人生悠遊

写真付きで旅の記録、古都鎌倉の案内などを、周りの人の迷惑にならないように紹介していきます。

ポルトガルワインを試す ーー(22)カーサ・ド・ヴァーレ・エスコーリャ・アルヴァリーニョーー

2021-06-26 08:46:11 | グルメ

今期のワインはヴィーニョ・ヴェルデ地方のワイナリー”カーザ・ド・ヴァーレ”の白ワインです。17世紀に建てられたマナーハウス(貴族の館)カーザ・ド・ヴァーレは、ポルトガル語で「谷の家」を意味し、この白ワインはブランド誕生20周年を記念した特別ワインです。ブドウの品種はおなじみのアルヴァリーニョ。樽を使用して造られ、カタログには果樹の凝縮感と樽の複雑味と表現されています。樽醸造のせいか色味は少しそれらしく、喉を通る時に渋み(苦味)を感じましたが、飲み進むうちに深みのある味わいが好きになりました。定価は1,650円(税込)ですが値打ちのある1本です。

さて今回はREEFER(定温コンテナ)について。毎度ポルトガルワインを買っている店メルカード・ポルトガルは、ポルトガルのワイナリーからワインを直接仕入れ、それをREEFERで日本に輸入しています。ヨーロッパからの船便では輸送期間が5週間位かかり、地中海からスエズ運河を抜け、赤道直下のインド洋を通り、シンガポールなどを中継して日本にやってきます。常温コンテナであれば赤道直下の高温状態に長時間晒されれば当然に品質は劣化してしまいます。最近はREEFERで運ばれてくるワインが増えていますが、船賃が高くなるため3,000円以上のワインでないと安心して飲めません。これまで20本以上のポルトガルワインを飲んできましたが、その価格は1,200円位から高いものでも2,000円位。それでも殆どハズレがありません。その理由を考えてみますと、一つはワイナリーの素性がはっきりしていること、直輸入かつワインの輸送もREEFER(定温コンテナ)で品質が安定していることではないでしょうか。この店となんら利害はありませんが、この密かな楽しみに満足しています。

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現代物理学「量子論」と東洋思想

2021-06-22 16:35:09 | 日記

かねて懸案でした掲題のテーマにチャレンジすることになりました。前回のブログで『「量子論」を楽しむ本』(佐藤勝彦監修)の内容を紹介しました。その中の最後でボーアの「相補性」にふれました。量子論が明らかにした物質観・自然観の特徴を、ボーアは「相補性」と言う概念を用いて説明しましたが、「相補性」とは、相いれないはずの二つの事物が、互いに補い合って一つの事物や世界を形成しているという考え方です。そのボーアは古代中国の『易経』に出てくる太極図を好んで用いたと書かれていました。では紀元前の書物である『易経』や『荘子』にはどんなことが書かれているのでしょう。

まず『易経』(岩波文庫 高田真治・後藤恭巳訳)について。あの当らぬも八卦当るも八卦の易です。易とは陰陽の変化を以って天地人三才の道を述べたもの。陰陽とは、あらゆる一切の事物の減少の性体及びその作用についての二つの属性を表わすもの。易の思想の中枢観念は陰と陽。自然界並びに人間界の一切の事物は陰陽二つに配される。陰陽は無限の変化。この無限の変化作用を説いたのが、易の思想である。また易に太極ありとする。この太極とは、いろいろの見方はあるが、陰陽を包括する太陽の気であると『易経』の解説に書いてありました。「粒」と「波」。陰陽との共通性をボーアは感じたのでしょう。

次に『荘子』の斉物論について。物は彼に非ざるはなく、物は是に非ざるは無し。自らを彼とすることは則ち見えず、自らを知ることは則ち是を知る。故に曰く、彼は是より出で、是もまた彼に因ると。彼と是れとまさに生ずるの説なり。・・・。是もまた彼なり、彼もまた是なり。彼もまた一是非、此れもまた一是非。果たして彼と是れあるか、果たして彼と是れなきか。彼と是れとその偶(対)を得るなき、これを道枢という。この道枢は「自他が互いに対立するものを一切知りつくした境地」というようですが、『易経』の太極と同じ意味かと思います。

太極図は白と黒のオタマジャクシのような模様が、一つの円の中に仲良く収まっている図です。古代中国では、争いをなくすには矛盾し、対立する概念を超越する姿を考えたようです。現代物理学の量子論も確率変数や不確定性原理を用い、ミクロの世界や自然界のあいまいさを数式化する努力を重ねてきました。さらに先に行く理論も出てきていますが、それは別の機会にします。

  

 

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ポルトガルワインを試す ーー(21)10年熟成トウニー・ポートワインーー

