2014年8月8日-4
面色とフォンタナ/フォンタナ作品の美[草稿]
フォンタナの切り裂き作品は、美しい。
フォンタナの穴作品は、美しくない。
フォンタナの引っ掻き筋作品は、美しくない。
物が存在せず、空間の隙間が存在している、という状態の提示。
めくれ具合が自然である。
切り裂きも、自然的である。
切り裂きに覗く黒は面色か?
「金属板やキャンヴァスに、刃物で切りつけたような、そしてあるときは、機関銃で連続的にうち抜いたようなフォンタナの穴は、〔略〕その黒い穴は、まさに開口色であって、絵具で塗られた黒とは異なっている面色であり、測色をする人がよく使う〈穴色〉である。」
(川添泰宏 1996/2: 63頁)。
「フォンタナはキャンヴァスに完全な開口色(穴色)による〈面色(平面色)〉をつくった。
そして、面色的様相はダヴィッド・カッツがいうように、物体につきあたるような表面色ではなく、空の色のように柔らかく、いわば大気のように突き通すことのできるような柔らかさをもっている。」
(川添泰宏 1996/2: 75頁)。
木村重信.1967/3/25.現代絵画の解剖[SD選書 14].230pp.鹿島研究所出版会.[650円][B20120605、500円*][Rh20130828][229頁でフォンタナ作品に言及。]
滝口修造(解説).1964/10/30.フォンタナ[現代美術 25].93pp.みすず書房.[滝口修造「フォンタナの洞窟」.月報:1-3.][500円][[B20140629、3,400+257=3,657円amz]
===
篠原資明.2013/4/30.差異の王国――美学講義――.1+3+133pp.晃洋書房.[1,500円+税][B20140628、1,620円]
「型破りな芸術〔の〕〔略〕わかりやすい例として、ルーチョ・フォンタナ〔略〕による「空間概念-期待」シリーズが挙げられるでしょう。キャンバスを切り裂いたこのシリーズは、〔略〕絵とはキャンバスの表面上に描かれるものだという通念からの離反が、ここには明らかに見いだされるのです。」
(篠原資明 2013/4: 93)。
「切り口のひとつひとつが、期待を表わします。何への期待でしょうか。おそらくは画面を突き抜けた向こうへの期待でしょう。フォンタナは、画面上に構築される絵画空間にかえるに、切り口をとおしてうかがわれる画面の向こうの空間をもってしようとしたのです。」(篠原資明 2013/4: 93)。
「フォンタナの「空間概念-期待」シリーズであれば、そのほとんどのキャンヴァスがモノクロームの平塗りになっています。白なら白が、緑なら緑が単一彩色でむらなく塗られているわけですね。だからこそ、切り裂かれた跡もくっきりと際だって見えることになります。」
(篠原資明 2013/4: 94-95)。
「フォートリエに代表されるアンフォルメル絵画に対して、「空間概念-期待」シリーズは、そのすっきりとしたモノクロームの色面を対峙させたのです。」
(篠原資明 2013/4: 95)。
===
===
[×]クルターマン,ウード. 1987(神林恒道・太田喬夫訳 1993.10).芸術論の歴史.xix+324+xxxxv pp.勁草書房.[260-261頁にはフォンタナ作品への言及は無い]
[×]多木浩二・藤枝晃雄(監修)/尾崎信一郎・塩谷純・高島直之・林洋子・古田亮・松本透・山梨絵美子(編).2007/9/10.日本近現代美術史事典.32+655pp.東京書籍.[9,500+税=10,260円][B20140401、消費税という名の文化抑圧の税率が8%になった日、東京藝術大学売店にて][索引の「フォンタナ」で挙げられている「103, 278, 286, 292」は、103頁だけが正しい。残余の各頁には「フォンタネージ」があるのみ。「フォンタネージ」としては、「286,292」が抜けている。][→針生一郎1979『戦後美術盛衰史』でフォンタナに言及]
□ 文献 □
[か]
川添泰宏.1996.色彩の基礎 芸術と科学.美術出版社.
[本体価格3,500円+税][B20140709、600+257=857円amz][Rh20140713]
[こ]
小町谷朝生.1987/9/30.色彩のアルケオロジー.iii+280pp.勁草書房.[定価2,200円][B20140712、351+257=608円amz][こまちや あさお]
[と]
*東野芳明.1962/1.ルチオ・フォンタナ.みずゑ (1962/1): ??-??.[とうのよしあき]
[ふ]
布施英利.2013/12/20.色彩がわかれば絵画がわかる.220pp.光文社[新書].[900円+税][B20140628、972円]
[み]
峯村敏明(監修/著).1992.ルーチョ・フォンターナ展――切り裂かれた空間. 167pp.読売新聞社.[B20140714、500+300=800円]
[む]
村田純一.2002/11/28.色彩の哲学[双書 現代の哲学].viii+267+6pp.岩波書店.[本体2,900円+税][B20140712、351+257=608円amz]
[よ]
吉川あゆみ.2009/12/1.高校教科書×美術館(高等学校 美術/工芸) <No.006>「空間概念 期待」 ルチオ・フォンタナ作 高校美術教科書「美・創造へ1」P25掲載 大原美術館蔵.http://www.nichibun-g.co.jp/column/education/k-bi-museum/k-bi-museum006/[受信:2014年6月28日。][「赤く塗り込めたキャンヴァスに、軽やかな曲線をえがく三筋の切れ目」/大原美術館蔵]
面色とフォンタナ/フォンタナ作品の美[草稿]
フォンタナの切り裂き作品は、美しい。
フォンタナの穴作品は、美しくない。
フォンタナの引っ掻き筋作品は、美しくない。
物が存在せず、空間の隙間が存在している、という状態の提示。
めくれ具合が自然である。
切り裂きも、自然的である。
切り裂きに覗く黒は面色か?
