映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「愛のこむらがえり」磯山さやか&吉橋航也

2023-06-29 19:31:09 | 映画(日本 2019年以降主演女性)
映画「愛のこむらがえり」を映画館で観てきました。


映画「愛のこむらがえり」は先日「渇水」で初長編監督作品を発表したばかりの高橋正弥監督の作品だ。監督昇格できず万年助監督に甘んじている男が同棲している彼女と一緒に自ら書いた脚本を売り込んで日の目をみようとする物語だ。磯山さやかと東京乾電池に所属する吉橋航也の主演である。東京乾電池の親分柄本明をはじめとして、吉行和子、浅田美代子といったベテラン勢が脇を固める。

子どもの頃からの夢で公務員になるべくしてなった香織(磯山さやか)が、地元鉾田の映画祭で賞を受賞した映画に感動して映画の仕事をしようと上京する。賞を受賞した浩平(吉橋航也)と映画の仕事で一緒になり、同棲を始めて8年になる。しかし、浩平は18年も助監督という名の雑用係で、今では自分より若い監督の下につく始末だ。

自ら限界を感じながら、浩平が起死回生で書いた脚本「愛のこむらがえり」を読んだ香織が感動して映画製作者に売り込む。でも、なかなかうまくいかない。香織が映画プロデューサーの友人橋本(菜葉菜)に脚本を見せて、いくつかアドバイスを受け脚本はブラッシュアップした。ただ、いいキャストがでなけりゃ映画製作のカネは出せないということで名優西園寺宏(柄本明)に出演交渉しようと香織がストーカーまがいに近づいていく。でも、門前払いをくらってしまう。


主演2人に好感が持てるコミカルテイストをもった作品だ。
もう40近いけど、磯山さやかは、かわいい。映画に感動して周囲を気にせずずっと拍手し続けたり、同棲相手が書いたシナリオを読んで涙を流しながら感動している姿がいい感じだ。そこまでやられると相方もやる気にもなるだろう。しかも、各映画会社などに率先してtel打ちして売り込み、名優にも出演してくれと強引な出演交渉をする。映画の中の存在だけど、熱心さにしびれる


万年助監督の浩平を演じる吉橋航也は、今回初めて知った存在だ。才能はあるけど、うだつの上がらないボーッとしたキャラクターの役づくりだ。プロフィールを見ると、東大法科出身だという。昭和の時代には、山村聰や渡辺文雄の東大出身俳優がいて、現役には香川照之もいるけど、いずれも法科卒ではない。ただ、3人とも政財界の大物のような役ができる。今回観た限りでは、吉橋航也はちょっと出来なさそうなキャラだ。むしろ東大理系研究者の匂いがする。自分の経験では頭のいいやつってこんなボーッとしたやつが多い。


高橋正弥監督には長らく助監督をしてきた経歴があるので、自分で自分のことを題材にして書いたのかと思ったら違う。脚本は「ツユクサ」安倍照雄、三嶋龍郎との共同脚本だがメインは加藤正人である。東北芸術工科大学の教授で、比較的最近では白石和彌監督で香取慎吾主演の「凪待ち」の脚本を書いている。2019年の公開作品では自分なりには評価が高い。競輪狂いの主人公を描いているのに白石和彌がギャンブルをやらないと聞き変だな?と思った記憶がある。どうやらピンク映画上がりの加藤正人裏筋の人生にもくわしいのだろう。

助監督が長いという経歴の高橋正弥を意識して加藤正人が書いたのかもしれない。履歴を見ると、加藤正人も高橋正弥も秋田出身なので同郷のよしみもあるのだろう。助監督がロケ地で交通整理をしたり、なかなか監督作をもらえないと助監督仲間とキズを舐め合うシーンは映画製作内部にいないとわからない。


柄本明も出演作に事欠かない。「最後まで行く」はやくざ役だったけど今回は名優役だ。日経新聞で「私の履歴書」を既に書いた吉行和子も80代半ばを過ぎてスクリプター白鳥あかね役で出演しているし、往年の名映画監督役で品川徹が出ているのも味があるセリフが出せて良い。往年のファンとしては浅田美代子の出演もうれしい。


いくつかの映画で出会っている菜葉菜が、映画プロデューサー役で出ている。これがうまい。現代映画のプロデュース事情を語ってくれたのでわかりやすくて良かった。それによれば、最近の映画は「原作至上主義」で名の通った原作がないとスポンサーがつかない。オリジナル脚本なら著名キャストを連れてこないとダメだと語る。なるほどと思った。
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映画「告白、あるいは完璧な弁護」

2023-06-27 19:23:23 | 映画(韓国映画)
映画「告白、あるいは完璧な弁護」を映画館で観てきました。


映画「告白、あるいは完璧な弁護」は韓国得意のクライムサスペンスだ。密室殺人の真犯人に絡むミステリーだというだけの予備知識である。スペイン映画のリメイクのようだけど、それなりに改変したという。映画館にあるポスターでキムヨンジンの顔が妙に気になっていた。「シュリ」で注目を浴びたあとしばらくは主要作品に登場してよく観ていた。もう50になる。韓国映画らしい意外性のあるストーリーを期待したが、十分に満喫できた。

この映画のストーリーは何を語ってもネタバレになりそうなので慎重にたどってみる。

IT企業の社長ユミンホ(ソ・ジソブ)が不倫相手だったセヒ殺害事件の犯人として逮捕収監されていたが釈放され自己所有の別荘に向かう。そこへ依頼を受けた弁護士ヤンシネ(キムヨンジン)が訪れて事情を確認しはじめる。ユミンホは自らは無罪だったと主張する。
それと同時に、セヒ(ナナ)と一緒にいた時に交通事故に巻き込まれていたことを告白する。セヒが運転している時に対向車とぶつかりそうになり、結局相手の車の運転手が障害物に追突して死んでいることがわかる。警察を呼べばいいものを不倫現場で巻き込まれるのを嫌がったセヒとともに事故処理をする。
この事故処理をめぐって事件が複雑になる。それがこのストーリーの肝になってくる。


