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春から夏、やがて冬 歌野晶午

著者の本は、既に何冊か読んでいるが、いずれもどこに着地するのか最後の最後まで判らないというものが多かった。本書も、それほどトリッキィという訳でもないのだが、よくある泣ける小説とか予定調和的な話に慣れた自分のような読者には、ある意味意外すぎる結末だ。実際に起きた「現実」と登場人物たちにとっての「真実」の違いというものを、ここまで感じさせる話も珍しい気がする。それこそがこの小説の真骨頂なのだろう。著者の本はまだまだ未読の作品が多い。これからまだまだ何冊も楽しめるというのは本当に有難いことだと思う。(「春から夏、やがて冬」 歌野晶午、文春文庫)

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