山形県手をつなぐ育成会 日々徒然なること

育成会の事、関係ないことも勝手につぶやきます

◆ともに生きる社会を考える2012

2012年03月21日 | 罪を犯した障がい者
主催:山形県
主管:山形県社会福祉事業団
山形県心身障がい者地域福祉対策促進事業
(矯正施設等退所障がい者地域移行支援事業)
「罪を犯した障がい者、高齢者の支援」に関する研修会
    ~ともに生きる社会を考える2012~


この研修会に行ってきました。


午前中の講演
セーフティネットとしてのこれからの福祉と更生保護の連携を考える
NPO法人ワンファミリー仙台
理事長 立岡 学 氏


午後からの講演
司法と福祉の連携を考える
矯正・更生保護から見た福祉との連携について
メンタルパイロテージジャパン オフィスろごす
代表 吉田 香里 氏


資料の数々


その他、山形県での事業報告として

1.更生保護施設の社会福祉職員の活動から
 更生保護法人 羽陽和光会
 補導主任福祉職員 芳賀 友幸 氏

2.地域生活定着支援センターの支援から
 山形県地域生活定着支援センター
  所長 二関 郁子 氏

以上のお二人の講演もありました。

難しそうな内容でしたので、私などが聴いてもチンプンカンプンで
理解できるのか心配しながら聴きはじめました。

かなり重い内容だったのですが、大変興味深く
その重要性を感じてきました。

ただ、育成会としてなにかお手伝い出来る事などは
ちょっと無いかも・・・と思ってしまいました。

話しを聞いていて、犯罪に巻き込まれてしまったり
ホームレスになってしまうような方は
中軽度の知的の方や、発達障害の方が多く、
幼少期からあまり家族から愛情をかけてもらえなかった
人が多いようでした。

しょうがいが軽いからこそ、しょうがいがある事に気が付かず
健常の人と比べられ、辛い思いをしているようでした。

しょうがいが有ろうが無かろうが
健全に子どもが育つには
無条件に親に愛される経験をすることだ。
と聴いたことがありますが、
まさにそうなのだと感じました。
本当にいろいろと考えさせられる研修会でした

お昼休みに私の名前を呼ぶ声がしたので、誰かと思いましたら
米沢の栄光園の副園長でした。
声を掛けていただいてありがとうございました。

それから、今回の主管の事業団の相談支援事業所ゆあーずの
Tさんからも声をかけていただき、ウチの息子の様子を
気にかけてくださっており大変ありがたかったです。
今後ともよろしくお願いいたします。(F)

罪を犯した障がい者への支援⑨=最終回~社会復帰には支援者がカギ~

2011年02月20日 | 罪を犯した障がい者
 次のような「罪を犯した障がい者への支援」に関する研修会の報告である。
 その⑨=最終回。
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 「罪を犯した障がい者、高齢者の支援」に関する研修会
 ~ともに生きる社会を考える~
 日時 平成23年2月3日(木)13:00~16:15
 場所 山形市総合福祉センター 交流ホール 山形市城西町2-2-22
 主催 山形県 主管 社会福祉法人 山形県社会福祉事業団
 テーマ 「罪を犯した障がい者の支援を考える」
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 講演 「罪を犯した障がい者への支援を確立するために」
     ~「生きにくさ」を抱えた○○さんへの支援の創造~
 講師 社会福祉法人紫野の会知的障害者更生施設かりいほ
    施設長 石川 恒 氏

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【頼れる人がいる事がキーポイント】
 
1 本人の社会復帰には、頼れる人がいる事がキーポイントであり、本人が安心して暮らせる人間関係を築くきっかけが必要で、そのようなことが可能な生活の場、環境をつくらなければならない。

