古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

(良いおっぱい悪いおっぱい)   伊藤比呂美

2020-11-30 06:12:32 | 伊藤比呂美

集英社文庫     1985年

 

この本が映画化されていて、それを昔見た記憶がある。

 

内容は忘れたが、おもしろかったな、と思って、古本で

 

買ってみた。

 

日常的にセックスをしていて、って、それってビッチって

 

いうんだよ。今どき、そんな人いないよ、と思った。

 

まあ、とにかくセックスが大好きみたいなんだが、この本を

 

読むと確実に性欲は減退する。子供を作るのが怖くなるし、

 

伊藤ふきげん製作所もそうだが、読まなきゃよかった、

 

と男なら誰しもが思うだろう。もうトラウマ級にイヤな本で

 

ある。子供も欲しくないし、セックスなんてほんとご免である。

 

35年前はみんな野獣のごとくセックスしまくっていたんだ

 

ろうか、いやいや、きっとこの比呂美女史がビッチなだけだろう。

 

もしや、胎児をうんこと言い切るあたり、頭が弱いのかもしれな

 

い、気の毒に、ぐわし……合掌。   

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未熟な世界    鶴岡 卓哉

2020-11-29 10:26:18 | 詩・ポエム

超特急で行くサブリミカルパラダイス



まだ雨は止まず僕は列車の中で飲み物を飲んだ



飲み物の黄色を列車の窓から撒くと海が黄色く染まった



黄色い海は僕を越えて頭上高く波を運ぶ



海や雨、それから、サブリミカルへの旅行で僕は興奮気味だ



ぷちぷちと音がしてムシが飛ぶ



床は冷凍庫のように冷たい



天井には温水のシャワー



湯気がホワホワと湧き上がる



僕は走り出す、列車の中を駆け回る



子供のようにはしゃぐ、夢を見てるようだ



もゆもゆと時間を運ぶカタツムリを見ている



音楽が古いテープのように歪んだ音で鳴る



僕はどこにいるんだ、という疑問も起こらず



僕は幸せだ、とても幸せだ、という気持ちで満たされる



理不尽だ、この世界は理不尽で未熟なんだよ

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噂は噂  壇蜜日記4  壇蜜 

2020-11-28 09:47:02 | 本の紹介

文春文庫       2018年

 

壇蜜日記もこれで終わりだという。自虐ネタ一本では

 

これまでか、ということか。もっと新展開的な、心の

 

解放をしてやれたりしたら、次につなげていたのだろう

 

か。思いのほか、自虐にこだわっておられるようで、読

 

んでいて辛くなってきてしまう。壇蜜は最後まで壇蜜だ

 

ったといわせたいのか。

 

壇蜜という女は、いや、女ではない、人間は前を見てす

 

すむべきだ、いやいや、結婚したのだから、守ってくれる

 

男もいるのか、安心安心、よかった。

 

ボクは陰ながら全作品を読んできて、壇蜜女史が幸せにな

 

ればいいなあ、となんとなく思っておったのだ。

 

日記文学に一風吹き込んだことはいうまでもない。

 

日記文学ファンとしては、日記文学がもっと浸透していく

 

ことを願うのみだ。ぐわし、からの合掌。

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黒     鶴岡 卓哉

2020-11-27 09:15:45 | 詩・ポエム

普通の目では捉えられない像を僕は捉える



僕は黒



別の人種で別の人格



キャプテン・クランチを歯で噛み砕く音の連続



僕の探しているものが見つかった




僕は黒



半透明の青の中で足掻く



ざらざらした像

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流水桃花抄     橋本治

2020-11-26 10:05:47 | 小説の紹介

河出文庫    1980年~84年

 

こういうワケのわからないショートショートみたいなの

 

はキライじゃない。けど、仕事が来なくなった、という

 

のもわかる。悪口、つまり、文学に対する文句はいいた

 

くないという気持ちはある。だから、このショートショ

 

ートがつまんなくたって、そうはいいたくはない。

 

まぁ、実際、そんなにおもしろいばかりが文学じゃない、

 

