【ぼちぼちクライミング&読書】

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「日本国最後の帰還兵深谷義治とその家族」深谷敏雄

2015年03月31日 21時23分28秒 | 読書(昭和史/平成史)


「日本国最後の帰還兵深谷義治とその家族」深谷敏雄

第二次世界大戦、中国でスパイ活動を行った憲兵・深谷義治。
敗戦後も上官から指示を受け上海で潜伏しつづける。
やがて、中国当局によって逮捕される。

読んでいて暗澹たる気持ちになるが、これが現実。
拷問を受け、何年も獄中生活を強いられる。
日本に帰っても、一家は苦労の連続。
その全記録、である。

本作品は、深谷義治さんの次男・敏雄さんが上梓された。
内容は、深谷義治さんと敏雄さんによる文章が混じっている。
次の記述は、次男・敏雄さんによる。
P439
帰国後、私は様々な壁にぶつかった。祖国は自分がかつて中国で想像していた「蜃気楼」でもなければ、「桃源郷」でもなかった。それでも日本人になれたことはよかったと常に思っている。(中略)
母は52年間大陸で過ごした後、日本で36年間生活してきた。日本の生活でうまくいかないことがあっても、大陸で悪夢のような過去を思うと中国に戻りたいと思ったことは一度もないという。

深谷義治氏は、拷問に耐えて、不屈の精神を貫いた。
でも、私が感心したのは、彼の(中国人の)奥さん・綺霞(ちや)さんだ。
旦那が獄中にいる間、4人の子供たちをひとりで育てた。

【転ばぬ先の杖&後の祭り】
社会主義、共産主義を批判するつもりはないが、
どんなイデオロギーであろうと、暴走、独裁に歯止めをかけるシステムは必要。
たとえ効率が悪くなっても。

【本日のお言葉】
スパイになんてなるもんじゃない

【ネット上の紹介】
第二次世界大戦時、中国戦線でスパイとして活躍した憲兵・深谷義治。敗戦後も極秘指令を受け上海に潜伏するも、中国当局によって逮捕。世界最悪といわれた上海市第一看守所で拷問、栄養失調、結核、左目失明…。時は文化大革命。一家も差別、逮捕、下放、極貧に苦しむ。不屈の精神で迫害を耐え抜き、1978年、一家で日本へ帰国。今、その次男が悲劇のすべてを伝える執念のノンフィクション。
[目次]
戦場
潜伏
地獄の日々
文化大革命
日中関係正常化
判決後
在上海日本総領事館設立後の日々
唐山の震災後
夜明け
帰国後の試練
真相と検証
奮闘記 


「栄養素キャラクター図鑑」田中明/蒲池桂子/いとうみつる

2015年03月30日 22時19分00秒 | 読書(エッセイ&コラム)


「栄養素キャラクター図鑑」田中明/蒲池桂子/いとうみつる

栄養素の図鑑。
これほど、分かりやすい栄養学の本はない。

P26-27
ビタミンB1
乳酸をエネルギーに変える手助けをして、疲れを取り除く
脳や神経機能などをきちんとはたらかせる
豚肉、うなぎ、穀類(玄米、全粒粉パン、そばなど)、大豆、大豆製品(豆腐など)、ごま


糖質くん

糖質くん

【ネット上の紹介】
栄養素はおもしろい!きほん栄養素まとめてキャラクター化!!大人も子どもも楽しめる“オモシロ”図鑑。

[目次]
三大栄養素(ぼくたちが三大栄養素
タンパク質くん
糖質くん ほか)
ビタミン(ぼくたちがビタミン
ビタミンB1くん
ビタミンB2くん ほか)
ミネラル(ぼくたちがミネラル
カルシウムくん
リンくんとマグネシウムどん ほか)


ポンポン山▲678.9m

2015年03月29日 09時02分21秒 | 登山&アウトドア(関西)

