さて、先天性について皆さん脳みそ振り絞っているようですが
私より、ドヤ顔で先天性を振り回す人たちにきいてみればいいですよ。
医者が「先天性で治りません」って言ったら「先生、先天性ってどこから始まるのですか? 遺伝子からですか? 卵子か精子が自閉症だったんですか? それとも受精卵ですか? 細胞分裂して胎児になり生まれてくる途中で何かあったんですか?」と、問い詰めてあげてください。そしてそれぞれの医者がどう答えたか教えてね。
そして治そう! と張り切っていたり治った! と喜んでいると「先天性だから治りません。もっと勉強してください」とか言う専門家や親や当人がいたら「じゃあ先天性ってどこから始まるの?」ってきいてみたらいいですね。「生まれたときから」とか言うんだったら、「じゃあ胎児のときは定型発達でおなかからでてきたとたん自閉っ子になったの?」とか問い詰めてやればいいです。先日はやはりアンチらしい当事者らしい人が「先天疾患というものはあるんです。もっと勉強してください」みたいにパンフレットみたいなPDF投げてきましたけど一行目に「生まれつきの」。なんだよ生まれつきって。どこから始まるんだよ。曖昧過ぎるね~っていったら即ブロックされました。最近のアンチはブロック速いし一度も絡んだことなくてもブロックしている人もいるそうです。きっとこれは胎内で恐怖麻痺反射のやり残しがあるんでしょう(参考文献『人間脳を育てる』)。アンチはあほだから私が彼らの常識を共有していないと「勉強していない」とか「わかっていない」とか言うんだけど、私はそういうの知った上で違うだろ、っていっているだけなんだけど。勤務医なんかつらいよね。上の言うことに逆らえなくてさ。要するに患者の利益より自分が上にどう思われるかを考えてありきたりのこと言えないとこういう役立たずの医者になるわけですな。それで憂さ晴らしで各方面に文句言うツイッターに励んでいるわけです。
その点私はギョーカイ化外の民ですから好きなこと言えます。そして今回気づいたのは、割とあっさりと「遺伝では」という人が多いなあ、と。私は神田橋先生の本を作るとき先生のあれこれを読みあさっててその中で先生が「ネガティブな資質でも遺伝だというと安心する人がいる」(大意)みたいなこと書いていて「あれれ自分とずいぶん実家違うな~」と思ったもんですよ。なんでかっていうと、以前ギョーカイに忠実だったとき出た各種講座とかそういうときには涙目で「遺伝ではない」という言質を専門家から取ろうとしていた保護者とそれに答えてかぐや姫説を唱えていた専門家がいっぱいいたからです。そのあたりの事情を私は『発達障害、治るが勝ち!』に書いてますね。
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伝説4
「自閉っ子かぐや姫説」
え? かぐや姫? と思った方も多いだろう。少し説明してみよう。
私は一相撲ファンであり、角界のパーティなどにも参加したことがある。そこで関取衆のご家族などをお見掛けすると、普通の大きさの方々であることにびっくりすることがある。ごく普通のご両親からどうやって縦にも横にも大きい人が生まれるのだろう? と不思議に思うことがある。かぐや姫のように、関取になるような人は普通のご夫婦に授けられるものなのだろうか? そしてギョーカイでは自閉っ子に関しかぐや姫説を流布している。遺伝も何も関係なく、いきなり授かることとされている。
ある支援者の方は、大学で「自閉症は脳機能障害であり、目が回らない(編注:前庭覚の不調)などの特徴があるため、耳のできる妊娠初期に何か障害を負ったと思われる」という説を習ったそうである。つまり精子と卵子であったとき、その後細胞分裂していた時期は障害はなく、耳のできる時期に障害が生じたという仮説だとも思える。
けれども大学を出て支援の現場に出てみると「生まれつきで一生治らない」ことになっていた。そして「脳機能障害ならば脳溢血等で損傷があった人にリハビリが効果あるようにリハビリのようなものが効果があるのではないか?」と上司に質問してみたが、相手にされなかったそうだ。
遺伝にせよ妊娠中に何かが起きた、という説は「ありそう」ではある。が、決して広がらないだろうと思う。おそらく「治っている人がいる」と同様、ギョーカイとしては押しつぶしておきたい情報であろう。
障害のある子が生まれると、お母さんたちが罪の意識を持つことが多い。そしてこれは、必要のない罪の意識であるはずだ。中にはその嘆きを支援者にぶつけてくる人もいる。そうしたら、お母さんに罪はないと教えてあげればいいだけのこと。ギョーカイ人は、このひと手間をいやがる。そしてむしろ情報を押し殺す。妊娠中にどうこう言う説は、そのお母さんたちの罪の意識を真正面から刺激してしまうから仮説でも絶対に広がらないようにするのだ。