2 そこで、鍵を握るのは支援者なのだ。

3 生きにくさを抱えながら困っていて、社会と上手につながることが難しい本人たちは、信頼に足る支援者を必要としている。

4 その支援で必要なのは矯正教育ではなく、本人たちへの生活支援である。

5 真に必要なのは、本人の生活を豊かにし、人と人とのかかわりを大事にし、本人の支えになる支援者である。

6 入所型施設の新しい役割(機能)は、より手厚い支援のできる場となることであり、より重たい問題を抱えた人たちの支援ができるようにすることである。

7 生きにくさを抱えた本人対しては、何よりも人とのかかわりを大事にした支援が必要である。

8 本人が働けないとか、虐待を受けてきたといった実態を理解して、より手厚いかかわりと、支援のできる場が必要である。

9 利用者ひとりひとりに応じた個別支援の提供の場として、地域生活支えるために入所機能を持った施設は必要である。

10 本人が安心できる状態をつくると、本人は自分なりの「晴れ舞台」づくりに向けて動き出す。

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【感想】

 生きにくさを抱え、極めて低い自尊感情の本人にとって、支援者からの信頼はなにより代えがたいものである。
 今まで、親にも家族にも、接する人たちからほとんど不信の目で見られ続けてきたのである。
 本人があの人からなら、信頼されているといった一筋の光でもあれば、社会復帰を促すきっかけとなる。
 そうしたことができるシステムも、施設も、支援者もまだまだ足りないのが現状である。
 
《今回で「罪を犯した障がい者への支援」は最終回》

罪を犯した障がい者への支援⑧~本人の安心をつくりだす支援~

2011年02月18日 | 罪を犯した障がい者
次のような「罪を犯した障がい者への支援」に関する研修会の報告である。
 その⑧。
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 「罪を犯した障がい者、高齢者の支援」に関する研修会
 ~ともに生きる社会を考える~
 日時 平成23年2月3日(木)13:00~16:15
 場所 山形市総合福祉センター 交流ホール 山形市城西町2-2-22
 主催 山形県 主管 社会福祉法人 山形県社会福祉事業団
 テーマ 「罪を犯した障がい者の支援を考える」
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 講演 「罪を犯した障がい者への支援を確立するために」
     ~「生きにくさ」を抱えた○○さんへの支援の創造~
 講師 社会福祉法人紫野の会知的障害者更生施設かりいほ
    施設長 石川 恒 氏

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【本人が選ぶ福祉にしなければ】
 
1 本人の安心はひとりひとり違うのだから、本人の安心をつくりだす個別支援が必要だ。

2 本人の生きにくさの理解を進めながら、ひとりひとりの安心をつくりだす。

3 場所と時間を共有した支援者のかかわりは、本人に対してひとりひとりに応じたていねいな支援であり、それは必然的に個別支援にならざるをえない。

4 本人自身が自分のことを自分で決めることへの支援をすることが大事であり、支援者が本人の思いに徹底的につきあい、本人が自分で決めることを積み上げていけば、自分自身で福祉の支援を選ぶようになる。

5 本人と一緒になって、支援者は現実(できること、できないこと)と折り合うことへの支援することで、本人も「しょうがない、まぁいいか」となるはず。

6 福祉は本人にとって豊かでなければならない、そうでなければ福祉を選ばない。

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【感想】

 本人たちひとりひとりに即した個別支援のあり方こそ求められている。
 本人たちの生きにくさの現実がどのぐらい理解されているか。そして、それを解決する手立てがきちっととられているか。
 このためには、支援者の共通理解が大切であり、一つ一つの事例にあった対応が個別の支援計画として立案する必要がある。
 さらに、計画を実施し、絶えず問題の修正を図るといった地道な取り組みがなければ、本人の安心をつくりだすのは並大抵なことではない。
 本人に対する支援記録もていねいにとることで、本人の変容を明確にしてゆくことも大切になる。
 