ぽんぽん山に登ってきた。
神峰山寺~川久保~川久保尾根~山頂~本山寺~神峰山寺
約4時間で登って降りることができる。(神峰山寺第2駐車場から)
4時間あったらクライミング練習をしろ、と言われそうだが、足腰の鍛錬も重要。
以前、私の目標は、12後半のOS、13を少ない回数でRP、であった。
現在の最終目標は、『自分の足でトイレに行ける状態で成仏する』、である。
そのためのハイキング。
なにより、自然の中を歩いていると気持ちいいから。

青空のハイキング日和

日陰が多いコースなので、寒からず暑からず、最初から最後までTシャツのみ。

山頂はかつてないほど賑わっていた


通勤BGM

2015年03月26日 20時52分15秒 | 音楽

通勤の音楽。
昔のヒット曲ばかり聴いている。
『歌姫~BESTフォーク~』・・・昔ヒットしたフォークのオリジナル集。
商品の詳細
歌姫~BESTフォーク~
ディスク1
1.この広い野原いっぱい(1991年バージョン) (森山良子) 2.今日の日はさようなら(1991年バージョン) (森山良子) 3.時には母のない子のように (カルメン・マキ) 4.みんな夢の中 (高田恭子) 5.遠い世界に (五つの赤い風船) 6.或る日突然(1998年バージョン) (トワエモワ) 7.フランシーヌの場合 (新谷のり子) 8.真夜中のギター (千賀かほる) 9.あなたの心に (中山千夏) 10.さとうきび畑(1991年バージョン) (森山良子) 11.白い色は恋人の色 (ベッツイ&クリス) 12.鳥になった少年 (田中のり子) 13.空よ(1998年バージョン) (トワエモワ) 14.秋でもないのに (本田路津子) 15.知床旅情(1991年バージョン) (加藤登紀子) 16.花嫁 (はしだのりひことクライマックス) 17.風がはこぶもの (本田路津子) 18.竹田の子守唄 (赤い鳥) 19.翼をください (赤い鳥) 20.琵琶湖周航の歌(1991年バージョン) (加藤登紀子)
ディスク2
1.忘れていた朝 (赤い鳥) 2.恋人もいないのに (シモンズ) 3.虹と雪のバラード(1998年バージョン) (トワエモワ) 4.なのにあなたは京都へゆくの (チェリッシュ) 5.水色の恋 (天地真理) 6.愛のくらし(1991年バージョン) (加藤登紀子) 7.四季の歌 (いぬいゆみ) 8.サルビアの花 (岩渕リリ) 9.ひとつぶの涙 (シモンズ) 10.ひまわりの小径 (チェリッシュ) 11.風と落葉と旅びと (チューインガム) 12.耳をすましてごらん (本田路津子) 13.少女 (五輪真弓) 14.白いギター (チェリッシュ) 15.煙草のけむり (五輪真弓) 16.あなた (小坂明子) 17.想い出が多すぎて (高木麻早) 18.結婚するって本当ですか (ダ・カーポ) 19.雨だれ (太田裕美) 20.なごり雪 (イルカ) 21.木綿のハンカチーフ (太田裕美)

中森明菜『オールタイム・ベスト ‐歌姫(カヴァー)‐』
商品の詳細
日本を代表する女性シンガーソングライターと言えば、ユーミン、中島みゆき、竹内まりや。
中森明菜さんは、この3人とも歌っている。
さらに対極とも言える青江三奈と薬師丸ひろ子もカヴァーしている。
この節操のなさ、失礼、懐の深さが素晴らしい。
[Disc1]
1. ダンスはうまく踊れない
2. 愛染橋
3. 桃色吐息
4. シングルアゲイン
5. 秋桜
6. 異邦人
7. 瑠璃色の地球
8. 傘がない
9. 窓
10. 愛はかげろう
11. 恋の予感
12. 『いちご白書』をもう一度
13. 22才の別れ
14. 恋
15. いい日旅立ち
[Disc2]
1. 天城越え
2. 無言坂
3. 氷雨
4. 越冬つばめ
5. 夜桜お七
6. 恋の季節
7. 伊勢佐木町ブルース
8. 他人の関係
9. なごり雪
10. 悪女
11. I LOVE YOU
12. ベルベット・イースター (LIVE ver.) ※初音源化
13. Woman “Wの悲劇より" (LIVE ver.) ※初音源化
BonusTrack
14. 恋の奴隷
15. 男と女のお話 


