古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

八月の路上に捨てる     伊藤たかみ

2018-05-29 09:46:36 | 伊藤たかみ
文藝春秋刊    2006年。


表題作は第135回芥川賞を受賞。


修羅場小説っていったらいいのか。自販機に缶ジュースを入れて


ゆく配送中に、想起される仕掛けになっているので、なお一層や


ねこさが際立つ。


フツーの人たちはこんな(特に離婚経験者は)体験を(似たような)


をされていると思うと、さぞやタイヘンであろうなあ、と思うのだが、


おれっちは、あいにく修羅場というものをあまり体験していないせいで、


他人ごとのように、楽しく(?)読めたが……。


貝から見る風景、はスゴく短い小説で、別れを怖れている男の、スー


パーのお客様の声に寄せられる、ふう太郎スナックの有無を無性に気


にする話しである。ふう太郎スナックが存在しない、ということが、この小


説では重要であり、肝になっていると思う。イタズラなのか、さもすれば、


この短編自体もイタズラで書かれたやもしれず、文学自体もなんらかの


イタズラ心、というか、そういったやむにやまれぬ衝動みたいなもので


あるともいえるわけである。
コメント
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