生命哲学/生物哲学/生活哲学ブログ

《生命/生物、生活》を、システム的かつ体系的に、分析し総合し統合する。射程域:哲学、美術音楽詩、政治経済社会、秘教

美術修行2017年5月30日(火)-2:読書録 千住博2008『美術の核心』

2017年05月31日 15時46分14秒 | 美術修行
2017年5月31日-1
美術修行2017年5月30日(火)-2:読書録 千住博2008『美術の核心』


千住博.2008/1/20.美術の核心.8+169pp.文藝春秋.[本体760円+税][大市阿図704][Rh20170530]


 入門書である。すんなり読める。
 本質的な冒険は無く、常識的である。
 入門書であればこそ、(そのために書かなかったのかもしれないが)突っ込んだ見解を持って解いて欲しいところ。
 絵描きだからだと思うが、尾形光琳〈紅白梅図屏風〉についての読み込みは面白かった。


 「よくマンガ反対論者は文学と比べて、「行間のニュアンスが感じられない」と言います。そればっと文字と、それを図解説明する絵が一体化していて、目で見た通りの状況として直接的に理解できてしまう構造に対する指摘です。想像力の余地がない、というわけです。

 また、〔略〕驚きをドヒャーとか喜びをウヒャーとかで表わし、〔略〕ガーンという文字が大書きになっていたり、〔略〕。しかし、これは限られた規定の中で、よりしっかりとメッセージを伝えていこうとする中での必然的な到達点ではないでしょうか。

 確かにこの結果、繊細さや心の機微を感じる機会が犠牲になるのでは、と心配する人が出てくるのも無理はありません。」
(千住博 2008/ 1: 99頁)。


 漫画またはマンガはそれはそれの機能するところで、楽しんだら良い。
 つげ義春や手塚治虫の作品にしても、絵解きまたは図解の側面が大きい。

 純粋な(←→総合的な。つまり言語やら音声やらも構成者として参加する場合の。)絵画探求者としては、何かを伝達したり説明するためのものではなく、純粋に色と形の作用を極めたいのである。