古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

革命    倉橋由美子

2022-02-26 07:32:33 | 小説の紹介

1985年   「大人のための怪奇掌篇」所収。

 

小田氏は大蔵省に勤めているが蟹が嫌いであった。というような

 

冒頭。その小田氏が体から革命を叫ぶ文言が聞こえてくるように

 

なる。それは精神分裂症的な感じであるが、そういう感じですす

 

んでゆく。オチはこの人はちゃんとあるらしく、きちんとオチて

 

いた。ネタバレになってしまうのであえてここでは伏せておこう。

 

革命は体で起こっている。それを学生運動とかと勘違いした小田氏

 

が命取りだったのだろう。......合掌。

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ヴァンピールの会    倉橋由美子

2022-02-25 01:01:21 | 小説の紹介

1985年    「大人のための怪奇掌篇」所収。

 

レストランを経営している木原氏のところで10人くらいの

 

パーティーが華々しく行われている。

 

それはどうやらヴァンピール、つまり、ヴァンパイアたちの

 

会らしいのです。と、読みすすめていくと、ヴァンパイアと

 

いうのは増殖していくらしく、木原氏もヴァンパイアとなって

 

美少年の血をすすっていた、という感じ。うん、怪奇な感じ

 

もあるし、華々しさもあって、倉橋氏は2005年に亡くなっ

 

ているらしいが、おもしろそうである。......合掌。

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女たちよ!    伊丹十三

2022-02-22 09:40:30 | 本の紹介

新潮文庫    1968年

 

1968年といえば約半世紀前の本だ。もう日本人は大分

 

変わりましたよ、伊丹監督。体形も変わったし、言葉の使

 

い方も変わったし、あの頃になかったものもずいぶんある。

 

あの高度経済成長のころのヨーロッパに対する「初々しさ」

 

みたいなものは今の日本人には(少なくともぼくには)ない。

 

憧れもないし、欧米に対する卑屈さみたいなものもそんなに

 

ないのではないか。「キューカンバーサンドウィッチ」はキ

 

ューカンバーだけでは飽き足らず、いろんなものを入れます。

 

その当時、奇抜で目新しかったであろうルールもこだわりも、

 

今や、そんなに目新しくもない、っていうか、常識程度だ。

 

文学も日々刷新されていっているのだな、と痛感。でも、この

 

本は風変りに受け取られるという50年が経って、たしかに、

 

風変りな本として、若い人に受け入れられるのかもしれない。

 

あるいは、滑稽の域をでないのかもしれない。伊丹氏の自殺が

 

滑稽であったと感じられるほどに。いや、時代は変わりました

 

よ、伊丹監督。......合掌。

 

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私の夢、貸します    G・ガルシア=マルケス

2022-02-21 08:51:36 | 小説の紹介

旦 敬介・訳

 

十二の遍歴の四つ目の短篇。あるエメラルドの目の入った

 

を指輪をした女性が晴天の日に大波を食らって死んだという

 

ニュース。男は、この女性が、予知夢を売り物にして生活し

 

ていたことを知っていた。真偽のほどは定かではないが、

 

当たったことがあって、それは弟がお菓子を食べると死ぬ

 

と言ったのに、食べてしまって死んでしまったことに発する。

 

予知夢というオカルティックな題材だが、それを文学的に

 

どう消化していくかという点にこの短編の見所があると思う

 

んだが。......合掌。

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眠れる美女の飛行    G・ガルシア=マルケス

2022-02-20 22:59:22 | 小説の紹介

1982年6月

 

ある飛行場と飛行機の中の話。今世紀イチの雪が降り

 

空港内にとどまることを余儀なくされた男。男はそこで

 

今まで会ったことのない美女と会い、飛行機の中でその

 

美女は8H余眠り続け、男は横で悶々とする。

 

川端康成氏の小説のことがでてきて、これはエロチシズム

 

なのだ、ということだろうか。

 

ぼくは美女が怖いので、この男の気持ちは分からないが、

 

よく眠る女もあまり好みではないからして、あんまり、

 

この美女について、どうも関興が湧かないのであるが。

 

8P余の短篇でうまくまとまっていた。......合掌。

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聖女      G・ガルシア=マルケス

2022-02-17 07:48:16 | 小説の紹介

「十二の遍歴の物語」所収。

 

「聖女」と思われる娘の遺体を持つ男。それは「聖女」らし

 

く腐らなく、村中でなんとかしてもらおうよ、ということに

 

なるが、キリスト教関係のひとたちは一切相手にしない。そ

 

もそも「聖女」といわれる報告が何百件もあるらしい。

 

その「聖女」を巡っての話らしいのだが、後半はよく分から

 

なかった。分からないまでも読みはしたが、分からないのだ

 

から仕方ない、はい。……合掌。

 

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大統領閣下、よいお旅を    G・ガルシア=マルケス

2022-02-16 20:03:08 | 小説の紹介

「十二の遍歴の物語」所収。   1979年6月

 

訳が時折、直訳的になってしまうのが気になった。もっと

 

