古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

火花      又吉直樹

2018-06-30 09:37:32 | 又吉直樹
あれから3年も経つのかあ、と思いつつ、遅ればせながら、又


𠮷先生の火花を拝読した。


290万部とか売れたんなら、どこが、そんなに、と勉強のつも


りで読んでみた。


漢字が多いなあ、と思ったが、テーマがお笑いなので、硬いイ


メージが欲しかったのだろう。又吉氏は、お笑いが死ぬほど好


きなのだな、文学を志している者からすれば、ちょっと馬鹿に


されてる感がある。でも、又吉氏はそんな馬鹿にしてるってこと


はないんだろうけど。


ちゃんと笑いはあるし、感動もある、お笑い青春小説って感じか。


人間のクズみたいな神谷に弟子入りし、夢破れるまでを描く。


又吉氏って、クレバーなんだな。スゴいデリケートな人って印象を


持った。


誰もが書けるようなものではない、又吉氏しか書けない世界を構築



しているな、と思った。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日本のまつりとヲシテ

2018-06-29 09:49:24 | カフェ、ギャラリー
7月1日(日)にべべさんによる、日本のまつりとヲシテ-


葵祭り、那智祭り など-と題して、講演会を行います。


べべさんは広島を離れていましたが、このたび、また広島


に帰ってこられました。久々の、古民家ギャラリーうした


での講演ということになります。


興味深いテーマになっていて、古事記と日本書紀の原本と


言われているヲシテからひもとく、祭りについて、おもし


ろいお話しを聞けるはずです。


おいしい水出しコーヒーをご用意してお待ちしております。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ショッキング・ピンク    大道珠貴

