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スピノザの診察室 夏川草介

今年の本屋大賞ノミネート作品。日本で最も先進的な医療を行なっている大学病院で将来を嘱望されながらある理由で町の総合病院に転職した主人公の日常を描いた作品で、大きな事件などは全くなく、それぞれの患者と向き合う際の医師たちの葛藤や、医師同士でかわす医療についての議論が続く。読んでいて感じるのは、とにかく医師を取り巻くものの多様性だ。医師達の目指すものや倫理観も色々なら、医師と対峙する患者の求めるものも色々、医師に活躍の場を提供する病院、患者と向き合う看護師、ソーシャルワーカーといった関係者も色々だ。「神様のカルテ」以外の著者の作品を読むのは初めてだが、エンタメ色を完全にそぎ落とし医師の内面のみに焦点を当てた本書は、終末医療を行う医師の葛藤などこれまで考えたことのない様々な課題について考えさせられる一冊だった。(「スピノザの診察室」 夏川草介、水鈴社)
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