《次は、「罪を犯した障がい者への支援⑨」に続く》

罪を犯した障がい者への支援⑦~少年院で最大のモンスター~

2011年02月17日 | 罪を犯した障がい者
 次のような「罪を犯した障がい者への支援」に関する研修会の報告である。
 その⑦。
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 「罪を犯した障がい者、高齢者の支援」に関する研修会
 ~ともに生きる社会を考える~
 日時 平成23年2月3日(木)13:00~16:15
 場所 山形市総合福祉センター 交流ホール 山形市城西町2-2-22
 主催 山形県 主管 社会福祉法人 山形県社会福祉事業団
 テーマ 「罪を犯した障がい者の支援を考える」
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 講演 「罪を犯した障がい者への支援を確立するために」
     ~「生きにくさ」を抱えた○○さんへの支援の創造~
 講師 社会福祉法人紫野の会知的障害者更生施設かりいほ
    施設長 石川 恒 氏

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【紙へのこだわりが深刻な問題を引き起こした事例】
 
1 少年院で最大のモンスターといわれた人がいて、こだわりがきわめて強く、紙が自分の周りにないと安心できない人だった。

2 少年院では紙のこだわりが許されず、暴れるのを抑えるため薬漬けにされ、移動も両脇でかかえられないと動けない状況で、3年間少年院にいた。

3 施設に来て紙を制限しなくなったら、女性に抱きついたり、暴力ふるうこともなくなった。

4 最終的には、紙がなければ落ち着けなかったのが、紙がなくても問題を引き起こすようなことがなくなった。

5 少年院では紙を持たせないことでやってきたのを、施設では紙を持たせることに方針を変えたにすぎない。

6 紙への異常までのこだわりが、だんだんと変化してきて、紙がなくても安心していられるようになった。初めは紙を持たせないことでは解決できなかったのである。やはり本人の思いを優先することが大切である。

7 本人を福祉に取り込んだにしても、本人がいいと実感できないと福祉を選ばない。
本人が福祉の支援を受けたいと思うのは、本人への安心が鍵となる。

8 福祉の事業所おいて、本人を枠の中に適応させようとしてもうまくいかないし、それを本人は求めてない。

9 一人一人の状況をきちんと理解して、本人が必要なものをいかに創りだしていくかが課題となる。

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【感想】

 知的障がい者の中には、きわめて強いこだわりをもつ人がいる。
 このこだわりがどのように形成したかはなかなか分析が難しいケースが多い。
 ただ、生まれつき何か物へこだわるだというのは考えにくい。
 生育歴の中で学習してきたものと解釈するのが妥当だろう。
 上記の例のように、紙にこだわったというのは、手触り、こすれる音、破く時の感覚、インクのにおい、色といった複雑な心地よさを本人に与え、安心していられたことに由来していた可能性だってあったかもしれない。
 それを本人が没頭しすぎるということで、生活するのに役立たない、決まった生活にはなじまないという、支援者側の理由によって、禁止してしまった。
 そのことが、本人を不安定にさせ、大なる混乱を招く結果になった。
 本人理解が十分なされないまま、支援者の一方的な生活スタイルが押し付けられたことが問題を生じたのである。
 本人理解には、余裕ある時間が不可欠である。
 そして、試行錯誤しながら取り組んでいく必要がある。 

 《次は、「罪を犯した障がい者への支援⑧」に続く》

罪を犯した障がい者への支援⑥~車椅子の女性にも暴力~

2011年02月16日 | 罪を犯した障がい者
 次のような「罪を犯した障がい者への支援」に関する研修会の報告である。
 その⑥。
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 「罪を犯した障がい者、高齢者の支援」に関する研修会
 ~ともに生きる社会を考える~
 日時 平成23年2月3日(木)13:00~16:15
 場所 山形市総合福祉センター 交流ホール 山形市城西町2-2-22
 主催 山形県 主管 社会福祉法人 山形県社会福祉事業団
 テーマ 「罪を犯した障がい者の支援を考える」
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 講演 「罪を犯した障がい者への支援を確立するために」
     ~「生きにくさ」を抱えた○○さんへの支援の創造~
 講師 社会福祉法人紫野の会知的障害者更生施設かりいほ
    施設長 石川 恒 氏

