山形県鶴岡市「庄内子ども支援チーム」の活動報告書がFAXで届く。
報告書全文を次のとおり引用。
生々しい現地報告である。
極限状況における人間の我欲と優しさが表裏一体で表現されている。
それにしても、支援チームの努力に頭がさがる。フットワークの良さとネットワークの広さとスピーディーな行動力。今までの経験を生かしている。この持続力。
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【引用始め】
2011.3.24
東日本大震災 庄内子ども支援チーム活動報告書
たくさんの物資、たくさんの義援金をお寄せくださいましてありがとうございました。
第1便・車3台分(キャラバン)の物資を3月20日(日)宮城県石巻の各避難所に届けてきましたので報告させていただきます
寄せられた物資は
衣類・子ども服・新生児用品・靴・タオル・バスタオル・毛布・タオルケット・靴下・下着・絵本・離乳食・おむつ・お尻ふき・歯ブラシ・髭剃り・石けん・洗剤・シャンプー・生理用品・ティッシュペーパー・文房具・おもちゃ・お菓子・お米・簡易ガスコンロ・ガスボンベ・食品各種等々約500品目にわたりました。
バタバタと短時間の呼びかけにもかかわらず、驚く程の数の物資と義援金が寄せられました。
ありがとうございます。
18日、19日に寄せられた物資に、日ごろからストックしておいた新品の子どもニットズボン300枚、鶴岡市内の靴店が閉店する時にお預かりしていたスニーカー150足ほど、日常的にご近所の皆様から、“おからや”に寄せられている使用済みのタオルで作った雑巾(おからやのメンバーがミシンをかけて作ってあります)等、湯飲み茶碗、急須、お茶などをプラスして、チーム7人が石巻に入りました。
①≪自己責任≫
当然の事ながら活動は自己責任で。自分の3食は自分たちで用意ということで、おにぎりを何十個も握ってきてくれた人、全員分の濡れタオルを用意してくれた人、お茶、水を用意してくれた人等々。阪神・中越での活動経験が活かされ、さすがです。緊急通行車両の登録をして、帰りのガソリンも確保。ボランティア保険に入り、ひょっとして車中泊?の覚悟でシュラーフ(寝袋)も用意。みなさんからの“熱い想い”を満載で、少々タイヤが心配されましたが、いいお天気に恵まれ幸先よく出発。
②≪えーっ?代搔きが始まった?≫
前々日の先発調査隊が入った時とちがい、自衛隊が入って整備が始まっていたので、道路はとても通行し易くなっていました。途中田圃に水が入っていたので『わあー、早い、代搔き始まったなだのおー!』と、思わず声をあげたら、押し寄せた水が田圃から引いていなかったの。でした。そして田圃の中に大きな船がそびえたっているのを目の当りにし、津波現場を実感。
③≪石巻湊地区から配布開始≫
大きな避難所には、自衛隊や公的物資がドーンと届いているが、人手が足りなくて荷解きも出来ていない状況。大きな避難所の人達が少人数で避難している場所や、物資が行き届いていない場所などを丁寧に教えてくれる。また、避難所に入らないで壊れた自宅に戻っている人や車中暮らしをしている人などの情報も。情報をもとに一軒ずつこまめに回って、必要な物を置いてくる。途中フリーマーケットのように物資を並べて『よだもの、どれでもどうぞー!』と。中には、浅ましいというような持って行き方の人もいましたが、それぞれに譲り合って『もっと先の方さ行くと、必要な人達がいるから、持って行ってくれ』と。ほっとする瞬間です。
④≪毛布は、ダブツキ状態≫
テレビなどでは、毛布が足りない!寒い!という状況が繰り返しながされていましたが、20日朝出発時点で既に『毛布はダブツキ!!』という現地からの情報が入っていましたので急遽、積み込んだ毛布をすべて降ろし、他の物資を詰め込みもした。ちょっとの隙間ももったいなく積めるだけ詰め込もうと小さいものを押し込んで。毛布は次の状況をみながら、また届けます。本当は、まだ行き渡っていない所があるのでしょうけど。
⑤≪お寺の門前で≫
お寺や神社で避難している人達もいました。避難者に対する対応の仕方には、温度差があり、信じられないような対応のお寺がありました。あるお寺は、山門を開けず、中には入れない。寺の門前にある保育所だけ開放。さまざまな考えがあってのことと思われますが、避難しているお母さんの話が胸に刺さった。3歳と1歳の子どもを連れて逃げ回っている途中、1歳の子どもが死んでしまった。簡単な供養でもいいから、お経をあげて欲しいとお願いしたが、断られたと。お寺の名前も場所も把握して来たのですが、公表は差し控えます。
この避難所では、おむつ、ウェットティッシュ、下着が喜ばれました。
火葬場が手いっぱいで、土葬に切り替えている自治体が増えてきているそうです。
⑥≪道端で≫
なんとも表現しようのない臭いが漂っています。衝撃的な光景と臭いが続きます。
私たちが入る前々日まで、車で通る道路の両側には、収容されていないご遺体が見られたと。
