
「こっちへお入り」平安寿子
平安寿子さんが落語をテーマに書いた。
読む前から面白いと分かっていたけど、やっぱり面白かった。
いくつか文章を紹介する。
P31
仕事に生きるとまでは言わないが、自活する自分が誇らしい。
とはいえ、貰う額があがれば、ストレスも増える。
(中略)
仕事である程度の力を発揮できているとは思うが、それを自分の存在証明にしたくない。ならば何をすればいいのか。
P54
十代までは、自分にはなにがしかの才能があるはずだと信じていた。なんだかわからないが、それはきっといずれパーッと開花するに違いないと期待していた。それなのに、二十歳過ぎてからは「わたしには、何の才能もないんだ」と思い知らされる毎日。とうとう「普通でいいんだ。普通はエライ」と自分に言い聞かせる立派な大人に成長したが、それでもこうして「何かができる自分」を発見すると、色めき立つものがある。
P70
別れるきっかけがないと、人というものはなかなか縁が切れないものだ。
P124−125
「柄って、個性ってことですか」
質問すると楽笑は答えた。
「うーん。個性というより、人間性です。同じことみたいですが、違うと僕は考えてるんです。個性というのは持って生まれたもの。人間性というのは生きてきた中でその人が培ってきたものという風に思います。ニンが出る、ニンに合うと、僕らの世界では言うんですよ。人と書いて、ニンと読む。その人の人間性が出たとき、噺は息を吹き込まれるんです」
「人間性が笑いにつながるってことですか」
「そうです。一生懸命になればなるほど、滑稽になる。人が生きるとは、そういうことじゃないですか。客は、今の言葉で言えば『上から目線』で、落語世界の人物をバカなやつらだと見下して笑うんじゃない。自分と同じだから、共感して笑うんですよ。愛しいから笑うんです」
【ネット上の紹介】
吉田江利、三十三歳独身OL。ちょっと荒んだアラサー女の心を癒してくれたのは往年の噺家たちだった。ひょんなことから始めた素人落語にどんどんのめり込んでいく江利。忘れかけていた他者への優しさや、何かに夢中になる情熱を徐々に取り戻していく。落語は人間の本質を描くゆえに奥深い。まさに人生の指南書だ!涙と笑いで贈る、遅れてやってきた青春の落語成長物語。
【関連作品】 ・・・落語を扱った小説と言えば、「しゃぺれどもしゃべれども」を思い出す。
佐藤多佳子作品入門にぴったり、オススメ。
【ネット上の紹介】
俺は今昔亭三つ葉。当年二十六。三度のメシより落語が好きで、噺家になったはいいが、未だ前座よりちょい上の二ツ目。自慢じゃないが、頑固でめっぽう気が短い。女の気持ちにゃとんと疎い。そんな俺に、落語指南を頼む物好きが現われた。だけどこれが困りもんばっかりで…胸がキュンとして、思わずグッときて、むくむく元気が出てくる。読み終えたらあなたもいい人になってる率100%。
今年も、セブン・エーから郵便が来た。
保険更新のお知らせ、である。
昨年も書いたが、、注意点がある。
私はN1+Lタイプだけど、『説明書き』を注意深く読むと、次のように書かれている。
『クラック等ナチュラルプロテクションを使用するルート、地面以外からのビレイを受けるルート、マルチピッチ、開拓、支点整備、懸垂下降中を除きます』
そこで、セブン・エーに次のようなメールを送って聞いてみた。
> 当然、『蜘蛛の糸』のように、スラブを登った後に、出てくるルートも対象外になってしまいます。
> 備中では、岩場整備のため、ボルトの打ち替えが頻繁に行われています。
> フィックスを張って懸垂をすることは普通に行われ、以前手伝いをした事もあります。
>
> 【質問(1)】
> すると、こういったこと、全てが対象外、無効、と言うことでよろしいでしょうか?
> では、山岳タイプ(例えば)A1+L(=6840円)では、上記のような場合も、全てフォローしてくるのでしょうか?