「コンニャク屋漂流記」星野博美

2015年03月25日 23時01分10秒 | 読書(ノンフィクション)


「コンニャク屋漂流記」星野博美

「転がる香港に苔は生えない」と並ぶ、もう一つの代表作。
星野博美さんと言えば、香港や中国を旅して、ルポを書かれるイメージがある。
本作は、旅は旅でも、自分のルーツを探る旅。

P311
イワシとコンニャク。漢字で書けば、鰯と蒟蒻。どちらも「弱」という字を当てられている。広辞苑によれば、イワシは「弱シ」の転用だとか。これは弱いという意味よりも、高級でない、とるに足らない、庶民の口に入る、といったニュアンスが強い、一種の蔑視だろう。
海の弱者と陸の弱者。ついでに言えば、祖父と父が従事していたのは零細町工場で、いわば製造業の弱者。ここまで「弱」が三拍子揃うと、「上等じゃないか」と誰かにケンカを売りたくなるような気分になった。

【おまけ】
この作品を著していて、終わり頃に車の免許を取られたようだ。 
だから、終わり頃になると、車を自分で運転して千葉に行っておられる。
実家の戸越にも戻られている。
前後の経緯が分かってよかった。

【ネット上の紹介】
先祖は江戸時代、紀州から房総半島へ渡った漁師で、屋号はなぜか「コンニャク屋」!?祖父が遺した手記を手がかりに、東京・五反田から千葉、そして和歌山へ―時空を越えたルーツ探しの珍道中が始まる。笑いと涙の中に、家族や血族の意味を問い直す感動のノンフィクション。読売文学賞、いける本大賞受賞作。
[目次]
第1章 コンニャク屋の人々
第2章 五反田
第3章 御宿・岩和田
第4章 東へ
第5章 紀州
第6章 末裔たち


「銀の匙」荒川弘

2015年03月23日 20時57分20秒 | 読書(マンガ/アニメ)


「銀の匙」荒川弘

先日「神さまたちの遊ぶ庭」を紹介したが、この中に『エゾノー』が出てくる。
エゾノーとは大蝦夷農業高等学校のこと。
(実際のモデルは帯広農業高等学校と言われている)
この学校を舞台にしたマンガがある。
それが「銀の匙」。
著者は「鋼の錬金術師」で有名な荒川弘(ひろむ)さん。
荒川弘さんと農業マンガ・・・すばらしい。
なぜなら、著者は北海道出身、家業は酪農と畑作農業、農業高校卒業、と三拍子揃っている。
デビュー前は家業をずっと手伝っていたそうだ。
「満を持して」という言葉が相応しい作品と言える。

『鋼の錬金術師』が連載中の頃から、荒川のファンで荒川の元に通っていた『銀の匙』の担当編集者である坪内崇が、農業漫画を提案し、その中でサンデーの読者層の話をした際に、中高学生がかなりの確率で、将来のことを気にしてるというアンケート結果を聞き、ピンと来て「いけます」という話になった。(by
ウィキペディア)

テーマを深く掘り下げ、けっこうシリアスなシーンも多い。
そういう真面目さ、登場人物たちの真剣さが人気の要因、と思う。

「銀の匙」4巻、P162-163
校長と八軒の会話
「逃げ道の無い経済動物と君達は違うんですから、生きるための逃げはありです。有り有りです」
(中略)
「・・・逃げられない奴はどうしたらいいんでしょう?」
「友達?(中略)いや、自分の気持ちをうまく言葉にできるから、そうして吐き出せるのだと思います。苦しくてもうまく本音を吐き出せない子もいるから、そういう子に気付いたら力になってあげてください。逃げたことを卑下しないでそれをプラスに変えてこそ、逃げた甲斐があるというものです」

