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誤解だらけの日本美術 小林泰三

現在残っている美術品を様々な観点から考察し、作られた当時の姿を再現してみると、何が言えるか?再現にあたっては、色々な想像を巡らせるので、これが絶対に確かだというものではないが、新しく現れた姿は予想以上に色々なことを、それを見る私たちに語りかけてくる。その想像を目巡らせる過程と、雄弁に語りだす美術品、その2つが非常にスリリングでもあり面白くもある。千年以上の時を経て朽ちそうな仏像や建物が、製作当時は極彩色だったというのは良く聞く話だが、元の色や形を復元することによって、作品本来の意味や当時の見方が分かることもあるし、逆に作品創作の意図から復元の仕方が変わることもある。キトラ古墳の話はその前者の例であり、銀閣寺の話は後者の典型と言えるだろう。それにしても、本書には銀閣寺の写真が たくさん使われているか、「京都ぎらい」を読んだすぐ後なので、本書を刊行した出版社は銀閣寺にいくら支払ったのかが大変気になった。(「誤解だらけの日本美術」 小林泰三、光文社新書)

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