いただいた回答は次のとおり。
→そのとおりです。
【質問(2)】に対しては・・・
→山岳タイプは対象となります。
実は、今年から、山岳タイプにしようかな、と思っていた。
ところが今年は、諸事情により、クライミング練習をすることさえ困難な状況になってきた。
周囲の方は気付いていると思うけど、今年になって平日練習、まったく行っていない。
かろうじて週末、1週間に1回、3時間ほど、練習しているだけ。
そんな訳で、今年も昨年と同じN1+Lタイプで申し込んだ。
PS
『フリークライミング』 対象の保険なのに、クラックがダメとは・・・値打ちが低い保険だなぁ。
JFAとタイアップしているわりに、支点整備にも対応していないし。
まぁ、それだけ事故の確率が高い、って事なんでしょうけど。
「ジェノサイド」高野和明
人気の本を読んだ。
2011年「このミス」でも「文春ミステリ」でも1位。
昨年ダントツ人気、話題の作品。
読みごたえがあった。1位の値打ちがある。
さて、内容はSF+冒険+政治+医療+ミステリ要素の混在した作品。
人類の危機をリアルに描いている。
3部構成になっていて、第2部から面白さのレベルが上がってくる。
第1部は、伏線段階なので、少し辛抱が必要。
第2部で、一気に面白さ上昇。
第3部は、収斂部分、エンディングも見事。
これは読む価値がある大作、と思う。
文章を一部紹介する。
なぜか、私はストーリー本流部分とは異なる箇所に興味を持った。
P312
「(前略)韓国人と日本人で何か違うところはある?」
(中略)
「一つ挙げると」と言って、正勲の視線が研人に戻った。「僕たち韓国人だけが見つけた、特別な感情があるんだ。これはアメリカ人も、中国人も、日本人も知らない不思議な心の動きだよ。韓国語で“ジョン”っていうんだ」
「 “ジョン” ?」
「うん。漢字だと、情(なさけ)って書く」
「それなら日本人にもあるよ。情(じょう)だろう?」
「いやいや、日本語の情とは違うんだ。説明が難しいな」
研人は好奇心をそそられた。「そこを何とか説明できない?」
「無理に説明すると、人と人を結びつけてしまう強い力だよ。僕たちは、一度でも関わった相手とは、好き嫌いとは関係なく、 “ジョン” で結びついてしまうんだ」
「それは友好的とか博愛ってこと?」
「そんなに美しいものじゃない。 “ジョン” は厄介でもあるんだ。どんなに嫌な相手とも “ジョン” で繋がってしまうから。つまり僕たちは、他人を百パーセント拒絶することができないんだ。韓国映画とかテレビドラマは、ほとんど全部、この “ジョン” を描いているよ」
PS
上記の韓国人留学生・正勲が大活躍。
キャラクター好感度も高い。
主人公の1人である日本人・研人を食ってる感じ。(研人、少し影が薄いぞ!)
【参考リンク】
『週刊文春 傑作ミステリーベスト10』
『このミステリーがすごい!』
【ネット上の紹介】
急死したはずの父親から送られてきた一通のメール。それがすべての発端だった。創薬化学を専攻する大学院生・古賀研人は、その不可解な遺書を手掛かりに、隠されていた私設実験室に辿り着く。ウイルス学者だった父は、そこで何を研究しようとしていたのか。同じ頃、特殊部隊出身の傭兵、ジョナサン・イエーガーは、難病に冒された息子の治療費を稼ぐため、ある極秘の依頼を引き受けた。暗殺任務と思しき詳細不明の作戦。事前に明かされたのは、「人類全体に奉仕する仕事」ということだけだった。イエーガーは暗殺チームの一員となり、戦争状態にあるコンゴのジャングル地帯に潜入するが…。
中央公論2012年3月号
今月号は特集「新書大賞2012」。
いったい、どの作品が選ばれたのだろう?
