1学年だより「ロジカル筋トレ」
部活動の時間に制限がうまれることで、どの分野でも工夫して練習するようになった。やみくもにたくさん走る、ひたすら回数をこなすといったタイプの練習は、減ったのではないだろうか。
ただし、練習のすべてが科学的根拠に基づいた効率のよいものあったとき、必ずしも成果があがるとは限らない面もある。
同じ技量、同じ力量の選手同士、チーム同士の戦いで、最後に勝敗を決する要因が「根性」であったりする。下馬評が低く、客観的力量も下に見えながら、勝つ場合さえある。
「根性」とは、その人、そのメンバーの体にしみついた「記憶」ではないだろうか
勉強も仕事も、遊びや恋愛においてさえ、最後の一歩をねばりきれる力を生み出すのは、それまでに積み上げてきた経験の記憶だ。その質は、科学的エビデンスだけでは説明しきれない。
マリナーズの菊池雄星投手はじめ、多くのアスリートから信頼されるトレーナーの清水忍氏は、徹底してロジカルなトレーニングを追求する。たんに回数をこなす、あげる重さを競うというトレーニングでなく、その競技にどんな筋肉が必要で、そのために何をどうすればいいかを徹底的に分析したトレーニングを行う。
その清水氏をしても、いわゆる「地獄系トレーニング」は全否定されていない。
~ ヘトヘトになるまでやるトレーニングは、体力や持久力を向上させたり、根性をつけたりするのを目的でやるのなら、けっこう効果的なものだ。だから、今日は根性をつける日だと割りきって50本ダッシュを行なったり、持久力をつける目的で300本ノックを行なったりするのならばまったく構わない。……スポーツには、結局最後には根性がモノを言う面もある。同じスキルと体力を持っている人が競走をすれば、根性がある人のほうが先にゴールテープを切るだろう。“地獄系のトレーニング”でいくつもの修羅場を越えて根性が鍛えられていれば、きっと「ここぞ」というところで粘り強さが発揮されやすくなるはずだ。
それに、根性が鍛えられている人は、挫折をしてもそれを乗り越えやすくなるし、理不尽な目に遭ってもそれに耐えることができやすくなる。おそらく、“めちゃくちゃ理不尽で非合理的な地獄系トレーニング”を乗り越えてきた経験は、そういう打たれ強さにもつながっていくのではないだろうか。 (清水忍『ロジカル筋トレ』幻冬舎新書) ~
あえて理不尽な仕打ちを受ける必要はもちろんないが、その時々において意味のわからないことが、実は大きな意味をもっていたことに後で気づくことがある。
「何それ? 意味わかんない!」と若者は言いがちだが、本当に意味あることは、その瞬間に簡単に気づくものではないからだ。
一瞬で意味のわかることしかしたくない時間を重ねるのは、人生的には相当もったいない。
部活動の時間に制限がうまれることで、どの分野でも工夫して練習するようになった。やみくもにたくさん走る、ひたすら回数をこなすといったタイプの練習は、減ったのではないだろうか。
ただし、練習のすべてが科学的根拠に基づいた効率のよいものあったとき、必ずしも成果があがるとは限らない面もある。
同じ技量、同じ力量の選手同士、チーム同士の戦いで、最後に勝敗を決する要因が「根性」であったりする。下馬評が低く、客観的力量も下に見えながら、勝つ場合さえある。
「根性」とは、その人、そのメンバーの体にしみついた「記憶」ではないだろうか
勉強も仕事も、遊びや恋愛においてさえ、最後の一歩をねばりきれる力を生み出すのは、それまでに積み上げてきた経験の記憶だ。その質は、科学的エビデンスだけでは説明しきれない。
マリナーズの菊池雄星投手はじめ、多くのアスリートから信頼されるトレーナーの清水忍氏は、徹底してロジカルなトレーニングを追求する。たんに回数をこなす、あげる重さを競うというトレーニングでなく、その競技にどんな筋肉が必要で、そのために何をどうすればいいかを徹底的に分析したトレーニングを行う。
その清水氏をしても、いわゆる「地獄系トレーニング」は全否定されていない。
~ ヘトヘトになるまでやるトレーニングは、体力や持久力を向上させたり、根性をつけたりするのを目的でやるのなら、けっこう効果的なものだ。だから、今日は根性をつける日だと割りきって50本ダッシュを行なったり、持久力をつける目的で300本ノックを行なったりするのならばまったく構わない。……スポーツには、結局最後には根性がモノを言う面もある。同じスキルと体力を持っている人が競走をすれば、根性がある人のほうが先にゴールテープを切るだろう。“地獄系のトレーニング”でいくつもの修羅場を越えて根性が鍛えられていれば、きっと「ここぞ」というところで粘り強さが発揮されやすくなるはずだ。
それに、根性が鍛えられている人は、挫折をしてもそれを乗り越えやすくなるし、理不尽な目に遭ってもそれに耐えることができやすくなる。おそらく、“めちゃくちゃ理不尽で非合理的な地獄系トレーニング”を乗り越えてきた経験は、そういう打たれ強さにもつながっていくのではないだろうか。 (清水忍『ロジカル筋トレ』幻冬舎新書) ~
あえて理不尽な仕打ちを受ける必要はもちろんないが、その時々において意味のわからないことが、実は大きな意味をもっていたことに後で気づくことがある。
「何それ? 意味わかんない!」と若者は言いがちだが、本当に意味あることは、その瞬間に簡単に気づくものではないからだ。
一瞬で意味のわかることしかしたくない時間を重ねるのは、人生的には相当もったいない。