田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『DUNE/デューン 砂の惑星PART2』

2024-03-08 14:41:07 | 新作映画を見てみた

 『DUNE/デューン 砂の惑星PART2』(2024.3.7.某試写室)

 その惑星を制する者が全宇宙を制するまでと言われる「砂の惑星デューン」で繰り広げられたアトレイデス家とハルコンネン家の戦い。ハルコンネン家の陰謀により、一族を滅ぼされたアトレイデス家の後継者ポール(ティモシー・シャラメ)が反撃に転じる。

 ポールは、砂漠の民フレメンのチャニ(ゼンデイヤ)と心を通わせながら、救世主として民を率いていくが、宿敵ハルコンネン家の次期男爵フェイド=ラウサ(オースティン・バトラー)が、デューンの新たな支配者として送り込まれてくる。

 『メッセージ』(16)『ブレードランナー2049』(17)のドゥニ・ヴィルヌーブ監督が、フランク・ハーバートのSF小説を映画化し、アカデミー賞の6部門で受賞したSFアドベンチャー大作『DUNE デューン 砂の惑星』(21)の続編。ジュシュ・ブローリン、レベッカ・ファーガソンら前作のキャストに加え、フローレンス・ピュー、レア・セドゥらが新たに参加。

 前作を見た時に「砂漠の景観などのビジュアルの素晴らしさ、独特の質感や色遣い、ハンス・ジマーの音楽、地響きがするような音響効果が相まった世界に圧倒される。コロナ禍の影響もあり、小粒で渋い映画が目立つ中、久しぶりに映画館で見ることが必須だと感じられる映画が登場したと言っても過言ではない」と書いたが、今回はそれ以上にすごかった。音と映像に圧倒されて疲れを覚えたほど。気力、体力が充実しているときにもう一度見てみなくてはと思わされた。

 この2作が大きく影響を受けているであろう「スター・ウォーズ」シリーズの旧3部作『スター・ウォーズ』(77)『~帝国の逆襲』(80)『~ジェダイの復讐』(83)に例えれば、今回の映画は比較的渋い『~帝国の逆襲』に当たるが、終章?への壮大な“つなぎ”ということもできる。成長著しいシャラメが、あたかもシェークスピア劇をほうふつとさせるような力演を見せる。

 『ブレードランナー 2049』公開時にインタビューをした時は、まだ初々しかったヴィルヌーブ監督が、こんな超大作を続けて手掛けるようになったことに驚くばかり。


『DUNE デューン 砂の惑星』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/6f5378a32383133f8b6d2a2562cf89de

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【ほぼ週刊映画コラム】『ゴールド・ボーイ』『PLAY! 勝つとか負けるとかは、どーでもよくて』

2024-03-08 10:47:14 | ほぼ週刊映画コラム

共同通信エンタメOVOに連載中の
『ほぼ週刊映画コラム』

今週は
殺人犯と少年たちが繰り広げる心理戦『ゴールド・ボーイ』
日本の劇映画で初めて「eスポーツ」を取り上げた『PLAY! 勝つとか負けるとかは、どーでもよくて』

詳細はこちら↓
https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/week-movie-c/1425735

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「午後のロードショー」『ボーン・スプレマシー』

2024-03-08 08:30:59 | ブラウン管の映画館

『ボーン・スプレマシー』(04)

迫力のカーアクションも見どころ
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/bd6245028cef28e9bc6822872d492a01

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「BSシネマ」『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』

2024-03-08 07:21:59 | ブラウン管の映画館

『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』(63)(1982.11.5.自由ヶ丘武蔵野推理劇場)


 
 東西冷戦下、アメリカの将軍(スターリング・ヘイドン)が正気を失い、ソ連への核攻撃を命令。大統領(ピーター・セラーズ)や政府高官は事態を収拾しようとするが、核兵器を搭載した爆撃機は目標に向かって進んでいく。

 この映画は、先日見たシドニー・ルメット監督の『未知への飛行』(64)とほぼ同時期に作られている。『未知への飛行』が徹底的にシリアスなドラマとして作られているのに対し、この映画はブラックコメディとして風刺を効かせた作りになっている。そこにルメットとキューブリックの違いが感じられて面白い。

 実際のところ、キューブリックにこれほどまでのユーモアのセンスがあるとは思ってもみなかったし、もしチャップリンが原水爆や核戦争を皮肉ったら、こんな映画を作るのではないかとまで思ってしまった。

 さて、この映画と『未知への飛行』を見るまでは、アメリカは映画を使って自国のうみを出す、あるいは問題を告発する姿勢を、こと核問題に関しては持ち合わせていないのではないかと思っていたのだが、この2本を相次いで見ることができたおかげで、その思いは一変した。

 『猿の惑星』(68)まで行きついてしまえば、あくまでもSF上での話になるが、この2本が描いた事態は、ばかな指導者が一人いれば、明日起こっても何の不思議もないほど切実で現実的なのだ。キューブリックは、そんな恐ろしいことを、正面切って深刻には描かず、どこかおかしなばかげた話として描いている。これはすごい。

 ピーター・セラーズ。先の『チャンス』(79)で改めてその芸達者ぶりを知らされたが、先にこの映画を見ていたら、自分の中で彼の評価はもっと上がっていただろうと思う。何しろ、アメリカ大統領とイギリス軍大佐、兵器開発局長ストレンジラブ博士を1人で演じたのだから。まさに怪演の極致。改めて惜しい人を亡くしたと思う。

 スリム・ピケンズ。西部劇の脇役として有名なおっさんだが、この映画は彼の代表作と言っても過言ではないほどの活躍を見せる。ロディオのように水爆にまたがったまま、カウボーイハットを振りながら落下していくさまは傑作以外の何物でもない。


『未知への飛行』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/71570e3073e47d8eddb905e1f43740b4


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