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【車いすの女性にも暴力をふるった事例】
 
1 ちょっとした気に入らないことがあればすぐキレル。

2 万引きといった犯罪行為もはたらく。

3 更生施設「かりいほ」に2年間いて施設を出ていった。

4 お父さんが面倒見ると言ったら、人がかわったようにまじめになった。

5 それまでは、家庭にいられずなにかにつけてすぐトラブルを起こした。

6 施設では作業やらなくていいことにした。

7 ずっと親は普通の人と同じように、まじめにやることを要求した。

8 こうした育ちの中で感覚過敏的な反応、過剰なイライラ感を生じ、ちょっとでも自分にとって受け入れがたいことがあると、キレたりするようになってきた。環境要因による二次的な反応と思われる。

9 自分ができないことあると、だめと思ってしまう。

10 自己否定的な負の部分が二次的に強化されてきたため、いらいらするとつい人を殴ってしまったりすることもしばしば。

11 「かりいほ」内では、本人が失敗することをできるだけ避けるため、嫌がる作業活動等はやらなくていいよと言うと、人に対して暴力的に出ることが減ってきた。

12 こうした事例から、一人一人にあった安心して暮らしていける支援のあり方を探ることが重要である。

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【感想】

 自分にとって受け入れがたいことがあると、みさかえなく当たり散らし人に暴力をはたらく。
 我慢ができない。
 自分が認められていないことに対する反発といった要因が大きい。
 本人にとって失敗することは、百害あって一利もない。
 「かりいほ」の支援者は、そのため作業をすることを要求せず、本人の意向を大事にした。
 本人は今までかなり無理な要求をされてきた。
 それがなくなったことで安心し、感情も安定したのだろう。
 支援者が本人の問題をいかに的確に把握し、その解決に向けた方策に取り組めるか大切なことがわかる。

《次は、「罪を犯した障がい者への支援⑦」に続く》

罪を犯した障がい者への支援⑤~あらゆる犯罪に手を染めた人~

2011年02月15日 | 罪を犯した障がい者
 次のような「罪を犯した障がい者への支援」に関する研修会の報告である。
 その⑤。
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 「罪を犯した障がい者、高齢者の支援」に関する研修会
 ~ともに生きる社会を考える~
 日時 平成23年2月3日(木)13:00~16:15
 場所 山形市総合福祉センター 交流ホール 山形市城西町2-2-22
 主催 山形県 主管 社会福祉法人 山形県社会福祉事業団
 テーマ 「罪を犯した障がい者の支援を考える」
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 講演 「罪を犯した障がい者への支援を確立するために」
     ~「生きにくさ」を抱えた○○さんへの支援の創造~
 講師 社会福祉法人紫野の会知的障害者更生施設かりいほ
    施設長 石川 恒 氏

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【事例=殺人以外全ての犯罪に手を染める】
 
1 殺人以外全ての犯罪を行った事例がある。

2 その人は、コンビニに入れないし、何を買っていいかわからない。食堂にも怖くて入れない。 

3 働きたい、外に出たいと言うが、働く力がない。

4 一度決めたことは変えない。

5 外に出れば、面倒見てくれる人がいると言うが、連絡先がわからない。

6 出ると決めたら出るの一点張り。

7 一度目は何かあったら電話をくれと言って「かりいほ」を出してやったら、直ぐ戻ってきた。

8 二度目は金を持って出ていった。金を支払うことができず「牛丼屋」から連絡があった。金がなくなって戻ってきた。

9 しかし、戻ってきても落ち着かないで、「かりいほ」を出て行きたがった。

10 三度目は、3万円をもたせ3日後電話よこすように言って出してやった。そうしたら戻ってきて、それ以来自分から出ていくと言わなくなった。

11 自分で出ていくと、自分で決めた。また、自分で戻るのも、自分で決めた。

12 自分が犯人扱いされたり、ひどい扱いされたと言って、「名誉毀損」で訴えるということもあった。しかし、こうした訴訟は国選弁護人を使えないことがわかり、お金が必要だとわかって取り止めた。

