裸眼での使用がベストでしょう。

合焦範囲は無限遠に合わせて、3~40mくらいからピントが合うようです。視野内の平坦性、歪曲の無さについては、より倍率の低い3機種を大きく上回っており、ビル群を視界に入れて左右に大きく振っても、さほど違和感はありません。ただ、カラーコントラストは低倍の機種より劣り、視界内に同時に原色が複数入るような観望では、ヌケが悪いような感じになります。おそらくは耐久性重視のマゼンタコートの影響かなと想像します。コントラストに影響されない観望対象では解像感は充分で、余裕のある光学経路のおかげか、周辺減光も極少です。ケルナー式の接眼ということなのですが、周辺像の減退は穏やかで、敢えて隅っこを見つめようとしない限り、大して気になりません。見掛け視界(新JIS/ISO)を倍率×実視界でWP6x30SB-Dと計算比較すると48.1°で差異がないのですが倍率と1000m視野で計算すると6x30の47.9°に対し7x50は48.3°となり、実際の見え具合でも優にその差以上に7x50のほうが広く見えます。
星見に使うと、7x50らしい明るい見え方です。まだ充分に暗順応してない状態でも、同じ50mm口径のSS10x50SK-Dに比べ、星々の色がよく分かる明るい点像です。近隣での観望でしたので、さほど暗い空ではなく、暗順応が進むにつれ、より灰色に見えてきたのですが、ヒアデス星団とその周辺の星々が、丁度一望でき、きらめく鋭い点像が美しく見えました。なにより、重さを充分に支えることが出来れば、神経を使ってブレを抑えなくても視界が揺れることなく観望出来るのは、SS10x50SK-Dには無い強みです。ちょうど目当てゴムに眼窩を軽く押しつけて支えられるので、天頂付近の観望も、重さほどの負担を感じません。丁度満月だった月の方向は、けっこうゴーストが出ますが、もともと月は仇敵なので仕方ありません。視線を地表に下げると、街灯の影になった橋桁の下など、肉眼よりずっと明るく見え、7x50の真骨頂です。
今回、WP7×50RB-Dを入手できたのは、当方の無理難題に応えて頂いた勝間光学機械さんのご厚意によるものです。あまたの7x50双眼鏡の中から勝間光学機械の製品を選んだのは、価格も手ごろであった為なのは間違いないのですが、同時に、アフター含めて、信頼できるメーカーであり、実際に拝見したことはないとはいえ、作り手、売り手のお顔がうかがえるような、ものづくりの姿勢に感嘆しているからです。
現行のSS7×50シリーズの方が、軽く、フルマルチコートで、上質な接眼レンズも含めてWP7×50RB-Dより、総合的に良い製品だと思います。その上で、WP7×50RB-Dの方を選んだのは、勝間さんの歴史上の逸品であり、おそらくはあまたのユーザーの信頼を受け続けてきたその重み、また現状でも充分高性能な変わらぬ価値を知りたかったからでした。

勢揃い(勝間光学機械さんの双眼鏡 その2)

2013-01-24 23:28:18 | ミニ連載:勝間光学機械さんの双眼鏡
まず最初に、お腹いっぱいになって頂きます。

左上から下に、WP8×30RC-D、HM6.3×40(HM8x40にSS7x50の接眼部を付けたもの)、SS10×50SK-D、右上からWP5.3×30(WP86×30RG-D?にSS7x50の接眼部をつけたもの)、WP6×30SB-D、WP7×50RB-D、です。

ツァイスの双眼鏡のコレクターの方が、こんな風にしてるのは見たコトがありますが、勝間光学機械さんの双眼鏡も、壮観です。

試作機や、HPのラインアップに無い機種も含まれてますし、30年前とほぼ変わらない仕様の機種もあります。ただどの機種にも共通するのが、堅牢な耐久性を賦与し、ガタやユルミとは全く縁のない精緻な加工と、確かな性能を約束する高品位なパーツを確実に組立、調整された光学系など溢れるクラフトマンシップです。
覗きながら手探りで眼幅と無限遠をピシッと合わせて、中折れ軸、IFの視度目盛りの双方が、私の左右の目の若干の差も含めて全機種全く同じ数字になったのには、心地よいほどの驚きを感じました。

全然違う分野の話ですが、バーコのモンキーレンチにアゴの幅を示す目盛りがあります。その正確さは、ボルト、ナットのサイズが分かっていれば、目盛り合わせだけ、咬ませてから調節せずとも、ボルト、ナットをナメること無く回せるほどなのですが、それに似た信頼感があるのが勝間光学機械産の双眼鏡です。