「銀の匙」8巻、P30-31
8巻目にして、やっとタイトルの意味が語られる
「『銀の匙を持って生まれた子供は生涯食うのに困らない』っていう外国の言い伝え。まあ裕福の象徴みたいなものでさ。子供が生まれたら銀の匙を贈ってその子が一生食べるのに困らないように願うんだって」
(そう言えば、学生時代にイディオムとして習った覚えがある・・・born with a silver spoon in one's mouth 裕福な家に生まれる、と)


チーズを造るところ

ペンタッチ並びに、ペンネームから分かりにくいが、女性作家である

【豆知識】
豚の体脂肪は15%前後、とのこと。
太っている方を「ブタ」と言うが、事実誤認も甚だしく、
誹謗中傷として訴えられても申し開きが出来ず、
ブタの名誉を著しく傷つけたことになる。

【蛇足】
同じ北海道を舞台にして、動物多数出演、というと佐々木倫子さんの「動物のお医者さん」を思いだす。
しかし、似て非なるもの、である。
「青春」と「萌え」をストレートに出すか?
思春期の悩みに真っ正面から取り組むか?
どちらもキャラ立ちした登場人物多数出演だけど、ここに決定的な違いがある。
(どちらも面白いことにはかわりがないが、好みの問題と言える)

【ネット上の紹介】
大自然に囲まれた大蝦夷農業高校に入学した八軒勇吾。授業が始まるなり子牛を追いかけて迷子、実習ではニワトリが肛門から生まれると知って驚愕…などなど、都会育ちには想定外の事態が多すぎて戸惑いの青春真っ最中。仲間や家畜たちに支えられたりコケにされたりしながらも日々奮闘する、酪農青春グラフィティ!! 


阿武山

2015年03月22日 20時18分36秒 | 登山&アウトドア(関西)

このところ、週末になると天気が悪かったが、
珍しく今週末は天気が良かった。
久しぶりに阿武山に登ってきた。

右端の山が阿武山、安威川沿いに30分ほど遡っていくと登山口が出てくる

ここが山頂・・・比叡山の山頂より立派、である。標高281.1m


マンガ資料(2)

2015年03月20日 22時54分28秒 | 読書(マンガ/アニメ)

昨日に引き続き、マンガ関連の記事を資料として残しておく。
今回のテーマは、『アプリでマンガ』。(朝日新聞2月21日付)


マンガ資料(1)

2015年03月19日 21時06分15秒 | 読書(マンガ/アニメ)

朝日新聞に、マンガ関連の記事が掲載されることがある。
今回のテーマは、『研究者の間で話題になった本』。(朝日新聞1月30日付)
 


春といえば・・・

2015年03月17日 22時08分12秒 | 身辺雑記

禁酒を始めた。
モラルや、体調のためではない。
酒を飲むと、花粉症の薬が効かないから。
今年は例年より早く症状が出た。( 3/21発症)
私の場合、ニポラジンとアゼプチンが有効。
あらかじめ用意しておいたので、すぐ飲んだ。(とりあえず治まった)

今年の初め、チューリップの球根を植えておいた。
芽が出て、葉っぱも出てきた。
春の花粉は嬉しくないが、こちらの春は楽しみである。 


「神さまたちの遊ぶ庭」宮下奈都

2015年03月14日 11時12分07秒 | 読書(エッセイ&コラム)


「神さまたちの遊ぶ庭」宮下奈都

宮下奈都さんのエッセイ。
表紙の絵がいい感じ。思わず手に取りたくなる作品だ。
夫婦と子ども3人、一家5人で北海道に移り住んでの記録。
それも、僻地も僻地、トムラウシの麓。
トムラウシと言えば、日本100名山で唯一カタカナ表記の山。
しかも、大量遭難者が出たいわく付きの山。
いったいどうなるか?
 