実際に妊娠初期に何かが起きたとしても、それは母体のせいだけではなく、様々な要因が重なったことなのだろう。けれども悲嘆に暮れているお母さんは嘆き続けるかもしれない。支援者という人種は徹底的に面倒くさいことを避ける傾向があり、そういう情報をできるだけ出さないようにする。できるだけ耳当たりのいい情報をささやき続けるのが接待の基本だ。そんな情報出せるわけがない。たとえ彼らが大好きな科学的に正当だと思われる仮説であっても。自分たちが火の粉をかぶらないためなら、科学はひっこめておくのである。
その結果、自閉症の人はかぐや姫のように授かる、ということになる。遺伝も関係ない。妊娠中の事故も関係ない。妊娠中の母体の状態も関係ない。ただ、ある夜竹林で光る竹をみつけたように、いきなり、授かる。ファンタジーとしては面白いかもしれないし、心のなぐさめにはなるかもしれない。でもこうした「(一部の)親が被害的に取りそうな情報」をひた隠しにするがゆえに、つまり、支援者たちが食ってかかる一部の親から身を守るために、本当のことを言わないことで、予防とか治療とかが遠くなっていく。それは明らかに社会全体の利益にはならないのだが、ギョーカイは自分たちが楽をする方、保護者に対して(しかも一番被害的に情報を受け取る保護者に対して)いい顔をする方を優先させるので、様々な「もしかしたらヒントになったかもしれない」仮説が日の目を見ることなく消えていく。少なくとも保護者からはひた隠しにされる。
私はそういう支援者の保身を卑怯だと思う。自分はそういう卑怯者になりたくない。だから見つけたことはどんどん本にしていく。その情報をいやがる人もいるが、前向きに受け止める人もいる。喜んでくれる人もいる。そして私は、常に前向きな人を応援していきたい。そしてもちろん、たとえ妊娠中の出来事で何かがあったとしても取り戻すことができる。そういう情報を私は探してきたし、これからも探していくつもりだ。
このあたりの情報をお知りになりたい方は、『人間脳を育てる』『人間脳の根っこを育てる』をご参照ください。
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胎児の時の何かでも取り戻せる本に今や、『感覚過敏は治りますか?』が加わったわけです。要するに胎児期のことならなんとか取り戻せる手段を一応本にしといた。中に書いてあることはおうちでできて今すぐ実践できて無料。あとはやるもやらないも自由ですな。だからまあ、「先天性だから治らないんですっ!」と言われて「じゃあ先天性ってどこ?」ときかれてそれがおなかの中なら、「治りますよ」と教えてあげればいいです。医学は、精神科以外の医学は、おなかのなかでの育ちそこねがあってもそれをカバーすべく発展してきたんです。じゃないと保育器なんか使わないでしょ。よその分野ではおなかのなかの遅れを取り戻そうと努力しているんですよ。してないのは発達障害の分野だけです。
それと遺伝、って皆さんがあっさり認めるようになったのは、もしかして世代の交代もあるかなと思いました。なぜならあの頃は自閉症遺伝説を唱えること自体大安売りのヘイトスピーチ扱い。なんでかっていうと「きょうだいの結婚に差し支える」とかそういう理由ですよ。それで保護者が医者を問い詰め、医者が真実より保護者の機嫌取りを優先させるという猿芝居が繰り広げられてきたわけですが、今の世代の、とくに花風社クラスタくらい前向きな人々にはそんな猿芝居必要ないっていうことですね。いい時代になったもんです。
まあ今回こういう問いを出してみて、いかに「先天性」って言う言葉を思考停止でただのオウム返しで使ってきたかわかったことでしょう。だから「先天性だから治りません!」っていう人には今度からにっこり笑って口角挙げてきいてあげたらいいですよ。「先天性ってどこから始まります?」って。胎児期からなら治す方法あります。
ちなみに神田橋先生は遺伝だっておっしゃることもあるそうですね。でも、遺伝を子に伝えた親は就職して結婚して子をなしてその子が発達障害らしいと鹿児島に連れてきたりしている。「だから親並みにはなるだろう。その方法を考えよう」という流れになるようですね。
というわけで遺伝と胎児期は抑えました。次回は周産期にしますか。
でもこの話題に関しては、ここに書けない話(個人的な話も含めて)がたくさんあるので、やはりいつか電子書籍展開すると思います。