治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

202X年猿烏賊ジュニアの成長 その2 猿烏賊母の憂鬱な春

2019-03-08 18:13:14 | 日記
今日も忙しかったです。
というわけで新幹線で多摩川越え。
の合間に「202X年猿烏賊ジュニアの成長」あらすじをさらに伸ばしてみました。
各方面から応援のお声をいただいており、まじめに電子書籍展開を考えています(?)
今日は猿烏賊母の苦悩についてです。

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猿烏賊ジュニアは昔自分より頭悪かった(はずの)やつが大学生になってたことを猿烏賊母に報告する。猿烏賊母キレる。あそこんちはトンデモだからと言う。トンデモって何?と猿烏賊ジュニアはきく。母は「トンデモはトンデモなくて、えらい先生たちがダメって言ってるんだ!」と怒鳴り散らす。

猿烏賊ジュニアとしては「トンデモでも大学生になれて時給十倍もらえるんならいいんじゃね?」と言う。そうすると猿烏賊母はさらに怒り「親の気も知らないで!」と激昂する。そして「母さんはもう出かけなきゃいけないから!」と出て行ってしまう。

母が話の途中で出かけてしまったので、猿烏賊ジュニアは自室に戻りいつものようにスマホゲームで時間を潰す。友だちも別にいないし趣味もない。そしてそもそも金がない。他にやることがないのだ。もちろん、忙しい母の代わりに夕食を作る意欲も能力もない。毎日毎日、出てきたものを食べるだけ。

それに比べて猿烏賊母は忙しい。今日は親の会メンバーの家に出かけ、みんなで会報の発送をする日だ。普通の民家にダンボールが何箱も送り込まれてくる。早く発送しないと、その家の家族が暮らしにくいぐらいスペースを取る。それを母たちが名簿に従って発送する。もちろんボランティアだ。

猿烏賊母は知っている。親の会は毎年会費を取るし、協賛企業も募り、有料の講演会を開き、内部留保は数百万ある。けれども決して母たちに人件費を割くことはない。障害児の母である以上、無料で使役してよい存在だとみなしている。家族が不自由しようと、会報の箱を送りつけていいと思っている。


時々浮かぶこういう疑問を、猿烏賊母は必死で抑え付けて生きてきた。今日思わず我が子に怒鳴ってしまったことも、今は反省していた。

私はまだ障害受容ができていない、と反省する猿烏賊母。それに感情的に怒鳴るのは良くない。これまで10年もソーシャルストーリーを勉強してきたのに。今も数ヶ月に一回は大先生が当地に訪れ、みんなでソーシャルストーリーを学ぶ会を開いているのに。

今度大先生が当地に来てソーシャルストーリーの講座があるときには、トンデモをどう説明するか教えてもらおう、と決心する猿烏賊母。思えばあのトンデモに走った現大学生母も、かつてはソーシャルストーリーの講座を取っていた。親の会にも入っていた。トンデモに走ったのはそう、中学校時代のこと。

同じ支援級に学んでいたうちの子とトンデモんちの子。うちの子は不登校だったけどあそこんちの子は割と学校に行けていた。感覚過敏もあるみたいだし新学期はつらそうだったけど、それでも不登校にはならなかった。卒業後どうするのか親の会で相談会があり、そこにはトンデモ母もよく顔を出していた。

親の会のスーパーバイザーは全国的に名の知れた支援者で地元の大学の先生。その先生の監修のもと「発達障害に配慮のある高校ができた」というので私たちは喜んだ。これで卒後も居場所ができる。難点は場所が不便で送り迎えが必要なこと。でもそれくらい頑張ろう、親だもの。猿烏賊母はそう思ったのだ。

ところがあの現大学生のトンデモ母は、「えらい先生の監修した配慮のある学校」には我が子を入れないと早々に決めた。なんで? せっかく地元に素晴らしい学校ができたのに? 猿烏賊母は心底理解できなかった。

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さて、今後どうなるでしょう?
なぜ現大学生の母は「えらい先生の監修した配慮のある学校」に我が子を送らなかったのでしょう?

続く(たぶん