P7
カムイミンタラというのは、アイヌの言葉で「神々の遊ぶ庭」。そう呼ばれるくらい、素晴らしい景色に恵まれた土地なのだそうだ。検索して出てきた画像は、たしかに美しかった。素晴らしい景観だということはよくわかった。この山の麓から350メートルほどのところに、小さな集落があるらしい。そこには牧場があり、小中学校がある。そこに行こう、と夫は言っているのだ。

グリーンクラブという少年団の活動に、山に登る恒例行事がある。
大人も希望者は一緒に行ける。
トムラウシ山からは絶景が見られる。、
著者は行ってみたい気持ちと不安とで揺れ動く。
だが、不整脈が原因で断念する。
2軒隣の由美さんとの会話。
P90
「登山、行けなくなっちゃいました」
私が報告すると、
「それがいいと思っていたよ」
あっさり言われる。 
「自分ひとりがやっとくらいの体力だったら、何のために登るのかわからないでしょう。あくまでも子供たちのサポートのために付き添うんだから、たとえば子供たちに何かあったときに、背負えたり、せめて荷物を持って登れるくらいじゃないと」
(たしかに正論だけど、気持ちとしては納得できない。著者には登って欲しかった。本来、地域の活動として山村留学を企画して受け入れ、登山を行うというのは、自然にふれて、地域の魅力を知ってもらう、って趣旨があるはず。この由美さんの言動には3種類の解釈が可能・・・①彼女の方こそ『自分ひとりがやっとくらいの体力』。だからこそ、余計なリスクを負いたくなかった。②自分では体力自慢だから、そうじゃない方を弾いた。体力マニア、筋力マニアの方には、往々にしてその傾向がある。③客観的な判断と好意からのアドバイス)

P158
木というのは、葉を落として雪に備えるもので、落葉する前の木の枝に大雪が積もってしまえば、重みに耐えられない。それで大量の倒木になったらしい。

読んでいて、うらやましくなった。
私も行って経験してみたい。
でも、山村留学は、小さな子供がいないとダメだけど。
少なくとも、トムラウシ山には、いつか行ってみたい。
山頂からの眺めは、日本百名山屈指、と言われている。

「鳥瞰図で楽しむ日本百名山」成美堂出版より

【参考リンク】
新得町立富村牛小中学校ホームページ

新得町立富村牛小中学校山村留学 0000:メインページ

【他の宮下奈都作品】
「ふたつのしるし」宮下奈都
「スコーレNo.4」宮下奈都
「よろこびの歌」宮下奈都
「終わらない歌」宮下奈都



【ネット上の紹介】
北海道を愛する夫の希望で、福井からトムラウシに移り住んだ宮下家五人。TSUTAYAまで60キロ、最寄りのスーパーまで37キロ。「誰が晩のおかずの買い物をするのかしら」。小中学生あわせて15名の学校には、元気満々曲者ぞろいの先生たち。ジャージで通学、テストも宿題もないけれど、毎日が冒険、行事は盛り沢山。大人も子供も本気の本気、思いきり楽しむ山での暮らし。大自然に抱かれた宮下家一年間の記録。 


松谷みよ子さん逝去

2015年03月13日 21時48分32秒 | 身辺雑記

松谷みよ子さんが逝去された。
朝日新聞2015年3月9日夕刊記事。(朝日新聞では、『逝去』でなく『死去』としていた、ちなみに昭和天皇のときは、『崩御』としていたと記憶している)

このところ、いつもよりカウント数が多い。
当ブログでは、松谷みよ子さんの3作品の感想を書いているから。

「小説・捨てていく話」松谷みよ子

「自伝じょうちゃん」松谷みよ子

「モモちゃんとアカネちゃんのほん」松谷みよ子

【参考リンク】
モモちゃんの部屋(作者公式サイト)


