集成・兵隊芸白兵

 平成21年開設の「兵隊芸白兵」というブログのリニューアル。
 旧ブログ同様、昔の話、兵隊の道の話を続行します!

押さえ込み復権論

2015-03-19 19:20:27 | 格闘技のお話
 現在、格闘技は本当に多種多様化し、約20年前に私が格闘技を始めた頃から見れば、隔世の感があります。
 その当時の格闘技といえば、メインとして「柔道、剣道」があり、ちょっと社会的認知度のあるものとして「空手」「ボクシング」がある程度でした。
 私が格闘技を始めた当時、山口県徳山市で一般人が学べるものといえば、極真、芦原、大道塾、ボクシングしかありませんでした。私が芦原会館を選んだ理由は、実はそんなものです。結果的には正解でしたが・・・。
 しかしイマドキの格闘技ジムでは、打撃ならフルコン、キック、伝統派が学べるのは当たり前、グラップリングならBJJに総合が学べるのが当たり前、といった時代になりました。平成1桁の末期から、平成10年代の末期にかけ、PRIDEなどに代表された総合格闘ブームなるものがあったことも大きいと思いますが、いやはやいい時代になったもんです。

 しかし、習える格闘技が多様化した反面、格闘技に必要な「地力」がどんどん薄く、小さくなっていくような気がしてならないとも思っています。
 組み技の話だけで恐縮ですが、立ち技で言えば「組み勝つ力」、寝技で言えば「押さえ込む力」が、どんどん弱くなっているような気がするのです。

 いまは常設道場に通っていないのですが、2ヶ月に1回程度、組み技のガチスパーをする機会があります。
 ぜんぜん押さえ込まれないのです。
 例え抑えこまれても、すぐに逃げることが出来るのです。
 最初は「BJJは押さえ込みがないから、わざとやらないのかな?????」と思っていましたが、そうではなく、要するにトップをホールドする能力がないのです。
 関節や締めもいろいろと狙って来られますが、組み力がないので全然極まりません。うーん・・・・。
 皆が皆そうとは言いませんが、仮にも組み技の初伝を学ぶのであれば、「組み勝つ力」と「押さえ込む力」の早期習得は必須です。
 これができていないのに、あるいはポジションを取る、あるいはくるくる回るといったムーブだけを教えるのはいかがなものかと、古い修行者である私は首をひねったものです。

 格闘技は力が全てではありません。バカみたいに筋肉を付けても、あるいはバカみたいにスタミナだけつけても意味がありません。しかし、その技能に特化した強い力は間違いなく必要です。格闘技に特化した強い力の上に初めて、精密な技術が成り立ちます。それなくしてムーブもポジションもあったもんじゃありません。
 ではその強い力とは何か。先述のとおり、立った状態であれば組み勝つ力、寝たら押さえ込む力です。
 ルール的には、相手を押さえ込んでポイントを取れるのは柔道、アマレス、サンボ。
 BJJはそうなっていませんし、逆に押さえ込んだ状態で動かなかれば、押さえ込んだ方がポイントを取られます。

 押さえ込みを排除する理由は様々にあるでしょうが、私はそういう組技格闘技が好きになれません。
 押さえ込んでトップを取る、というのは、ただ体力がある、ただ体重が優っているというだけではダメです。
 相手の体のセンターを瞬時に感知し、常に相手のセンターを抑え、かつ、逃げる方向を封じるという、まさしく「感じる力」が重要になります。
 道着がない状態でやれば、それば本当に顕著に分かります。 
 この感じる力と、その上で相手を封じる物理的な力。これは組技格闘技の本当の基礎基本であり、これなくして相手を圧倒することは不可能です。
 逆ににこれを習得すれば、戦略が全く変わってきます。
 無論その習得には、楽しい技練や、楽しいスパーにない苦しさがあります。私も修行の初期段階に、嫌というほど「袈裟固め返し」や「ネルソンの受け取り」をやりました。苦しくて死ぬかと思いました。しかしその先には、すばらしく芳醇な組技の世界が待っていました。

 やっている人は当然やっていると思いますが、やっていない方はぜひ今一度、押さえ込みを錬成されてはいかがでしょうか。
 きっとすばらしい出会いが待っていると思います。
 
 


 

2 コメント

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Unknown (三人の子持ち)
2015-03-22 09:30:23
すごく、なるほどと感じました。
ありがとうございます。
ありがとうございます (周防平民珍山)
2015-03-23 20:43:52
三人の子持ち様
 いつもありがとうございます。
 経験者以外わかりにくいことを、拙すぎる筆力で書いてみましたが、ご理解頂きありがとうございます。
 これからも格闘技に関し、上っ面だけの話をせず、「練習が辛い~」とか「こんなことをしなくちゃダメだ~」といった、(悪い意味で)人間の五感に訴えることができるようなお話を書いていきたいと思います!

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