水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

あなかま

2014年03月25日 | 国語のお勉強(古文)

 講習受講者用の課題を添削していると、「あなまさなや」の訳ができない子が多かった。
 「あなかま」の訳語として「静かに!」を丸暗記させるだけになってたかもしれないと反省する。
 「あなまさなや」は、感動詞「あな(ああ、なんと)」、形容詞「まさなし(よくない)」の語幹、終助詞「や(なあ)」で構成される。
 「あなまさなし」は、課題の文章では「なんてみっともない」のニュアンス。
 それを強く言うと「あなまさな!」になる。

 映画「銀の匙」の1シーン。
 自分のミスで、絞ったばかりの牛乳500リットル分をダメにしてしまった八軒君が、御影さん(広瀬アリス)に尋ねる。
「牛乳1リットルって今いくらなの?」
「買い取り価格が83円かな、だから500リットルだと … 」と御影さんがいうと、八軒くんが「41500円か!」瞬時に言う。
 アリスちゃんが「計算はやっ!」と声を漏らす。
 「はやい」ではなく「はや!」という。これが形容詞の語幹用法だ。

 吹雪の日に外にでた瞬間口にするのが、「寒いなあ」ではなく「うっ、さむ!」である。
 これが感動詞+形容詞語幹であり、古典では「あなさむ」になる。
 「きもっ!」とか「まじうざ」も同じ。
 古典では「あなかしこし」が「あなかしこ(なんと畏れ多い)」になり、「あなかまし」が「あなかま(なんてうるさいの)」になる。「あなとし(疾し)」の「あなと(まじ、はや!)」もたまに出てくる。
 
 ちなみに1994年のセンター試験で「あなかま」の意味が問われたときは、こんな選択肢だった。

 ① 仲間におなり  ② 静かにしなさい  ③ とんでもない  ④ もっと大声で  ⑤ かまわずに
 
 ①はだじゃれだけど、ひっかかった生徒さんもいたな。①が遊びであることに気づけば、対になっている②か④のどちらかが正解である可能性は高いから、古文の知識がなくても、この問題は実質二択問題だったのだ。

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