お見事な韓国クライムサスペンスである。おもしろかった
基調となるのが、殺人事件の被疑者とされる社長と依頼を受けた女性弁護士との雪の中の山荘での対話だ。社長の独白に合わせての回想シーンが続く。先日観た「怪物」よりも黒澤明の「羅生門」に近いスタイルだ。意図的に観客を騙そうという意識が強く、「怪物」より緊迫感があっておもしろい。リメイクとはいえ、かなり練った脚本だ。

元々被疑者とされた殺人事件をたどると、謎の人物からユミンホ社長がホテルの一室に呼び出されていくと、そこに同じように誰かに呼ばれたセヒがいた。すると、目を離したすきに何者かに頭を打たれて意識を失う。目を覚ますとセヒが殺されている。その時通報を受けた警官が駆けつけ、ユミンホ社長が現行犯でつかまる。その時、入り口の鍵も、窓の鍵も閉まっている密室状態だった。

ユミンホの会社の弁護士が動いて釈放されたが、今後の裁判で無罪とするために敏腕女性弁護士を雇う。それがヤンシネで、どんな細かい情報でも教えてくれとユミンホからの聞き取りを始める。


そこで交通事故が起きたことを話す。実際には両方の車両がぶつかっているわけではない。ユミンホが警察に電話すれば済むことだ。でも、不倫発覚を恐れた女の方が回りくどいことをする。その時、セヒが運転していたユミンホの車も動かなくなっていた。通りかかった親切な人がたまたま自動車整備をしていて修理をしてもらう。修理が済んで、整備工の家でごちそうになっている時、衝撃の発見をしてしまう。

もう少し話を進めてもいいのだが、この辺りにしておく。


観客に錯覚を起こさせる映画だ。裁判で有利になるために、何でも話してくれというヤンシネ弁護士はユミンホから徹底的に聞き込む。そして、ヤンシネ弁護士なりの推理も働かせた作戦も教授する。この辺りがすべて再現映像になる。こういうことなのかと思ったその後で逆転、そして逆転だ。よくもまあ考えたものだ。

「告白、あるいは完璧な弁護」「最後まで行く」と同様に一つの交通事故にとんでもない背景があったことがわかり、それと密室殺人事件とをつなげていく。複雑な内容なのにわかりやすい。これもおもしろかった。韓国映画のストーリーは奥が深い。ネタが多い。
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映画「カードカウンター」 オスカーアイザック&ポールシュレイダー

2023-06-25 20:06:25 | 映画(洋画:2019年以降主演男性)
映画「カードカウンター」を映画館で観てきました。


映画「カードカウンター」は「タクシードライバー」の脚本で知られるポールシュレイダー監督オスカーアイザック主演で孤独なギャンブラーの偶像を描いた作品だ。カードプレイヤーを描いた映画というと、マットデイモン「ラウンダーズ」などの名作がある。この作品も同じようにギャンブラーの浮き沈みを描くものだと思っていた。でも、オバマ元大統領が選ぶ2021年のベスト映画の一つに入っている。意外にもオバマもギャンブルに興味があるのか?そんなことを思いながら映画館に向かう。

ウィリアムテル(オスカーアイザック)は長年の刑務所生活でカードゲームを覚えて、日々カジノ周りで暮らしていた。ある日、ギャンブルブローカーのラ・リンダ(ティファニー・ハディッシュ)と出会い、ウィリアムの腕前を見てポーカーの世界大会への参加を持ちかけられる。その直後、かつて上等兵だった時の上司ジョン・ゴード(ウィレム・デフォー)とウィリアムにゴードへの復讐を持ちかける若者カーク(タイ・シェリダン)と出会う。世界大会に参加することになったウィリアムとカークは車でカジノまわりをすることになる。


予想外に重い展開の映画であった。
一度観ただけでは、自分の理解度の拙さもあるけど、理解できずに進む場面も多い。でも、オバマ元大統領が推すという意味がわかった。イラクの刑務所で収容した捕虜を自白させるために拷問したことがあったらしい。オバマは拷問しないと政権公約している。ビンラディン殺害計画の映画「ゼロ・ダーク・サーティ」でも捕虜の拷問は取り上げられていた。ウィリアムは刑務所で虐待した罪で長期の収監をされた。ところが、指示をしたその上司が問題なく生きていることに憤りを感じるのだ。ウィリアムたちのしたことはハンナアーレントが言うナチス党員の「悪の凡庸」の話に通じる。


カードゲームのプレイそのもので、相手との心理戦をする闘いの映像は少ない。ウィリアムがボード上で結果的にゲームに勝つ映像はあるけど過程は見せていない。身を隠すように生きているギャンブラーのウィリアムは目立つことを好まない。それがこれまでのギャンブル映画と違う。阿佐田哲也(色川武大)が目指す生き方だ。カードカウンティングの手法を露骨に使うとカジノから締め出しをくらう。ウィリアムは大勝ちはせずにカジノをまわっていく。宿泊も高級ホテルではなくモーテルを選び、部屋の中も異様な感じで整理する。ひっそりとカジノを巡る旅まわりのギャンブラーってこんな感じなのであろう。

ブラックジャックのカードカウンティングの話は有名なエドワードソープの「ディーラーをやっつけろ」などの本で読んでいるし、映画「ラスベガスをぶっつぶせ」も観ている。カジノにも日本の競馬よりは少ないながらも控除率があり、長期で賭けると大数の法則で絶対にカジノが優位になる仕組みだ。その控除率を乗り越えて賭ける方を優位にするのがカードカウンティングだ。でたカードが優位な時に大きく賭けることで、長期的に優位に進められる。あからさまにやっているのがわかれば出禁になるが、大きく儲けるわけでなければ見過ごされるはずだ。ウィリアムもそのスタイルだ。


