宵闇のマイクロウェーブ 鶴岡 卓哉

窓は全部閉じられているのか？


宵闇の使者たちが個体物を挟んでいないか


確認済みか？


姿を現すときは、いつも月は欠けている


いつも予感とともにやってくる…………謎めいた言葉を引っさげて



リアルの宵闇を知っているのは僕だけ



みんな騙されていることに気づいていない



そのドアも、窓も、カーテンレールも、冷蔵庫の唸り音も



マイクロウェーブに乗ってやってきて、僕に…………個体物が



苦痛と快楽を同時に与えてゆく



個体物は液体状になり、想像を超える



そして、宵闇のマイクロウェーブに乗ったやつらは



あらん限りの声を張り上げ、全てを震わせるのだ