2021-06-20 19:03:16 | グルメ

ポートワインの3本目は10年熟成トウニー・ポートワインです。これまで飲んだケヴェド・ルビー・ポートワイン、ケヴェド・トウニー・ポートワインと同じケヴェドのワインです。ルビーはステンレスタンク3年熟成品、トウニーは樽熟成の4年ものですが、今回は樽熟成の10年もの。カタログには、ライトブラウンカラー、ドライフルーツ、シナモン、フローラルな香り。コーヒー豆を連想させる味わい、長い余韻と書いてあります。実際にコルク栓を抜き、グラスに注ぐとまず色が透明感のあるレッドに驚きました。これまで飲んだ2本は濃いワインレッド色で若干渋みも感じました。この10年熟成品は、香りも爽やか味わいもフルーティな感じがして全く別物の印象でした。1,100円程度の価格差でこんなに味わいが違うとすれば、50年熟成の22,000円のポートワインはどれほどの味わいか?とても気軽に飲める値段ではないですが、この店のワインを全て制覇したら、最後にご褒美で飲んでみようと思いました。

このポートワインはピンキリで奥が深いですね。カタログに掲載されているもので安いものは1,980円、最高品は22,000円。製法を国が厳格に管理してブランド価値を保っているだけあって、価格それなりのおいしさに感心しました。

 

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読書チャレンジ ーー「量子論」を楽しむ本(佐藤勝彦監修)ーー

2021-06-20 14:20:03 | 日記

今回は「量子論」の紹介です。現代物理学を支えるものは相対性理論と量子論とされ、量子論はミクロの世界の物質観を論じたもの。コンピュータ等のハイテク製品はすべてこの量子論の産物とされています。

量子論のスタートは「光」の正体の解明。光は粒か、波か?この光のエネルギーについて「量子」というものを提唱したのはドイツのプランク。彼は20世紀初頭に「エネルギーの量子仮説」を発表しました。その後、イギリスのマクスウェルは光は電磁波の一種であるとし、ドイツのヘルツが電磁波の存在を証明しました。さらに1905年にはアインシュタインが「光量子仮説」で光はエネルギーを持った粒の集まりであるとしました。電子は19世紀の終りにイギリスのトムソンが発見しています。原子模型の最初はイギリスのラザフォードで核の周りをまわる電子の姿を描きました。その原子模型はデンマークのボーアにより、電子の遷移という概念が加わり新たに書き換えられました。ここまでが前期量子論になります。

1924年にフランスのド・ブロイが電子は波であるとの考えを発表しました。さらにオーストリアのシュレーディンガーが1926年にシュレーディンガー方程式を発表。波動関数に確率解釈を持ちこみ、電子の波は「神様がふるサイコロ」のようだと考えました。またドイツのボルンはその考えを進め、観察すると電子の波は収縮してしまうとの考えを示しました。この「波の収縮」「確率解釈」がコペンハーゲン解釈と言われるものです。ドイツのハイゼンベルクが1927年に「不確定性原理」を発表し、ある物質に関する「位置」と「運動量」を測定するとき、両者を同時に確定することはできずに避けられない不確かさが残るとしました。

最後に量子論は、物質や自然がただ一つの状態に決まらずに非常にあいまいであることを、そしてあいまいさこそが自然の本質であることを私たちに示したと結んでいます。本には難解な数式が幾つも紹介されていますが、最後の結論があいまいさこそが自然の本質であり、ボーアは彼の「相補性」を表現するシンボルとして、古代中国の「陰陽思想」を象徴する太極図を好んで用いたようだと・・・。ここで古代中国の太極図が出て来るとは、『タオ自然学』を再読する必要がありそうです。

 

 

 

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ポルトガルワインを試す ーー⑳CARMオーガニック・ティントーー

2021-06-15 20:59:19 | グルメ

記念すべき20本目のワインは、ドウロ地方のワイナリーCARMオーガニックの赤ワインです。写真のバルセロスの雄鶏「ガロの置物」も二つになりました。いつものようにカタログをみると「森に生い茂るブラックベリーを思わす濃厚な味わい、リッチなフルボディ」と書いてあります。CARMのワインで最近のんだのは⑱CARMビスパード・ティント・レゼルヴァですが、今回のワインの方が酸味と渋みが口の中に広がる濃厚な味わいです。ブドウの品種は同じですが、醸造方法の違いで風味の変化を想像するのもワインの楽しみ方の一つかと思います。

さてワインの命でもあるブドウ栽培において土壌の水分は敵だと聞きました。日本のように降水量の多い国では栽培できる地域は限られます。その点ポルトガルはガイドブックに掲載されている写真をみると、鬱蒼とした森林は少なく、乾いた大地が広がっているように見えます。そしてドウロ川とかミーニョ川などに沿ってブドウ畑が開墾されており、適度な水分も補給されることからワインに適したブドウが育つ訳です。

そのブドウ栽培に適した気候はポルトガルの国花がラベンダーであることからも窺えます。日本のラベンダーは北海道の美瑛が知られていますが、もともと高温多湿を嫌う植物です。ポルトガルでラベンダーが盛んに栽培されたのはローマ帝国時代からと資料にありました。香りがよく防臭効果もあるのでローマ人は花を風呂に浮かべ楽しんだようです。私も先日ラベンダーを庭に植えました。上手く根付くか心配ですが、水のやり過ぎに注意しながら育てたいと思います。

 

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