2018-06-28 15:53:27 | 大道珠貴
色キチ小説である。村上龍氏が「しょっぱいドライブ」で元気を奪う


といっていたが、この短編集で、その意味が分かってしまった。


元気の出ない「エロ」といったらいいのか。


ただスケベな文章でエロい。エロいことは悪いことではないし、文学


としても描く対象として壮大なものだと思うが、この人のズベ公エロ


はおばさんのスケベさから発しているようで、スタイリッシュさを感じ


ない。龍氏のエロさと絶対的に違うと思う。


おばさんの境界のないエロさを感じてしまう。


そこには、エロさに対する妥協とヌメヌメとハマってしまう弱さしかな



い。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

風     青山七恵

2018-06-27 09:40:09 | 青山七恵
「ダンス」なんとしても踊りたくないのか、踊れないのか? 踊らない女の辿る運命。


「二人の場合」結婚する相手はみんなスポーツマンタイプだという。いやいや不細工


もでもちゃんといますよ。ハゲだっているでしょう。スポーツマンタイプなばっかり



なわけないでしょう。



「風」は55才の妹と三つ上のブクブクに太った姉。その姉妹げんかが読みどころの


なんか妙にイキイキしてる短編。表題作だけあって、一番良かった。躍動していたよ



うに思う。そこには、確かに資産家の醜い二人が浮かび上がってきたのだった。



評価Aの作品だ
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

苦痛 

2018-06-26 09:59:09 | ポエム
波のように打ち寄せる苦痛が


それはタバコのヤニのように肺を病ませる


何者かの企みで僕は打ちのめされそうだ



いろいろな色に染め上げられてしまうのだ



ああ、僕はこんなに苦痛に嘆いているのに



君はそれを知らないふり


瞬く間にそれは不断の大河となるだろう
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

爪と目     藤野可織

2018-06-24 09:52:22 | 藤野可織
文庫版だが、まずいいと思ったのが、字が大きいということだ。


文庫だと特に字が小さくていらだつということがよくあるのだ。


藤野女史の作品は初めて拝読したが、本領はホラーだという。


三歳児が果たしてマニキュアを剥がしたのをママハハの目に入れるか


、と聞かれれば、そんなことは絶対にあり得ない、と大抵の人は答


えるだろう。しかし、そのあり得ない感が逆に怖さを生む、というこ


ともある。


「しょう子さんがわすれていること」も怖い。「五人目」って誰? となる


あたり、ラストへのベッドから落ちて、跳ね回るとこなんか、ゾクッとくる。


夏の夜にぴったりだ。


そして、極めつけが、「ちびっこ広場」だ。不穏な空気が漂いつつ、しっかり


としたハハと子供というホラー定番の配置。


とんでもないことが起こりそうな予感に満ち満ちて終わるラスト……新しいタイプの


芥川賞作家の誕生を今更ながら体感した。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

銀の皿に金の林檎を     大道珠貴

2018-06-23 14:43:30 | 大道珠貴
カバーに少女が小さなヤギをあやしているような写真がある。


モデルは土屋アンナ、写真は蜷川実花とある。圧倒的にダサ


いと感じるのはボクだけだろうか?。


この小説は夏海というテテなし子の女性の数奇な半生を描いている。


で、この人をボクは姐御と呼んでいるが、姐御の作品にはい


つだって驚かされる。最後の方で妄想で見るトモダチの姿に死


んじゃうのか、と思わせ、涙してみるものの、読み進めると、


ただの腰痛で入院って。


タイトルのセンスのなさといい、品のなさといい、お下劣小説


街道まっしぐらである姐御であった。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ニューヨークで

2018-06-22 10:01:58 | ポエム
パンツの中のサインが新しいファッションの山と川



苦しめたのはこっちの方……情勢は劣勢



ヤツはビビっているが


N・Yの扉が開くとシャワーを浴びてるヤツの


背後にカノジョが忍び寄る


激しい雨が意味不明な言葉の羅列に戸惑っている



私の中に入ってくるヤツのサイン



ボクは君の鍵を持っている



ヌレヌレのペンダントにくっつくヤツの舌



これからがホントの大博打なんだ



ヤツの裏をかき君が一発逆転のどんでん返し



ボクの当て馬はもう



走り出したら止まらないのさ!
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

やさしいため息 青山七恵

2018-06-20 09:07:30 | 青山七恵
河出文庫 2008年5月


やはり創作とはわかっていても、実際、と思ってしまう。


まどかのようにふらっと知りもしないような男のところに素泊まり


して、やっちゃう女っているのかな、と。ちょっと話しに即して


都合がよくしちゃったのかな、と。


ボクの知る限りでは、そんな女はいない。


いや、この世は広いので、青山女史なんかも、その手の女なのかも


しれない、などと思ってしまうんであるが。けど、真面目そうだしな


あ、それはありえんだろうなあ。


それも、一回っきりで捨てられちゃうんだぜ。ほとんどありえんだろ?


そんな男と寝るなんてことは、と思うが、一人の女の変わってゆく様と


その裏切れる感じを描いている。


松かさ拾い、は小日向さんの息女のために、松ぼっくりを拾う、ただそ



れだけのことの日常をスナップ写真のように拾い上げたお作品である。


これを読むとやさしいため息は一生懸命冒険したのかなあ、と思えてくる。


行儀の良い短編小説である。


青山女史の育ちの良さを物語っているようなね。だから、冒険すると違和


感が出てきちゃうんだろうね。実際、青山女史にそんな大冒険はムリでし


ょ。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

探訪

2018-06-19 09:48:07 | ポエム
雨が羽根を失った天使のタップダンスのような音を立てて降り続ける


この音はボクの頭ン中で次第に大きくなっていくかのように


君の心と繋がっていると思っていたのは、偽り


全くのでたらめさ……


傘なんかいらない……濡れたって平気


今は六月……でも、もし、ボクが不幸なら……?……


また旅に出て新しいストーリーを探しに行こう


ボクの中でなにかが変わらない限り


君を忘れることなんてできない


不能者にでもなった気分


それとも、ボクは旅の途中でボヘミアンに殺され


て彷徨っている魂なのか?

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする