2016年6月24日-1
システム的接近、システム主義(3)
システム理論の文献によく見られるシステムの定義を、三つ挙げれば次の通りである。
D1 システムとは、一つの全体として振る舞う集合であるか、または事項の収集体である。
D2 システムとは、構造化された集合または集合体である。
D3 システムとは、或る類いの事項の集合についての二項関係である。たとえば、黒箱〔ブラックボックス〕における入力と出力の対である。
これらの定義のいずれも、科学的目的のためには適さない。D1は、欠陥がある。なぜなら、(a)収集体が一つの単位として振る舞うようにしている特徴、つまり創発的性質を指し示していないからである。また、(b)「集合」を「収集体」と同じとしているのは、誤りである。なぜなら、集合は概念であり、それらの構成は完全に固定されている。ところが、生物種といった、具体的収集体または集合体 aggregate は、時間とともに変化する。D2は誤りではないが、不完全である。システムの構造を、すなわち、構成者たちを一緒にしておく関係の収集体を、特定するのに失敗している。そしてD3も、不備である。なぜなら、それは黒箱についてだけ成立するからである。それは、複雑な物質的物の最も粗い表象であり、さらに、システムは外的刺激に応答してのみ変化すると仮定する定義だからである。実際は、内的諸力は少なくとも同等に重要である。
これらの異議のゆえに、システムを構造化された対象として、自らの定義を前に提案したのであった。この代替の定義は正しいが、それでも、まだまだ粗すぎる。なぜなら、システムの環境と機構を含むことに失敗しているからである。次の特徴づけは、CESMモデルと呼ばれ、もっと包括的である。それは、いかなるシステム_s_も、所与の時点で、四つ組とひてモデル化できる。
ミュウ(s)=〈C(s), E(s), S(s), M(s)〉
ここで、
C(s)=構成:sのすべての部分の収集体;
E(s)=環境:sのいくつかのまたはすべての構成要素に作用するか作用される事項〔むしろ物項と訳すべきか。または項目〕の収集体。ただし、sにおけるそのように事項は除く;
S(s)=構造:構成要素の間の諸関係、または構成要素とsの環境E(s)における事項との間の諸関係、とりわけ諸結合;〔←原文のピリオドは、;の間違いに違いない〕
M(s)=機構:sがそのように振る舞うようにする、sにおける諸プロセスの収集体。
例1。2個の成員〔属員〕からなる半群、
C(s)=これといった特徴のない要素 aとb の集合;〔改行されずに続くが、見やすいように改行した。また、例毎でも改行した。〕
S(s)=連結(a○+b、b○+a、a○+a、b○+b、a○+b○+a、そしてb○+a○+b);
E(s)=述語論理;
M(s)=空集合。
例2。一つの文は、一つの(記号的)システムである。というのは、いくつかの語を連結することの結果であるから。
例3。一つの本文 a text は、システムであるかもしれないし、システムでないかもしれない。そのことは、その構成要素の表現がなんらかの仕方で「つじつまが合う」かどうか、つまり、同じ主題に言及しているかのか、あるいは含意の関係によって繋がっているかどうかに、依存する。
例4。一つの原子。ここで、
C(s)=構成物である粒子と関連する場;
E(s)=その原子が相互作用する相手となる物たち(粒子と場);
S(s)=その原子をくっつけておく場と、加えてその環境における諸事項との相互作用;
M(s)=光の放出と吸収、組み合わせ、など。
例5。一つの言語的社会。ここで、
C(s)=同じ言語を話す人々の収集体;
E(s)=その言語が使われる(諸)文化;
S(s)〔原文のC(s)は、誤植に違いない〕=言語的通信〔コミニュケーション〕関係の収集体;
M(s)=記号 symbols の生産、伝送 transmittion、受け取り reception。
例6。会社 a firm。ここで、
C(s)=社員と経営陣;
E(s)=市場と政治体制 govenment〔政府〕;