また、引き波の時にガードレールに引っかかっていたご遺体も多数だったと。私たちが入った時には、道路の整備と共に収容されていましたが、まだ瓦礫の下には収容されていないご遺体が、多数あると伺いました。道路際や町の中、田圃や住宅地など、水が引いてなく溜まっている所では、一瞬『あっ!魚がいる!』と声をあげてしまうような光景に出くわします。津波で打ち上げられ、そのまま海に帰れなくなった魚たちが、浮いているのです。支援物資と共に積んできた帰りのガソリン、経由の臭いが車内に充満し、その臭いに酔っているのに、強烈な違う臭いが重なり、クラクラするのですが、街の真ん中に乗り上げている船や、ボンネットを下に逆さまになっている車車車を見ると「こうしていられない!」と現実に戻されるのです。
⑦≪中越地震の時とのちがい≫
今回のチームの構成は、阪神の震災で神戸へ物資を運んだ経験のある人、中越地震で何度も小千谷の避難所へ支援に行った人が何人か入っているのですが、口々に『あまりにも広範囲で、大変だあー!』と言います。でも、小千谷の時のように今回も、避難所が閉鎖されるまで、何度でも入るという目標で活動!!を申し合わせました。
ちょっと気になる体制の避難所がありました。いわゆる“えらーい人”がデーンと幅をきかせているので、若い人達の動きが非常に鈍く支援が滞っている。えらい人たちの顔色を伺いながら、遠慮しながらなので、全体の雰囲気がヒジョオーに悪い。勉強になりました、と。
⑧≪必要な物資が日々かわってきます≫
断然おむつが足りません。水が出ないのでお尻を拭くものが足りません。生理用品が足りません。下着、靴下が足りません。電池、ガスボンベ、が足りません。歯ブラシは、ホテルや旅館のアメニティグッズでもかまいません。生鮮食品が恋しいです。などなど。
次は、3月25日に入ります。
※日曜、祭日を除く毎日「手づくりクッキー おからや」前で物資を受け付けています。
※直接被災地へ物資を送れないので、「子ども支援チーム」経由で届けてほしいという東京など遠方からの物資がたくさん届いています。仕分け作業ボランティアさんも募集中です。
お手伝いいただける方は電話090-1377-7036 担当和田まで
鶴岡信用金庫本店後ろ、川端 「川端・おからや」でやっています。
⑨≪子どもたちは≫
山手の方に行くと、子どもがまったくいない避難所があります。気になってきいてみると『この辺はもともと高齢者しか住んでいないなだあ。』子どもが波にさらわれたのじゃないことをしり一安心。他の避難所にいる子どもたちも、まだ思いっ切り遊ぶ気分ではないらしく、とても静かでした。恐怖、悲しみ、不安のまっただ中にいる子どもたちの心の中は、どんなふうなのか。これからどうなっていくのか。ただただ無力さを感じました。それでも、絵本、おもちゃ、ゲーム、ぬいぐるみなどを各所に置いてきました。必ず手にとる日がくることを願って。次回は、もっとたくさんの下着、靴下を持っていかないと。
鶴岡市道形町郵便局の局長さんは、ミニ毛布、ポケットティッシュ、鉛筆、ノートなどの文房具をたくさん届けてくれました。新しい鉛筆をすぐ削れるようにと、小型の鉛筆削りを買い求めて添えてくれました。『すぐに使えるように、必要だと思って買ってきました』とおっしゃっていました。寄せられた物資を仕分けしていると、持って来られた方々の、込めた想いや心配りが伝わってきます。本当にありがたいことだと、仕分けしながら感動しています。
⑩≪すくわれました≫
壊れた自宅にもどり避難している初老の男性の所へ行ったとき、どこから来たか?とたずねられました。「庄内から来ました」と言いましたら『おー、庄内美人かあ!』と言われました。「庄内美人ではねーどものー」と返しながら、しばしお互いに笑いあいました。しっかりと「よし!!心美人でいこうっと!!」気合を入れて活動!活動!
⑪≪満潮に送られて≫
石巻に入る時は乾いていた道路が水浸しになり、車の後ろから「ひたひた」と水かさがましていくなんとも不気味な感覚の満潮に送られて帰路につきました。
3台の車を空っぽにして、無事に鶴岡に戻ったのは、21日(月)午前0時30分でした。
お疲れさまでした。次は25日に入ります。
感謝 車提供 株式会社 松岡
特定非営利活動法人 いなほの会 いなほ作業所
鶴岡工業高校教諭 佐藤有一先生
庄内こども支援チーム 第1便
小池 章弘 いなほ作業所 所長 石井 順 大山保育園 栄養士
加藤 智 株式会社 松岡 社員 和田 勝良 おからや 職員
庄司小夜子 郵便局会社 社員 石井 清則 チャイルドラインつるおか
佐藤 有一 鶴岡工業高校教諭
ひとくちメモ
○ ホテルや旅館で出してくれる、歯ブラシや櫛等のアメニティグッズも日ごろから捨てないでとっておくと、結構役立ちます。
○ 現地になかなか情報が伝わりません。11日以降の新聞が欲しいです。日付順にまとめてもってきていただけると、より助かります。
庄内子ども支援チーム事務局
〒997-0037 鶴岡市若葉町15-5 電話・FAX0235-25-3460
【引用終わり】
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「庄内子ども支援チーム」はこれからも支援物資を届ける活動を継続するとのこと。
避難所がなくなるまで。
惜しみない協力をお願いします。
ようやく、宅急便が山形県内は通常どおり届けてくれるようになっています。
(ケー)