ポロプリズム双眼鏡≫ポロプリズム双眼鏡 (勝間光学機械さんの双眼鏡 その1)

2013-01-22 21:26:20 | ミニ連載:勝間光学機械さんの双眼鏡
一般的にポロプリズム双眼鏡は対物レンズ軸と接眼レンズ軸がクランクしてずれるため、かさばる形状になりやすく、視軸が一直線にできるダハプリズム双眼鏡が、よりスマートで軽いと云われています。
拙ブログでは当初から6倍30mmのポロタイプをお勧めしてきました。
ただやはりポロはかさばるのかなあ、ゴツイのかなぁという思いは、どうしてもぬぐい去りようがなく、諸手を挙げてお勧めする感じではありませんでした。

サイコガンダムとZガンダムの対比のような上の写真は、WP7x50RB-Dと、WP6x30SB-Dを並べて撮りました・・・

一般的に、風景その他、日中メインの観望には勝間光学機械のコンパクトな6x30シリーズを一押しです。おそらく2月初めに何台か発売されるでしょう。
いままで、その高品質、頑強なツクリ、そしてなにより素晴らしいその見え味は身を持って知りつつも、ポロであるが故に、スマートなダハに若干気兼ねしてましたが、やはり本格的に双眼鏡を愉しみたいという方には、このサイズ、この性能、そしてこの価格の6x30シリーズ、そして春先には発売されるらしいCFの8x30を大々的にお勧めする次第です。
他にもコーワやヒノデさんのポロも捨てがたいのですが、勝間光学さんの双眼鏡は何より純国産です。重いのは頑丈さそのものの顕れです。

と云うことで、今回より不定期に、つごう6台の勝間光学機械さんの双眼鏡を紹介するミニ連載を始めます。小、中口径中心になりますが、私が短期間に、惹かれ、手に入れるようになったその魅力を僅かでも感じて頂ければと思います。

誰かヤツをとめてくれ!  暴走する双眼狂 (前奏:勝間光学機械さんの双眼鏡)

2013-01-19 20:51:15 | ミニ連載:勝間光学機械さんの双眼鏡
う~ん、もう重篤と云うしかない病状のようです。

先日来、EDC(毎日持ち歩く)双眼鏡Nikon遊4×10、GLORY WP6x30SB-D、ツァイスポケット8x20、そして4x13、6x18単眼鏡を、サービスエリアでの待ち時間とか、見晴らしの良いビルの一室とか、綺麗な夕焼け空を見たときとか、ぱっと見で同定できない野鳥を見たときとか、とっかえひっかえ見ています。観望対象の違いであらためて分かるそれぞれの特徴や違いにひとり納得しています。

そんな折、とある組織から、ワタシのホットスポットをクリティカルに打ち抜く一報がありました。


曰く、”ブツの準備ができたぞ”との事。

それはもう一も二もなく、受け渡しと代金はいつもの方法で行う旨返答いたしました。


某”板橋区の光学産業”という資料から、その組織の紹介を下に掲載します。


勝間光学の双眼鏡はニコンやキャノンなど大手メーカーのOEM 供給もしていましたが、「GLORY(グローリー)」というブランドとしても知られていました。板橋区において双眼鏡の最終製品を作っていたメーカーは最盛期の昭和32 ~ 33 年頃には50 から60 社もあったといわれており、その中には粗末な作りの双眼鏡も出回っていましたが、グローリーの双眼鏡は頑丈で信頼性が高く、通常の2~3割高い価格で取引されていました。
 勝間光学はかつて板橋区若木に本社・工場を持っていましたが、現在は縮小し、南常盤台のマンションの1 階にある小さい組立工場で操業しています。看板もなく気がつかず通り過ぎてしまうような場所ですが、そこで組み立てられる双眼鏡は、現在でもそのほとんどが世界各国の軍事用双眼鏡として使用されています。勝間光学の双眼鏡はシンプルで使いやすく、高い光学性能とヘビーデューティな使用に耐える堅牢さが魅力で、部品の互換性が高く何年前の製品でも修理がきくのも特徴です。そのため、多くの双眼鏡が海外製品になってしまった現在でも、“メイド・イン・イタバシ”の「GLORY」は、その信頼性から軍用双眼鏡として欠かせない存在となっています。




はぁ、待ち遠しいものなのです。