S(s)〔ここでも、原文のC(s)は誤植に違いない〕=会社の構成員の間の仕事関係、そして会社構成員とその環境との仕事関係;
M(s)=会社の生産物で終わる諸活動。
最後に、例7。システムたちではないものの福袋。すなわち、構造を欠いた、不特定の要素の任意の〔恣意的な arbitrary 〕集合。一つ以上の言語から出鱈目に選び取られた記号の任意的収集体、分解された機械の部品の山〔積み重ね〕、世界全域に移動してしまった人たちから成る、大家族または村。
次の点に注意されたい。第一に、収集体は不変の成員性〔属員性〕を持つかもしれないし持たないかもしれない。持たない場合にのみ、集合と呼ばれる。具体的システムは常に流転しているから、構成は時を経て変化し得る。自然言語とか言語的共同体のことを考えてほしい。第二に、一全体としての宇宙を除いて、あらゆるものは、それが相互作用する環境を持っている。第三に、「結合 bond」(またはその同義語である「結び tie」)は、関係項〔複数〕relata になんらかの相違を生じる関係を表わす。たとえば、一つの相互作用は、一つの結合である。他方、より大きいとか、左側であるという関係は、結合ではない。第四に、システムの構造は、二つに分割し得る。すなわち、(a)_内部構造 endostructure_、つまりそのシステムの成員間の結合の収集体、そして(b)_外部構造 exsotructure_、つまりシステム構成要素と環境事項との間の結合の収集体である。システムの外部構造は、特に重要な二つの事項を含んでいる。すなわち、_入力 input_と_出力 output_である。入力は、環境項目のシステムへの作用の収集体であるが、出力は、システムのその環境への作用である。入力と出力だけを含むシステムモデルはどれも、黒箱 black box と呼ばれる。入力と出力だけを含むシステムモデルはどれも、黒箱 black box と呼ばれる。他方、外的構造と機構を表わし〔表象し represent〕もするモデルは、透明箱モデルと呼ばれてもよい。
システム的接近、システム主義(3)
システム理論の文献によく見られるシステムの定義を、三つ挙げれば次の通りである。
D1 システムとは、一つの全体として振る舞う集合であるか、または事項の収集体である。
D2 システムとは、構造化された集合または集合体である。
D3 システムとは、或る類いの事項の集合についての二項関係である。たとえば、黒箱〔ブラックボックス〕における入力と出力の対である。
これらの定義のいずれも、科学的目的のためには適さない。D1は、欠陥がある。なぜなら、(a)収集体が一つの単位として振る舞うようにしている特徴、つまり創発的性質を指し示していないからである。また、(b)「集合」を「収集体」と同じとしているのは、誤りである。なぜなら、集合は概念であり、それらの構成は完全に固定されている。ところが、生物種といった、具体的収集体または集合体 aggregate は、時間とともに変化する。D2は誤りではないが、不完全である。システムの構造を、すなわち、構成者たちを一緒にしておく関係の収集体を、特定するのに失敗している。そしてD3も、不備である。なぜなら、それは黒箱についてだけ成立するからである。それは、複雑な物質的物の最も粗い表象であり、さらに、システムは外的刺激に応答してのみ変化すると仮定する定義だからである。実際は、内的諸力は少なくとも同等に重要である。
これらの異議のゆえに、システムを構造化された対象として、自らの定義を前に提案したのであった。この代替の定義は正しいが、それでも、まだまだ粗すぎる。なぜなら、システムの環境と機構を含むことに失敗しているからである。次の特徴づけは、CESMモデルと呼ばれ、もっと包括的である。それは、いかなるシステム_s_も、所与の時点で、四つ組とひてモデル化できる。
ミュウ(s)=〈C(s), E(s), S(s), M(s)〉
ここで、
C(s)=構成:sのすべての部分の収集体;