さっそくチェックしてみた。
大賞「ふしぎなキリスト教」
2位「昭和天皇」
3位「TPP亡国論」
4位「武器としての決断思考」
5位「女子校育ち」
6位「キュレーションの時代」
7位「原発のウソ」
8位「伊藤Pのモヤモヤ仕事術」
8位「正しいパンツのたたみ方」
10位「パリ五月革命私論」
なお、撰者は書店員、書評家、各社新書編集部、新聞記者など67人。
これとは別に、2011年売上ベスト、ってのもある。
以下のとおり。
1位「官僚の責任」
2位「日本人の誇り」
3位「原発のウソ」
4位「日本人はなぜ世界でいちばん人気があるのか」
5位「池上彰の宗教がわかれば世界が見える」
6位「知れば知るほど面白い朝鮮王朝の歴史と人物」
7位「新・堕落論」
8位「自分の始末」
9位「暴力団」
10位「知らないと恥をかく世界の大問題2」
ダブっているのは「原発のウソ」だけ。
なお、サラリーマンとして気になる本は次の2冊。
番外編として気になるのは次の3冊
【参考リンク/過去の新書大賞】
http://www.chuko.co.jp/special/shinsho2010/
http://www.chuokoron.jp/2011/02/post_63.html
【ネット上の紹介・・・発表! 新書大賞2012】
・〈新書通六七人が厳選した〉年間ベスト10
・大賞受賞記念対談『ふしぎなキリスト教』 対談 橋爪大三郎 大澤真幸
・出版の意味が問い直された二〇一一年
新書はまだまだ捨てたものじゃない 対談 永江朗 宮崎哲弥

「困ってるひと」大野更紗
2012年キノベス第4位に選ばれた人気作品。
難病を発症、その闘病生活、感じたことを書き綴ったエッセイ。
著者のブログProfile紹介欄を見ると、次のように紹介されている。
作家&大学院生 ●ビルマ(ミャンマー)のことをやってたものの、2008年から自己免疫疾患系の難病にかかり闘病中。皮膚筋炎、筋膜炎脂肪織炎症候群。シェーグレン、 SLE的病態もあり。絶賛生存中。
さて、具体的にどのような症状かというと、次のように書かれている。
P288
筋力はないし、独力では自由に外に出られないし、免疫力も体力もない。ジャムの瓶やペットボトルのふたを、自分で開けることもできない。紫外線を浴びられない。常に感染症や怪我に細心の注意をはらう。皮膚や身体の組織も弱っているので、洗剤などに直接触れられない。
・・・なんとも大変な状態。我々が普通にしている行動が出来ないのは辛い、と思う。
いくつか福祉や行政につての具体的な記述もあって興味深い。
P183
結果、自治体の対応やサービスの内容について、東京都内の23区、市によってかなりの較差があることがわかった。都道府県をまたげば、相当の、天と地のような較差がある。
東北の某所から来ている患者さんに聞いたところ、
「わたしは2級の手帳を持っているが、『タクシー券』など、聞いたこともない」
杉並区某所から来ている患者さんに聞いたところ、
「わたしは手帳なんて取れないけど、特定疾患(難病)でタクシー券もらってるよ」
群馬県某所から来ている患者さんに聞いたところ、
「3級の手帳持ってるけど、ETCの割引以外使えるものないけど」
神奈川県某所から来ている患者さんに聞いたところ、
「わたしはもう死にかけてるけど、ヘルパーさんどころか、窓口で『有料老人ホームに行ってください』、と言われたわよ」
某区から来ている患者さんに聞いたところ、
「もう2度と、区役所なんか行かない。わたしは死んでも国には頼りたくない」
インタビューする人によって言うことがまったく違う。いったい、どういうことなんだ。
以上、文章紹介おわり。
上智大学大学院在学中の発症。
それ故か、文章が少しエキセントリックだけど、それさえ気にしなければ、楽しめる。
死にそうになりながら、自分自身とその状況を笑い飛ばせるユーモアに脱帽。
【著者のブログ】
http://wsary.blogspot.com/
【ネット上の紹介】
ある日、原因不明の難病を発症した、大学院生女子の、冒険、恋、闘い―。知性とユーモアがほとばしる、命がけエッセイ。
TCネットに次のような記事が掲載されている。
【長屋坂の再生を6月中旬に実施予定】
これについての詳細は、4月中旬くらいまでにお知らせできると思います。
ご存知のとおり長屋坂はルート数が20本以上あり、再生するプロテクション数はかなりの数になります。今回も日本フリークライミング協会様から資材面で協力していただける予定ですが、TCNet では長屋坂エリアの再生を実施するにあたり、備中で登るクライマーの皆様に広くカンパを募ることといたしました。
・・・そんな訳で先日、心ばかりのカンパをした。
(最近さっぱり、岩場に行ってない代わり)
【リンク】
活動予定
「人生オークション」原田ひ香
読みやすい作品、あっとゆうまに読了。
中編が2作収録されている。
●「人生オークション」
●「あめよび」
最初の作品はタイトルにもなっている。
犯罪者一歩手前の叔母と姪の交流が描かれる。