13 今まで自分が犯した罪について、国選弁護人によって無償で裁判してもらった経験があったので、「名誉毀損」の裁判も無償の弁護士を付けることができると思ったらしい。

14 本人は体験しないとわからない。支援する側の理屈だけではだめ。本人の思いをどれだけ整理してあげることができるかが鍵。

15 本人は30年間も生きにくさを体験してきた。その体験をやり直すには、本人が言ったことを聞いてくれる人が必要だ。そして、自分はこういうふうにするとやれるし、なんとかやれると本人が思うようにしてあげることである。

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【感想】

 支援者側が自尊感情に乏しい人の意志をいかに尊重するか。
 言うは易く行うは難し。
 忍耐力がいるし、試行錯誤の繰り返し。
 場合によっては、本人により一層のダメージを与える可能性もある。
 だから、本人も支援者もリスクを避けがちにならざるを得ない。
 そのため、互いに悪循環に陥り、不平・不満ばかり。さらなる問題を引き起こす結果にもなりかねない。
 難しい選択であることは確か。
 リスクがあったにしても、本人の意志を認め、挑戦させ小さな成功体験を積み重ねことが重要。少々の失敗があったにしても、それは将来的な失敗回避の方法を学ぶいいきっかけなのである。
 こうしたことに挑戦させることができる余裕ある支援者を養成していく必要がある。
 その条件として、支援者に対する待遇改善、施設の安定的運営が保障されることが求められる。

《次は、「罪を犯した障がい者への支援⑥」に続く》
 

罪を犯した障がい者への支援④~安心創りの支援~

2011年02月14日 | 罪を犯した障がい者
 次のような「罪を犯した障がい者への支援」にかかる研修会に参加してきた。
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 「罪を犯した障がい者、高齢者の支援」に関する研修会
 ~ともに生きる社会を考える~
 日時 平成23年2月3日(木)13:00~16:15
 場所 山形市総合福祉センター 交流ホール 山形市城西町2-2-22
 主催 山形県 主管 社会福祉法人 山形県社会福祉事業団
 テーマ 「罪を犯した障がい者の支援を考える」
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 本研修会では、24時間365日、罪を犯した障がい者等の社会復帰を図るために、献身的な取り組みをしている実践家の話を聴いた。次のような講演である。
 第4回目の報告である。
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 講演 「罪を犯した障がい者への支援を確立するために」
     ~「生きにくさ」を抱えた○○さんへの支援の創造~
 講師 社会福祉法人紫野の会知的障害者更生施設かりいほ
    施設長 石川 恒 氏

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【生き直しの実践】

1 罪を犯した障がい者は、地域に居場所をなくした人である。

2 犯罪を繰り返すとんでもない人と思いがちだが、そうじゃない。

3 実際つきあうと追いつめられた人で、この人たちは生きにくさを持った人として理解しないとだめだ。

4 更生施設「かりいほ」の支援は、安心創り。

(1) 生きにくさの理解

 生きにくさをどう理解するのかが大事である。
 常に不安をかかえ、自分に対して否定的である実態を理解する必要がある。

(2) 生き直しの実践

 「かりいほ」でもう一度やり直す。生き直しをする。

(3) 晴れ舞台の創造

 この人たちが自己肯定感をもって、晴れ舞台の創造ができる支援に努めている。
 本人を理解する支援者と晴れ舞台づくり協働で行うことになる。

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《感想》

 罪を犯した障がい者は、地域の中で「生きにくさ」を感じ居場所を失っている。
 追い詰められた状況を理解しなければ、本人の受け入れもできない。
 本人の今ある状況を丸ごと受け入れることから、本人とのかかわりが始まる。
 自尊感情がきわめて低い人たちである。
 社会からずっと阻害され、家族からも疎まれてきた人たちなのだ。
 こうした状況の中で、肯定的な感情が生まれようはずがない。
 犯罪行為を繰り返すことでしか、社会とのつながりを持てなかった人たちとも言える。
 講師の石川恒氏は、こうした人たちの生き方をやり直す支援を、30年間実践してきた。