E(s)=環境:sのいくつかのまたはすべての構成要素に作用するか作用される事項〔むしろ物項と訳すべきか。または項目〕の収集体。ただし、sにおけるそのように事項は除く;
S(s)=構造:構成要素の間の諸関係、または構成要素とsの環境E(s)における事項との間の諸関係、とりわけ諸結合;〔←原文のピリオドは、;の間違いに違いない〕
M(s)=機構:sがそのように振る舞うようにする、sにおける諸プロセスの収集体。
例1。2個の成員〔属員〕からなる半群、
C(s)=これといった特徴のない要素 aとb の集合;〔改行されずに続くが、見やすいように改行した。また、例毎でも改行した。〕
S(s)=連結(a○+b、b○+a、a○+a、b○+b、a○+b○+a、そしてb○+a○+b);
E(s)=述語論理;
M(s)=空集合。
例2。一つの文は、一つの(記号的)システムである。というのは、いくつかの語を連結することの結果であるから。
例3。一つの本文 a text は、システムであるかもしれないし、システムでないかもしれない。そのことは、その構成要素の表現がなんらかの仕方で「つじつまが合う」かどうか、つまり、同じ主題に言及しているかのか、あるいは含意の関係によって繋がっているかどうかに、依存する。
例4。一つの原子。ここで、
C(s)=構成物である粒子と関連する場;
E(s)=その原子が相互作用する相手となる物たち(粒子と場);
S(s)=その原子をくっつけておく場と、加えてその環境における諸事項との相互作用;
M(s)=光の放出と吸収、組み合わせ、など。
例5。一つの言語的社会。ここで、
C(s)=同じ言語を話す人々の収集体;
E(s)=その言語が使われる(諸)文化;
S(s)〔原文のC(s)は、誤植に違いない〕=言語的通信〔コミニュケーション〕関係の収集体;
M(s)=記号 symbols の生産、伝送 transmittion、受け取り reception。
例6。会社 a firm。ここで、
C(s)=社員と経営陣;
E(s)=市場と政治体制 govenment〔政府〕;
S(s)〔ここでも、原文のC(s)は誤植に違いない〕=会社の構成員の間の仕事関係、そして会社構成員とその環境との仕事関係;
M(s)=会社の生産物で終わる諸活動。
最後に、例7。システムたちではないものの福袋。すなわち、構造を欠いた、不特定の要素の任意の〔恣意的な arbitrary 〕集合。一つ以上の言語から出鱈目に選び取られた記号の任意的収集体、分解された機械の部品の山〔積み重ね〕、世界全域に移動してしまった人たちから成る、大家族または村。
次の点に注意されたい。第一に、収集体は不変の成員性〔属員性〕を持つかもしれないし持たないかもしれない。持たない場合にのみ、集合と呼ばれる。具体的システムは常に流転しているから、構成は時を経て変化し得る。自然言語とか言語的共同体のことを考えてほしい。第二に、一全体としての宇宙を除いて、あらゆるものは、それが相互作用する環境を持っている。第三に、「結合 bond」(またはその同義語である「結び tie」)は、関係項〔複数〕relata になんらかの相違を生じる関係を表わす。たとえば、一つの相互作用は、一つの結合である。他方、より大きいとか、左側であるという関係は、結合ではない。第四に、システムの構造は、二つに分割し得る。すなわち、(a)_内部構造 endostructure_、つまりそのシステムの成員間の結合の収集体、そして(b)_外部構造 exsotructure_、つまりシステム構成要素と環境事項との間の結合の収集体である。システムの外部構造は、特に重要な二つの事項を含んでいる。すなわち、_入力 input_と_出力 output_である。入力は、環境項目のシステムへの作用の収集体であるが、出力は、システムのその環境への作用である。入力と出力だけを含むシステムモデルはどれも、黒箱 black box と呼ばれる。入力と出力だけを含むシステムモデルはどれも、黒箱 black box と呼ばれる。他方、外的構造と機構を表わし〔表象し represent〕もするモデルは、透明箱モデルと呼ばれてもよい。