叔母は、かつて不倫の果てに刃傷沙汰に及んで、夫から離縁される。
アパートにひとり暮らしだけど、そこに姪が訪ねてくるところから物語りが始まる。
この姪も就職が決まらず、アルバイト状態。
二人揃ってモラトリアムだけど、明るい未来が見えない。
部屋の中には、かつて叔母が夫に買ってもらった大量のブランド品があった。
それをネットオークションにかけていくことで、自分を取り戻していく、って話。
(だから「人生オークション」とタイトルになっている)
もうひとつは、ちょっと風変わりな恋愛小説で若いカップルの顛末が描かれる。
「諱」を扱っているのが興味深い。
一部文章を紹介する。
P164
「いみな?」権堂は顔を上げて聞き返した。
「ええ、諱。本名以外の本当の名前という意味なんですって。他人には教えちゃいけない、秘密の名前らしいんですけど、そういう風習が残っている場所があるらしいんですよ」
P169
「あとね、私、ゴリちゃんの話を聞いて、思い出したことがあったの。昔読んだ童話なんだけど」美子は輝男の顔をうかがった。
勘がいい人は、もう分かったと思うけど、その「童話」とは、「グリム」の「ルンペルシュティルツヒェン(Rumpelstilzchen)」のこと。読んでいて、私も思わず「グリムやんけ!」と(心の中で)叫んだ。
「諱」と「グリム」のカップリングには、唸らざるを得ない。
故に、中編2編とも楽しめたけど、後の方が私の好みである。
【参考リンク】
原田ひ香『人生オークション』 (01/29)
【ネット上の紹介】
不倫の果てに刃傷沙汰に及んでしまい、謹慎中のりり子叔母さん。就職が決まらずアルバイトをする私は、気分転換にと、一人暮らしを始めた叔母の様子を見に行くことに。そこで目にしたのは、トラック一台分はある、大量のダンボール。処分に困った二人はそんな「お荷物な過去」をせっせとオークションにかけてゆくが…。“欲しいもの”を手放していく叔母と、“欲しいものが欲しい”私。世代も生き方も異なる二人を鮮やかに描く、ちょっとしたご縁のハナシ。
【関連リンク】
→ルンペルシュティルツヒェン (Rumpelstilzchen)
・・・ちなみに、上記ウィキペディアの【関連項目】に「西の善き魔女」があがっている。(さすがウィキペディア、すばらしい!)


私は、「西の善き魔女」をハードカバーで読んだけど、文庫版も出ている。
(中公文庫版)
少し時間ができたので、阿武山に登ってきた。
安威川沿いを自転車で進む

遠く吹田方面を見渡す
(阿武山は登山口から30分くらいで登れる)
「善人長屋」西條奈加
久しぶりに 西條奈加作品を読んだ。(昨年の秋以来)
やはり面白い。
私が面白いと感じるレベルは、世間より高いが、しっかりクリアーしている。
すばらしい実力の持ち主と思う。
内容は、住人全てが裏家業を持つ「善人長屋」に、根っからの善人が迷い込むところから始まる。単純な善と悪の対比だったのが、その境界線がどんどんぼやけてくるに従い、面白さも増してくる。
9話の短編からなるが、後半の方がより面白くなる。
特に最後の3編が秀逸。
「冬の蝉」
「夜叉坊主の代之吉」
「野洲屋の蔵」
エンディングもすばらしい。
××な○○にしていないところgood。
(伏せ字にしないと、ネタバレになるので、御容赦)
PS
今回読んでいて、「おっ!」と感心したのは、大阪弁を見事に駆使していること。
この作家さんは、たしか北海道出身のはず。
どこで関西弁を習得したのだろう?
例えば、次のような会話。
P176
「ほうか、そいつはまた、難儀なこっちゃ」(中略)
「なかなか面白い話やったが、我はいわば、わしにとっては一見さんや。証しも信用もあらへんもんと、いきなり商いをはじめろと言うんか」
・・・ホント、見事である。(誰かに監修を頼んだのだろうか)
PS2
ちなみに、私が読んだ他の西條奈加作品は次の3冊。
まだまだ、これからも読んでいくつもり。
(西條奈加作品を初めて読むなら、「烏金」がお薦め・・・大江戸金融エンターテイメント!)
【参考リンク】→ ●烏金
【ネット上の紹介】
“真面目で気のいい人ばかり”と噂の「善人長屋」。しかし陰に回れば、差配も店子も裏稼業の凄腕揃い。そんな悪党の巣に、根っからの善人、加助が迷い込んだ。人助けが生き甲斐で、他人の面倒を買って出る底なしのお人好し…。加助が持ち込む厄介ごとで長屋はいつも大騒動、しぶしぶ店子たちは闇の稼業で鳴らした腕を揮う。
「遮断」古処誠二
淡々とした筆致、地味な作品。
売れている気配もない。
でも、すごい作品である。
沖縄戦を描いている。
友人の妻をともなって、前線を彷徨する。
職業軍人と地元住民の確執。
本土と沖縄の関係。
当時の沖縄の様子がリアルに再現される。
地味だけど、実力ある作家、と思う。
【ネット上の紹介】
置き去りにされた子供を捜して戦場を北上する。生きているはずがないと分かっていた。それでも、捜さずにはいられなかった。戦争という極限状態の下で、人は何を「信じる」ことができるのか?
