映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「零落」 斎藤工&趣里&竹中直人

2023-03-26 07:09:41 | 映画(日本 2019年以降)
映画「零落」を映画館で観てきました。


映画「零落」浅野いにおの原作漫画を竹中直人がメガホンを持ち斎藤工主演で映画化した作品である。原作は未読。斎藤工がスランプに陥った漫画家を演じる。MEGUMIや玉城ティナに加えて趣里の女優陣が脇を固める。漫画というより漫画家を題材にした映画って割とおもしろい作品が多い。「パクマン」や昨年の「ハケンアニメ」も良かった。期待して映画館に向かう。

8年にもわたる連載漫画が終了した深澤薫(斎藤工)には、売れっ子漫画家の編集者の妻(MEGUMI)がいる。偏屈な性格の深澤は新作の構想も浮かばず、次第に編集者からも見放されてくる。スタッフを食わすこともできず、妻との関係も徐々に険悪な方向になる。そんな時、気晴らしで呼んだ風俗嬢ちふゆ(趣里)の不思議な魅力に引き寄せられていく話である。



おもしろく観れた。
運気に見放された偏屈な漫画家斎藤工がうまく演じる。連載漫画が終了した後で、スランプに陥る。漫画雑誌の編集者の妻は人気女流漫画家の面倒を見るのに忙しく、いつもすれ違い。ストレスが溜まる。もともと、性格はひねくれている。おもしろいとか売れているという話に反発する。誰にも相手にされていないという感覚で、風俗に癒しを求める。気持ちはわからないことはない。

そんな時現れた風俗嬢ちふゆが妙に魅力的だ。猫のような目をしたショートカットの出立ちでコケティッシュだ。部屋の中でやさしくしてくれる。ついつい通ってしまう。ハマっていく気持ちに共感する。美人ではない。でも魅力的、いったいこの子は誰なんだろう。


エンディングロールで2番目なので、趣里という女の子だとわかる。知らねえなあと調べると、水谷豊と伊藤蘭の娘とわかりビックリだ。前に写真を見て、何この子?と思った記憶がある。良くは見えなかった。今回は髪型がマッチして実にナイスフィットだ。実家に帰るという設定で、さびれた田舎の風景がでてくる。たぶん房総エリアだなということがわかる。ロケハンに成功している。そこでの話の展開も悪くない。

伊藤蘭といえば、仕事絡みで挨拶をしてくれと頼まれ、数年前リアルに会ったことがある。イヤー!きれいだった。昔からファンでしたと言おうと思ったけど、びびって声が出なかったことがある。この映画の趣里には同じようなオーラがあった。


妻役のMEGUMIやアシスタントの女の子の使い方もうまかった。
MEGUMIのダイナミックなブラジャー姿にドキッとしたが、それまでだ。もうすこし女性陣の露出を高めてくれたらもっと良かったのにね。
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映画「メグレと若い女の死」 パトリス・ルコント& ジェラール・ドパルデュー

2023-03-19 18:13:46 | 映画(自分好みベスト100)
映画「メグレと若い女の死」を映画館で観てきました。


映画「メグレと若い女の死」はフランスの名匠パトリス・ルコント監督がベテラン俳優ジェラール・ドパルデューと組んだ新作だ。作家ジョルジュ・シムノンメグレ警視が謎解きをするミステリーの名作である。50年代のフランスパリの雰囲気が感じられるという解説を読みこの映画を選択、ここのところハズレが続く中では大当たりだった素敵なフランス映画である。

1950年代のパリ、身体に5カ所の刺し傷のあるフォーマルドレスを着た若い女性の死体が発見される。メグレ警視(ジェラール・ドパルデュー)が現場に駆けつけるが、身寄りを示すものは何も残っていない。高価なドレスと履いてる靴や下着は不釣り合いだ。犯人を探すために、目撃者の証言、遺留品をたどっていくと若い女性ルイーズの素性が少しづつわかっていくという話だ。