「入り婿侍商い帖」(3)千野隆司

2015年03月12日 12時37分04秒 | 読書(小説/日本)


「入り婿侍商い帖」(3)千野隆司

シリーズ第3弾。
仕入れ安定確保の為、農村周りをする角次郎。
再び、関宿藩の藩米横流し事件に関わることになる。
現地で探索活動をする角次郎を気遣い、妻も現地入りする。
いったいどうやって横流しを行って、米を江戸に持ち込んでいるのか?
妻の気転により、打開に向かうか?
事業拡大、藩御用達を目指して活躍の第3弾。

ところで、時代小説が人気、とのこと。
私も無性に読みたくなるときがある。
でもどうして、時代小説なのか?
現代小説が複雑になりすぎてカタルシスが得られないのか?
善悪がはっきりして、勧善懲悪・・・これを現在小説でやると、嘘くさくなる。
時代小説だとしっくりくる。
悪人は悪人らしく、正義の味方は一点の曇りもない。
「正義」が勝ち、「悪人」は懲らしめられる。
現実では、割り切れないことばかりだが、時代小説では一刀両断にしてくれる。
仕事、家庭、人生に疲れた方こそ時代小説か?
歴史の蘊蓄も得られて一挙両得。

PS
「水戸黄門」は王道、直球ど真ん中・・・名作たる所以を再検討する必要あり。

【ネット上の紹介】
米屋の入り婿・角次郎、藩御用達を目指して邁進す! 旗本家次男の角次郎は縁あって米屋に入り婿した。関宿藩の藩米横流し事件解決に助力した角次郎に、関宿藩勘定奉行配下の朽木升之助から極秘の依頼が持ちこまれる……。妻と心を重ね、米屋を再興していく物語。 


「転がる香港に苔は生えない」星野博美

2015年03月09日 21時04分30秒 | 読書(海外事情)


「転がる香港に苔は生えない」星野博美

大宅壮一賞受賞作品。
返還前後(1997~1998年)の香港を描いたノンフィクション。
その昔、読もう思ったことがあるが、600頁の厚さに読む前に挫折した。
今回は違う。
星野博美作品は面白い、ということを知っている。
600頁の厚さが嬉しくてしかたない。
読む前からわくわくした。
いくつか文章を紹介する。

P130
「炒(ちゃう)」という言葉がある。チャーハンの「チャー」、文字通り「炒める」ことだが、何かの値段がどんどんつり上がっていくこと、あるいは故意につり上げていくことを広東語では「炒」という。炒の対象として代表的なものは股票(かぶ)」そして楼(まんしょん)。フライパンで炒めれば中のものはどんどん熱くなるが、やりすぎれば必ずこげる。

P232
(前略)97年2月19日、小平が死去した。私はそれを学校へ向かう地下鉄の中で知り、とりあえず身近にいる香港人、つまり学校の先生たちに感想を尋ねた。
一時間目の先生はノーコメントだった。(中略)
二時間目の先生はもう少し柔軟だった。
「驚きました。もう少しで返還なのに、それを見ることができずにかわいそうだと思いました」
三時間目の先生は正直だった。
「心の準備はできていたから驚きませんでした。同時に、やっと本当の情報が出たなと思いました。安心している人はたくさんいると思います」
私はその真意を尋ねた。小平の死去に「安心する」とはどういう意味か。
(この続きは、実際読んでみて)

私事であるが、1997年2月20日、私は香港にいた。タイで登った後(タイ訪問2回目)、プーケット島の空港からドラゴン航空に乗って香港にやってきのだ(当時クラビ空港はない)摩天楼をかすめるように、深夜香港に到着した。その飛行機に乗る際、『號外』が配られた・・・「小平逝世」、と)

【注釈】現在、『啓徳(かいたく)空港』はない・・・ランタオ島へ移転。(香港へ行く価値が半減した、と言ったら言い過ぎだろうか?)

これがドラゴン航空に乗る時に手渡された號外、『小平逝世』・・・ずっと保存している

なぜ香港に立ち寄ったかと言うと、私も返還前の香港を見たかったから。
(もちろん、ハイキングが最大目的だけど)
もしかしたら、著者と私は、香港の街角ですれ違ったかも知れない。そんなことを想像すると楽しい。

P244かつての同級生・維真(わいちゃん)の言葉
新移民(さんいーまん)――大陸から香港に移民してきた人たちをこう呼ぶ。彼らの存在が今、香港の大きな社会問題になっている。(中略)
おかしいな、って思った。だって香港はもともと大陸からの移民の寄せ集めでしょ?

P275
阿強、議論して相手を負かすことで、あなたは自分を守ろうとしているだけだ。
あなたが自分の現状を私にぶつけるのはかまわない。でも何の関係もないお店の人たちを見下すのだけは許せなかった。
(私が、この著者に信を置くのは、こういうところだ。

P465
大陸の高級官僚の言葉
『香港の人は何かと汚職汚職っていいますが、慣れていないから怖いだけですよ。なにすぐ慣れますよ』

P535
日本人の妻をもつ香港人・阿波の言葉
香港人は経済活動が自由だったから、自分たちは自由を知っている人間だと思っている。でも経済の自由と政治の自由の違いが全然わかっていないんだ。

P621
今我々に必要なのは、誇りではなく、多様性だと私は思う。単一の方が楽だから、楽な方法へ向かおうとしているだけだ。多様な文化と接してこそ、自分たちの誇りは意味を持つ。単一性の中だけで誇りを持つのは、狂信である。私たちは本当に、深く眠っている場合ではない。苔など生やしている場合ではない。

【おまけ】
小平は客家(ハッカ)である。客家を含む華僑はユダヤ人、アルメニア人、印僑と共に四大移民集団の一つと言われる。(ウィキペディアより)小平氏について知りたい方は、寒山碧氏の「小平伝」が読みやすく面白い。(現在絶版中)

【おまけ】2
1997年当時、香港でハイキングをしようと思ったら「香港低山散歩」しかなかった。(現在絶版中)今なら、「香港アルプス」が全頁カラーで便利。


【参考リンク】
「戸越銀座でつかまえて」星野博美
「迷子の自由」星野博美
「華南体感 星野博美写真集」
「謝々!チャイニーズ」星野博美
「愚か者、中国をゆく」星野博美
「島へ免許を取りに行く」

【ネット上の紹介】
1997年7月1日、香港返還。その日を自分の目で、肌で感じたくて、私はこの街にやってきた。故郷に妻子を残した密航者、夢破れてカナダから戻ってきたエリート。それでも人々は転がり続ける。「ここは最低だ。でも俺にはここが似合ってる」。ゆるぎない視線で香港を見据えた2年間の記録。大宅壮一ノンフィクション賞受賞作。

[目次]

第1章 香港再訪
第2章 深水〓
第3章 返還前夜
第4章 返還
第5章 逆転
第6章 それぞれの明日
第7章 香港の卒業試験


大人の為の参考書

2015年03月07日 21時20分01秒 | 読書(エッセイ&コラム)

参考書は受験生が読むもの、と思っていたら、
「大人になっても使えるもの」、って特集があった。
2015.2/7「朝日新聞」の記事。

この中の「日本史図録」ってのを買ってみた。
山川ビジュアル版日本史図録 
図録と言うだけあって、写真・図解満載で、見ていて楽しい。
税込み907円は安い。(税抜き価格840円)
あえて、クレームを言うなら、誤謬が多すぎる。
天下の山川出版が、こんなことでどーする。
テキストなんだから、世に出す前に、何重にもチェックして欲しい。