古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

アレグリアとは仕事できない    津村記久子

2019-01-11 10:18:06 | 津村記久子
ちくま文庫   2013年


自身のエッセイで売れない作家と自分のことを言っていたが


この小説も売れない小説の最たるものだろう。


本を読んでまで仕事したくないし、まして、複合コピー機のイ


ライラを読ませられるなんて、読書の地獄だ。


けど、こういうけったいなテーマの作品の方が心に残ったりする


んだよなあ。


地下鉄の叙事詩も、実に理屈っぽくて、こんな理屈っぽく生きて


いる人なんているのか、と思わせる。


でも、小説を感覚を感覚のまま描くのはスゴく難しい。どうしても、


小説仕立てにすると、理屈っぽく、咀嚼するしかないのかもしれない。


でも、こんな仕事の小説なんて、エロくもないし、誰が読むんだろう?


っておれっち、読んでるか、あっ、そうか、オレみたいなファンがいる


んだよな、と納得するのだった。
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ミュージック・ブレス・ユー!! 津村記久子

2018-08-22 13:47:26 | 津村記久子
角川文庫    2008年6月


大阪を舞台に18才のアザミが息をするように洋楽を聴いてる


生活をしつつ、受験や困難に立ち向かう。


スゴく勉強ができないコに書かれているし、解説では津村女史


自身の分身みたいに書いてあるが、ボクはアザミっていうのは


創作した女子だと思う。


まあ、バカに書かれてはいるが、思いやりはあるし、苦悩してる


が。


ラストの方で、コミュニケーションに悩むところがあるんだけど、



伝達についての悩みは、18才だったら、必至で悩むなあ、そう


いう、勉学以外のところでは、スゴくクレバーって感じである。


勉強できない人ほど、他の面で、鋭いって言うのはあると思うし



核心ついてると思う。やっぱり、津村女史は女子を書かせると


うまいねえ。


自分のことをよくわかっているからこそ、こういう文学も描け



るんだと思う。
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カソウスキの行方     津村記久子

2018-05-26 10:56:07 | 津村記久子
講談社   2006年~2007年。


「カソウスキの行方」のタイトルは「仮想好き」なのだろうか。


それにしては、話しの展開がちょっとわかりにくい。やはり、


メインテーマは、好きと仮定してみる、というところ一点と


いうことか。評価は、B-といったところか。


「Everyday I write a Book」は話しとして


、読みやすいし、心情もわかりやすく描いてある。



仕事とというもののやねこさも描かれているし、Aの作品だろう。


「花婿のハムラビ法典」は結婚をテーマに描かれているが、リアリ


ティと言う点でB+といったところか。



やはり、際だったキャラは、「Everyday ~」の野枝さんだろう。


僕は、「リアル」を感じた。
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やりたいことは二度寝だけ    津村記久子

2018-05-19 09:44:59 | 津村記久子
講談社文庫……2012年


こんなゆるぅぅぅぅい本を講談社というところから


出していいんだろうか? という脱力系エッセイ。


帯には、地味でも、アホでも生きていけます、とある。


エッセイに、ネットのことを書くのはアリなのか、と


いうことは一度議論した方が良いと思うのだが。


なんとなしに、つまんねえな、とか言いながら、読み


終えてしまうという不思議な魅力を持ったエッセイだ。
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とにかくうちに帰ります    津村記久子

2018-05-08 10:36:51 | 津村記久子
新潮文庫  2012年


表題作 とにかくうちに帰ります、はタイトル通りの作品である。


雨は厄介だと言うことを表現することの積み重ねで、実に、重い


文学作品になり得ている。それは日常であるはずだが、それは非


日常となり、日常への回帰を目指す、とただこれにすべてを捧げ


るのだ。


日常の生活のありがたさ、屋根のありがたさ、フツーを愛すると



いうことの大切さ、フツーで良いのだ、フツーであることがどれだけ


大事か、ということを教えてくれもする。


こんなことが文学になり得るのか、ということさえ文学にしてしまう


津村文学のスゴさがここにあるんだと思う。




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ポトスライムの舟    津村記久子

2018-04-25 09:47:36 | 津村記久子
講談社文庫  2007年~2008年。


まずとっかかりでつまずいてしまって、なんかつまらないな、という


印象だった。でも、十二月の窓辺へと読み進めるうちに、この作家の


言いたいことがわかってきたような気がして、それからは一気読みし


てしまった。


この人独特のリズムと文体について、やはり、特異な新しい世代とも



いうべきものを持っているというべきだろう。同じように、仕事について


描いていて、同世代作家に同じく芥川賞作家の小山田浩子がいると思うが、


この二者をもってしても、その切り口にしろ、語り口にしろ、まったく違


うように思う。しかし、その仕事というものに関する、手触りには似たものを


感じる。リーマンにとっては共感すべき点があるだろうし、我々のような自


営業にはシステムで働くことのタイヘンさが分かる、という点において、新たな


労働文学ともいえるものがあるのではないか、と思えてくる。
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