今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

水気の多いPEN-FVの巻

2017年10月27日 11時45分41秒 | ブログ

体調不良で半日寝ていましたらブログランキングが下がり過ぎです。やっぱりUPを続けないとダメですね。で、作業はしていますが、このPEN-FV #1274XXは、ほどほどきれいな個体に見えますが水がぁ~という感じです。全反射ミラーにも腐食がありますが、再使用が出来ない状態でもありません。しかし、オーナーさんのご希望により交換とします。

レンズマウントを分離すると・・腐食が激しいです。水が侵入していたのです。8時の位置に調整ワッシャーが入っている個体です。前板の中央部分が歪み傾向なんですね。

 

ダイカストの底部も腐食で粉を噴いています。

 

 

シャッターダイヤルのメッキも手遅れ状態です。

 

 

すべて腐食を研磨洗浄をして組み立てて行きます。

 

 

テンションハンマーを留めるネジのスリ割りが痛んでいますが、これは工場で組んだままで多くの個体に見られます。それだけ緩みを恐れて強く締めていたということ。

 

テンションシャフトが良くありません。摺動部のメッキが完全に剥離しています。線状痕はありますが、これは異常でロットによるメッキのバラツキです。

 

 

上側のテンションシャフトギヤと下側の#2ギヤのクリアランスは元々大きめに取られているのですが、それにしてもバックラッシュはガタガタですね。テンションシャフトを受ける地板の孔の拡大と#2ギヤ下側の摩耗によりクリアランスは広がりつつあります。テンションギヤはピンセットで上方に力を掛けると上昇します。もう少しで歯と歯が外れてしまいそうです。何故ここは大きなクリアランスを取らなくてはならなかったのでしょうね。バックラッシュを詰めると巻上げ時のゴロツキ感が出るのか? 何か理由があるはずですが。

前板関係を分解してプリズム、スクリーンなどを清掃します。

 

 

 抑えバネにはモルトカスが付着しているので清掃をしておきます。

 

 

スクリーンにホコリの混入はないか、傷はないかを点検しています。

 

 

全反射ミラーは右側の新品と交換します。

 

 

これでメカ部分の組立は終了。調子は良いですね。

 

 

FVですから露出メーターはありませんので空間が大きく開いています。レバーカバーはFTより長いものが使われています。

 

調子は良好ですが、やはりテンションシャフトギヤのクリアランス過大により、7~8回に1回程度二回巻き上げになる傾向がありますので、症状の出ないように対策をしてあります。で、一緒に来た個体なので、このまま続けます。PEN-FT #3593XXと、かなり後期の生産終了近くの個体です。その割には、ハーフミラーの腐食が進んでいるのと、巻上げの感触がゴリゴリで最悪です。

ダイカスト本体は洗浄済み。シャッターユニットを点検して、巻き上げゴリツキなどの不具合を確認してから分解をして行きます。

 

しかし、二週続けての台風の来襲です。しかも私の持論通り必ず週末の夜半です。天気と雨の日が逆転したカレンダーにはうんざりしますね。お陰でバイクもS800も診てやれません。愚痴はほどほどにして作業に戻ります。ダイカスト本体を洗浄して点検します。ははぁ、電池室からのリード線が断線したために半田付けをしてありますが、だいぶ傷にして手こずったようです。

後期の個体ほどギヤ間のクリアランスは小さくなっている傾向があるようです。↑の画像と見比べてください。また、最後期の個体はギヤ(上)が真鍮のナットによる組立式であることがご理解頂けると思います。これによって摩耗をしたブレーキ軸の交換が可能になりました。今頃変更しても遅いですけどね。ナットの緩みを嫌ってカシメ設計としていたものが、修理で交換の必要が出て来たことによる変更なのかも知れません。

 

チャージギヤの軸に軽微ですが偏摩耗があります。これが巻上げのカクカクッに影響を与えていた可能性はありますね。原因はここだけではありませんが。

 

その他は、新しい個体なので問題はありませんでした。

 

 

露出メーターの光学系路を清掃します。←↓の経路を経てメーター指針がファインダー内に導かれます。

 

これは分解前の画像。ハーフミラーは35万代としては異常に腐食が進んでいます。

 

露出計の感度低下が激しい状態でした。経験的にハーフミラーの腐食が進んでいる個体は露出計の感度も低下していることが多いと感じます。Cdsとメーターも主に湿気による影響を多く受けているということでしょう。で、駒数ガラスですがオレンジのがにじんでいます。これは生産初期の10万代の個体に多い現象で、使用過程での時間の経過でにじんで来たものでしょう。その後は改善されたと思ったのですが、先祖返りもあるんですね。

2台とも外観的にはすばらしい個体で、よく見つけられたと思いますが、年波には勝てず、いろいろと問題は抱えているものです。FTの巻上げゴリツキは、まぁ、及第点まで改善していますので良しとしましょう。

 

 

 良い機会なので画像を載せておきます。FVのシャッターダイヤルはFの仕様に準じていますが(共通部品ではない)Bの色入れはですね。FTのシャッターダイヤルはASA機構を組み込むため1mm厚くなっていて、Bオレンジ色になっています。ASA表示が赤なので、レンズで良く使われるオレンジになったのでしょうね。

http://www.tomys800.sakura.ne.jp/


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。