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罪を犯した障がい者への支援③~福祉的支援による排除~

2011年02月13日 | 罪を犯した障がい者
 次のような「罪を犯した障がい者への支援」にかかる研修会に参加してきた。
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 「罪を犯した障がい者、高齢者の支援」に関する研修会
 ~ともに生きる社会を考える~
 日時 平成23年2月3日(木)13:00~16:15
 場所 山形市総合福祉センター 交流ホール 山形市城西町2-2-22
 主催 山形県 主管 社会福祉法人 山形県社会福祉事業団
 テーマ 「罪を犯した障がい者の支援を考える」
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 本研修会では、24時間365日、罪を犯した障がい者等の社会復帰を図るために、献身的な取り組みをしている実践家の話を聴いた。次のような講演である。
 第3回目の報告である。
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 講演 「罪を犯した障がい者への支援を確立するために」
     ~「生きにくさ」を抱えた○○さんへの支援の創造~
 講師 社会福祉法人紫野の会知的障害者更生施設かりいほ
    施設長 石川 恒 氏

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【福祉の支援が居場所のない人の求めるニーズに応えていない】

1 障害が軽くても地域にいられず、居場所のない人たちがいる。

2 そうした人たちの多くは、被害者から始まることがほとんど。

3 この人たちを排除しないで、福祉の支援の中に取り込むことが大切。

4 こうした試みをずっと栃木県で実践してきた。

5 しかし、本人が福祉の支援を拒否することも多く、また福祉の側も拒否してしまうことも多い。

6 そういったことから、福祉は万能でない。

7 性犯罪や暴力犯罪を犯したから、福祉施設から追い出されるわけでない。

8 知的障がい者の事業所は障がいが重い人が中心で、軽い人の要求に十分応えられるようになってない。

9 福祉から排除しないで、福祉に取り込むような福祉の力を持つことこそ必要である。

10 そのためには、支援する側が取り込むことでなく、利用する人から自分の意志で福祉を選ぶようにすることである。

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【感想】

 罪を犯した障がい者は、被害を受けた経験が加害者になるきっかけともなっている指摘は重要である。
 福祉においては、罪を犯した障がい者を受け入れる余裕がなく、そうした人の受け入れがいろんな問題を引き起こすという理由から、簡単には受け入れてこなかった。
 結局、社会復帰に向けた取り組みが十分なされてこなかったのが現状である。
 また、福祉で受け入れたにしても、利用する側が納得しないままでは、問題の解決にならない。
 福祉側が利用者の意に沿った対応ができるかにかかっている。
 福祉側の変容が求められている。
 




罪を犯した障がい者への支援②~社会復帰をめざした人と住み込み生活~

2011年02月12日 | 罪を犯した障がい者
 次のような「罪を犯した障がい者への支援」にかかる研修会に参加してきた。

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 「罪を犯した障がい者、高齢者の支援」に関する研修会
 ~ともに生きる社会を考える~
 日時 平成23年2月3日(木)13:00~16:15
 場所 山形市総合福祉センター 交流ホール 山形市城西町2-2-22
 主催 山形県 主管 社会福祉法人 山形県社会福祉事業団
 テーマ 「罪を犯した障がい者の支援を考える」

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 講演 「罪を犯した障がい者への支援を確立するために」
     ~「生きにくさ」を抱えた○○さんへの支援の創造~
 講師 社会福祉法人紫野の会知的障害者更生施設かりいほ
    施設長 石川 恒 氏