ミステリーのお手本のような作品だ。
テンポがいい。90分以内に上映時間を簡潔にまとめる。ムダがない。それなのに、大柄で太めのメグレ警視の動きはゆったりで、あせらず動く。音楽とあわせて心地が良い気分になる。蓮實重彦が常に言う映画90分論にあてはまる。昭和30年代の日本映画の刑事ものもこのくらいの長さであるが、映像につなぎ目が多く、不自然さがある。この映画ではごく自然に謎解きが流れる

子どもの頃、東京オリオンズ(のちのロッテ)に小山正明という300勝投手がいた。ムダなインターバルなく、あっという間に完投する投球を見せてくれた。「巨人の星」での星飛雄馬のように、投げるまでに10分かかるような映画が最近やたらと多いので、この映画のムダのなさがより一層体感できる。ベテランのパトリス・ルコント監督のうまさであろう。

フランス映画独特のムードの中で、陰影のバランスが上手い鮮明に見せない映像もすばらしい。古い街並みがそのまま残っているパリならではのロケもあり、クラシックな建物とインテリアもいい。ストーリー自体は、都合のいい出来すぎな設定もある。でも、変なつくり込みはせずに、手掛かり材料から周到に聞き込みをしていくメグレ警視をじっくり追っていく。コロンボ刑事を連想する。


若い美女3人も巧みに起用していた。図体だけデカイ、動きが緩慢な初老の警視とのコントラストもいい。俳優の使い方に長けている。特に良かったのが、たまたまスリの現場を見つけて、手なずけたベテイという女性(ジェドラベスト)だ。もともとは育ちがよくない女だけど美しい。低めの声がカッコいい。出来すぎな展開に彼女がうまく使われていた。


この展開自体は不自然というより好感をもって自分は観れた。奇妙な余韻も悪くない。傑作とまではいかないが、この映画が好きだ
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映画「コンペティション」 ペネロペクルス&アントニオバンデラス

2023-03-18 16:01:39 | 映画(欧州映画含むアフリカ除くフランス )
映画「コンペティション」を映画館で観てきました。


映画「コンペティション」はスペインアルゼンチンの合作映画。ペネロペ・クルスとアントニオ・バンデラスの2大スターの共演に「笑う故郷」の名優オスカル・マルティネスが加わる。監督は「笑う故郷」ガストン・ドゥプラット&マリアノ・コーンだ。予告編を観て、ペドロアルモドバル監督作品のような色合い鮮やかで斬新な映像に目を奪われる。「パラレルマザーズ」では50近くなってもペネロペクルスの美貌が衰えていないことに驚く。ここでもペネロペクルスに期待する。

ある大富豪が自分の名声を残すために映画製作を思いつき、ベストセラーの版権を買い、異色の女流監督ローラ(ペネロペクルス)を起用する。ローラは世界的スターのフェリックス(アントニオバンデラス)と舞台俳優イバン(オスカル・マルティネス)に諍いの絶えない兄弟を演じさせるべくリハーサルをはじめる。そこでは3人の個性が衝突して強い葛藤が生まれるという話である。


思った以上に退屈な映画であった。
予告編で観た鮮やかな映像はこうやって映画を見終わると、いいとこ取りしたなあという印象を持つ。室内劇の要素が思いのほか強い。でも、建築デザインとして見どころのある建物で、大空間の中での撮影なので閉塞感は少ない。そんな中で、異色の女流監督というだけにやることが奇想天外で、リハーサル風景にはなかなかついていけない。残りの男性2人のパフォーマンスも普通じゃない。


そういう単調な流れだったのが、終末に向かう場面で転換期を迎える。ここでグッとおもしろくなっていく。どうストーリーをもっていくのか一瞬の緊張感を生みつつ、ペネロペクルスのアップで終了する。ある事件が起きたときのペネロペクルスの目が印象的であった。