映画「レインマン」で、弟のトムクルーズに無理やり連れていかれたカジノで自閉症の兄ダスティンホフマンカジノで大勝ちする痛快な名場面がある。これは、でたカードを全部暗記してしまうサヴァン症候群の特殊能力によるものだ。2人は何か悪いことやっているのではないかとカジノを追い出される。カードカウンティングは容易ではない。


オスカーアイザックはクールなギャンブラーを巧みに演じた。主演作を観るのは3作目だ。ギャンブラーのウィリアムに注目した黒人女性のギャンブルブローカーとの恋も語られる。相手役のティファニー・ハディッシュにはどっしりした存在感がある。白人と黒人の恋というのも時代を感じさせる。脱ぐかと思ったが、寸止めだった。


ティファニー演じるラ・リンダがギャンブラーの1人をファッツとして紹介する場面ではポールニューマンの名作「ハスラー」でライバルだったビリヤードの名手ミネソタファッツを意識していた。ベテラン映画人ポールシュレイダーならではの登場だと思うけど、今の人は知らないよね。なぜか今日の日経新聞で自分が敬愛する芝山幹郎ポールシュレイダー「ローリングサンダー」を取りあげたのにはビックリだ。
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映画「君は放課後インソムニア」 森七菜&奥平大兼

2023-06-25 05:14:55 | 映画(日本 2019年以降主演女性)
映画「君は放課後インソムニア」を映画館で観てきました。


映画「放課後のインソムニア」オジロマコトの漫画原作を池田千尋監督がメガホンをとり、若手の人気女優森七菜が主演の青春モノである。共演は「マザー」長澤まさみ演じる出来のわるい母親に振り回される息子を好演した奥平大兼だ。でんでん、田畑智子、MEGUMI、萩原聖人といったベテランが脇を固める。

たまに青春モノが見たくなる時がある。とは言うものの、予告編でこれは違うなと思うことが多い。今回、日経新聞の映画評古賀重樹編集委員が星5個(満点)をつけていた。いい批評しても評価は3点が多い古賀重樹には珍しいことなので、ついつい目が止まる。しかも、「ラストレター」で観た森七菜の瑞々しさとクルド人移民の悲哀を描いた「マイスモールランド」でも好演した奥平大兼が気になり映画館に向かう。

石川県の高校生中見丸太(奥平大兼)は夜眠れない不眠症に悩まされていた。ある時用事があって学校の天文台に入った丸太は、そこで寝ているクラスメイトの女子高生曲伊咲(森七菜)に気づく。伊咲も同じように眠れない悩みをもって時々来ていることがわかり、2人でこっそり訪れるようになる。ところが、養護教員に2人が天文台にいることがバレてしまう。事情を聞いた教員は2人に思いきって学校公認の天文部を作ったらどうかと勧める。そして、以前部員だった先輩にも頼り天文台を活用した活動を始める。


さわやかな青春物語で好感が持てる。
石川県七尾市が舞台で、おそらくは地元も全面的に協力したのであろう。まさに天文台がある七尾高校を使ってロケをしたみたいだ。人口5万の海辺に面した地方の町の息づかいが手にとるようにわかる。7つの橋を誰にも見られずに渡るといいことあるなんてエピソードもいい感じだ。能登町の真脇遺跡にいる2人を捉えるカメラワークが良かった。しかも、このところの日本映画に多い下層社会の暗い面を妙に盛りだくさんにしすぎる雰囲気がないのも良い。


森七菜と奥平大兼の主演2人がさわやかだ。もともと恋心がお互いにあったわけではない。天文部の活動で、天文台という密室で共通の時間を過ごすことで恋が深まっていく。若い2人の空気感がじわりじわり伝わってきて応援してあげたくなる。これまでの作品を観て好感をもった2人が頑張った。若い2人の同級生たちや先輩やお姉さんの使い方もうまい。読んではいないが、オジロマコトの漫画の原作もいいムードを持っているのであろう。

伊咲に心臓疾患の持病があることや、丸太の母親が飛び出して行ったなんて話題もある。それぞれの悩みを乗り越えながらこの純愛をキープしようとしている。「努力も運も写真に写らない」と伊咲がカメラ好きの丸太にいうセリフが妙に腑に落ちた


自分も目線を高校時代に落とした時、森七菜みたいな女の子とこんな共通の時間が過ごせたらどんなに楽しかったんだろうかとうらやましい気分になる。主題歌「夜明けの君へ」もいい曲で席を立つ人がいなかった。そう、ラストのエンディングロール終わったあとにオマケがあるので注意。少し涙腺を刺激するシーンはあったけど、スッキリと映画館をあとにできた。
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番外14 和歌山で食べたがしら

2023-06-24 06:58:37 | 散歩
出張で和歌山にも寄りました。

平成の初めにいた和歌山には想い出がたくさんある。
クエという魚を知ったのは和歌山が初めてだ。あの時和歌山で食べたクエちりは人生3本の指に入る。


がしらという名でみんなが言っている魚は関東ではカサゴだ。
でもいつまでたっても自分にはがしらの方がしっくりくる。

今回和歌山の魚自慢の料理店でがしらの煮付けを食べた。
おいしい!
もともと魚の煮付けはあまり食べない。ここの味付けは抜群で、他の酒好きの呑べいが食べず2つ食べた。


東京でカサゴことがしらを食べることもある。
先日神楽坂の中華で食べた蒸し魚のカサゴ、これも絶品
いかにも広東料理のスター選手だ。比較のためにup


あと和歌山で食べたのは
造り

イカと白身が特においしい



ハモの鍋だ


日本酒飲みすぎてうっかり鯛めし撮り損なう。
この後飲み屋街で「和歌山ブルース」を歌った。至福の夜だった。
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番外13 凝った焼きとり

2023-06-23 19:21:38 | 散歩
大阪でかなり凝った焼き鳥コースを接待で食べました。

今回の出張の食事は和歌山以外は全部肉だった。
大阪というと肉という感じは確かにする。鶴橋系焼肉もおいしかったが、学校の先輩が一緒だったので最小限しか撮っていない。残念

新地の飲み屋ビルの階上で食べた焼き鳥はかなり凝った感じだ。
ただでは帰さない関西人の言葉通りだ

カナッペ、黒ラスクと生ハム、のりとチーズ 組み合わせがよい


照り焼きハンバーグだ!


