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共同体についての、ニッチ集成的見方と分散集成的見方

2010年05月31日 00時36分14秒 | 生態学
2010年5月31日-1
共同体についての、ニッチ集成的見方と分散集成的見方

 〔〕内は、注釈である。assemblyは、組み立てという意味が近いし、わかりやすいと思うが、漢字二文字と短くて済む、集成としたい。集合としないのは、数学での集合 setと紛らわしいからである。Hubbellの文においても、種とはその種に属する生物体のことである。
 共同体〔群集〕をどう捉えるかは、様々な対立点がある。一つは平衡と非平衡である[論じられている時間と空間のスケールはどれくらいかに留意せよ]。
  ニッチ集成〔組み立て〕的見方 niche-assembly perspective

  分散集成的見方 niche-assembly perspective
は、そのことと関連する。

 ニッチ集成的見方とは、
  「群集〔共同体〕は相互作用する種〔=なんらかの種に属する生物体〕の集まり〔収集体〕であって、種の在ー不在や相対個体数が、それぞれの種の生態的ニッチや機能に基づく「集合規則〔集成規則〕[assembly rules]から導き出される。この見解によれば、相互作用の平衡において群集中の種は共存することができる。……ニッチ集合する群集では、有限な資源に対する種間競争やその他の生物的相互作用にって、群集中に存在する種と存在しない種が決定され、構成種が制限される。」(Hubbell 2001; 訳書 23頁)。

 分散集成的見方とは、
  「群集は、歴史やランダムな分散によって偶然集まった種からなる開放的で非平衡な集団であるとされる。種は入れ替わり、種の在ー不在はランダムな分散と確率論的な局所的絶滅によって決まる。」(Hubbell 2001; 訳書 23頁)。

文献
Hubbell, S.P. 2001. The Unified Neutral Theory of Biodiversity and Biogeography. xiv+375pp. Princeton University Press. [Hubbell, Stephen P. (平尾聡秀・島谷健一郎・村上正志訳 2009.4)『群集生態学:生物多様性学と生物地理学の統一中立理論』.327pp.文一総合出版.]

大串隆之・近藤倫生・難波利幸(編).2009.8.生物間ネットワークを紐とく.xvi+328pp.京都大学学術出版会.[ISBN: 9784876983452][シリーズ群集生態学3]