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Bunge哲学辞典:物質 matter

2010年07月20日 23時14分50秒 | 生命生物生活哲学
2010年7月20日-3
Bunge哲学辞典:物質 matter

物質 matter (BungeDic2, p.174)
 すべての、現実の、または可能な↑【物質的存在者 material entities】の収集体。すなわち、M* = {x | Mx}。ここで、M = 物質的である〔material 質料的である〕である = 変化可能である、である。M*は一つの収集体であるから、物質は概念的であり、物質的ではない。つまり、個々の対象だけが、物質的であり得る。対照的に、物質的存在者から構成されるいかなるシステムも、社会から宇宙まで、物質的である。注意:物質 ≠ 質量。実際、質量は、陽子とか電子といった、なんらかの物質的な物だけが持つ性質である。光子と重力子は質量を持たないと想定される。↑【E = mc2】。

 『それは物質である It is a matter』とは、それと指している対象が、物質的存在者であることを述べているが、物質とは、或る種類を括る、同定のためのカテゴリー(= 名義尺度の概念的存在者)であり、収集体の名称である。

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 生物学的分類においては、『それは、人である It is a man』(manの原義は、考える存在者ということであり、本来は性別は無い。しかし慣習的に男性であることも実際のところであるので、『It is a human』としてもよい)の<である is>は、むろん、左右が等価であることを示す等号ではなくて、集合論での記号で<∈>で表示されるような、『属する』である。

 生物学的に精確には、それ ∈ _Homo sapiens_。これは属員関係であって、(或る狭義での)部分全体関係ではない(ここのところを、同様に分岐学派は間違っているので、彼らのいわゆる分類は、分類ではない。少なくとも、当てにならず、また役立たない分類体系にしかならない。いくつかの基本的難点については、後述する)。したがって、過去、現在、そして存在するかもしれない?!未来の人々を全部足し合わせても、右辺のタクソンである_Homo sapiens_と同一になることはあり得ない。
 したがってまた一般に、或るタクソンを、それに属する個体や個体群あるいはなんらかの集団groupでもって定義することはできない。ついでに言えば、ここですでに、たとえば_Homo sapiens_という種タクソンが先立っていることがわかる(Mahner & Bunge 1997またはマーナ・ブーンゲ 2008を見よ)。

 『E = mc2』は、原子的結合を解いたときに解放されるエネルギー量がm x cの二乗に相当するという式であって、エネルギーが物体そのものであることを意味しない。これが、Bunge氏の主張するところである(要文献)。これについては、異論があるだろう(未調査)。物質不滅(質量保存則)→エネルギー不滅(エネルギー保存則)。しかしでは、エネルギーとはなんなのだろう? 等式ではなく、変換の<メカニズム>はどうなのか?