ブログ仙岩

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大石邦子の海に向ってを読んで

2021-04-04 04:53:25 | 旅行
先日、完全自粛中の私に、友人郡山のカメラマン・須賀武継さんの最新刊「浜通り」のプレゼントがあった。
私は何気なく表紙をめくって、一瞬息をのんだ。見開きの何と美しい海!あまりの美しさに涙が出そうになった。
ここに収められている全ての写真は、3.11震災前の浜通り・13市町村の景色なのだという。いや景色ばかりでなく、四季の行事や、今となれば悲しい人々の姿も写っている。
しかし、美しさに魅せられて写真を撮り続けた須賀さんも、まさか数年後、あの震災に襲われようとは夢にも思っていなかっただろう。
あれから10年、写真に生きる故郷を被災地の人々に見せてあげたい。どんなに懐かしく、悲しく、あるいは元気を取り戻せるかもしれない。
一人で出歩けない地理に疎い私は、「民報年鑑ふくしま365日」の別冊情報誌で、北は新地町から南はいわき市まで、浜通り13市町村を覚えた。
コロナが治まったら、一度祈りを以って浜通りの海をめぐってみたい。大和田新さんから、震える思いで、若い命を終えた人々の最後の姿も知らされた。何もできなかった私はもどかしかった。
一度、あの海に向って掌を合わせたいとずっと思ってきた。この写真集を見て、その思いはさらに募った。友人が必ず連れて行ってやると言ってくれた。私は友人がいなければ生きてゆけない。
その被災地の住民として、会津の方がこれほどまでの思いでいてくれることに感謝であり、目の前に迫る津波は昨日のように思われる。津波にのまれて助かった人、姪のように亡くなった人の苦しみは計り知れない。あと10年後にはどうなっているのか。