サラダだけど+鶏皮


漬物


鶏と季節の果汁


焼き物は何が何だかわからないのでコメントなし


鶏のタタキ


これがおいしい


これは手羽先だよね




たまねぎのポタージュスープ、横のスティックがスプーン状になっている。




ブラウンマッシュルーム


ねぎま


赤鶏のささみ


手羽先の先の皮だって


たまごご飯と鶏スープ




デザート


最後に赤い飴をもらった


いくつか撮り損なったのもある。
勢いがついて近くの新地のクラブに行ったけど。。。。あえてコメントなし

でもクラブでお土産でもらったばんざい亭のたまごサンドがむちゃくちゃおいしかった。
大阪はこういうのがおいしいんだよなあ。


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関西出張で

2023-06-23 11:24:10 | 散歩
3泊4日の関西出張で

事務所もあるのに大阪は3年ぶり
和歌山は5年ぶり

その昔住んだ天王寺あべの付近のイメージが違う。


なんばに行くと
歌舞伎座はホテルになったんだ!


法善寺横丁

新夫婦善哉はこの辺り



グリコ健在


くいだおれ人形変わらないね


かに道楽


づぼらや閉店だったよね?


パルコのそばの御堂筋沿いは舶来高級ブランドショップで固められる


関西の人から見たら浦島太郎だな

そして本町の大阪っぽいすき焼きやでランチ食べる。
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丸15年の雑感

2023-06-18 15:02:36 | Weblog
ちょうど15年たった。何気なく始めたブログなのに、記事一覧にはちょうど2300の記事となっている。すごい数になった。本のこと、街歩きのことなど色んなジャンルを書くつもりだったが、ほぼ映画に絞り映画を起点にして色んなことを書いている。本は相変わらず年間200を超えるペースで読んでいるし、食いしん坊だけにグルメ写真もかなりあるけど、本やグルメのブログアップは控えめにしている。

ちょうど15年前に父と母が亡くなった。ブログが6月にはじまり、7月に父がなくなり、11月に母が亡くなった。そんなに経つのかと時間のスピードに驚く。ブログスタート時の中年サラリーマンも今や初老の男だ。仕事的にはこの4月から少し荷が軽くなって、最終エンドにむけて進んでいる。この15年イヤなこともたくさんあったけど、むしろ良いことの方が多かった。運はいい方だ。今までお世話になった人に会おうとして、4月には福岡へ行ったし、来週は3泊4日で大阪、和歌山へ出張する。その時は阪神間にも足を伸ばす。その次の週は名古屋だ。

この3年はコロナ禍でかなり行動が制約された。飲酒禁止令が出た時期には、γ-GTPが何と30以下になった。人間ドックで肝機能がAというのもコロナになって初めてだ。以前は100を中心にプラスマイナス20程度だった。もともとイベントごと以外は家では飲まない。今年は飲み会の数も増えたけど、なんとか50台を保つ。それにしても、今となってはあの行動制限ってなんだったんだろうか?2次会禁止令も出たけど、制約されても時折行った。
身体にガタが出てきたのは間違いない。還暦とはよく言ったもので、昔は人生50年という説もあれど、乳幼児期のハードルを超えてまともに育った人が60歳くらいまで生きたのか?ダメになる身体の部分がでてくる。60歳になった後で、かなり調子が悪い時もあった。検査をすると、白血球が異常に増えていたことがあった。医者も首を傾げていた。あれってなんだったのであろう。今は大丈夫だ。

60になる手前から色んな知り合いが毎年のように死んでいる。高校のクラスメイト、高校の部活の同期、幼稚園から大学まで一緒だった奴、仕事でお世話になった年下の人など。一つだけ共通するのはタバコ。父がヘビースモーカーだった自分は車の中のタバコの匂いがイヤで結局吸わなかった。結果的には良かったかもしれない。今年の冬に大学のひとつ下の後輩が死んだ。ガンだった。葬儀に行った後、1年下の1人に久々に会ったら小学校1年の子供がいると聞いた。自営ではない。サラリーマンだ。これからどうやって仕事するんだろう。

普通は60すぎるとガクンと給料が下がる。今年の4月から少し肩の荷がおりたけど、まだそれなりの給料をもらっている。クラブ活動も、芸者遊びもたまにはやる。でも、体力勝負だというのを自覚する時期に来ている。健康寿命を意識する時期は来ている。

今年に入ってからも80本映画を観ている。選ぶ基準はない。勘で決めている。邦画洋画問わず、古い邦画も名画座へ観に行く。映画館原理主義者ではない。でも、家の近所にあったTSUTAYAがなくなり、DVDで借りることがなくなった。NetflixとAmazonprimeに観たい作品があればいいけど、観る機会は少ない。選んで観に行っても、この映画は映画館でないとダメというのが70%程度か?早送り反対主義者でもない。むしろ量を多く見て作品の優劣を判断することを人には推奨する。日経新聞と週刊文春の映画評で評価の良いものはほとんど観ている。もちろんハズレもある。点数は低いけど行ってみたらよかったというのも多い。自分のメモでは2007年からつけている映画備忘録の映画本数が3176である。生きているあいだに5000本になるのか。なんとか達成するまで生きる。
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映画「アシスタント」 ジュリアガーナー

2023-06-17 07:31:21 | 映画(洋画:2019年以降主演女性)
映画「アシスタント」を映画館で観てきました。

映画「アシスタント」は2019年に作られたけれど、改めて今回日本公開となった作品である。名門大学をでて映画界に入った女性が助手的な仕事と上司の身勝手な行動に戸惑う姿を映す映画である。予告編で気になった作品で早速観にいく。女性監督のキティ・グリーンはドキュメンタリー映画畑の監督のようだ。その彼女が女性の証言を集めてこの作品をつくった。  

名門ノースウェスタン大学を出て、映画プロデューサーを目指して映画製作会社に入社したジェーン(ジュリア・ガーナー)は、2カ月たっても雑用に追われるばかりだ。上司である会社の会長はどうも、容姿のいい女性を捕まえては、自分の身近に連れてくる習癖があるらしい。会長の妻はヒステリックで、日頃の会長の行動も気になり「どこに誰といるのか」と電話を会社にかけてくる。周囲の男性アシスタントは会長の動きは薄々わかっている。でも何も言わない。会長が出張で見つけてきた美貌の女性との逢引きも気になり、ジェーンが人事部?に駆け込む。


女性目線が強い映画である。
ストーリーにもう少し深みがあるのかと思っていたけど、たいした中身がなかった。残念だ。ハーヴェイ・ワインスタインのセクハラ疑惑をニューヨークタイムズの記者が追いかけた「SHE SAID シー・セッド その名を暴け」は実におもしろかった。あの映画も女性監督による女性目線が強い映画だったけど、いくつもの起伏を作って深みのあるストーリーとなっていた。この映画はほんの断片しか映さない。肝心な会長は声でしか出演しない。


人事部にジェーンが乗り込んで会長が出張で見つけてきた女性を連れて来ているなんて話を持ち込んでも、人事のマネジャー「何しに来たの?」「何をどうして欲しいの?」と思ってしまうだけだろう。自分も同じ立場だったら、似たような対応しかできない。ジェーンにもこうして欲しいというのがない。どうもこの映画は女性の愚痴をそのまま映画にしている流れだ。一部の女性には共感をもって受け入れられるかもしれない。それはそうであっても、もっと色んな話がないと単なるネタ不足にしか思えない。予想よりインパクトがなかった。
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映画「逃げ切れた夢」 光石研

2023-06-10 18:15:42 | 映画(日本 2019年以降)
映画「逃げ切れた夢」を映画館で観てきました。


映画「逃げ切れた夢」は名バイプレイヤー光石研主演で少しボケが入った定時制高校の教員を演じる新作である。光石研の地元北九州市が舞台だ。つい先日も「波紋」失踪した後ガンになって戻ってきた男を演じたばかりである。彼の履歴を見ると、半分以上の作品は観に行っている。見た目まじめそうだけど、どこか抜けていてとんでもない間違いを起こす役が目立つ。「由宇子の天秤」教え子をハラませた塾講師を演じた時もそんな役柄だ。

予告編で定年前なのに認知症の気が出てきた教員を演じていることがわかる。今までの光石研との長い縁?と「孤独のグルメ」松重豊の登場で早々に映画館に向かう。

定時制高校で教頭をしている末永(光石研)はお人好しで面倒見がいい先生だ。ある日、教え子の南(吉本実憂)が勤める定食屋で勘定し忘れて、店を出てから南に呼び止められ最近物忘れが激しいとカミングアウトする。家では妻(坂井真紀)との関係は最悪で、一人娘からも相手にされない。旧友のバイク店店主(松重豊)と杯を交わすと自分勝手と言われる始末で、教員生活を終えようと思っている。


光石研のワンマンショーだ。
本当は校長になりたかったが、教頭であと一年で教員生活は終了だ。年齢は58くらいだろう。学校でも常に周囲に声かけして、校舎の周りの掃除もする。一見気のいい男だ。そんな真面目な男も家でも嫌われている。妻は浮気もしているかもしれない。しかも、物忘れが激しくなって、アルツハイマーの疑いで医師の治療も受ける。でも、年老いた父親には時々面会に行っている。似たような人って世の中にいるかもしれない。

そんなキャラを光石研は巧みに演じる。11年ぶりの主役だという。前の主演作「あぜ道のダンディ」も観ている。怒りっぽい不器用な妻を亡くしたがんこ親父を演じた。いずれも名作である「ヒミズ」「共喰い」のように暴力を振るう親父役なんて作品もあった。その後、光石研は官僚的な県警本部長の役もやったし、元ヤクザの親分の死刑囚も演じられる器用な役者である。どちらかというと、近年の「由宇子の天秤」「波紋」のようにどこか抜けている男の方がうまい。


この作品は俳優としても数々の作品にでている二ノ宮隆太郎監督作品で、カンヌ映画祭ACID部門にも出品している。光石研の故郷北九州での全面ロケで、何と光石研の実父まで出演している。座敷のある居酒屋や古い商店街や喫茶店など地方都市を感じさせるバックに映る北九州の光景の肌合いは良い。ロケハンには成功している。そんな場所で、地元の言葉で光石研も松重豊も言葉を交わす。それ自体は好感がもてる。


直近でブログアップした「新夫婦善哉」の記事で、同じ長回しでも森繁久彌と淡島千景の笑いを呼ぶ掛け合いに圧倒されるとする一方で、最近の日本映画は不必要に長い沈黙が多いという苦言を述べた。そんな話をした後で、この映画を観てまさにそのパターンだと思った。

定食屋で勘定の支払いを忘れて食い逃げまがいに店を出た時の店員である教え子の女の子との会話をクライマックスに持っていく。定食屋の店員を辞めて中洲で働くと彼女がいうのに付き合うのであるが、さすがにこれだけではストーリーの中身が薄い。それまでの家庭での会話などあっても明らかに物語としてネタ不足だと思う。まあ、色んな作品で楽しませて頂いている光石研の主演なので全て許せるけどね。


それにしても、最後の場面で主人公が2人で会う女の子が娘なのか定食屋の女の子かしばらくわからなかった。作品情報のプロフィール写真で違うのはわかるけど、小さな真四角の画面ではわからない。最近の女の子はみんなキレイだけど同じように見える子が多い。中洲で50万円の収入保証って彼女言っていたけど、何かな?
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映画「新夫婦善哉」 森繁久彌&淡島千景

2023-06-09 19:13:07 | 映画(日本 昭和35年~49年)
映画「新夫婦善哉」を名画座で観てきました。


映画「新夫婦善哉」は名作と言われる豊田四郎監督「夫婦善哉」の続編である。といっても公開は昭和38年(1963年)で昭和30年の第1作目から8年経っている。続編はなかなか観る機会がなく名画座の森繁久彌特集ではじめて機会ができた。大阪船場のできの悪い問屋の息子が情のある芸者の元に走るという1作目のストーリーの流れはある程度継承されている。この頃の森繁久彌はコメディアンとしてピークであり、情を通じた数人の女の狭間でオタオタするという役柄を演じるとまさに天下一品だ。この映画も実におもしろい

昭和12年(1937年)、大阪法善寺横丁の小料理屋で女将のおきん(浪花千栄子)とともに切り盛りしている蝶子(淡島千景)は、船場の問屋を勘当された元ボンボン柳吉(森繁久彌)と一緒に暮らしている。浮気性が治らない柳吉は船場の実家の妹(八千草薫)にカネの無心をして、仕事を探しに来た房州出身のお文(淡路景子)という女とともに東京へ行ってしまう。そこには兄と称する男(小池朝雄)がいたが、実は情夫だった。柳吉を取り戻そうと蝶子が東京まで乗り込んでいく。船場の実家にいる柳吉の実娘が嫁入りするという話を蝶子から聞き、柳吉は大慌てで大阪に戻っていく

森繁久彌が冴えわたる。実に見事だ。
上方育ちの芸達者が揃うと本当に楽しい。豊田四郎監督の演出の特徴だろうか?カット割りが多いというよりも、長回しが多い。最近の日本映画のように長ったらしく沈黙が続くわけではなく、笑いを呼ぶ会話がポンポン飛ぶテンポの良いショットだ。名門北野中学出身の森繁は当然大阪弁ネイティブだけど、大阪弁と東京弁の使い分けができる。そのすごみもある。

森繁久彌が我々を笑わせるセリフは台本にあるかいな?と思わせる気の利いた言葉を次々と発する。その森繁久彌に淡島千景も、浮気相手の淡路景子掛け合いのテンポを合わせる。実に軽快だ。お見事である。それに加えて、怪優浪花千栄子ツッコミも冴える。思わず吹き出してしまう。


大阪船場の商人は、息子に跡を継がせるというよりも、まじめな使用人に娘を嫁がせ養子にするパターンが多い。大阪時代に仕事上でお世話になった船場の家もそうだった。自宅は箕面にあった。養子に来た夫との間に子どもができないので、お世継ぎの男性の養子をもらっていた。平成の初めは古い船場の風習が残っていた。

ここでの森繁久彌は船場の化粧品問屋の放蕩息子で、父親から勘当されている。縁なしメガネで陰湿な感じの山茶花究演じる妹の旦那からは冷たくされている。これは仕方ないだろう。妹の八千草薫ダメな兄貴をかばう。でもカネの無心に来ても大したことはしてあげられない。ところが、森繁久彌がつくった娘が船場の家にいる。その子が嫁に行くときいて気になって仕方ない。ダメ男もそれだけは心配だ。その嫁入りをストーリーの柱とする。

あとは、森繁久彌ハチ狂いだ。蜂を上手く育てれば大儲けできるという。淡島千景の店の客でローヤルゼリーで一儲けしよう企む客と淡島の掛け合いがおもしろい。森繁久彌は房州すなわち千葉まで行ってしまう。

時代設定が昭和12年ということだが、これが昭和38年としても何の違和感もない。法善寺横丁の水掛不動の周囲は戦災や火事があっても基本は今も昔も同じである。細い路地に面して長屋のような料理屋が連なる風景は自分がいた平成の初めもそんなに変わらなかった。その後大火事が起きたが特別に復興した。

もしかして、この小料理屋のモデルは「正弁丹吾亭」という料理屋かもしれない。当時は安くておいしい料理を出してくれて、社員と大勢でよく行った店だった。浪花千栄子のような気のいいおばちゃんがいた。大衆的な和風のたたずまいが落ち着き、古き大阪の良さを引きずっていた。
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映画「アフターサン」

2023-06-07 18:41:25 | 映画(洋画:2019年以降主演男性)
映画「アフターサン」を映画館で観てきました。

映画「アフターサン」はある女性が20年前11歳の時にトルコのリゾート地で父親と2人で過ごした時の想い出を描いた作品である。監督はスコットランド出身の女性監督シャーロットウェルズだ。父親役のポール・メスカルがアカデミー賞主演男優賞にノミネートされる。父娘の交情を描く映画ってついつい観てしまう。

細かく説明しているわけでないけど、2人は別々に暮らしているようだ。父親は30過ぎて間もないようで、ずいぶんと若い時の子だ。娘のソフィーはやさしい父親が大好きで、ビデオカメラでリゾートで暮らす一部始終を記録している。そんな記録を30過ぎたソフィがビデオを見ながら回顧する。


2人は海辺のホテルで過ごす。プールがあって、そこではしゃぐ。近くの遊戯場で娘のソフィは同世代の少年と知り合ったり、カップルでリゾート地に遊びに来ている若者たちとも知り合う。思春期の少女が目覚めていくきっかけもできる。11歳というと日本でいえば小学生6年生だ。うちの娘はその頃どうだったんだろうか?ふと思う。こういったゆったりとした余暇の一部始終を観るのは悪くはない。バックに流れる音楽のセンスは抜群だ。


ただ、感想が書きづらい映画だ。両親が離婚で別れてしまうので、最後の記念旅行だったのであろうか?特には語られないが、そんな気配はある。ずっと、父親の挙動がおかしい。何か困っているように見受けられる。お金もなさそうだ。何か起きるんだろうかと思いながら、最後まで追っていく。後半戦は父親の動きばかり気になる。いったいどうなるのか?いくつかの微妙なシーンがある。でも、この映画はどのように決着をつけようとしたのか?正直よくわからなかった。
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映画「苦い涙」 フランソワオゾン

2023-06-06 05:23:24 | 映画(フランス映画 )
映画「苦い涙」を映画館で観てきました。


映画「苦い涙」はフランスの人気監督フランソワ・オゾン監督の新作である。ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーの名作「ペトラ・フォン・カントの苦い涙」のリメイクとのこと。予告編にはゲイのフランソワ・オゾン監督だけに男色系映画の雰囲気がある。今回は往年の美人女優イザベルアジャーニが出ている。健在ぶりを示すのか?数々の絶賛の声も気になり映画館に向かう。今回は作品情報を引用する。

1972年のドイツケルン、著名な映画監督ピーター・フォン・カント(ドゥニ・メノーシェ)は、恋人と別れて激しく落ち込んでいた。助手のカール(ステファン・クレポン)をしもべのように扱いながら、事務所も兼ねたアパルトマンで暮らしている。

ある日、3年ぶりに親友で大女優のシドニー(イザベル・アジャーニ)が青年アミール(ハリル・ガルビア)を連れてやって来る。艶やかな美しさのアミールに、一目で恋に落ちるピーター。彼はアミールに才能を見出し、自分のアパルトマンに住まわせ、映画の世界で活躍できるように手助けするが…。(作品情報引用)


室内空間で演じる演劇のようなスタイルだ。
男色系で室内劇というのは自分にとっていちばん苦手なタイプである。フランソワ・オゾン監督の作品はむしろ好きな方で、イザベルアジャーニも出演するので男色系でもうまくバランスが取れていると思っていた。インテリアの色彩感覚や音楽のセンスは抜群である。「悪なき殺人」など数々の映画で主役を張るドゥニ・メノーシェの演技は舞台劇としてハイレベルだ。でも自分にはちょっと合わない。まあ、こういう選択のミスもあるだろう。

先日観た「ザ・ホエール」に構造が似ている気がした。主人公がずっと室内にいて、男色系の室内劇というのは同じである。「ザ・ホエール」の場合、主人公は200kgを超える大巨漢だが、こちらもそれなりのデブ。ともにゲイの恋人と別れて寂しい。身の回りを世話する人がそれぞれいる。ゲイになる前につくったがいて、いろんな来訪客が主人公の部屋に訪問した一部始終がストーリーの根幹というのにも共通点がある。

何か共通の元ネタがあるのであろうか?ただ、美少年「ザ・ホエール」の場合いない。ここでは主人公が美少年への想いに狂っていくという構図だ。美少年がしばらく離れていき、強烈に悲しむ。


上映時間85分と90分以内にまとめるのはフランソワ・オゾン監督らしい。時間内に内容は凝縮している。ただ元ネタがあるせいか、フランソワ・オゾン監督作品特有のミステリー的要素がないのは残念。久々登場のイザベル・アジャーニの美貌は70近くなっても劣っていない。20代前半で撮ったライアンオニール共演「ザ・ドライバー」クールビューティーぶりを思わず連想する。
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映画「怪物」 是枝裕和&坂元裕二

2023-06-04 17:35:12 | 映画(日本 2019年以降)
映画「怪物」を映画館で観てきました。


映画「怪物」は是枝裕和監督の新作で、今年のカンヌ映画祭で坂元裕二が脚本賞を受賞した作品である。それ相応の出来は期待できる。予告編では安藤サクラがモンスターペアレントのように学校で文句を言うシーンがクローズアップされる。一方で、教員が謝る場面があって子供の喧嘩がきっかけなのに何で先生が悪いの?という印象を受ける。いずれにせよ、何かしらのトラブルがあるのだろう。そんな先入観で映画館に向かう。実際には、予想とは違う展開で進む。


シングルマザー早織(安藤サクラ)の小学5年生の息子湊の様子が泥だらけのくつを履いていたりして何かおかしい。誰かにいじめられているのではと問い詰めると、保利先生(永山瑛太)に暴言を吐かれて、暴力も振るわれたと告白し、早織は学校に怒鳴り込む。校長(田中裕子)と他の先生が対応する。結局担任は謝っているが、どこかおかしい。

上記場面が展開した後で、保利先生とその彼女にカメラのフォーカスをあてて、クラス内外で起きたいくつかの事実と職員室内部でのやりとりを追いかけていく。実は保利先生もはめられていたのだ。


構成力に優れた作品である。
予告編では子ども同士のケンカがきっかけとなっている。でも、その場面はしばらくは出てこない。息子の様子が変なので、母親が問い詰めて先生のせいだと告白する場面で安藤サクラがエスカレートする。怒鳴り込む母親に謝る教師たちがオタオタしている。でも、何かおかしい。真実は別にありそうだ。


