たびたび神社

ライターあかりの神社ブログ

聖地の行方

2017-06-11 10:13:07 |  無社殿神社2

<丹倉神社 あかぐらじんじゃ>

 

熊野市育生町・赤倉地区にある丹倉神社は、

見たこともないほどの巨岩をご神体と仰ぐ、

自然信仰の原型ともいえるような場所です。

神域へと続く急な石段から平地に降り立ち、

祭壇へと近づくと、さらに強い圧迫感とともに、

尋常ではない高さの岩壁が目前に迫ってきました。

 

参道の途中には、榊が添えられた小さな祠が、

山の斜面を仰ぎ見るようにして置かれ、

岩の手前のご神木の近くには、

きちんと手入れをされた手水場から、

沢の水がちょろちょろと音を立て流れ出ています。

 

深山の懐という厳しい環境からは想像できないほど、

「人間が参拝するための手順」が、

すべて整えられた丹倉神社の神域には、

代々この場所をお守りしてきた人たちの

崇敬心が充満しているのでしょう。

 

どんなに奉仕の気持ちがあっても、

日々聖域を管理するという行為は、

相当の労力を必要とするものです。

数えきれないほどの人間の願いを受け止めてきた、

目の前の巨大な磐座を見上げながら、

さらなる過疎化が進むであろうこの地域の今後と、

「聖地の行方」に思いを馳せてしまいました。