と思う。が、実験をとことんたのしんでいたのだろうなあ、

 

と思う。

 

いま、こういうのは書けても、出版はされないんじゃな

 

いか、と思う。あまりにも冒険すぎるもんね。

 

何度もいうようだけど、こういう本、キライじゃないね、

 

ボクはね、ぐわし……合掌。

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伊藤ふきげん製作所    伊藤比呂美

2020-11-25 09:56:25 | 伊藤比呂美

新潮文庫  平成12

 

比呂美女史の娘、14歳のカノコとサラ子の思春期の

 

子育て日記。

 

うーん、ボクが14歳の時は、口癖が、べつに、だ

 

ったような。たしかにいつも不満で、仏頂面をカマ

 

していた。16歳になると狂ってきて、19歳で狂い

 

っぱなし、親はさぞかしタイヘンだったろうなあ、

 

と思う。

 

ボクには4歳違いの姉がいるのだが、ハハに聞くと

 

特にタイヘンではなかった、といっている、が、き

 

っと、忘れているのだと思う。いや、ハハが痴呆とか

 

そんなんではないのだが。

 

カノコとサラ子、おもしろいコたちだ。親の比呂美女史は

 

ふたりをよく観察しているし、批評眼もおもしろい。穏や

 

かじゃない日々も、いつかは終わる、ほんの数年のこと

 

だもんねえ。

 

ますます結婚したくなくなるおれっちだった。子供? 大

 

キライですね、身もふたもなくてすいません、ぐわし……

 

合掌。

 

 

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片隅   鶴岡 卓哉

2020-11-24 09:28:21 | 詩・ポエム

僕は黄色く濁る目で朦朧としている


その瞬間を待っていたのだ


僕自身が失ったものを忘れるときを


僕の脳の片隅でカチリと音がして、リセットされるのを


僕はすべてを失ったのだ


この小さな都会の片隅で僕はどろどろの自分を抱え


ガタガタの肺とぶるぶる震える手をして


最後に君の髪の色は何色だったっけな、と考えるんだ


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崩壊    鶴岡 卓哉

2020-11-23 07:26:15 | 詩・ポエム

虚ろな顔で街を歩きまわり


時間を逃し、追いつめられる


好きに生きてきただけなのに


毀れてく、心、ビル、花瓶


クスリが切れそうだ


吸いついた言葉が僕を蝕む


そうだ、ただ僕が損なわれただけ


この世界は慄然と成立している


僕はただ一人、ビルの隙間で崩壊を


望んでいる

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作戦Z      鶴岡 卓哉

2020-11-22 10:12:29 | ポエム

イエローのバウンスが俺を襲う

 

発着場からは轟音で飛行物体が飛び立つ

 

俺の脳細胞は分裂を繰り返す

 

音の跳躍が俺を引き裂く

 

分裂した自己が新たなイメージを沸騰させる

 

実験台の幼虫はバタフライとなり羽ばたく

 

俺は核心へと近づき負傷する

 

地上戦は始まったばかり

 

勝機は確かにあるはずなんだ

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断然欠席     阿川弘之

2020-11-21 11:58:41 | 本の紹介

講談社     1989年

 

 生きている人のより、死にはった人の作品を読む方が

 

好きだし、ラクに感じる。

 

 もう責任がないような気がして、特に阿川提督みたい

 

に天皇問題とか、戦争問題を扱っていらっしゃると特に

 

そう感じる。

 

 なにかから自由になった作品という感じがする。まあ、

 

阿川提督が、戦前、戦中、戦後にどういうスタンスで

 

国家と対峙してたかなどは読んでみた方がいいと思われる。

 

 とにかく、阿川提督は広島の人で、旧居もボクんちの近く

 

だし、まったく身近にいた作家という感じである。牛田って

 

ボクが住んでいる町の名前も出てくるし。線路が近かった、

 

っていうのも、なるほどスゴイわかるし、うん、やっぱり、

 

電車っていいよな、とボクも思うのだった……合掌。

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