◎ 「親のための成年後見ハンドブック シリーズ1」だれにもわかるすぐに役立つ
2008年5月1日増刷版
発行者 NPO法人 Panda-J(代表 野沢和弘)
発行所 PandaA-J編集部
〒187-0032 東京都小平市小川町1-830 白梅学園大学 堀江まゆみ研究室気付
FAX 042-344-1889 Mail info-panda-j@shiraume.ac.jp
定価 100円
---------------------------------------------
上記、ハンドブックの内容(p.26)を紹介する。
その第25回目。
【10 いいことばかりじゃない?(1)=p.26】
〈選挙を楽しみにしている障害者から選挙権奪う〉
1 成年後見制度を利用すると、たしかに安心ですが、いいことばかりではありません。
2 後見人が付くと選挙権がなくなります。
3 保佐や補助の場合は選挙権を失いませんが、後見類型だけは選挙のときに投票できなくなるのです。
4 国会議員だけでなく、県知事や市町村長や市議会議員など選挙はたくさんあります。
5 私たち国民から集めた税金をどのように使うのかは、このような選挙で選ばれた知事や市長や議員の人たちが決めることになっています。
6 総理大臣だって、私たちが選んだ国会議員の中から選ばれるのです。
7 ヘルパーやグループホームなどにもっと予算を回してほしければ、障害者の福祉をよくしようと思っている国会議員や知事や市長を選ばなければいけません。
8 障がい者福祉の制度をもっとよいものにしようと思うのであれば、やはり、障害者のことをよく理解してくれている国会議員や知事や市長を選挙で当選してもらわないといけません。
9 そんなに深く考えていなくても、選挙に行くことをとても楽しみにしている障害者はたくさんいます。
10 障害の重い人も社会の中でいろんな活動をし、何か買い物をすれば必ず税金(消費税)を払っているのですから、選挙で1票を投じる権利があるのは当然です。
11 しかし、今の成年後見法ができるとき、あまり論議されずに、後見人が付いた人からは選挙権が奪われることが決められてしまいました。
12 それ以前にあった禁治産制度で禁治産宣告された障害者には選挙権を与えないとされていたことが、そのまま引き継がれてしまったのです。
13 選挙権がなくなることを何とか見直してほしいと私たちは訴えていますが、今のところはまだ改善される見通しはありません。
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【感想】
成年後見制度の問題として選挙権が剥奪されることを、以下のように本ブログでもたびたび取り上げてきた。
○ 11月23日のブログ「本人が望む普通の生活を実現する制度(第3回目)~選挙権を剥奪する合理的理由はない~」
○ 1月6日のブログ「全日本からのお知らせ」
『後見選挙権訴訟に向けた問題提起・報告集会』
提起◆成年後見制度における被後見人への選挙権剥奪について
○ 1月11日のブログ「本人が望む普通の生活を実現する制度(第32回目)~選挙剥奪問題」
○ 2月2日のブログ「成年後見制度 選挙権求め提訴」
○ 2月23日のブログ「院内集会のお知らせ」
日 時:3月16日(水)13時~15時
場 所:衆議院第一議員会館一階 多目的ホール(東京都千代田区永田町)
主 催:社会福祉法人 全日本手をつなぐ育成会
そして、今この問題について、国を相手に裁判が起こされている。
以下の内容である。
********************************************
(http://www.hatarakuba-info.com/news_YultZ8lyk.html
雇用・就労情報最前線 障がい者の働く場ニュースより)
【引用始め】
成年後見制度の「選挙権喪失」は違憲 知的障がい者が提訴
「現行憲法に違反している」と主張
成年後見人がつくと選挙権を失うという、現在の公職選挙法の規定は法の下の平等を保障している現行憲法に反するとして、牛久市の名児耶匠(なごやたくみ)さん(48)が東京地裁に提訴を行った。
成年後見制度とは、判断力が十分でない成年被後見人に代わって契約などの法律行為を行ったり、被後見人が行った契約に同意したりして、被後見人の財産を管理保護する制度のこと。
「財産管理と選挙権の行使は無関係」
訴えによると、匠さんはダウン症で中度の知的障害があり、07年に父親が後見人となったことで選挙権を失った。匠さんは父が後見人となる以前は、選挙の時はほぼ欠かさず投票に言っており、
「選挙公報を見たりして候補者を選んで投票所に行っていたのに選挙のはがきが来なくなった。裁判を通じて選挙権を取り戻したい」
と訴え、弁護団は
「成年後見制度は財産管理のためのものであり、選挙権の行使とは全く関係がない」
と主張。
今回の訴えに対し、総務省選挙課はコメントを差し控えた。
【引用終わり】
************************************************
第12回権利擁護セミナー(平成22年11月17日、全日本手をつなぐ育成会主催、日本財団=東京港区)に参加した時の話。
そこで、名児耶匠さんの父親も参加していて、選挙権が娘になくなるのはどうしても納得できないと発言した。
選挙のたびに棄権することなくずっと選挙してきたし、誰に投票したかを聞いても娘の匠さんは秘密と言って教えてくれなかったという。
匠さんの将来を考えて、父親が後見人になったとたん匠さんに投票用紙が届かなくなった。
なぜ後見人を付けたという理由だけで、選挙権が取り上げられるか問題だと話された。
その話を聞いて、会場にいた200人余の参加者がなぜこんなことが起きるのかという雰囲気になった。
また、シンポジストとして参加していた国会議員たちも、こうした問題に超党派で取り組む必要性を強調していた。
〈ケー〉
《次は、「成年後見初歩の初歩(26)」に続く》
