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「野田ともうします。」(2)柘植文

2010年05月16日 09時50分39秒 | 読書(マンガ/アニメ)

「野田ともうします。」(2)柘植文(講談社)

シリーズ2作目最新刊、さっそく購入した。
この作品の面白さは「野田さん」のキャラクターにある。
今時の女子大生と正反対。
ファッションや化粧に興味が無く、真面目に講義に出席する。
男に興味がないのか、「コイバナ」に無関心。
いわゆるヒロインの「恋愛沙汰」は描かれない。
(このあたり、佐々木倫子作品と似ているけど、野田さん知識豊富)
サークルには入っている・・・手影絵サークル「ブラックハンド」。(マイナーだ!)
交友関係はサークル活動の仲間、大学の講義の仲間、アルバイト先「ファミレス」の同僚たち。
(特異なキャラクター設定はない、どこにでもいそう)
シュールでナンセンスな設定もあるが、過激にもドタバタにも流れず適度に押さえられている。(過剰になったら筒井康隆作品になる)

例えばこんな話・・・「私達は期待していく」
ファミレスの同僚・トミー(女性30前後)がダメ男・ツトムンに貢いでいる。
その日も、「スロット負けちったー」とお金をせびりに来る。
「もうスロットやめるって・・・」と言いながらお金を渡すトミー。
先輩のおばさん(50代?)が訓戒する「あんたさーツトムンとの将来についてどう・・・」
「何も言うな!」とトミー。
「でもねーあれじゃさすがの野田さんも言いたくなるでしょ―?」とおばさん。
「そうですねーでは一つ言わせていただくとー」
「言うなつってんでしょ!」
「太宰治の『津軽』って文庫本に註釈が447個あるのをご存じですか?」と野田さん。
・・・さて、とんでもない導入から、どう展開してエンディングにもっていくか。
過剰にもならず、辛口でもなく、シュールでもなく、甘くもなくい、「人生」を感じさせる絶妙なエンディングである。

PS
最近の作品では、女性作家の方が「笑い」を追求した優れた作品を書いている。
(昔は、「笑い」は男性作家の方が、圧倒的に強かったけど)
次の作品が特にオススメ。
「テルマエ・ロマエ」ヤマザキマリ
「チャンネルはそのまま」佐々木倫子
「聖☆おにいさん」中村光


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