この映画でおもしろいセリフがあった。「人は自分が理解できるものを好み、理解できないものを嫌う。」でも「理解できないことの中に大事なことがある。」後半戦で監督のこのセリフを聞いたとき、なるほどと思った。でも、この映画は自分にとって理解しづらい部類だと思った。最近観て調子が狂った「エヴリシング エヴリウェア アット ワンス」も理解できなかったけど、自分を超越した何かがあったのかな?そんなことを考えていた。
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映画「Winny」東出昌大

2023-03-16 05:57:45 | 映画(日本 2019年以降)
映画「Winny」を映画館で観てきました。


映画「winny」は2000年代に入ってネット上で人気となったソフトWinnyをめぐる物語。実話に基づく話をぜんぶぼくのせいで監督デビューの松本優作が脚本監督した法廷ものの要素を持つ作品だ。天才プログラマー金子勇東出昌大が演じる。恥ずかしながら、題材になった裁判がここまで話題になっているとは全く知らなかった。

ファイル共有ソフトwinnyを利用して、著作権違反に当たる違法ダウンロードをする事件が多発した。開発した金子勇(東出昌大)には全く関係のない事件であったにもかかわらず、警察当局は当初参考人として金子を取り調べる。そして,著作権法違反幇助の容疑で金子が逮捕されてしまう。サイバー犯罪に詳しい弁護士・壇俊光(三浦貴大)が開発者が逮捕されるのはおかしいと弁護に乗り出す。

これはおもしろかった。
法廷もの映画だと切れ味のいい逆転劇と弁論がもてはやされるけど、これは実話だ。都合の良いようには展開しない。不器用さを感じるけど悪くない。Winnyが悪用されたのを、開発したプログラマー金子勇のせいにしようと警察と検察が落とし込める構図が基調である。もっとも、その上部には国家権力による指示があるのかもしれない。ある意味悲劇である。ひと時代前は世界一を誇ると言われた日本の理系の優れた人材が、最近は欠乏しているという直近の話題にもつながる。


⒈東出昌大
東出昌大演じる天才プログラマー金子勇が開発したWinnyを2ちゃんねるに公開して、数多くの人たちが利用した。ただ、悪用して映画やTVを違法ダウンロードした事件が頻繁に起きた訳だ。まったく金子勇に悪意はない。プログラムのコードにしか興味のない男なのに、著作権違反が蔓延するように金子自らが仕向けていると警察に睨まれて、冤罪を受けるが如くやられてしまう。最近も袴田事件の再審が話題になるが、よく世間で語られる冤罪事件の構図と変わりはない

でも、劇中の金子勇のパフォーマンスはいかにも一般常識がなく世間の事情に疎い。リーダーの刑事が書いた文面をそのまま書かされてサインしたりする。弁護士が登場した後でも、検事調書にサインをする。しかも、サインさせられたことを弁護士には話さない。目をそらしながら話す話し方は自閉症の患者のようだ。天才にありがちな匂いがする。一回プログラムのことを話し出したら止まらなかったり、妙に明るくなったりするそのパフォーマンス東出昌大がうまく演じる。いまだ不倫事件の余韻が世間で残っているけど、東出昌大の出演作はいずれも良い出来だ。


⒉捜査費の裏金化
Winny の開発者の裁判に関する話題に並行して、警察が絡んだもう一つの物語を語っていく。吉岡秀隆演じる愛媛県警のベテラン警察官が、犯人捜査費の名目でカラの領収書を大量に発行する警察署内の悪い慣習に反抗して、マスコミに公表する事件も語られる。当然のことながら、警察当局は否定するわけだが、カラ領収書がWinny によって漏れていく。同時にベテラン警官が尾行されたり、家に石を投げつけられたりしつこく嫌がらせを受ける。