PS
関連作品として、「沖縄軽便鉄道は死せず」(辻真先)をお薦めする。
こちらも沖縄戦が舞台となっている。
ヒットした様子はないが、内容レベルは高い。
(騙されたと思って読んでみて)
【ネット上の紹介】
太平洋戦争末期、沖縄は米軍の激しい空襲に曝されていた。本土疎開ももはや手遅れ。庶民の逃げる先はいまやヤンバル(本島北部)を覆う密林地帯しかなかった。沖縄刑務所もついに解散となり、収監されていた北城尚純もヤンバルに向かう。途中、老人の遺体にすがる少女に遭遇した。被弾した老人は酒蔵の主で、二百五十年の歴史をもつ古酒の甕を抱えていた。少女は父親が命と引き替えに守った古酒とともに逃げる決意を固める。囚人と少女の凄絶な脱出行が始まった。
「かんさい絵ことば辞典」ニシワキタダシ/著 早川卓馬/コラム
人気の本を読んでみた。
関西弁を絵で紹介した辞典。
使われるシチュエーションが絵で表現されてるから解りやすい。
いくつか文章を紹介する。
P91
関西の人たちには、がめつい、ケチ、といったイメージがどうにも付きまといますが、本当にそうかしらんと思っています。「これまけて。なぁ、まけてーや。まけろ言うてるやないの!もうここでは買えへんよ!」とまでは誰もいいません。「これ、まけて」。「もー、奥さんにはかなわんなぁ」。程度のやり取りであっけなく交渉終了、というのが実際である気がします。
つまり、関西の人たちはお金に対する執着心が強いのではなく、日々の生活に欠かすことができないお金の問題にあえて踏み込むことで、会話をひとつでも増やそうとしているのでは、と思うのです。(他府県では、お金の話はタブーなのだろうか?byたきやん)
『なんでやねん』について・・・
P183
みなさんもご存じの通り、基本的にはボケに対するツッコミの用語として使われる言葉ですが、的確なツッコミは時に相手を傷つけてしまうおそれがある一方で、この「なんでやねん」にはそれがありません。相手の意見を否定しつつも、その場の空気は壊さない大きな器を持っている。本当によくできた使える言葉です。
【おまけ】
私は大阪人であるが、普段は標準語を使っている・・・と思っていた。
しかし、それは単に思い込みに過ぎなかった。
私が「標準語」と思っていたのは「関西ことば」だった。
頭の中の思考も、感情も、言葉も大阪弁だった。
自分で思っているより、私は関西人なのかもしれない。
でも、ブログはいろんな方が読むので、標準語を意識している。
(他の関西クライマーの方のブログを読むと、会話部分だけでなく、地の文まで大阪弁の方も少なからずいる。私より関西濃度が高い、と思われる)
【ネット上の紹介】
しんどい人も、そうでない人も、ほんわかあたたまる、関西弁辞典。
[目次]
かんさい絵ことば辞典(かんさい絵ことば;むかし絵ことば;まんが ほか);
おたのしみふろく(かんさいグルメ検定;
例子先生のおこのみやきレシピ;
かんさいなんでも相談室);
かんさい名所すごろく;
主な登場キャラクターの紹介;
五十音さくいん&ちょっとした例文
「神様のすること」平安寿子
今まで、何冊も平安寿子作品を読んできたが、トップクラスのおもしろさ。
著者のホンネが、もっともストレートに出ている。
内容は、著者の回想録。
小学生時代から、最近の出来事・・・親の介護と最期を看取ったことまで書かれている。
いくつか文章を紹介する。
P63
人間には多様性なんて、ない。せいぜい四種類くらいのものだ。下手な小説はキャラクターが「類型的」だと批判されるが、生身の人間って、それぞれが自分で思っているよりずっと類型的だと、わたしは思うのよね。
P100
障害もしくは難病とプライドと恋愛は、青春小説に輝きをもたらす三種の神器だ。
P101
五十を過ぎると、むしろ、跡がつくほど傷つく経験でなければ思い出になり得ないとわかる。人が自分の幸せに気付かないのは、ハッピーな経験ほど、メモリーにインプットされないからだ。
傷つかなければ、忘れてしまう。人間とはそれほど大雑把な生き物だ。
P105