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 本研修会では、24時間365日、罪を犯した障がい者等の社会復帰を図るために、献身的な取り組みをしている上記の実践家の話を聴いた。
 次のような講演である。

【「仮の庵」の「生きにくさ」を抱えた人の生活】

1 住み込みで、「生きにくさ」を抱えた人たちと、「かりいほ施設」で30年間暮らしてきた。

2 昔と異なり、単純な知的障害者というより、人と人の関係をつくれない人が多い。

3 施設は山の中にあり、小さい建物が点在している。30万平メートルの広さがある。

4 食事をいっしょにして、言いたいことを言う場をつくり、生活の場の中で問題解決を図っている。

5 囲炉裏でいっしょに過ごし、農作業する道具は個人持ちにしている。そうすると道具をとても大事にする。

6 音楽会や運動会の行事もやっている。100人も参加している。運動会では、坂道を車で引っ張る競争もある。

7 お茶畑が8反あって手づみしている。

8 施設名「かりいほ」は「仮の庵」の意であり、「ずっといるところでない」と考えている。

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《感想》

 「かりいほ」という施設で、「生きにくさ」を抱えた人たちとともに、社会復帰をめざして、住み込み生活を30年間ずっと続けてきた。
 言うに言われぬ厳しさの中で、なぜ、講師の石川恒氏がこの施設運営に長期間たずさわることができたのだろう。
 いろんな問題を山ほど経験してきたが、その中で一筋の希望を経験する事があったからに違いない。
 そうしたわずかな希望にかけてきた講師の実践は、学ぶべき事が多い。

【次回、罪を犯した障がい者への支援③に続く】
  

罪を犯した障がい者への支援①≪社会復帰支援の輪の拡大≫

2011年02月09日 | 罪を犯した障がい者
 次のような「罪を犯した障がい者への支援」にかかる研修会に参加してきた。

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 「罪を犯した障がい者、高齢者の支援」に関する研修会
 ~ともに生きる社会を考える~
 日時 平成23年2月3日(木)13:00~16:15
 場所 山形市総合福祉センター 交流ホール 山形市城西町2-2-22
 主催 山形県 主管 社会福祉法人 山形県社会福祉事業団
 テーマ 「罪を犯した障がい者の支援を考える」

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 研修会開催の趣旨は次のとおりである。

1 出所者に対する支援

 福祉や司法の場で、大きな課題としてとらえられているのが、刑務所の矯正施設を出所した障害者や高齢者に対する支援である。

2 社会復帰困難

 現状では、退所後の支援のあり方が不十分なため、社会復帰が果たせず、犯罪を重ねてしまう。

3 地域生活定着支援事業の創設

 その改善にむけた施策として、厚生労働省では、平成21年度から各都道府県に「地域生活定着支援センター」を整備し、地域生活定着支援事業を創設した。

4 山形県でも開設

 山形県では、平成22年1月に「支援センター」を開設。山形県社会福祉事業団がその運営を担っている。

5 幅広い認識の共有化

 支援体制の整備には、福祉、司法関係者の共通理解を図り、地域住民の幅広い認識を共有する必要がある。

6 社会復帰支援の輪の拡大

 そこで、本研修会では、現状と課題の把握に努め、社会復帰支援の輪の拡大を目的にしている。

 本研修会では、24時間365日、罪を犯した障がい者等の社会復帰を図るために、献身的な取り組みをしている実践家の話を聴いた。
 次のような講演である。
 これについては、次回から何回かにわけて報告する。

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 講演 「罪を犯した障がい者への支援を確立するために」
     ~「生きにくさ」を抱えた○○さんへの支援の創造~
 講師 社会福祉法人紫野の会知的障害者更生施設かりいほ
    施設長 石川 恒 氏

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 次回は、罪を犯した障がい者への支援②