山形県手をつなぐ育成会 日々徒然なること

育成会の事、関係ないことも勝手につぶやきます

舞台「くちづけ」再上演 悶々とした頭のなかで・・・

2015年10月07日 | 日記
2年前に山形でも公開された映画「くちづけ」
もともと舞台で上演されたものでしたが、ここにきてまた舞台で上演されるようです。


人として許されない選択をしてしまうクライマックスシーンなので賛否両論ありましたし、
映画とはいえ、育成会としても大手を振ってお勧めできるものではありませんでした。
サービス提供側の男性陣からは「腹が立って仕方がなかった」という感想も出ていたほどです。
ですが、当事者家族としてはとても気になってしまう内容であることは間違いありませんでした。

なぜ、私がまた再上演の情報を知ったのかというと、ある人の話を聞いたのがキッカケでした。
障害者サービスが全くなかった昔の話ではなく、いろいろなサービスが選択できるようになっている現在でも、
自らサービスを遠ざけ、親と障がいのある子だけで家にこもってしまうかもしれない
という危険をヒシヒシと感じました。

サービス提供事業所を利用していて、まいにち事業所に通っているわが子。
最近、なんだかしょっちゅう不安定になっているわが子。
時々パニックをおこして支援員や他の利用者に迷惑をかけてしまっているわが子。

「自分の子が他人に迷惑をかけているのが申し訳ない、なんとかしなくちゃ」
「もし、今の事業所から、あなたのお子さんを支援することは無理です、なんていわれたらどうしよう」
「今の事業所に行くよりも、私と家で過ごしていた方が安心できるのかもしれない(誰にも迷惑をかけずに済む)」
親の性格にもよるのかもしれませんし、親のその時の精神状態が影響するのかもしれませんが、
どんどん気持ちが内向きになっている言葉が出てきていました。

同じ立場の親としては、その気持ちは痛いほど理解できます。
わが子が他人に迷惑をかけていると告げられたらとても胸が苦しくなります。
でもここで「そうだね、事業所をやめて家にいた方が子どもも安定するかもね」
なんていうことを言ったらどうなりますか?
2.3年前に頻繁にニュースになった「障がい者家族の孤立」が、現実的になってしまいます。
それこそ、誰にも迷惑をかけられないから、と思い詰めて「くちづけ」のような
結論を選んでしまうことだって絶対に無いとは言えません。

私はあえて「ダメダメ!そんなことしたら昔に逆戻りしちゃうよ」
「パニックを起こすという事は、そこに原因があるという事だもの、原因を取り除いてもらいましょ!」
「どんな時なら落ち着いていられたのかを調べてもらって、その環境を提供してもらいましょ!」
と言いました。

やっぱり障がい者福祉サービスを利用しなくなるってことは
今後もあり得ることだと考えるべきなのかな・・・
孤立なんて今の世の中でも簡単にしちゃうってことなんだな・・・
などと悶々としながら頭に浮かんできたのが「くちづけ」でした。
そして、パソコンで「くちづけ」で検索!
舞台で再上演されることを知ったのでした。

あれも、サービスを利用していたもののその利用を嫌がる娘、
余命いくばくもないわが身。
親亡き後、愛するわが子を浮浪者や犯罪者にさせたくない!
はたまた、二度と性的虐待などおぞましい思いをさせたくない!
と思った親ごころから選んだ行為でした。

わが子と言えども親の所有物ではない、子どもの人権を親が奪うとは許せない!
そんなことは誰だって分かりきっているのです!!

「くちづけ」のあの親も、今回話をきいた親御さんも
結局は事業所を、支援者を信頼しきれていないのだと思います。

「くちづけ」は十数年も前の新聞記事をもとに作ったお芝居だそうです。
映画を観たときは、ずいぶん前の事件をもとに作ったんだな。
今はもっとサービスも充実しているし、こんな悲惨な事はそう起きないだろう、
と思っていましたが、なんだかそうも言っていられないような気持ちになってしまいました。
悲しいことです・・・・・・・(ーー;)

今回の舞台「くちづけ」は配役を一部変更しての上演のようで、
東北では宮城県仙台市でも1日2回の公演が予定されているようです。
なんか、観に行ってみたくなったな~

http://takufes.jp/kuchiduke/←クリックすると(くちづけHP)

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