2008年5月1日増刷版
発行者 NPO法人 Panda-J(代表 野沢和弘)
発行所 PandaA-J編集部
〒187-0032 東京都小平市小川町1-830 白梅学園大学 堀江まゆみ研究室気付
FAX 042-344-1889 Mail info-panda-j@shiraume.ac.jp
定価 100円
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上記、ハンドブックの内容(p.26)を紹介する。
その第25回目。
【10 いいことばかりじゃない?(1)=p.26】
〈選挙を楽しみにしている障害者から選挙権奪う〉
1 成年後見制度を利用すると、たしかに安心ですが、いいことばかりではありません。
2 後見人が付くと選挙権がなくなります。
3 保佐や補助の場合は選挙権を失いませんが、後見類型だけは選挙のときに投票できなくなるのです。
4 国会議員だけでなく、県知事や市町村長や市議会議員など選挙はたくさんあります。
5 私たち国民から集めた税金をどのように使うのかは、このような選挙で選ばれた知事や市長や議員の人たちが決めることになっています。
6 総理大臣だって、私たちが選んだ国会議員の中から選ばれるのです。
7 ヘルパーやグループホームなどにもっと予算を回してほしければ、障害者の福祉をよくしようと思っている国会議員や知事や市長を選ばなければいけません。
8 障がい者福祉の制度をもっとよいものにしようと思うのであれば、やはり、障害者のことをよく理解してくれている国会議員や知事や市長を選挙で当選してもらわないといけません。
9 そんなに深く考えていなくても、選挙に行くことをとても楽しみにしている障害者はたくさんいます。
10 障害の重い人も社会の中でいろんな活動をし、何か買い物をすれば必ず税金(消費税)を払っているのですから、選挙で1票を投じる権利があるのは当然です。
11 しかし、今の成年後見法ができるとき、あまり論議されずに、後見人が付いた人からは選挙権が奪われることが決められてしまいました。
12 それ以前にあった禁治産制度で禁治産宣告された障害者には選挙権を与えないとされていたことが、そのまま引き継がれてしまったのです。
13 選挙権がなくなることを何とか見直してほしいと私たちは訴えていますが、今のところはまだ改善される見通しはありません。
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【感想】
成年後見制度の問題として選挙権が剥奪されることを、以下のように本ブログでもたびたび取り上げてきた。
○ 11月23日のブログ「本人が望む普通の生活を実現する制度(第3回目)~選挙権を剥奪する合理的理由はない~」
○ 1月6日のブログ「全日本からのお知らせ」
『後見選挙権訴訟に向けた問題提起・報告集会』
提起◆成年後見制度における被後見人への選挙権剥奪について
○ 1月11日のブログ「本人が望む普通の生活を実現する制度(第32回目)~選挙剥奪問題」
○ 2月2日のブログ「成年後見制度 選挙権求め提訴」
○ 2月23日のブログ「院内集会のお知らせ」
「もう一度選挙に行きたい」選挙権の回復を求めて~
日 時:3月16日(水)13時~15時
場 所:衆議院第一議員会館一階 多目的ホール(東京都千代田区永田町)
主 催:社会福祉法人 全日本手をつなぐ育成会
そして、今この問題について、国を相手に裁判が起こされている。
以下の内容である。
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(http://www.hatarakuba-info.com/news_YultZ8lyk.html
雇用・就労情報最前線 障がい者の働く場ニュースより)
【引用始め】
成年後見制度の「選挙権喪失」は違憲 知的障がい者が提訴
「現行憲法に違反している」と主張
成年後見人がつくと選挙権を失うという、現在の公職選挙法の規定は法の下の平等を保障している現行憲法に反するとして、牛久市の名児耶匠(なごやたくみ)さん(48)が東京地裁に提訴を行った。
成年後見制度とは、判断力が十分でない成年被後見人に代わって契約などの法律行為を行ったり、被後見人が行った契約に同意したりして、被後見人の財産を管理保護する制度のこと。
「財産管理と選挙権の行使は無関係」
訴えによると、匠さんはダウン症で中度の知的障害があり、07年に父親が後見人となったことで選挙権を失った。匠さんは父が後見人となる以前は、選挙の時はほぼ欠かさず投票に言っており、
「選挙公報を見たりして候補者を選んで投票所に行っていたのに選挙のはがきが来なくなった。裁判を通じて選挙権を取り戻したい」
と訴え、弁護団は
「成年後見制度は財産管理のためのものであり、選挙権の行使とは全く関係がない」
と主張。
今回の訴えに対し、総務省選挙課はコメントを差し控えた。
【引用終わり】
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第12回権利擁護セミナー(平成22年11月17日、全日本手をつなぐ育成会主催、日本財団=東京港区)に参加した時の話。
そこで、名児耶匠さんの父親も参加していて、選挙権が娘になくなるのはどうしても納得できないと発言した。
選挙のたびに棄権することなくずっと選挙してきたし、誰に投票したかを聞いても娘の匠さんは秘密と言って教えてくれなかったという。
匠さんの将来を考えて、父親が後見人になったとたん匠さんに投票用紙が届かなくなった。
なぜ後見人を付けたという理由だけで、選挙権が取り上げられるか問題だと話された。
その話を聞いて、会場にいた200人余の参加者がなぜこんなことが起きるのかという雰囲気になった。
また、シンポジストとして参加していた国会議員たちも、こうした問題に超党派で取り組む必要性を強調していた。
〈ケー〉
《次は、「成年後見初歩の初歩(26)」に続く》