絶海の孤島を襲うアスベスト問題

今年になってから、アスベストが引き起こす健康問題が「再び」言われるようになった。
どこどこの建物にアスベストが使われているとか、あの工場では以前アスベストが生産されていたなど色んな報道が相次いだが、そもそもアスベストが有害だなんてことは以前から言われていたことであり、アスベストが原因と思われる死者が出る前に、もっと以前から対策を講じておいたら・・・と思わずにはいられない。

ところで、アスベスト問題で島民消滅の危機に瀕している島がある。

南大西洋にあるイギリス領トリスタン・ダ・クーニャ島。
この地図の「さうす、あとらんちぃっく、おーしゃん」の文字の下あたりにある島。

日本で売られている地図では大西洋全体を１枚の地図に載せることが少ないので、いざこの島を探そうとしても、なかなか見つけにくいし、もし見つかったとしても位置の見当がなかなかつかない。
アフリカの端にあったり、はたまた南極の地図の端にあったりする島だ。

この島に2001年の5月、ハリケーンが襲来した。
家々の屋根が吹き飛ぶなどの被害があったのだが、その際屋根に吹き付けていたアスベストが露出してしまったという。
これが日本ならば、専門の業者を呼んで作業をするところだがそこは絶海の孤島、数百人の島民総出でアスベストを吹き付けられた屋根材を直接片付けたという。
この島の住民の多くは数十年後中皮腫を発病する危険性を持っているわけであり、下手すればこの島は数十年後無人島になってしまうかもしれないという危機にあるわけである。

うう、恐ろしい話である。

ちなみにこの島には飛行場はなく、行くとすれば一年に数回寄航する貨物船に乗る必要があるらしい。
人間が常住する場所の中で、世界一行くのが難しい場所といえるトリスタン・ダ・クーニャ島。
機会があれば一度行ってみたいと思っていたりするのだが、変かな？