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《生命/生物、生活》を、システム的かつ体系的に、分析し総合し統合する。射程域:哲学、美術音楽詩、政治経済社会、秘教

作品とその設置環境

2010年02月03日 00時31分30秒 | 美術/絵画
作品とその設置環境
 平面作品であれ立体作品であれ、その鑑賞は作品が置かれた周囲の状況にも依存する。音楽の場合では、大きな雑音が良く発生するとか駅構内なので、ときおり列車案内が入るとかがある場合、それらを勘案した展示(演奏)の仕方や、さらには作品自体も検討することになる。美術作品でも同様である。「ミニマリズム以後、空間全体を作品として提示するインスタレーションという形式が現代美術の手法として一般化し」、美術家は、「作品の周囲の空間を強く意識するようになった」(鷲田めるろ.井上有一展示問題.http://www.artgene.net/dictionary/cat11/post_565.html .受信:2010年2月3日)と言われる。すると、美術作品の境界はどこにあるのか。
 作品物体が明確な場合でも、鑑賞者が鑑賞するときに及ぼす効果は、その鑑賞者の様々な環境条件に左右される。美術館は、鑑賞のための一応の基準を満たしているだろう。ところが、或る物体が広大な暗い空間に置かれている場合と、狭くて天井の低い明るい空間に置かれている場合とでは、見え方や、音も出す作品では周囲の音条件によって異なってくる。作者がその作品のもくろみから、提示の仕方も指定するべきだと考え、さらにはその環境も作品を構成すると考えるかもしれない。この場合は、作品の境界は作品物体よりも広がる(関連することを挙げれば、Mark Rothkoがシーグラム壁画の契約を破棄したのは、その環境条件が合わないと判断したためとされている)。
  作品の境界=当初作品物体の境界+その環境
 これはさらに入れ子状になり得る。
 したがって、作品の境界は、作者の主観的なもの、あるいは鑑賞者の主観に依存したものになる。では(客観的な、あるいは主観的な)測定はどうすればよいだろうか? 
  1. 作品物体が認識できる場合、その中心位置を決定する。
  2. 作品物体からの『力』の種類と程度(=方向と強度)を中心位置からの距離の関数として決定する。たとえば、絵画を見る位置と様々な力(の種類と程度)との関係を測定する。或る個人(の諸性質)とその人が受け取る力を距離との関係で測定する。

 これを逆様にしたい作者もいるだろう。鑑賞者を中心にして、ほとんどまたはまったく周囲を作品で覆うという展示形態である。やや開放的な空間としては、入り靴のある広い室内の四方に大きな絵画を掲げるとか、部屋中に多数の立体を置いたり吊るしたりするという展示である。もっとも、要素数が2つ以上であれば、(とりわけ作者が組み作品だとしている場合は)展示位置の関係も含めての全体が一つの作品である。

 アフォーダンス?