「金属板やキャンヴァスに、刃物で切りつけたような、そしてあるときは、機関銃で連続的にうち抜いたようなフォンタナの穴は、〔略〕その黒い穴は、まさに開口色であって、絵具で塗られた黒とは異なっている面色であり、測色をする人がよく使う〈穴色〉である。」
(川添泰宏 1996/2: 63頁)。
「フォンタナはキャンヴァスに完全な開口色(穴色)による〈面色(平面色)〉をつくった。
そして、面色的様相はダヴィッド・カッツがいうように、物体につきあたるような表面色ではなく、空の色のように柔らかく、いわば大気のように突き通すことのできるような柔らかさをもっている。」
(川添泰宏 1996/2: 75頁)。
木村重信.1967/3/25.現代絵画の解剖[SD選書 14].230pp.鹿島研究所出版会.[650円][B20120605、500円*][Rh20130828][229頁でフォンタナ作品に言及。]
滝口修造(解説).1964/10/30.フォンタナ[現代美術 25].93pp.みすず書房.[滝口修造「フォンタナの洞窟」.月報:1-3.][500円][[B20140629、3,400+257=3,657円amz]
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篠原資明.2013/4/30.差異の王国――美学講義――.1+3+133pp.晃洋書房.[1,500円+税][B20140628、1,620円]
「型破りな芸術〔の〕〔略〕わかりやすい例として、ルーチョ・フォンタナ〔略〕による「空間概念-期待」シリーズが挙げられるでしょう。キャンバスを切り裂いたこのシリーズは、〔略〕絵とはキャンバスの表面上に描かれるものだという通念からの離反が、ここには明らかに見いだされるのです。」
(篠原資明 2013/4: 93)。
「切り口のひとつひとつが、期待を表わします。何への期待でしょうか。おそらくは画面を突き抜けた向こうへの期待でしょう。フォンタナは、画面上に構築される絵画空間にかえるに、切り口をとおしてうかがわれる画面の向こうの空間をもってしようとしたのです。」(篠原資明 2013/4: 93)。
「フォンタナの「空間概念-期待」シリーズであれば、そのほとんどのキャンヴァスがモノクロームの平塗りになっています。白なら白が、緑なら緑が単一彩色でむらなく塗られているわけですね。だからこそ、切り裂かれた跡もくっきりと際だって見えることになります。」
(篠原資明 2013/4: 94-95)。
「フォートリエに代表されるアンフォルメル絵画に対して、「空間概念-期待」シリーズは、そのすっきりとしたモノクロームの色面を対峙させたのです。」
(篠原資明 2013/4: 95)。
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[×]クルターマン,ウード. 1987(神林恒道・太田喬夫訳 1993.10).芸術論の歴史.xix+324+xxxxv pp.勁草書房.[260-261頁にはフォンタナ作品への言及は無い]
[×]多木浩二・藤枝晃雄(監修)/尾崎信一郎・塩谷純・高島直之・林洋子・古田亮・松本透・山梨絵美子(編).2007/9/10.日本近現代美術史事典.32+655pp.東京書籍.[9,500+税=10,260円][B20140401、消費税という名の文化抑圧の税率が8%になった日、東京藝術大学売店にて][索引の「フォンタナ」で挙げられている「103, 278, 286, 292」は、103頁だけが正しい。残余の各頁には「フォンタネージ」があるのみ。「フォンタネージ」としては、「286,292」が抜けている。][→針生一郎1979『戦後美術盛衰史』でフォンタナに言及]
□ 文献 □
[か]
川添泰宏.1996.色彩の基礎 芸術と科学.美術出版社.
[本体価格3,500円+税][B20140709、600+257=857円amz][Rh20140713]
[こ]
小町谷朝生.1987/9/30.色彩のアルケオロジー.iii+280pp.勁草書房.[定価2,200円][B20140712、351+257=608円amz][こまちや あさお]
[と]
*東野芳明.1962/1.ルチオ・フォンタナ.みずゑ (1962/1): ??-??.[とうのよしあき]
[ふ]
布施英利.2013/12/20.色彩がわかれば絵画がわかる.220pp.光文社[新書].[900円+税][B20140628、972円]
[み]
峯村敏明(監修/著).1992.ルーチョ・フォンターナ展――切り裂かれた空間. 167pp.読売新聞社.[B20140714、500+300=800円]
[む]
村田純一.2002/11/28.色彩の哲学[双書 現代の哲学].viii+267+6pp.岩波書店.[本体2,900円+税][B20140712、351+257=608円amz]
[よ]
吉川あゆみ.2009/12/1.高校教科書×美術館(高等学校 美術/工芸) <No.006>「空間概念 期待」 ルチオ・フォンタナ作 高校美術教科書「美・創造へ1」P25掲載 大原美術館蔵.http://www.nichibun-g.co.jp/column/education/k-bi-museum/k-bi-museum006/[受信:2014年6月28日。][「赤く塗り込めたキャンヴァスに、軽やかな曲線をえがく三筋の切れ目」/大原美術館蔵]