黒澤明の映画「羅生門」を連想するというコメントもあったが、若干違う。「羅生門」のように真相に対して、それぞれの立場で証言を述べるということではない。三船敏郎や京マチ子、森雅之の証言にはウソも混じった部分がある。ここでは、母親と担任の先生それぞれの視線に近い立場から淡々と真実を追っていくだけだ。ウソを言っている人はいる。先生の立場で教育委員会を気にする発言もある。でも映像自体は真実だ。

起きた事実を視線を変えてゆったりと映画の中で追っていく。時間軸をかえて物語の焦点を少しずつずらすのがうまい脚本だ。坂元裕二の脚本には観客に別のことを想像させようとする巧みさがある。

その流れは極めて自然で、脚本の順番は完璧に構成されている。ベースに流れるものは深い。でも、いちばんのポイントはイジメだ。このイジメにも迷彩がほどこされている。いじめられている子と親しいのを隠そうとする行為である。気の合う奴なんだけど、みんなにはそう見られたくない。個人的葛藤が起こる。目線を一気に小中学生時代まで落とすとこんなことあったのかもと思う。映画を観ながら、すっかり忘れていた小中学校生活を思い出した。


安藤サクラがクレジットトップだが、田中裕子含めてさすがの芸達者もこの映画では特筆すべきところがない。あくまで主演は少年2人だ。特に背の小さい子役柊木陽太に好感をもった。いじめられッ子だ。素直な感じがいい。

構成力にはすぐれている作品でも、廃線になった車両で子ども2人だけが遊ぶ時若干長めで緩慢にしすぎと感じた場面もあり、最後に向けてのツメが甘い気もした。これでおしまいと納得できる感じがしない。冒頭にあった火事というのはいくつかの映像で伏線を回収したということなのか?疑いの火の粉は中途半端では?さすがに、カンヌのパルムドールとまでは及ばないとの自分なりの感触を持つ。故坂本龍一の音楽は胸にジーンと響く素晴らしい曲だった。
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香港映画「私のプリンスエドワード」ステフィー・タン

2023-06-03 17:42:17 | 映画(アジア)
映画「私のプリンスエドワード」を映画館で観てきました。


映画「私のプリンスエドワード」は武蔵野館の新世代香港映画特集で「縁路はるばる」に引き続き観た。香港好きの自分としては、現代香港を撮ったこの映画を観ないわけにはいかない。「縁路はるばる」は自分の好みの作品であった。ここでは新鋭女性監督ノリス・ウォンによる偽装結婚も題材に加えた現代香港の結婚事情を覗き込む。

香港のプリンス・エドワード地区(太子)にある金都商場は、結婚式に必要なものすべてが格安で揃えられるショッピングモールだ。ウェディングショップで働くフォン(ステフィー・タン)は、ウェディングフォト専門店のオーナーであるエドワード(ジュー・パクホン)と同棲中。ある日、エドワードからプロポーズを受けたフォンだったが、実は10年前に中国大陸の男性と偽装結婚しており、その婚姻がまだ継続中であることが判明する。それでフォンは偽装結婚の離婚手続きと結婚式の準備を同時に進めるという話だ。


結婚式グッズが揃うショッピングモールで働く男女が、結婚に向かって準備している。でも、女性には大陸の男との偽装結婚の履歴があってそれを打ち消さねばならないという課題を解決せねばならないというわけだ。

現代香港の若者のウェディング事情がよくわかる。
主演のステフィータンを東京の街に放っても誰も中国人だとはわからないだろう。素敵な女性だ。広東語でまくしたてるといかにも気の強い香港人女性ぽくなる。相手役のジュー・パクホンはラブコメデイ的要素を意識させるお笑い系のキャラを持っている。その一方で、クールな主役女性のキャラクターがシリアスに見えてしまう。いかにも香港人女性監督による作品というのがよくわかる。香港人の気質を知っている自分からすると、全く不自然ではない。でも、コメディになりきれないのでのれない日本人もいるのでは?


⒈偽装結婚
主人公が何で偽装結婚しなければならなかったのか?という理由はよくわからない。実家を飛び出して1人暮らしをするためにお金がいるという。たしかに家賃が高い香港に住むのは大変だ。日本から移り住んだ日本人も大手企業の香港駐在員以外はほとんどルームシェアだ。

でも、ほんの少しのお金を得るために戸籍を汚すという心理がよくわからない。逆に大陸の中国人からすると香港の居住権が欲しい。実際にカネで偽装結婚した人がいるから映画の題材になったのであろう。自分には香港人の心理の方が意味不明といった感じがする。

結婚解消するために、偽装結婚した大陸に住む男性と交渉する過程や偽装結婚をそうでないと示す写真を撮ったりする場面に奇異な印象を持つ。相手が住む大陸の福州にまさに遠路はるばるバスで向かう。中国の知らない町を映し出すそれ自体はありがたい。


⒉マザコンの婚約者
女性監督がつくったというのが顕著に出るのは、男性側のマザコンぶりである。母親が結婚式の段取りを一気に仕切る。披露宴をやるつもりはなかったのに、母親が自分の友人を中心に招待客をかき集める。見栄っ張りだ。フィアンセ側があきれた顔をしても、母親が一気に突き進む.。母親の暴走を極端に強調する。いかにも姑を嫌う女性監督がつくったと思わせる構図だ。


実は香港のプリンスエドワード(太子)には行ったことがない。旺角(モンコック)の次の駅だ。今回の舞台の金都商場は典型的な香港の商店モールである。親しみをもつ。「縁路はるばる」の主演のお兄ちゃんがこの映画でも、エドワードのアシスタント役で出演していた。自分には「縁路はるばる」の方がよくできている映画だと感じる。
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