<ファン・ミエの事情①>
実はミエは心の中で、いつもキム・チョルに話し掛けている。
[チョル、話があるの]
それはチョルに秘密を持った時からずっとだ。
例えば図書館に向かうために乗ったバスの中。
「お前、塾の宿題・・量も多かったけど、難しくなかったか?」
・・とは言えずに、ミエは近況を心の中でチョルに話す。
[ジョンウクに度々聞いてみてる。アンタの友達勉強も出来るし、本当に親切だよね。
「もう分かった?」 「うん!」
チョルの友人、パク・ジョンウクはとっても親切に宿題を教えてくれた。
親切すぎて、ちょっと戸惑うこともあるくらい。
[とにかく、ジョンウクにだけずっと聞いてるわけじゃなくて]
ミエは一応この人にも聞いてみた。
「宿題?嫌ーだね」
「おい、俺はお前のために時間作ってサッカー教えてやってんのに、
ベ・ホンギュは舌打ちしながらそう言って、
サッカー授業料としてミエが納めているパンを掴み取った。
「あー!またピ◯チュウかよぉ!他の持ってこいよ!」
パンについているシールがピ◯チュウだと分かると、ホンギュはパンを地面に放った。
ミエは信じられない思いでそのパンを拾う。カルチャーショックである。
「んで、そろそろサッカーも終わりな!」「えぇ?!」
「キム・チョルに言わずにこんなことしてんのもなんだし」
[てかアンタの友達マジでやな奴・・アンタよりずっと]
ホンギュも相当だが、
たまにはチョルに言われた心無い言葉を思い出したりして、少しムカつくこともある。
けれどその後思い出すのは、なんだかんだ優しい彼の一面が見えた時のことだ。
バスに乗っていて、急ブレーキが掛かった時。
下に落ちた財布を拾ってくれた時。
「カバンに入れろカバンに!」
[うん、アンタも最近そんなにやな奴じゃないと思うよ]
そういうぶっきらぼうな優しさに触れるたび、嫌な思いは払拭されて行った。
[とにかく]
とにかくファン・ミエはキム・チョルに頼らずに、何とかしようと頑張っているところなのだ。
第三十七話②でした。
あっ!いつかの細かいクラブでクリームパンみたいになってた財布が・・
直ってるー!
なんかもうパンにしか見えず、なんならメロンパンみたいに見えてきちゃう・・
いや〜ちゃんと元どおりになってよかったです(何が?)
けどホンギュ、シールだけ取ってパン捨てるのはダメー!
ミエちゃんの貴重なお小遣いで買ったパン!(因縁のパン)
日本もカード付きチップスのポテチが捨てられる事件ありましたね・・
韓国もあったのかな・・と興味深いです。
第三十七話③に続きます