子供は天使だなどという戯言を、わたしは信じない。自分が優位に立つために他者を踏みつけにする卑しさを、人間はみんな持っていると思う。他者と出会った子供が一番初めにやるのは、攻撃だ。
思いやりや優しさは、主に環境要因や人間関係の中で後天的に育まれるものだとわたしは思う。聖書や仏典、コーランなどの教え、そして神話伝説として各地に残る教訓物語は、そのためのテキストだ。
P242
今、介護に取り組んでいる人やこれからの人に申し上げますが、介護って波があるんですよね。凪のときもあれば、大嵐でこっちの心身が沈没寸前まで翻弄されることもある。
要介護状態になった年寄りには、何が起きるかわからない。精神安定剤や睡眠薬が逆に作用して大興奮して大暴れなんて、ざらだ。けいれんや一時的呼吸停止、昏睡と覚醒の繰り返し、治療中に脳梗塞など、まったく、なんでこうなるのか誰にも説明のつかない事態が次から次に起きる。
こんなことなら、早くお迎えが来たほうが当人だって楽に違いない。コントロール不能の肉体に翻弄される年寄りを見れば、そう思わずにいられない。
誰だって、惨めな姿をさらすことなく、すーっと昇天したい。けれど、そうはいかないのだ。
神様は、生命ある限り、苦しむことを求める。それが、生きるということだから。
PS
全部で7話に分かれている。
ほとんど、親の介護の話が中心だけど、その中で、私は、小学生時代を振り返った 第4話「二人の恵子」、第5話「心残りはひとつだけ」が、おもしろく感じた。介護の話が、どうしても暗くなるから、子ども時代の話が、印象に残るのかもしれない。
【目次】
第1話 母の死を待って;
第2話 すれ違う二人;
第3話 傷跡の必要;
第4話 二人の恵子;
第5話 心残りはひとつだけ;
第6話 陽気な骨;
第7話 天国への階段
皆さん、既に読まれていると思うけど、TCネットで「チョンボ棒」使用について、記事が掲載されている。
私は、非常にまっとうな意見であり、正論と思う。
でも、どんな正論にも、批判や反対意見が出てくる。(世間とはそんなものだ)
その場合、特殊な例、極端な例を出してはいけない・・・それは個々に検討すべき、と思う。
そうしないと、木を見て森を見ず、になってしまう。
フリークライミングにおける「チョンボ棒」の使用について
http://takahashigawa-climb.net/information/522/
また、TCネットとJFAで、岩場のマナーについて書かれている。
こちらも、読んでみて。
→ エリアでの注意点・マナー
→岩場周辺でのマナーの再確認を(12/01/10)
http://freeclimb.jp/news/news2012_1.htm#toyota
遅くなったけど、第146回直木賞、芥川賞について紹介しておく。
直木賞 : 葉室麟 『蜩ノ記』
芥川賞 : 円城塔 『道化師の蝶』 田中慎弥 『共喰い』
【ネット上の紹介】
鳴く声は、いのちの燃える音に似て── 幽閉先での家譜編纂(へんさん)と十年後の切腹を命じられた男。 何を思い、その日に向かって生きるのか? 心ふるわす傑作時代小説! 命を区切られたとき、人は何を思い、いかに生きるのか? 豊後(ぶんご)・羽根(うね)藩の奥祐筆(おくゆうひつ)・檀野庄三郎(だんのしょうざぶろう)は、城内で刃傷(にんじょう)沙汰に及んだ末、からくも切腹を免れ、家老により向山村(むかいやまむら)に幽閉中の元郡(こおり)奉行・戸田秋谷(とだしゅうこく)の元へ遣わされる。秋谷は7年前、前藩主の側室と不義密通を犯した廉(かど)で、家譜編纂(へんさん)と10年後の切腹を命じられていた。庄三郎には編纂補助と監視、7年前の事件の真相探求の命(めい)が課される。だが、向山村に入った庄三郎は秋谷の清廉(せいれん)さに触れ、その無実を信じるようになり……。命を区切られた男の気高く凄絶な覚悟を穏やかな山間(やまあい)の風景の中に謳(うた)い上げる、感涙の時代小説!
【参考リンク】
http://www.bunshun.co.jp/award/naoki/index.htm
http://www.bunshun.co.jp/award/akutagawa/index.htm











