平成中村座へ「四月大歌舞伎~小笠原騒動」を観に行った。平成中村座へは昨年の11月以来、2回目である。
【みどころ】『小笠原騒動』を通し狂言としてご覧いただきます。1999年に南座で復活上演を果たし、東京、名古屋、福岡と全国で喝采を浴び、いよいよ平成中村座にやってきます。実際に起こった御家騒動をもとに明治14年に書き下ろされたこの作品は、善悪入り乱れてのスピード感あるストーリー、スペクタクルな演出が魅力の熱いお芝居です。平成中村座の密な空間で体感する熱気あふれる大騒動にご期待ください!
今にも泣き出しそうな天気の中、隅田公園で満開になった桜のカーテンの間からひょっこり見えるスカイツリーを楽しみながら、平成中村座へと向かう。観光バスが入口付近に何台も停車していて、入口はかなり混雑していた。今回の席は花道の真横で、分厚い座布団が二枚敷かれ、前向きに一列ずつと言う「がぶりつき」の席であった。ただこの席だと演者のお尻ばかりを見ることになり、なかなか表情まで見えないのが難点ではあるが、臨場感は抜群で、もしも演者が落下した時に備えて、いつでも両手で支えられるようにと準備は怠らない。
最後の方でようやく勘三郎が登場すると館内は割れんばかりの拍手で包まれ、絶大なる存在感を示した。内容は比較的分かり易いもので「だって自分の蒔いた種だもんね~」といつもながらの感想だったが、今回二役を演じる演者が複数名いたこともあり、人間関係や細部が私には少々難解だった。また平成中村座と言えば舞台後方が開く「借景」がみどころのひとつで、前回は二階席だった為、直接目にする事は出来なかったが、今回は一階席なので期待していた。第一部の「法界坊」ではご覧の通りスカイツリーとの「共演」が見られたそうだ。今回の第二部ではどんな風景となるのだろうか?と思っていると・・・無かった・・・嘘ぉ~ん・・・
会場を出る頃には雨が降っていて、隅田公園の桜のカーテンが桜の絨毯になっていた。来月で閉幕する平成中村座。いつかもう一度行きたいものである。いつまでもつまらない意地を張っていないで解説イヤホンを借りるべきじゃないかと考えつつ・・・