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江戸時代の源氏物語 見立てとやつし

2017-03-22 00:21:23 | 展覧会
宇治市源氏物語ミュージアムへ久しぶりに出向いた。

今回は企画展示が楽しみでやってきた。
「江戸時代の源氏物語 見立てとやつし」
主に源氏物語を元にした「田舎源氏」の絵が並んでいた。


元々の読本もある。いずれも挿絵は三世国貞。華麗な絵で光氏と女たちの逢瀬や出逢いを描いている。
衝立越しに女を口説いたり、大きな布団の中から顔を出す女と話したり、といろいろ。
みつうじは未通じではないのだ。

田舎源氏は時代を室町に置き換えているので、本のタイトルも足利がついたりするときもある。そこからわかるようにお家騒動が絡む筋立てでもある。



足利絹手染之紫、根源実紫、カラー表紙絵がついている。サイズはコミックスくらい。きれいなものです。

これで思い出すのは岡本綺堂の小説。
武家奉公していた娘が「梅こよみ」に夢中になり姫君も女中もみんなで熱烈なファンになった挙げ句に、というのがある。
貸本文化が行き渡っていた時代、多くの人が「梅こよみ」「田舎源氏」「八犬伝」などに夢中になっていたのだ。

室町源氏胡蝶巻 48点が出ていた。壮観な眺め。

今源氏錦絵合 55枚のうち38枚が出ていた。
須磨で殺されかける光氏、ぶちねこといる光氏、いろんなシーンが描かれている。サイズはA4くらい。
基本は源氏物語なのだが、そこがそれやはり江戸の作者の書く話だから、もうちょっと生臭くもなって、暗殺されかけたりなんだかんだとある。

俤源氏五十四帖 これは二世国貞と二世広重が競作したようだが、展示替えの都合でわたしがみたのは二世国貞のみ。二世広重といえば一ノ関圭「茶箱広重」を思い出す。

紫式部源氏かるた かるたと言うても手札のあれではなかった。二世国貞の大きめの絵のシリーズ。雷を怖がる様子や月光の差し込む座敷でいちゃつく様子とか。
なんでも光氏の楽しみになる。



義正側室藤の方・足利次郎君・稲舟姫 役者絵でもある。秋の様子で描かれていた。紅葉ハラハラ。

山城の国宇治の里茶園の風景 茶摘み茶摘み。

宇治川蛍狩り図 これも見立てものだが、けっこう螢そのものも大きく描かれ、夏の夜の楽しさが出ている。

本家の源氏物語の屏風などもある。岩佐又兵衛風な人物たちで、「松風・若菜下・若紫」の3シーンが描かれている。
大きな顔の仕丁と可愛い少年をみつけた。

田舎源氏の絵は昨秋たばこと塩の博物館での専修大学コレクション展でたくさん見たが、それらとはまた違うものが多く、いかにたくさんの作品が刊行されたかがよくわかる。
専大コレクションの感想はこちら


とても楽しい企画展だった。