文学的に書いたらいいのではないのか。マルケス氏はよく

 

大統領をモチーフに用いることがあり、その状況は様々だ。

 

今回の大統領は失脚し、貧乏で、体中が痛むが、手術する

 

費用もろくにないありさま。若夫婦の世話になり、おカネを

 

出してもらう感じで、最後は手術も治らない、というのが、

 

なんとも遣る瀬無い。12篇短編があるというが、それぞれ

 

は独立しているらしい。……合掌。

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「母のいる島」、「おやすみラジオ」    高山羽根子

2022-02-15 22:04:05 | 小説の紹介

創元SF文庫   2014年

 

「母のいる島」

 

SFとはリアルとのせめぎ合いとも言えると思うのだが、この

 

短篇の設定15人姉妹の女だけってのはいかにもムリがある。

 

ここまでいくと、まずその時点で話しに入っていけない。リア

 

リティは大事だ。いかに不思議なことをリアルっぽく書くかが

 

テクニックとして試されると思うのだが。ここは妥協して「六人」

 

くらいでも良かったのではないかと思うのだ。話しを過剰に

 

し過ぎるのが、この人の悪いところだ。悪ふざけが過ぎるというか。

 

そこがおもしろいところでもあるんだが。

 

芥川賞を獲られている。ネット上での評価はちょっと可哀想に

 

なってしまうほどひどいものだった。うーん。

 

「おやすみラジオ」

 

途中半ばまでは、これは、と思って、すごく楽しく読んでいたのだが

 

ラストでうむむ、と唸って、「?」となってしまった。

 

リアルの境界がなくなり、ネットで操作された人々が比奈子たちを

 

襲うってのも、むむむ、と思って、ムリがあるのでは、と思ってしまった。

 

ブログを子供が書いていて、その内容が成長するラジオなら、そこいら

 

へんをもっと引き延ばされた方がよかったのでは、と思う。いくらでも

 

ストーリー展開の選択肢はあったはずである。

 

これが新感覚のSFなのか、と思って、そうかそうか、と言って、手放しで

 

喜ぶべきなのか? これは新たなホラー小説的な? いや、違うな。

 

SFはいつも新たな挑戦をしていくべきなのだからして、これでいいのだ。

 

と、結局は納得してしまったおれっちだった。……合掌。

 

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「うどん、キツネつきの」、「シキ零レイ零 ミドリ荘」  高山羽根子

2022-02-14 06:08:32 | 小説の紹介

創元SF文庫    2014年

 

「うどん、キツネつきの」

 

読んでみた二回ほど。でも、どう読んでもこの作品のおもしろさが

 

分からなかった。導入部分はなかなかおもしろいと思った。でも、

 

そのあとがよくない。この人の想像力の浅さというか、驚きがなか

 

った。どうみても凡ヨーであり、表現は稚拙だ。

 

帯には、「この人の想像力の強さは本物だ 大野万紀」とあるが、

 

誇大広告だ。

 

褒めてあげたいのは山々なのだが、あんまりにもイメージがね、

 

へー凡だよ。

 

タイトルがおもしろいな、と思って、SFってこともあり、SF好きな

 

ので手に取ったが、うどん、というのはキツネ憑きの犬のことなん

 

だよね、ダジャレ? って思うよね。なんだか興がそがれた。

 

古本だったが、売った人も読んでなかったね。

 

「シキ零レイ零 ミドリ荘」

 

「うどん、キツネつきの」で、ひどいことを書いてしまったのであれ

 

なんだが、すごくおもしろかった。「うどん~」より自由な発想で書

 

かれていて、ユニークだし、羽ばたいたって感じだ。

 

ちゃんとSFしているし、キャラが立っている。日常の中にSF的要素を

 

溶け込ませるっていうのがこの人の手法なのだな、と納得。

 

滑稽感というか、マンガっぽい感じが星新一氏を彷彿とさせる。ただ、

 

手法は全く違う。いや、この人は相当すごいぞ、と思ってしまった。

 

……合掌。

 

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作家の手紙       角川文庫

2022-02-13 20:26:10 | 本の紹介

角川文庫   2007年

 

総勢36名の作家によるいろいろなシチュエーションの手紙。

 

短いので、ちょっと読むのにぴったり、薄いし。さすがプロ

 

と名の付く人たちは手紙を書かせても巧い。

 

苦情の手紙、頼みごとの手紙など大いに勉強になる。褒めたり、

 

下手にでたりしつつ。本丸を言うっていうのが定石のようだ。

 

「豚の報い」っていうばっちい小説で芥川賞を獲られた又吉栄喜

 

氏は、それ以降消えてしまった、と思っていたが、略歴を見ると

 

どうやら多数作品を発表されているようで、ぼくが知らないだけ

 

だった。

 

ぼくが一番記憶に残ったのは、歌野晶午氏の天国の兄に一筆啓上、

 

これはヒキョウとも言える小説仕立ての手紙で、3Pの中にミステ

 

リー的な物語が凝集していて、おもしろかった。……合掌。

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