どちらかと言うと、警察には都合の悪い話が続いていく。公安当局から見ると、この映画はあまり好まれないかもしれない。日本では比較的少ないが、アメリカ映画ではロス市警やニューヨーク市警の悪態をついた映画がたくさんつくられている。

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映画「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」ミシェル・ヨー

2023-03-15 08:30:12 | 映画(洋画:2019年以降主演女性)
映画「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」を映画館で観てきました。


映画「エヴリシング エヴリウェア アット ワンス」はミシェルヨー主演のアカデミー賞で11部門でノミネートされた作品だ。ミシェルヨーの作品は以前からずっと観ている。こうやって賞レースに加わるのはうれしい。以前ミシェルヨーが出演していた「グリーンデスティニー」「アサシン」を思わせるカンフータッチのキックを予告編で確認すると思わず3月5日に映画館に向かう。

ただ、全然おもしろくなかった。
これを観てから調子が狂って一週間ブログ記事が書けていない。文章が途中で途切れてしまう。そうしていくうちにアカデミー賞の発表を迎えた。次から次へと7部門も受賞してしまう。これってどういうことなんだろう。そんなにすごいのかなあ。映画を観て、次から次へと編集で重ねあわせるために、ものすごく多くのカットを撮ったのがよくわかる。「琴姫七変化」どころの変装ではない。凄まじい量の撮影をした上での綿密な編集なので、編集賞は理解できる。


アメリカでコインランドリーを経営している中国からの移民夫婦は、国税庁から申告のお尋ねを受けて出頭する。そこから起こる奇想天外な物語である。今回は気の弱そうなミシェルヨーの夫キー・ホイ・クァン税務署の取り立ての女性ジェイミー・リー・カーティスも最優秀助演賞を受賞してしまう。おめでとうと言いたいが、かなり気持ちは複雑だ。だって、よく映画の内容の意味がわからないのだ。自分の感覚がおかしいのであろうか?個人的には「フェイブルマンズ」ミシェルウィリアムズに主演女優賞をとって欲しかったなあ。
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映画「フェイブルマンズ」 スティーヴン・スピルバーグ&ミシェル・ウィリアムズ&ポール・ダノ

2023-03-05 05:59:19 | 映画(洋画:2019年以降主演男性)
映画「フェイブルマンズ」を映画館で観てきました。


映画「フェイブルマンズ」はスティーヴン・スピルバーグの新作。自らの少年から青春時代にかけての自叙伝的ストーリーである。既にゴールデングローブ賞作品賞、監督賞を受賞し、いくつかの部門でアカデミー賞候補にもなっている。実質主演はサミー少年のカブリエルラベルであるが、クレジットトップは母役のミシェルウィリアムズである。 

電気技師の父(ポールダノ)、ピアニストの母(ミシェルウィリアムズ)のもと育ったサミーフェイブルマン少年は1952年に「地上最大のショウ」を観に行き、列車衝突シーンに強い衝撃を受ける。同時に、8mmカメラで撮影するのに関心を持つ。やがてニュージャージーからアリゾナに移ったサミー(ガブリエル・ラベル)は仲間を集め、自らカメラを持って西部劇を撮るようになる。明るい性格で4人の子どもをもった母は、同居している父の仕事仲間ベニーとの仲をサミーから疑われるようになる。


子ども目線での映像が得意のスティーヴンスピルバーグ監督らしい温かみのある物語で、期待どおりにおもしろかった。映画を観ている実感がもてる作品である。サミー少年の撮影することへの興味、幸せだった家庭に亀裂が入る話、ユダヤ少年に対する差別イジメが映画の題材の中心となる。

⒈映画に関心を持つきっかけ
スピルバーグの自叙伝的な要素が確かに強い。おそらく撮影することに関心を持つきっかけを最初の場面で映す。まだ幼いサミー少年が、アカデミー賞作品「地上最大のショウ」での列車衝突事故に強い関心を持ち、鉄道模型を使って事故を再現する。それを8ミリで撮影する楽しみを覚えて、家族やいろんな被写体を撮ったりする。いかにもスピルバーグ映画らしい少年の目線まで落としたわかりやすい映像がいい感じだ。


⒉ミシェルウィリアムズ
クレジットトップのミシェルウィリアムズが抜群にいい。「マンチェスター・バイ・ザ・シー」以来だ。お茶目な奥さんで子どもに愛情をそそぐ。夫婦仲もいい。自分の好きな俳優であるメガネ姿のポールダノとのコンビで映し出されるとまさにゴールデンエイジのアメリカのしあわせな家庭の雰囲気がムンムンする。こんな家庭に悲劇が訪れると誰が予測するのか?母親が夫の同僚との恋に陥るのだ。この場面で一つの緊張感をつくる。大人の世界を知ってしまったサミー少年が戸惑う表現がうまい。


⒊いじめられっ子
アリゾナで西部劇の撮影をして楽しんでいたサミーが父親の異動でカリフォルニアに行くことになる。ユダヤ人が少ないエリアで、背の小さいサミー少年はいじめっ子の標的になるのだ。周囲は身体の大きい男子生徒ばかりで、暴力も振るわれる。ハイスクール時代に受けたイジメの復讐をするが如くにスピルバーグがこの時代を再現する。

でも、みんなの一斉サボり日での海水浴場でのパフォーマンスをサミー少年が撮った映像を映すと、これがフェアウェルパーティでバカ受けだ。少年が本領を発揮するのだ。でも、映像に映るいじめっ子たちが反発する。この場面にも目を奪われる。


⒋デイヴィッドリンチ
エンディングロールでデイヴィッドリンチ監督の名前を見つけて驚く。アレ?俳優として出ていたっけ?そうか、黒い眼帯をしていて片目の巨匠ジョンフォード監督のことかと気づく。サミーがつくった短編映画が認められてきた時に、ハリウッドのスタジオでジョンフォード監督と対面するシーンがある。これが興味深い。映像コンテに映る地平線が中央にあると、おもしろくないというのだ。上部に地平線があるか、下部に地平線があるかどちらかがいいというのである。なるほどとうなずいた。
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映画「逆転のトライアングル」 リューベン・オストルンド

2023-03-02 05:00:12 | 映画(欧州映画含むアフリカ除くフランス )
映画「逆転のトライアングル」を映画館で観てきました。


映画「逆転のトライアングル」はスウェーデンのリューベン・オストルンド監督がカンヌ映画祭パルムドール(最高賞)を受賞した作品である。サバイバル系の映画ってあまり好きじゃない。今回も迷ったけど、一応話題作なので観てみようという気持ちだけで映画館に向かった。

人気女性モデルのヤヤが豪華客船の旅に招待され、恋人の男性モデルのカールと乗船する。船には超富裕層がうじゃうじゃいる。ところが、嵐の中の航海の後で海賊に手榴弾を投げられて船は爆発して生き残った乗船客は無人島へと漂着する。そこでは、サバイバル能力のあるトイレ掃除の女が、立場を逆転してリーダーになる。

実につまらない映画だった。
前半戦が退屈だ。モデル同士で話す会話の意味がよくわからない。女の稼ぎがいいのに男がおごるおごらないで、こんなにネタになるの?退屈!乗船してからは、自分勝手な富豪の客たちの振る舞いの描写が続く。それぞれに個性を持たせているが、見ていて不快な感じしかしない。その不快な面々が嵐の航海で、嘔吐しまくる。小汚い。イヤー!ひでえ話だと思ったら、船が突然海賊に手榴弾を投げられて爆破してしまう。


無人島のサバイバルは今まで色んな映画で取り上げられてきたし、立場が無人島に来て逆転する話も過去にはいくつもある。もともと便所掃除のおばさんだったアジア系の女が急に威張りだした。海に潜って手づかみでタコを獲ったりするのだ。育ちが育ちなんで、原始的生活にも耐えられちゃうのだ。食料を用意するとなると、誰も何もいえずリーダーになってしまう。しかも、モデルのカールに無理やり性的に満足させるように仕向けるのだ。


まあ、いずれの話も中途半端で尻切れトンボ感が否めない。最後に向けて、たぶんこうなるんだろうなあと観ていて、その通りになりそうだった時に映画が終わる。普通の映画と違って、中途半端な感じがしたのでエンディングロールの後にオマケがあるのではと席を立つ人がいなかった。でも、何もなかった。

これがパルムドールだと推薦する人たちと自分とは感覚が違うのでは?と感じてしまう。これが欧州映画界の感覚か? それでも、前の年のフランス映画「TITAN」もかなり飛んでいたけど、まだ理解できた。つまらないなら、何も書かない。でも、パルムドールを受賞した作品だとすると、備忘録的に残しておかねばと思った。


ただ、大富豪たちが食べる船上ディナーの食事は、驚くくらい美的でおいしそうなものだった。その一方でこのおいしい食事を次から次へと嘔吐するシーンが続くのもすごいなあ。嵐で船の中が大荒れになった時に船長とロシア人富豪の1人がやたら社会主義の話をしていた。レーガンの言葉をはじめとした名言が飛び交う。大揺れで誰もが立っていられないその時にこれって何が言いたいのだろうと考えていたら船は爆破。。
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Netflix映画「神が描くは曲線で」バルバラ・レニー

2023-03-01 18:00:25 | 映画(欧州映画含むアフリカ除くフランス )
「神が描くは曲線で」はNetflix映画


Netflix映画「神が描くは曲線で」はスペイン発のサスペンス映画である。何気なくNetflixの画面を見ていて気になる。「マジカルガール」バルバラレニーが主演だからだ。同じくNetflix映画の「日曜日の憂鬱」でも強い印象を残したバルバラレニーは、精神病院内で起きた殺人事件の真犯人を見つけるために、精神に異常をきたしたふりをして侵入する私立探偵を演じる。

Netflixでは抜群の出来のミステリー作品だ。
スペインのペドロアルモドバル映画を思わせる不安感を感じさせる音楽が効果的に効いている。精神病院の患者は、誰もが曲者だ。猛獣がたむろうジャングルのようだ。映画館の大画面で観れば、もっとよかったと思うが、終始一貫何が起きてもおかしくない状況をつくり出す。

精神病院内でダミアン・デルオルモという患者が亡くなった。自殺として処理されたが、別の患者による殺人事件の疑いが強い。アリス(バルバラレニー)は事件に関心を持ち、夫殺し未遂がパラノイアのせいとされて精神病院に入院する。実はアリスは私立探偵で父親から息子の事情を聞き殺人事件の真相を知るのが主目的だ。

元々は病院内のスタッフや院長にも話が通じているはずだったが、様子が変だ。絶対おかしいとパラノイアとして扱われる。懸命に医師に説明しても通じない。しかも、重要人物と思った人物が他人だった。気がつくと、重症患者として隔離状態にされてしまう。


そんな展開だけど、観客の我々をいかにして騙すか?そんな監督の心意気が感じられる。おもしろい展開で進むのであるが、常に真実はどうなの?と疑う面が多い。

この映画は2回以上観ないと理解できないかもしれない。長い映画だけど、2度目で理解できたディテールがある。アリスは正気との前提でストーリーが進んでいる。観客にはアリスが罠にはめられたのかと想像させる展開をとる。病院内にはアリスの敵と味方の両方がいる。


この映画はいくつもの解釈ができるように脚本に迷彩が散りばめられている。かなり頭が錯乱させられたが、サスペンススリラーとして良い映画になっている。

ここ最近観たNetflixでは、最も印象に残る作品となった。
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